医療従事者失格 


母は心臓に疾患があり、たびたび不整脈を起こす。人間は、たったの5秒でも心拍が止まると、意識を失うそうだ。(どこまでが正常な心拍、というのか、専門家でないからわからないが、だいたい、1分間に50〜80くらい、とすると、少なくとも、1秒〜1秒半で、かならず1拍なくてはならない。)

母はそれで、ペースメーカーを埋めることになっているのだが、今は入院して、その手術待ち。しかし、その手術をあと2日に控えた今朝方、母に、また不整脈があり、意識を失った。

もともと、ウチの家族には、医師がおり、その人脈により、普通の患者さんより、よっぼど優遇されている。担当の医師たちが、義理の弟の知人、友人で固められているのだ。しかし、今朝方は、その医師たち(日曜日なので)ではなく、当直の医師しかいなかった。

彼にとっては、ただの不整脈で、たいしたことはない、ということだったのだろうが。疾患を持つ母としては、自分はもう、ダメなのかもしれない、と弱気になっていた。それで、すぐ、家族に連絡をしてくれ、と頼んだらしい。当直の医師は、『そんな、大げさな・・・。』という表情をモロに出し、受け取った電話番号を記したメモをそのまま看護婦に渡した。で、その看護婦は、母の目の前で、そのメモを握りつぶした、というのだ。たまたま、そうなってしまっただけなのか、どうななのか。とにかく、母の目には、患者をバカにした態度に見え、絶望を感じたらしい。弱気になっている患者の前で、そういう態度はないでしょう。その医師が、実際は、どんなに優秀であろうと、もはや母は、彼を信用できない。本来の担当の医師が駆けつけてくださるまで、不安がつのり、それがまた、心臓のプレッシャーになってしまっていた。

担当の医師は(当然、彼だって、たいしたコトではない、って思っていたと思うけど)、何故、それほど心配することではないのか、ということを、判りやすく、丁寧に説明してくださった。その上で、『どうしても心配だとおっしゃるのなら。また、テンポラリのペースメーカー、つけますか?』と尋ねると(それは、母にとって、最後通牒のようなもの)。当然のように、母は『それは、いやです・・・。手術まで、自力で頑張ります。』・・・それから、弱音ははかなくなった。

担当の医師は、知人に当るわけで、特に気を遣ってくださったのか、いつも、そのように患者さんに接しているのか、わかりませんが。この件に関しては、やはり、母を安心させてくださった、その人情に感謝している。それに比べて、当直だったという、見知らぬあの医師と看護婦。気弱になっている患者の不安を煽ってどうするの!! 自分たちには、確かな知識があり、その物差しで行動し、『マチガイはない』と自負しているのだろうが。しかし、知識のない一般人には、どんなことでも不安材料になりうるのだ。そんなことも理解できない医師には、患者に接する資格はない、と思う。