ハートカズラ(Ceropegia woodii)の接木
(台湾仙人掌興多肉植物協会会誌21号より)
文: 李梅華
翻訳: 沈宋輝
弱い品種或いは死亡前の株を救うのに接木は一般に使われています。 蘿芋?科(ガガイモ科 Asclepiadaceae)、夾竹桃科(キョウチクトウ科 Apocynaceae)の植物はサボテンと同じ様に接木で栽培の難しい品種の繁殖が出来ます。 私の最初の了解は、犀角(Stapelia)或いは麗盃閣(Hoodia属)等の柱型品種を台木と見ていました。但し此の柱型肉質茎は欧美高緯度地区では気温が低いので少しの油断で腐死します。最近は欧美地区ではハートカズラの塊根を接ぎ台にして効果を上げ、肉質塊根は腐死しません。 ハートカズラが接ぎ台に使われているのを見たのは日本の本「サボテン・多肉食物」157頁の記事でした。私は日本文を知りませんので夫に聞いたら「イモ」の字を番薯(サツマイモ)だと教えてくれました。その後翻訳の本が出て其れもやはり“番薯(サツマイモ)に接いで”と書いていました。此れは想像外の事で、当時接木するつもりもないので別に注意しませんでした。 2004年の年末「ASKLEPIOS」97号会誌にハートカズラ塊根に生長が難しいCeropegia属植物を接ぐと言う紹介を見て「イモ」は番薯(サツマイモ)では無いと分りました。又昨年「Stepeliads」部書を受け取った後、接木用の台木と如何にして接木するとの説明を見て、「イモ」はハートカズラと確定しました。 其の後、蘿?科(ガガイモ科)の紹介記事の準備と1本のOrbea verrucosaの実生苗の腐死があったので、真面目に其の接木を試して見ようと考えました。 その第一歩は電話で元理事長沈さんに手助け求めて、1〜2cmのハートカズラ塊根10個餘を貰いました。 此の手術・接木は初めてなので本に有る操作の順序に従い次の様に接木しました。 1、ハートカズラの塊根を鉢に分けて植えます。塊根は培養土に0.5〜1cm程露出し、次の手術の為に露出部分は盆縁(鉢のフチ)以上に植えます。植えた後塊根は柔らかくなりますので、根が張って塊根が飽満した後に接木します。 2、接木は先に綿にアルコールを漬けて接ぎ台と接穂の表面を消毒します。 3、小刀でハートカズラの塊根上部を切り、切り口は接穂より大きく切ります。切った後維管束は表皮1〜2mmの所に有るのが見えます。維管束は中心にないので植える時は上下かまわずに植えられます。 4、切った接穂をハートカズラの切り口の上に置きます、サボテンの接木と同じです。維管束が接合するのは最高です。惑るホームページの紹介で穂を切り口の中間に置いただけで良いと有りますが私は念の為の接ぎ穂を外し少しずらして両者の維管束を接合させています。 5、重い物を吊り固定します。私はボルトに糸を縛り錘として接穂をおさえて固定します。 6、次の注意事項はサボテンの接木と同じです。切り口が乾燥する前に水に当らない様にします。接穂の水分蒸発で乾縮を防ぐため、接いだ植物を干し箱の内に入れ保湿します。其のPVC箱はベランダの内、弱光線の所に置きます。 本に2,3日で両者が接合するとありますが私は用心して1週間後に吊るしていた錘を取り除きました。其の後は一般の栽培環境に置き、養分の分散を防ぐ為ハートカズラの新芽は切り除きます。 7月8日第一回の接木は2本接ぎました。其の中の1株は3日後褐色に変わり潰れました。消毒不全の感染でしょうか、別株の切り口はずーっと綺麗な銀白色を保ち7月末に目立つ生長となりました。7月の末頃、馬修さん(会員の名前)に犀角に接いだ抄蹄玉を貰い接木練習をしました。2株の側芽(ワキ芽)を同じ方法で接木ましたが其の1株は失敗で、今残っている1株はやや褐色を帯び目立つ変化は有りません。此の後どうなりますでしょうか? 以上、2回の接木記録は興味の有る会員の参考に提供します。これらはサボテン接木の経験のある会員では容易でしょう。此の方法で貴重又栽培の難しい品種の普及に繁る事を願います。 |
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2007,07,08、 接木切り口の体液は其のまま流し、特別の処理は要りません。 |
2007,07,11、 接木3日後切り口・やや乾燥しました、此の写真で見える切り口周辺の周りに少し白い部分と中間隅のやや緑の部分の両者の交じりあった所が維管束です。 |
2007,08,08 其の生長が目立ちます。 |
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2007,08,09 犀角に接いだ抄蹄玉の側目は接木練習に使った接穂です。 |
2007,07,29 抄蹄玉の接木、同じくボルトを錘に接穂を固定しました。 |
接木の後 植物と鉢をPVC箱に入れて湿度を保ちました。 |
此の記事の初稿は8月中旬にできました。別の1株の抄蹄玉も惜しくも枯れてしまいました。生長の良いOrbea verrucosaは其の後ハートカズラの塊根の腐敗で仕方なく切り植え直しました。
ハートカズラ腐敗の原因は培養土介質に先鋭な蛇木と唐山石(赤玉石?)を使いましたので、定植の時の圧縮で塊根を傷つけたため、切り口が感染したのではないかと思います。(完)
※上文中の「イモ」の解釈ですが、李夫妻は勘違いしたのでしょう。又、漢文の翻訳も違っています。
昭和59年版の角川国語辞典「イモ」の注解は下記になっています。
@ 植物の根や地下茎がでんぷんなどの養分をたくわへ大きくなったもの
A サトイモ、じゃがいも、さつまいもなどの総称
此処は@の解釈を使いハートカズラの塊根をさすのが正確と思います。
BOrbea verrucosaは姫犀角/姫牛角(翻訳者注)
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