Agaveの学名に関して
台湾仙人掌・多肉植物協会の会報編集担当のMei-hua Lee様より下記の質問メールを頂きました。
Lee様よりの質問は英文でしたので下記の様に翻訳いたしました。
2006年1月 横浜市 平尾 博
平尾先生の著書サボテン・多肉植物ポケット事典(1999版)の245ページに掲載されたAgaveについて質問があります。このページの最初に掲載された植物と2番目に掲載された植物は学名を交換しなければならないのではないかと思います。
最初に掲載されたものがAgave
parviflora variegata、二番目のものがAgave filifera f.
variegateではないでしょうか。
“Monocotyledons”(Urs Eggli著)と“Agaves, Yuccas and Related Plants”(Mary & Gray Irish著)によりますとAgave schidigera= Agave filifera ssp. schidigeraは大きな品種でありAgave feliferaに似ているが70〜100cmの、より大きなロゼットを形成するとあります。しかし、多くの日本の本やWebサイトではより小さいAgave leopoldiiになっているようです。
(Agave leopoldiiはAgave filifera とAgave schidigeraの交配種です)
Agave schidigeraには矮小種があるのですか?あるいは、掲載された写真の植物は幼苗なのでしょうか?
Mei-hua Lee様の質問にお答えします。
H.Jacobsen:Lexicon of Succulent
Plants:1970から引用します。
A.BergerによるAgave属の分類の抜粋
T Manfreda 亜属
U Littaea 亜属
Section 1 Anacamptagave
Section 2 Xysmagave とあり、Sect.2の中にA.filifera、geminflora、 xleopoldae、parviflora、schidigera、toumeyanaほか が見られます。
@ A.filifera v. filifera 自生 MexicoのPachuca, Hidolgo S.L.P
多葉、葉長20〜25cm葉巾3cm、白線2〜3本、葉縁のヒゲ5〜6本
A A.fililere v. filamentosa 葉長30cm、葉巾狭い。
B A.filifera v. filamentosa f. ortgiesiana 葉巾はより狭い、葉縁は黒
C A.geminflora v. geminflora 自生Mexico? 葉渡り100〜200cm
葉長60〜90cm、葉幅3〜6mm。葉縁は白く柔か。
D A.geminflora v. filifera 葉縁は糸状に裂ける。
E A. cv. Leopoldii(A.filifera x schidigeraの交配)
葉多数、密なロゼット、葉長30〜40cm、葉中2.5cm、明緑
F A.parviflora 自生 MexicoのSonora、Chihuahua、USA のArizona
ロゼットΦ15cm、葉は細く固い、長さ10cm幅12mm、白線と白ヒゲあり
G A.schidigera v. schidigera 自生.Mexico.
ロゼットは低球状Φ90〜100cm、葉巾7cm
以上識別のために特徴の該概略を記載しました。個々の植物はよく似た部分もあり、又、個体差も、栽培の環境による違いもあるでしょう。
参考書も他に3点(私の知る限り)ありますが、さほどポピュラーではありません。
古来先輩の業者、趣味家が特に力を入れた事実が無く、真剣に研究に取り組んだ人がいたかどうかは分りません。従って個々の植物の同定も深い検証なしに、誰かの記述を鵜呑みにしている部分が大半と思われます。今回ご指摘ありましたA.parvifloraとA.filileraは仰せの通りかも知れないし、又別の見解があるかも知れません。
日本国内ではこの種に対して曖昧な点があることは否定できない事実です。
上記した@〜Gまでは改めてじっくり検証し直す必要がありましょう。
尚、サボテン・多肉植物ポケット事典(NHK・1999)のAuthorは H. HIRAO Page6〜P171.E Kodama Page172〜P.338(See Page3)となっておりますので、ご満足の行く回答でないかも知れません。あしからずご諒承ください。(以上)