マミラリア・ルエッティ Mammillaria luethyi |
今まで知られているどのマミラリアとも異る特徴を持つ小型種。初めて実物を手にした時、写真で想像した以上の驚きがあった。 この植物の最初の報告があったのは1952年。Norman Bokeがメキシコ・コアウィラ州のホテルでコーヒー缶に植えられたのを見た時というから50年も前のことである。この個体をめぐってNeogomesia(アガベ牡丹の仲間)ではないか、Pelecyphora(精巧丸の仲間)ではないかとの憶測が飛んだ。その後、栽培品は枯れてしまったらしい。 1978年にGlass&Fosterがマミラリアであると断定した頃にも自生地の情報はなかった。1996年J.Lüthy(※)が発見し、G.Hintonが正式に記載したのは1998年のことである。 |
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單幹または仔吹きする。7頭まで。球径1.5cmで、イボは極めて細く太さ1.3mm、長さ5.5mm、刺は微細で長さ0.4〜0.6mmで約80本。これがイボの先端に傘状につく。径1.3〜1.8mm。というのが原記載の概要である。 実物を栽培して見るともっと違ったこともわかって来る。写真の株は25頭で株径7.2cm。一番大きいものは径2.2cm。接いで育てれば4cmまたはそれ以上になる。花は径3cmで紫桃色。花底部から下2/3が白。果実はまだ見ていないが、球体に埋没して熟するという。根部は地上部に比べて極めて大きい。 自生地はコアウィラ州のパイラ山系で石灰礫地帯と報告されているが、詳細の発表は控えられている。新種が発見されるとすぐに違法採取される例が婁々起きている事情に配慮したためである。 兎に角、手許において愛培したい可愛い種である。学名は発見者に因んでいるから本人の名前のスペル通りに"ルッティ"と呼ぶべきだと思うが、ドイツ語のウムラウトは学名には採用されないのかü(※)がueとなったために日本語ではルエッティと呼ぶことになってしまう。 |
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