DV防止キャンペーン音楽・No.1

                                       

野村誠作曲・ピアノ曲
『DVがなくなる日のためのインテルメッツォ(間奏曲)
            (曲の英語名:Interlude for Days without Domestic Violence)           

 ━━━音楽の力は 被害者を応援する!━━━

  

■参考となる活動報告としての文献
=草柳和之 「DV根絶を目指すコミュニティ音楽療法の活動――それは作曲委嘱からはじまった」 『東京音楽療法協会30周年記念誌』

 本文ダウンロード→→https://researchmap.jp/kusayanagi/misc/25685166


●曲の紹介
 この曲は,DV問題に携わっているカウンセラーである草柳和之氏による委嘱で,2001年に作曲家・野村誠により作曲されました。曲名は,
「DVがなくなる日までの間に演奏する曲」という意味で、「同曲が少しでも早く演奏されないことを願う」という逆説的な意図が込められています。下の委嘱者の言葉にあるように、《DV鎮魂の会》という特異なイベントでの
            ⇒《DV鎮魂の会》とは?
初演のために、作曲者とDV被害当事者・DV問題に携わる関係者とが作曲準備会をもち、体験談の話合いや作曲者の即興演奏を交えながら、この曲のイメージを探っていくという作業をへて作曲されたものです。
 曲は、1920年前後のフランス音楽風の響きを基調としており、後半1/3あたりで悲しくも憧憬を秘めたメロディーが現れ,和声づけなどが変化しながら5回繰返されて、静かに終結します。このメロディーは、作曲者によれば、2001.9.11同時多発テロの直後に思い浮かんだものとされ、平和を願う曲としての役割も兼ね備えることになりました。
草柳和之は、日本各地でのシンポジウム等の際に演奏するだけでなく、韓国・中国での平和イベントにおいても演奏し、家庭から始まる平和を訴えています。
同曲は、英国・マレーシアなど、広く海外のピアニストにもコンサートの曲目として取り上げられています。
 


【草柳和之の講演の際の演奏場面(YouTube)】←←YouTubeに草柳和之の演奏が公開されました !!
■演奏データ: 2005年12月7日  
講演「よくわかるDVの話」〔高知県土佐山田町〕にて  
◎piano:草柳 和之(大東文化大学非常勤講師)

http://www.youtube.com/watch?v=yjockpSK2JA&feature=youtu.be


作曲者紹介:野村 誠 [Makoto Nomura] (1968〜  )
http://www.makotonomura.net/blog/bio-2/short/?lang=ja
 http://d.hatena.ne.jp/makotonomura/



日本センチュリー交響楽団のコミュニティプログラムディレクター。インドネシア国立芸術大学客員教授、京都女子大学専任講師、京都造形芸術大学客員教授、東京芸術大学講師などを歴任。2003年第1回アサヒビール芸術賞他の受賞歴がある。
。2006-07年、NHK教育テレビの福祉番組「あいのて」の監修を1年間務め、全20回にレギュラー出演し、老人施設での共同作曲活動などが紹介される。美術家、ダンサーとのコラボレーションも多い。

エディンバラ大学、ハダスフィールド大学(英国)、マヒドン大学(タイ)、フォルクヴァング大学(ドイツ)、等でワークショップを行う。竹山国際音楽祭(韓国)、Kontrante Festival(オーストリア)、Facts of Life(英国)等に招待作曲家として参加する。彼の曲は世界20カ国以上で演奏されている。 共著に『老人ホームに音楽がひびく』(晶文社)、『CDで聴く! 音楽療法のセッション・レシピ集−即興演奏ってどうやるの』(あおぞら音楽社) 、他がある。

   

●委嘱者〈作曲を依頼した者〉の言葉:草柳 和之
      (メンタルサービスセンター代表・カウンセラー/大東文化大学非常勤講師)

 近年DVは重大な社会問題と認知され、その深刻な暴力被害の実態も東京都や国の調査によって明らかになりました。私は日本で初めてDV加害男性の暴力克服プログラムの取り組みに着手、その実践の発展や方法論の整備に力を尽くしていますが、今回、特異なプロジェクトを提案しました。

 2001.10.21に開催された画期的イベント《DV鎮魂の会》において、この曲の初演が行われました。同イベントは、亡くなった被害女性の追悼と、現在生きている全ての被害女性が援助ネットワークにつながるよう祈念するセレモニーを中核に、作曲者による本曲初演/DV被害・加害の取組みに関する対談/という3部で構成されたものです。
 社会からDVをなくす意志が広がることを願い、悲痛な体験を解決のためのエネルギーに変換する、私たちの力を確認するために開催され、成功を収めました。DV根絶を目指す精神的内容を象徴的に表わす「社会のために必要な音楽」を、《DV鎮魂の会》の開催を通じて産み出したのです。

 この曲は純粋に音楽として楽しむこともできますが、イベント等にもぜひ活用して下さい。CDだけでなく楽譜も販売しています。
 この曲は、作曲者のご好意により、演奏時の著作権がキャンセルされ、どのような機会でも自由に演奏できます。ピアノを弾ける方は個人的なレパートリーに加えて下さい。
 イベントで演奏されたり、曲が流されたりすることは、私たちのDVをなくそうとする思いが、音楽というシンボルの形をとって伝わり続けることを意味します。この曲が、DV問題に対する注目度を高め、社会全体で意識を高めるための新しい仕掛けとなるよう、多くの方の手で成長させていきましょう。

 また、委嘱者である私・草柳は全国から講演依頼がありますが、その際に“講演+同曲のピアノ演奏”という新しいスタイルの講演活動を展開しています。そして、この曲が聴かれることがなく、演奏されることもない日が来ることを目指して、様々な共感の輪が広がっていくことを願っています。



              

〓草柳和之による演奏風景(2007.12:第13回日本心理劇学会大会・懇親会〈沖縄〉)〓



この曲が“DV問題啓発ツール"として貢献する役割

(1)チャリティー・コンサートの曲目として組みます。


(2)DVのイベントを行う際、適切な機会に演奏し、会場の参加者の気持ちを共有するプログラムの一つとして活用します。
  その際に、次の2つの方法があります。
  a) イベント主催者があらかじめ演奏者を決めて、演奏する。(通常の演奏の方式です.)

  b) 広く演奏者を公募して、この曲に対する関心を促進し参加者に演奏してもらう。
   ⇒2005年9月に、メンタルサービスセンター主催で開催されたDVシンポジウムの際に、演奏者を公募しました。
     そして当日、3名の被害当事者による演奏が、シンポジウムの休憩や終了時に演奏されました。


(3)プロのピアニストにお会いした際に、この曲の役割を理解していただき、楽譜を贈呈する運動を展開中です。
 コンサートの曲目に入ると、プログラムの曲目解説が掲載され、そのことによって聴衆のDV問題に対する関心を促進することができます。 (職業音楽家によるDV問題啓発の参画と位置づけられます。)


(4)この曲を編曲する。(既に鍵盤ハーモニカ四重奏版、クラリネット・アンサンブル版が完成しています。)
*2003年には、クラリネット・アンサンブル版「インテルメッツォ」(高橋信編曲)が札幌で初演されました。このクラリネット・アンサンブル版は、以下の出版社から出版されています。
 ⇒草柳は、このクラリネット・アンサンブル版の演奏を聴きましたが、この編曲はなかなかの優れものです。
■「DVがなくなる日のためのインテルメッツォ(間奏曲)」クラリネット五重奏版(E♭Cl・Cl×2・AlCL・BsCl)
  7,350円 (すみやグッディ株式会社/Tel:054-282-3911)
   http://www.sumiya-goody.co.jp/instruments/score/ensemble.asp


(5)外国の方とシンポジウムなどでお会いした際に楽譜を贈呈して、この音楽の意義を理解してもらい、活用する運動を展開しています。国境を越えてDV根絶の願いのヴァイブレーションを響かせるプロジェクトです。
  ⇒米国の上院議員・弁護士・DV問題の研究調査を専門とする大学教官、国連女子差別撤廃委員会委員長、
    NGOの理事等に贈呈。贈呈した方々の国名も、米国・カナダ・チリ・英国・オーストリア・マレーシア・オーストラリアと多岐にわたっています。


(6)平和を願うイベントでの活用
 この曲の最後に、同じメロディーが和声などを変えて5回繰り返されますが、このメロディーは米国9.11テロの直後に着想されたもので、平和を願う曲としての役割も兼ね備えることになりました。

 2007年11月、南京大虐殺70周年を期した女性シンポジウムが中国・南京師範大学にて開催されました。1937年12月南京が陥落した後、日本軍によって30万人とも50万人とも言われる市民の大虐殺と、女性への集団レイプが行われたのです。草柳和之は、シンポジウム前日、奇跡的に生還した被害者の生の声を聞き、シンポジウム当日の午前には、日本人10数人とともに大虐殺の慰霊碑を訪れ、謝罪のセレモニーを行いました。
 草柳和之は、午後に開催された集団レイプ問題に関するシンポジウムの席で、戦争とトラウマに関する短い講演を行った後に、野村誠作曲の『DVがなくなる日のためのインテルメッツォ(間奏曲)』を演奏し、中国の人々から大きな共感をもって迎えられました。

 ノーベル平和賞のマハトマ・ガンジーは『ハリジャン』という本で「非暴力は思いやりと同じように、家庭から始まらねばなりません.」と述べています。野村誠氏作曲のこの曲は、戦争という大規模で残虐な暴力の問題においても、被害国の人々に対して、私たち日本人の戦争加害の問題を乗り越え、信頼関係を構築する役割を担っています。
 平和を願うイベントにおいても、この曲を活用していくことができるのです。



【この曲の紹介記事】
朝日新聞(2002年10月3日夕刊)
  「DV絶える日まで…鎮魂・癒やしの『間奏曲』 被害者の声聞き作曲
  名古屋出身の野村さんがCD」


『芸術新潮』2008年4月号,通巻700号
  ◆きく◆「DVを弾く−野村誠『インテルメッツォ(間奏曲)』」 *文:野村誠/作曲家



【楽譜発行・問合せ】メンタルサービスセンター
       〒176-8799 練馬郵便局留/tel.03-5926-5302

※楽譜:\800(通信販売は送料込:\1,100)
[みずほ銀行 桜台支店 (普)1438903 名義:メンタルサービスセンター 草柳和之]


       ←曲の楽譜の表紙

【CD発行】エアプレーンレーベル:〒101-0051 千代田区神田神保町2-12 神栄ビル2F
Tel.03-3230-7015/定価:\1,800/CD製品No:AP1020             

      

   《CDのジャケット》
レーベル会社(エアプレーンレーベル)によるCD説明⇒曲の試聴もできます.  http://www.airplanelabel.com/cdlists/index.html

※原曲は約6分。鍵盤ハーモニカ四重奏版・即興演奏等を含む全8曲,計約30分。 
この曲を公開で演奏したり,イベントで使った方は,そのデータを当センターまでお知らせ下さい。インターネット等を通じて演奏記録を公開し,この曲の活用の広がりを多くの方に伝えていきます。



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