《性暴力(痴漢行為を含む)の克服の取り組み》


【はじめに】
 当心理相談機関では、痴漢行為・公然わいせつ・セクシャルハラスメントなど、性暴力の加害行為の問題に取り組んできました。刑事裁判の途中又は判決後に、弁護士から紹介されての来所や、被害者により加害者の再犯防止の努力を要求されての来所という場合があります。

  あるゆる種類の性暴力は「このような行為は、してはいけない」と本人が強く決意したとしても、自分の努力のみで加害行為を克服していくことが極めて困難であることが、分かっています。

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【解決のためには、発想の転換が必要】
  性暴力加害を起こさないためには、次のように認識をチェンジする必要があります。

(a)性暴力加害は、加害者が“出来心”として軽く済ませがちです。しかし被害者にとってそれどころでは済みません。性暴力加害は、被害者の全人格を踏みにじる底知れないダメージを追わせ、全ての異性に対して嫌悪感が及びかねないような、深刻な影響を与える、という事実を、多くの人は認識する必要があります。

(b)あらゆる種類の性暴力は、そのままでは本人のコントロールが効きません。「分かっちゃいるけど、やめられない」のであって、意志の弱さの問題ではありません。すなわち、ほとんどの加害者は性的な依存症(これを性依存症と呼ぶ)の状態にあるのです。

(c)一方、性暴力は“ついやってしまった"“出来心”ではなく、自分が必要として選択した行為です。
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【心理療法の方針】
 性暴力加害の克服は、1つの側面を変化させるだけでは不可能です。性暴力加害を必要としているライフスタイルの改善や、性暴力加害者特有の偏った物事の見方を修正するなど、粘り強く多角的な心理療法を継続することが必要となります。

 当心理相談機関では、上記(a)〜(c)の基本認識のもとに、次のような方針で心理療法を活用し、トータルな再犯防止に取り組んでいます。

(1)性暴力行為にまで至る悪循環の連鎖を明確にし、その悪循環を修正していく連鎖を目指すための認知行動療法を実施します。

(2)加害者は、性差別的価値観をはじめとして、性暴力加害を継続するために都合のよい物事の見方を、無自覚に身につけていますが、それらの偏った価値観を適切なものに変えていく取り組みを実施します。

(3)被害者の恐怖や苦しみを心から理解することによって、克服への切実性を高めるためのワークを実施します。

(4)加害行為によって本人が得ている側面を、より健康なものに変えていくワークを実施します。

(5)性依存症の自助グループに参加し、その体験をフォローしていきます。

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【加害者に配偶者がいる場合の問題】
 夫が痴漢行為・公然わいせつ等で逮捕された場合、配偶者は、当然ながら夫がこのような犯罪を行ったショックと、「彼を絶対に許せない」との憤りを感じます。同時に、配偶者は警察や裁判所等との対応に奔走することになり、これら関係機関と接触する過程で、不快な質問をされたり、ぞんざいな扱いをされ、甚だしく傷つけられることになります。夫が性犯罪で逮捕された場合、離婚に至る場合が多いのですが、婚姻関係を継続するケースもあります。

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【追加の方針
 この場合、夫の性暴力による直接の被害者は存在しますが、夫が痴漢行為等をするということは配偶者にとって屈辱的で耐え難いのですから、配偶者は夫の性暴力による二次的被害者として位置づける必要があります。同時に、警察や裁判所などの関係機関による二次被害も、配偶者には深刻な苦痛です。
  そこで、特に婚姻関係を継続するケースでは、以下の2点に対しても取り組みます。

(6)配偶者に対して、夫の性暴力による二次的被害、警察や裁判所等の関係機関による二次被害のケアを実施します。

(7)夫である加害者にとって、自分が配偶者に与えた苦痛を最大限に実感し、「計り知れない配偶者のダメージに対して、一体何ができるか」を探求していきます。

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 性暴力加害の克服を目指している方、さらに家族のケアを必要とされている方は、ぜひ当心理相談機関にご連絡下さい。

■ 電話:03-3993-6147
   PHS:070-5016-1871


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