Kiyosato

清里の森の文月の花

東名の富士ICで下りて、富士宮道路を北上し、釣り人でにぎわう精進湖を掠めて358号線を下り、中央自動車道に入り、須玉ICを出て清里高原にたどり着き、標高ca.1600mの、自然観察路が完備された“美しの森”の花を楽しんできました。


ノハナショウブ
 Iris ensata Thunb. var. spontanea (Makino) Nakai

 間もなくクマイザサやイネ科の草本に占拠されてしまいそうな草原の中に点々とノハナショウブが咲いていた。自生地の環境は年々住みにくくなっていく一方だが、江戸時代から選抜育種されてきたハナショウブは人里で咲き誇っている。
カラマツソウ
 Thalictrum aquilegifolium L. var. intermedium Nakai

 草原の上を、ときおり、ひいやりとした風が霧を運んで渡っていくと、その霧の中に真っ白なカラマツソウの花が溶けていった。霧が晴れ、緑を背に再び姿を現した花の上には、いつの間にか赤銅色の小さなハナカミキリが乗っていた。
 


カワラマツバ
 Galium verm L. var. asiaticum Nakai
 ヤエムグラなどの仲間で、ユーラシアの温帯に広く分布する変異の幅の広い種である。リンネの記載した個体は黄色花だそうだ。ヨーロッパでは牛乳の凝固材としてチーズ作りに利用したという。若芽は食用にもなる。
チダケサシ
 Astilbe platyphylla H. Boiss.

 よほど花粉や蜜が美味しいのだろう。虫たちがチダケサシの花に集まっていた。園芸植物として栽培されているユキノシタ科のアスチルベの近縁種である。富士山麓の人々の間ではオボンバナで通っている。
ノギラン
 Metanarthecium luteo-viride Maxim.
 ノギランは形態学的見地からユリ科に分類されていますが、DNAのデータからはヤマノイモ類に近縁で独立したノギラン科(Nartheciaceae)に分類されている。強心利尿作用のある成分が含まれている。


シモツケ Spiraea japonica L.
 しもつけの花の頃にはいつも旅  今井つる女
 種小名は japonica だが、中国や韓国にも分布する、少女の髪飾りに似合いそうな可愛い花を咲かせる低木である。バラ科だが漢名は繍線菊である。
オオバギボウシ Hosta montana F. Maekawa
 遊歩道の際の草の茂みのあちこちに、白い旗竿を立てたようにオオバギボウシが咲いていた。近寄ってみれば花筒は薄く青紫色を帯びていた。よく知られるように若葉や花穂は美味で、東北地方でウルイと呼ばれている。 


タチフウロ Geranium krameri Franch. et Savat.
 ひょろりとして、周りの草たちに支えてもらっているような様子でタチフウロが咲いていた。赤紫の花弁の脈がよく目立つ。東北地方南部以南に分布し、韓半島〜アムール地方からも報告されている。
タカトウダイ Eupholbia pekinensis Rupr.
 トウダイグサの仲間はその独特な花の構造からすぐにそれとわかるが、世界中に分布していて2000種近くが記載されている。タカトウダイはその内の1種である。種小名からもわかるように中国にもある。 


ヤマオダマキ Aquilegia buergeriana Sieb. et Zucc.
 5羽のコサギが顔寄せ合ってなにやら話し合っているようにも見えるヤマオダマキの淡い黄色の花があった。キバナノヤマオダマキと呼ばれる品種である。
シロニガナ Ixeris dentata (Thunb.) Nakai
 ヤマオダマキの咲く道の辺には、細く頼りなげな長い花茎を揺らして白花のニガナが咲いていた。舌状花の数が8〜10個のシロバナニガナという変種もある。 


イブキジャコウソウ
 Thymus serpyllum L. subsp. quinquecostatus (Celak.) Kitam.

 展望台の近くで、イブキジャコウソウを見た。薬草・香草として広く栽培されているタイム(タチジャコウソウ)の仲間で日本全土の山地に岩場に生えている。ヒマラヤから極東にわたって分布している。葉をちぎると芳香がたった。
ウツボグサ
 Prunella vulgaris L. subsp. asiatica (Nakai) Hara

 展望台にある茶店の側の草地にはいく本ものウツボグサが咲いていた。信州ではミツバナとかスイバナといい、子供たちが小花を抜き取って花蜜を吸うが、開花する前の花穂や花の終わったとの穂の形からマツカサソウとも呼ばれている。


ミヤマイボタ Ligustrum tschonoskii Decne.
 カラマツ林の林床にミヤマイボタが咲いていた。この季節、低地のイボタはすでに青い実をつけている。ダイミョウセセリが吸蜜に飛来していた。
ノリウツギ Hydrangea paniculata Sieb. et Zucc.
 赤岳の登山口にある羽衣の池のほとりでノリウツギが咲き始めていた。ファインダーの中の花は眩しいほどの白さであった。


オニゼンマイ Osmunda claytoniana L. シュイロハツ? Russula pseudointegra


クロヒカゲ Rethe diana 観察路入口の売店

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