Sept.

庭の花便り  Garden Flora Report

~ 9月の花 Flowers in September ~


索引  アメリカ・チョウセンアサガオ アラハダヒッコリー アレチヌスビトハギ ウシノシタ ウスギコンロンカ
 エレギア・カペンシス エンシーナ オオハンゴンソウ オシロイバナ オヒルギ 鬼面角 クササンタンカ
 グリフィニア・リボニアナ 江蘇石蒜  コヒガンバナ 済州島彼岸花 サツマイモ  サフランモドキ
 サルスベリ  ショウジョウトラノオ シュクシャ シロタエヒマワリ シュッコンバーベナ
 スパイダー・オーキッド タイワンホトトギス  ダルシャンピア チョウマメ ツルバギア・ヴィオラケア 
 デュランタ  トウガン トロピカルセージ ニオイサンタンカ ニシキフジウツギ 庭のヒガンバナ
 ネバリルリマツリ  ハドスベン・アバンダンス  ハナゴマ ハナセンナ  ヒガンバナ ヒメトチ
 ヒメヒガンバナ ピンク・トランペット・ヴァイン フウリンブッソウゲ ブルージンジャー フヨウ 
 ベニベンケイソウ  ベニマツリ ペパーミント ベロシア プレクトランサス・エックロニイ ブルーセージ
 ブルー・バタフライ・ブッシュ ボイシェリーヒルガオ  ホテイアオイ ホソバヒャクニチソウ ボタンクサギ
 ホワイトキャンドル マルバアサガオ マルバフジバカマ メガスケパスマ メリケンガヤツリ ムクゲ 
 ムジナノカミソリ リーア・ルブラ リコリス・アウレア ローゼル ワイルドオーツ 


1) ピンク・トランペット・ヴァイン Podranea ricasoliana           2005.09.01
 昨年、パーゴラに絡ませて恐る恐る戸外で越冬させたピンク・トランペット・ヴァインPodranea ricasoliana)が夏の終りが近づいてやっと咲き始めました。

 アフリカ南部が原産のノウゼンカズラ科のつる植物で、ジンバブエ・クリーパーとも呼ばれます。日本ではピンク・ノウゼンカズラと呼ぶ人もいます。
 属名のPodraneaは命名者Spragueさんの遊び心の産物で、東南アジアからオセアニアにかけて分布する見掛けがよく似たPandoreaの文字を並べ替えたものです。

 「今日のリコリスガーデン No.4」 を更新しました。 スプレンゲリロゼアが咲いています。


2) トロピカルセージ  Salvia coccinea        2005.09.04
 数年前に一株だけ植えたトロピカル・セージ、別名テキサス・セージSalvia coccinea)が種子をこぼして殖えて、庭のあちらこちらで咲いています。

 熱帯南アメリカが原産地のサルビアですが霜があたらなければ冬を越せます。こぼれた種子は気温が上がれば盛んに発芽して大きく育ち、晩秋まで花を咲かせてくれます。
 明るい紅色の花筒からオシベがツンと飛びでていて、ちょっと愛嬌があります。
 ほぼ三角形をした薄い緑の葉には柔らかな細かな毛が生えています。

野の花便り」にはコウリンタンポポコマツヨイグサを追加しました。


3) 恥ずかしがり屋のリコリス 江蘇石蒜 Lycoris houdyshelii   2005.09.05
 カトリーナ並の勢力という台風14号が島国に覆いかぶさろうとしています。
 大災害にならないようにと祈るのみです。
 庭のリコリスさんたちの行く末が気がかりで、風が出る前にと小雨にぬれた姿を撮りました。

 その一つがこの江蘇石蒜ジャンスウ シイスアンLycoris houdyshelii)です。
 咲いたばかりの純白の花に「君はほんとうに美しいよ」と囁くと、ぽっと頬を赤くする恥ずかしがり屋です。
 てなことはあるはずもなく、咲き始めは白い花が、直射日光を浴びると赤く色づいてくるのでした。


4) シュクシャ  Hedychium coronarium        2006.09.06

 最近、少し体調がよくなった家人と早朝の散歩を楽しんでいます。
 さすがに9月の声を聞くと朝露が靴先をしっとりと湿らせるほどになり、虫たちの声も繁くなってきました。久し振りに歩いた河川敷に、どなたかが面倒を見ているらしい小さな花壇があって、朝霧にまぎれるようにシュクシャ(Ginger Lily; Hedychium coronarium)が咲いていました。
 顔を寄せると甘く香りました。

 東南アジアが原産地といわれ、日本には江戸末期に渡来したようです。種子や根茎には精油成分が多く、痛み止め・健胃などに薬用するそうです。この種子がシュクシャ(縮砂)と呼ばれました。


5) ニシキフジウツギ  Buddleja davidii     2005.09.07

 英語圏ではバタフライ・ブッシュの名で好んで庭園に植えられているニシキフジウツギBuddleja davidii)がN薬局さんの入り口で香っていました。

 中国南西部からチベット地方が原産の地ですが、今ではさまざまな花色の園芸品種が生まれています。
 中国名が大葉魚酔木というように魚毒になるサポニンを含んでいて、葉や枝を叩いて潰したものを池やせき止めた流れに浸けて魚を痺れさせて捕らえたそうです。
 蝶が寄り集まる木ということになっていますが、観ていると特にこの花だけに集まるというわけでもないようです。

「ヒガンバナの民俗・文化誌(Ⅱ)」をUPしました。お暇な折にどうぞ・・・。



6) ワイルドオーツ  Chasmanthium latifolium     2005.09.10

 どなたかの花壇から逃げ出したに違いないワイルド・オーツ(Wild Oats: Chasmanthium latifolium)が近くの草むらに茂っていました。
 USAの南東部からメキシコにかけて分布するイネ科の植物です。
 草原を吹き渡る風に踊ってきらきら輝くので Spangle Grass とも呼ばれます。Sea Oats という名も一般的ですが、実際には海辺では見かけられません。
 Indian Woodoats というのは、コロラド河下流域からバハカリフォルニアにかけて居住する先住民ココパ族が食糧にしていたからだそうです。
 「今日のリコリスガーデン-No.5」をUPしました。「野の花便りー秋」にはコミカンソウを追加しました。



7) 済州島彼岸花  Lycoris chejuensis      2006.09.12

 いま小さなリコリスガーデンは色とりどりの花火が一度に開いたように賑やかです。
そのうちの一つが済州島彼岸花 (Lycoris chejuensis) です。
 島内のあちこちで目にすることができますが、安徳渓谷には群生していました。
 ムジナノカミソリL. sanguinea var. koreana)とキネンシスの変種 (L. kinensis var. sinuolata) との雑種で、タネはできません。


8) シロタエヒマワリ  Helianthus argophyllus     2006.09.16
 例年より遅れて梅雨が明けた頃から、猛暑を喜ぶように咲いていたシロタエヒマワリHelianthus argophyllus)が、めっきり花の種類が少なくなった庭の中で独り気を吐いています。

 北米が原産地のヒマワリの仲間で、葉や茎が白い綿毛に覆われているのが特徴です。
 最近は日本のあちこちで野生化しているようです。
太陽の動きを追って花が向きを変える文字通りの”日廻り”だという説がありますが、わが家の白妙君の花はそれぞれが勝手な向きで咲いています。

 「野の花便り~秋~」シラタマコシキブ を追加しました。



9) チョウマメ  Clitoria ternata      2006.09.21
 昨年までは見たことのなかった空色の豆の花が、街角の花園のあちこちに咲いています。
 チョウマメClitoria ternata)です。

 熱帯アフリカを中心に東は熱帯アジア西はカリブ海域まで広く自生していて、温帯でも園芸植物として栽培されています。
 ヨーロッパではすでに1739年には栽培されており、日本でも1850年を挟んだ嘉永年間には渡来していたようです。
 属名はよく知られるように女性器を連想したリンネさんの命名で、種小名はモルッカ諸島のテルナテア島に因んだものだそうです。


10) ツルバギア・ヴィオラケア  Tulbaghia violacea     2006.09.21

 ツルバギア・ヴィオラケアTulbaghia violacea)が咲き続けています。
 10日ほど前に見かけたときと変わらぬ姿で、噂にたがわぬ花持ちの良さです。
今 が盛りと咲いているヒガンバナとは大違いですね。

 南アフリカのウエスターンケープからナタール地方が原産地で、1838年にヨーロッパへ持ち込まれたという記録があるそうです。
 現地では12月ころから咲き出して4月まで目にすることができます。
 球根を傷つけると強いニンイク臭が漂います。

「野の花便り~秋~」カナムグラ を追加しました。



11) 黄金の彼岸花 リコリス・アウレア  Lycoris aurea     2005.09.22
 あちこちのブログにも皆様からのヒガンバナ便りが毎日のように寄せられていますが、私の庭では黄金の彼岸花が咲き始めました。

 雲南省から広東省にかけての中国南西部に分布しているリコリス・アウレア(忽地笑、Lycoris aurea)です。
 四国から九州、沖縄にかけて自生しているショウキランL. traubii)と花の姿はよく似ていてかつては混同されていましたが、花の後に出る葉の形を見れば、違いがはっきりわかります。


12) タイワンホトトギス  Tricytris formosana      2005.09.22

 M茶房さんのロードサイドガーデンでは、花恋人のご主人の日々の花摘み作業もあって、いつも美しい花々が道行く人を楽しませてくれていますが、今日はタイワンホトトギスTricytris formosana)の小さなニンフのような花が咲いていました。

 ホトトギスの仲間は東アジアの特産で18種が記載されていますが、日本にはなんとその内の12種が分布しています。
 美しい花を咲かせるものが多く、交配も盛んに行われ、さまざまな花姿の園芸品種も作られています。



13) ブルー・バタフライ・ブッシュ  Clerodendrum ugandense     2005.09.24
 今年の冬をかろうじて耐え忍んだブルー・バタフライ・ブッシュClerodendrum ugandense)が名のとうりの青い小さな蝶のような花をつけました。

 種小名が示すように東アフリカの熱帯が故郷のクマツヅラ科の低木です。
花の形はカリガネソウCaryopteris divaricata)にそっくりです。でもなぜかクサギ属に分類されています。
 また、カリガネソウとダンギクが同じ属なのも不思議です。分子データからはダンギクの仲間はシソ科に入るという説もあって、難しいですね。

今日のリコリス・ガーデン No.5」を更新しました。


14) ボタンクサギ  Clerodendrum bungei       2005.09.26

 丘陵の緩やかな斜面を埋め尽くしている広大な茶畑の中に、何故か小さなミカン園が、明るい緑の海に浮かぶ暗い緑の島のように取り残されていた。
その島の中に未だ咲き残っているボタンクサギClerodendrum bungei)があった。

 ボタンクサギは別名ベニクサギともいいます。中国南部からヒマラヤ地方に分布するクサギの仲間で、耐寒性がかなりあり、あちこちの庭園で栽培されています。
 地下茎で盛んに増えます。

「野の花便り~秋」にホザキミミカキグサなど”森町「町民の森」の植物”を追加しました。



15) ヒガンバナ  Lycoris radiata       2005.09.28
皆様のブログにも、火の燃え盛るようなみごとなヒガンバナが毎日のように紹介されていますね。
私も花友達に情報をいただいて、近くの堤防に咲くヒガンバナ(Lycoris radiata)に会ってきました。

遠い昔に中国から渡って来たときは救荒目的の植物だったと考えられていますが、現代では立派な園芸植物ですね。
とはいえ、まるで土着の花のように、藪の中に見え隠れに咲く姿も私は好きです。

曼珠沙華さいてここが私の寝るところ   山頭火


16) サフランモドキ  Zephyranthes grandiflora     2005.09.26 
 西風が吹いて雨が降り始めるころになると一斉に咲き始めるからレインリリーとかゼフィールリリーと呼ばれることもあるサフランモドキZephyranthes grandiflora)がにぎやかに咲いていました。
 メキシコからグアテマラの湿った草原に自生しているヒガンバナ科の植物で、同じ属のタマスダレほどではありませんが日本の暖地では野生化しています。
 やはり南米が原産のハブランサスHabranthus)の仲間とよく似ていて混同されたこともありましたが、花の構造が放射相称か左右相称かで区別することができます。しかし、遺伝子レベルでは大変近縁で、容易に雑種が生まれるそうです。


17) アメリカチョウセンアサガオ  Datura meteloides    2006.09.29
 夜が明け始めた街角の花園の一隅にアメリカチョウセンアサガオDatura meteloides)の白い大きな花がいくつも咲いていました。

 北アメリカ南部から中央アメリカにかけてが原産地で、日本では明治時代から観賞用に栽培していたそうです。
 華岡清洲の麻酔薬で有名な、江戸時代に渡来した熱帯アジアが原産のチョウセンアサガオD. metel)に似ていますが、アメリカ生まれの方には茎や葉に白い軟毛が密生しています。
 どちらも猛毒植物ですから要注意ですね。

野の花便り~秋~」に 富士山五合目お中道の花 を追加しました。



18) デュランタ  Duranta repens      2005.09.28

 交通量の多い幹線道路から逸れて、生垣や背の低いフェンスで囲まれた家並みが続く細い道を行くととあるお宅の庭から垣根越しにしだれて咲いているデュランタDuranta repens)がありました。
 フロリダからメキシコとカリブ海域を経てブラジルまで分布するクマツヅラ科の植物で、ハリマツリとかタイワンレンギョウの名でも知られています。
寒さには弱いのですが、霜除けをすればこのあたりでも冬を越せます。
 花はよく咲くのですが未だ実をつけた株を見たことがありません。金色の可愛い実だそうです。

野の花便り~秋」にヌルデとその虫こぶ(5倍子)を追加しました。



19) ダルシャンピア  Dalechampia dioscoreifolia     2005.09.29
 今日はとても不思議な姿をした花に出会うことができました。
トウダイグサ科のダルシャンピアDalechampia dioscoreifolia)です。

 中南米が原産で、コスタリカン・バタフライ・ヴァインの名が一般的です。

 この属(フウチョウガシワ属)には約100種がありますが、すべて中南米に分布しています。

 赤紫の大きな花びらのように見えるのは2枚の総苞です。
この写真は咲き初めで、やがて中央の暗紫色の苞の中からトウダイグサ科らしい花が出てきます。


20) ペパーミント Mentha piperita     2007.09.01
 四方八方へと傍若無人に匍匐茎を伸ばして茂ってくるスペアミントに圧倒されて、細々と生き残っているペパーミント(Peppermint:Mentha piperita) が咲いていました。

 ヨーロッパの野でベルガモットミント(M. aquatica)とスペアミント(M. spicata)が交雑して生まれたものが見出されて栽培が始まったと考えられています。
 あちらでミントといえばこの種を指しているそうです。

 ところで、ギリシャ神話の中の男神たちには浮気者が多いようで、無理やりその相手にされたニンフたちが奥方の女神の怒りを買って植物に変身させられてしまう話に事欠きませんが、ミントもその一人だそうですね。


21) ハナゴマ Incavillea sinensis        2007.09.03

 ホソバセンダングサに似た細かく切れ込んだ葉をつけた、膝丈ほどの茎に薄い桃色のラッパ形の花を咲かせたハナゴマIncavillea sinensis) に出合えました。
 ノウゼンカズラ科ツノシオガマ属の1種で、中国の東北部から四川省、青海省にわたって分布している1~2年草です。属名のツノは実の形、シオガマは葉がゴマノハグサ科のシオガマギクのそれに似たものが多いからです。
 中国名は角蒿で、古代から口内炎や歯槽膿漏などの薬として利用されてきたそうです。近年の生薬学分野での研究でヴェルバロシン(Verballocine)などの非麻酔性強力鎮痛作用のある成分が見つかっています。
 観賞用に栽培されるようになったのは最近のことのようですね。



22) コヒガンバナ L.radiata var. pumila      2007.09.03

 お彼岸にはまだ間がありますが庭先では彼岸花が咲き始めました。
 もっとも、彼岸花といっても中国に分布する種子のできる2倍体ヒガンバナ(コヒガンバナL.radiata var. pumila)ですが・・・・。

 コヒガンバナは日本にも分布している種子のできないヒガンバナ(3倍体)のもとになった系統で、揚子江流域以南の産地に自生しています。
 原産地の中国でもコヒガンバナはヒガンバナより一足先に咲いていました。
 とはいえ、日本ではヒガンバナもまれに9月上旬から咲き始めることがあり、花の形だけでは区別は困難です。おまけにごくごく稀にですが発芽できる種子もできるのです。染色体を調べれば区別できるのですが・・・・。



23) ホソバヒャクニチソウ Zinnia linearis      2007.09.04
 仏壇や墓地に供える花として昔から栽培されているヒャクニチソウ(Zinnia elegans) と同属ですが、ずっと華奢で葉も細いホソバヒャクニチソウZ. linearis) が咲いています。

 ヒャクニチソウと同様にメキシコを中心に北米南部から中米にかけて分布している1年草です。
 オレンジイエローの花の株はよく目にするのですが、この写真のように白いものははじめて見ました。
 スターゴールド、オールドメキシコなどいくつかの園芸品種があり、白花のものはクリスタルホワイトと呼ばれているようです。


24) ハドスベン・アバンダンス Anemone hupehensis cv. 'Hadspen Abundance'  07.09.05
 台風9号が近づいています。どうやら直撃を免れそうにありません。盛りのリコリスをはじめ花壇の花たちも痛めつけられることでしょう。
 そんな運命の花の一つ、ハドスペン・アバンダンスという名のシュウメイギクの一品種Anemone hupehensis cv. 'Hadspen Abundance')の今日の姿をご覧下さい。

 原種の打破碗花Anemone hupehensis) は湖北省産の個体に命名されたものですが、揚子江流域以南に普通に分布しています。八重咲きのシュウメイギク(貴船菊)は変種の一つですが、あちらでも墓地や寺院などで栽培されています。
 日本に渡来した時期は江戸前期か室町時代のようですが、確証は無いそうです。


25) サルスベリ Lagerstroemia indica     2007.09.06
 風雨が本格的になる前にと思い近くの郵便局と信金に出かけました。
 正式に名付けられているのかどうか判りませんが、隣の奥さんが”さるたも通り”と呼んでいる通りの街路樹のサルスベリLagerstroemia indica) の花房が朝方の雨を吸って枝垂れていました。

 中国南部が原産地で、あちらでは古代から重要な庭園樹立ったそうです。日本では江戸時代の初頭の典籍にこの花木の名が登場するので、室町時代までには渡来していたと考えられています。
 猿滑はその滑らかな樹皮に由来する呼び名ですが、このあたりではサルタとかサルタモとも呼びます。そんなわけで”さるたも通り”というわけですね。


26) シュッコンバーベナ Verbena rigida      2007.09.07
 台風一過で傷んでしまった花たちも少なくありませんが、街角の花園で何事もなかったように咲いている花がありました。
 帰化植物のヤナギハナガサの仲間のシュッコンバーベナ(Veined verbena :Verbena rigida) でした。

 南アメリカが原産地で、園芸用に栽培されていたものが逸出して野生化したようです。
 まだ市販されている帰化植物図鑑には取り上げられていませんが、このあたりでは結構普通に道端で見られる植物です。
 耐寒性があるのでしょうね。



27) ベニベンケイ Kalanchoe blossfeldiana     2007.09.11
 お師匠さんが挿し木で増やしたからとベニベンケイ(Flaming Katie:Kalanchoe blossfeldiana)の小鉢を譲ってくれました。

 マダガスカル島の北部が原産地のベンケイソウ科の多年草です。
 短日性の植物ですから夏至を境に花芽が形成されるので、今ごろからが花の見頃になるわけですね。
 園芸植物の解説書には一名”頭の良くなる花”とも呼ばれると出ていましたが、何故そう呼ばれるのかわかりません。
 ご存知の方がおられたらぜひともお教えください。
 英語名は”赤毛のカサリーン”というところでしょうか。


28) フヨウ Hibiscus mutabilis            2007.09.13
 台風9号が通り過ぎてから、このあたりでは急に秋の気配が濃くなってきました。散歩道の脇の藪の中では葛の花が咲き始めています。
 ついこの間まで猛暑の中で咲き誇っていた庭先の芙蓉Hibiscus mutabilis)も今日はなんとなく寂しそうです。

 諸説が有るようですが、芙蓉の原産地は中国だという説が有力のようです。

 日本でも屋久島以南にサキシマフヨウという芙蓉が分布していますが、栽培されている芙蓉とは遺伝的にも異なるそうです。それでも大変近い関係にあって雑種が容易に生まれています。




29) ブルーセージ Salvia farinacea     2007.09.18
 HM駅のエントランスに置かれた5,6種類の花でアレンジされた大きなフラワー・タワーを支えるように並べられたプランターでは灰緑色の葉が温かそうなブルーセージSalvia farinacea)が花の盛りでした。

 北米南部からメキシコにかけて分布しているサルビアで、あちらではミーリーセージ(Mealy Sage) と呼ばれています。葉や茎を覆う毛の色にちなんだ名でしょうか。
 日本では’化粧サルビア’と呼ぶ人もいます。
写真の株は”ブルークイーン”という園芸品種だそうです


30) エンシーナ Quercus ilex         2007.09.23

 昨日の朝気がついたのですが、10年ほど前、フィレンツェのヴェッキオ橋のかかるアルノ川のほとりで拾ってきた団栗から育ったエンシーナ(Encina:Quercus ilex) に若い団栗ができていました。

 イベリア半島から地中海域と東はパキスタン西部まで分布しているブナ科の常緑の高木で、受光は25mにもなるそうです。葉にはヒイラギのような鋭い棘があります。
 樹齢800年に達するものがカンタブリア山地にはあります。

 エンシーナはスペインでの呼び名で、英語名はホルム・オーク(Holm Oak)です。川岸に生えることが多いからでしょう。



31) ネバリルリマガリ Browallia viscosa        2007.09.25
 買い物の帰り道の、とあるお宅のハクチョウゲの生垣の根元に目の白い空色の直径が1cmにも満たないような小さな花がいくつもいくつも咲いていました。
 かがみこんでよく見るとネバリルリマガリ(Amethyst flower: Browallia viscosa) でした。

 ペルーが原産地だといわれているナス科の多年草です。この属には6種ほどが知られていますが、すべて熱帯アメリカとカリブ海域に分布しています。
 ある書物には別名として”ジャマイカのホウセンカ:Jamaica forget-me-not"とも呼ぶとありましたが、触ると実が弾けて種を飛ばすのでしょうか。



32) トウガン Benincasa hispida     2007.09.27
 JR東海の在来線の土手に糸瓜に似た花が咲いていました。
 おや季節外れに!と近寄ってみると白い産毛に包まれた可愛らしい小さな瓜もついていました。トウガン(冬瓜:Benincasa hispida) の花でした。
 近くの畑から逃げ出してきたのでしょうか。

 東南アジアが原産地と考えられていて、日本へは中国経由で渡来したと思われます。
 『本草和名』などにその名があるので、平安時代にはすでに栽培されていたのでしょうね。
 私は餡かけが好きですが、インドではカレーの具にします。マレーシアなどではのどの渇きを癒す果物です。


33) ベニマツリ Rondeletia odorata      2008.09.05
 久しぶりに熱川バナナワニ園の温室を訪ねました。泉源井から勢いよく立ち上る積乱雲のような湯気の柱はいつもと変わらなかったが、園の横を流れる濁川は昨日までの激しい雨で増水し、まるで滝のようにとどろいて相模湾へ注いでいました。
 本園の花木温室では昨年の冬に覗いたときには咲いていなかった花木のいくつかが開花していましたが、この写真のベニマツリRondeletia odorata)もその一つです。小ぶりですが蝋細工のような質感のある花ですね。
 中米、パナマ原産のアカネ科の低木で、種小名のodorataからもわかるように香りのよい花木です。
野の花便り~秋」にミズオオバコを追加しました。


34) オヒルギ Bruguiera gymnorhiza       2008.09.09
 南伊豆町の青野川河口では1958年に奄美大島から移植されていまや群落を形成しているメヒルギが花の盛りですが、熱川バナナワニ園の熱帯睡蓮温室の中ではオヒルギBruguiera gymnorhiza)が咲いていました。

 東アフリカから東南アジア、オセアニア、ポリネシアに広く分布していて、日本では奄美大島まで北上してきている熱帯性の植物です。
樹皮に含まれるタンニンはメヒルギのそれ同様に大島紬の染料に利用されるそうです。
養蜂家は蜜源に利用しているそうです。


今日のリコリスガーデン No. 10, 2008をUPしました。お暇な折にどうぞ。


35) 鬼面角 ペルービアン・アップル  Cereus peruvianus     2008.09.15
 東の空が白む時間がずいぶんと遅くなりましたね。
 今朝の散歩もまだ薄暗いうちからはじめましたが、間もなく雲の切れ間から日が射しはじめました。その曙光が、6mほどにまで育った鬼面角Cereus peruvianus)のすでにしぼみ始めている大きな花を照らしていました。

 種小名からもわかるようにペルーを中心として南アメリカに分布しているハシラサボテンの1種です。赤紫色や黄色の丸い果実は食用され、ラテンアメリカではピタヤと呼んでいます。ペルービアン・アップルの名もあります。
 怪しげな話ですが、このサボテンは電磁波を吸収するという宣伝文句で販売されているようです。PCやIHヒーターの近くに置くと守ってくれるといい、NASAや某大学の研究者のお墨つきがあるとのことですが・・・・



36) ベロジア   Vellozia purpulea      2008.09.20
 とても珍しい花に出会うことができました。
濃い紫色のビロードのような質感のある6枚の花被が美しいベロジア・プルプレアVellozia purpulea)でした。

 ラン科やヒガンバナ科の花のようも見えますが、ユリ目に分類されている南アメリカ、アフリカ、マダガスカルとアラビア半島南部に分布しているベロジア科(Velloziaceae)の植物の1種です。ブラジルが原産地のようです。

「野の花便り~秋」タンバクリを追加しました。



37) ハナセンナ  Cassia corymbosa       2008.09.22

 秋の風が吹き渡ってゆく岡の麓の旧家の庭先で、大きなハナセンナCassia corymbosa)の茂みが黄金色の小さな蝶のような花で被われていました。

 南アメリカのウルグアイ、アルゼンチン、ブラジル南部が原産地といわれていますが、現在はフロリダなど北アメリカ南部にまで帰化しています。
 日本でも暖地では野外で冬を越して元気に育っています。最近は“アンデスの乙女”と呼ぶ人が多いようです。

野の花便り~秋」にナガバヤブマオを追加しました。



38) ムジナノカミソリ  Lycoris sanguinea var. koreana   2008.09.30
 韓国の白羊山(ベギャンサン)で採集されたムジナノカミソリLycoris sanguinea var. koreana)が移植してから7年ぶりに咲いてくれました。
 母種のキツネノカミソリと大変よく似ていますが、こちらは8月咲きです。
 この仲間には花の形や開花時期や葉が伸びてくる時期が異なるいくつもの変種が知られています。
 その一つに九州に分布している、9月中旬過ぎに咲きはじめるアキザキキツネノカミソリがありますが、これはムジナノカミソリと同じものではないかと思っています。

「野の花便り~榛原ふるさとの森の仲秋の花」をUPしました。


39) オシロイバナ  Mirabilis jalapa       2009.09.01
 お付き合いで「20世紀少年~最終章」をみてきました。ストーリーはいささかおざなりで論理性にも欠けていましたが、CGはなかなかのものでした。そして、叔母役の常盤貴子さんのみごとなバストには驚きました。帰り道、日の翳ったビルの谷間の空き地に咲いていたオシロイバナMirabilis jalapa)をみました。
 メキシコ原産ともペルー原産ともいわれていますが、南北アメリカの亜熱帯~熱帯に広く分布していて、本当の原産地はどこか不明のようです。ヨーロッパへ移入されたとき、その株の産地が原産地と思われたのでしょう。現在では世界中で栽培されていますが、各地で野生化しています。
 これは不思議なことなのですが、中国明代の初頭に編まれた『滇南本草』に書かれている“苦丁香”がオシロイバナだという説があります。ひょっとしたら、1421~23年に永楽帝の命で世界一周を果たした鄭和が持ち帰ったのかもしれませんね。


40) サツマイモ  Ipomoea batatas                 2009・09・04
 早朝の気温は22℃。空には茜色に染まりはじめた筋雲が浮かんでいます。秋が来ました。
ぽつぽつと白い花が目立ち始めた茶畑の一隅の、3畝ほどのサツマイモ畑にも朝顔形の花が咲いていました。家人は、はじめて見たといって喜んでいました。
 サツマイモIpomoea batatas)はBC2000年ごろにはすでに中南米で広く栽培されていたようです。2n=90の6倍体ですが、現在はすでに絶滅した2n=30の2倍体と2n=60の4倍体の雑種の3倍体が起源になっていると考えられています。子供の頃、1945年前後の食糧難時代を経験した人には食わず嫌いが多い芋ですね。でも、古泉千樫の句“竹林の日なたに囲う苗床に芋の芽赤く萌えいでにけり”などには郷愁を覚えます。
HP、『旅で出逢った花々』に「ヴェネズエラ~ギアナ高地の花」を書きました。お暇な折にどうぞ。



41) ムクゲ   Hibiscus syriacus                 2009.09.09

 台風12号も遠州灘の遥か沖合いを通り過ぎ、乾ききった大地にひび割れが目立ち始め、路傍の草々も萎れて枯れる一歩手前まで来ているようです。そんな中にあっても、道の辺のムクゲHibiscus syriacus)だけはまだ元気良く花を咲かせています。
 中国原産と考えられていて、長江の南の湖南省や江西省に野生群落が分布しています。韓国の国花ですが、こちらには野生の群落はまだ見つかっていません。日本では山口県や三重県で野生状態で生育しているものがあるそうですが、栽培種の逸出とされています。
画像は立花吉茂さんの『むくげ』によるとサー・チャーレス・ド・ブレトンという品種のようです。
 『野の花便り~秋』サネカズラを追加しました。


42) マルバアサガオ   Ipomoea purpurea             2009・09・12
 昨夜の予報では今日の降雨率70%ということでしたが、いっこうに降りだす様子もないので、いつものように散歩に出ました。
 縄文海進の最盛期には波打ち際だったといわれる丘の麓の藪にマルバアサガオIpomoea purpurea)が絡んでいました。
 熱帯アメリカ原産と考えられている一年草です。さまざまな花色の品種が選抜されていて、よく知られる園芸植物です。種子で容易に繁殖するため、今では世界各地の熱帯から暖帯で逸出帰化しているようです。また、この仲間の種子には幻覚作用を誘発するアルカロイドが含まれていて、メキシコ原住民は古代から利用していたそうです。
『野の花便り~秋』ヤマボウシ を追加しました。


43) プレクトランサス・エックロニイ  Plectranthus ecklonii     2009.09.22
 連休はいかがお過ごしですか。
私は久しぶりに花鳥園をのぞいてみました。外国からの方も多く、家族連れでにぎやかでした。
 ここのご自慢の10品種ものコレウス(金襴紫蘇)の大鉢と色とりどりのストレプトカーパスのオンパレードに挟まれて、3mほどの高さに育ったプレクトランサス・エックロニイPlectranthus ecklonii) が咲いていました。
 南アフリカのインド洋に面した東海岸に分布している林縁に生育するシソ科の低木です。
 園芸植物としては背が高くなりすぎることや耐寒性に乏しいことなどから広まってはいないようです。
『野の花便り~秋』ヤブキタを追加しました。


44) ショウジョウトラノオ Warszewiczia coccinea (Vahl) Klotzsch   2010.09.02
 久しぶりに熱川バナナワニ園の温室を覘いてきました。
この暑さの中を、汗だくになりながらも、丁寧に世話をされているスタッフの皆さん、ありがとうございます。たくさんの花を楽しませていただきました。
 その内の一つ、ショウジョウトラノオ(猩猩虎の尾:Warszewiczia coccinea (Vahl) Klotzsch)です。
 中米、西インド諸島、南アメリカの熱帯が原産地のアカネ科の低木です。アジア・アフリカの熱帯に分布するコンロンカ属(Massaenda) に近縁ですが、見かけはトウダイグサ科のポインセチアにも似ているため英語圏ではWild Poinsettia と呼びます。コスタリカではポインセチアと区別せず Postra と呼んでいました。トリニダード・トバゴではスペイン領時代の最後の総督だったChacon, D.J.M.に因んでChaconiaと呼び、国花に制定しています。
 炎のような猩々緋の花びらのように見えるものは、托葉と苞が花弁化したものです。花そのものは小さくて目立ちません。
 真偽のほどはわかりませんが、アニスのような香りのする根には催淫効果のある成分があると言われています。
RIさんのブログ http://pics.livedoor.com/u/cafeheartful_r1/7200573 にも10日ほど前に同じ場所で撮影した花がでています。


45) スパイダーオーキッド Brassia verrcosa Bateman ex Lindl.  2010.08.03
 派手なショウジョウトラノオに目を奪われてうっかり見過ごすところでしたが、すぐ側のヘゴの幹に付けられた、蜘蛛の脚のように細長い花弁を垂らしたスパイダーオーキッドBrassia verrcosa Bateman ex Lindl.) が花の盛りでした。
 メキシコ、グアテマラ、ホンジュラス、そしてベネズエラに分布することが知られている美しいラン、ブラスシア属の1種です。
 Dressler, R.L.(1981)のによれば、バンダ亜科-シンビジウム族-オンキジウム亜族に分類されていて、同じ仲間のオンキジウム属やミルトニア属など種と容易に交配できるので、さまざまな雑種が作出されているそうです。
 薄い緑色のひげのように長い花びらは、高温の温室のなかでも涼やかでした。
 友人のAさんはメキシコ最高峰, ピコ・デ・オリザバ(5636m.alt.)山麓の雲霧林のなかで、霧の中に朧に浮かんでかすかに揺れているこの花を楽しんだといいます。うらやましいですね~。


46) フウリンブッソウゲ Hibiscus schizopetalus (Dyer) Hook. f.   2010.09.05
 あちこちで目にはしていたのですが、今までなかなか気にいった画が撮れなかったフウリンブッソウゲHibiscus schizopetalus (Dyer) Hook. f.) が第一温室のハイビスカス・コーナーに咲いていました。
 和名は長く垂れ下がる花柄の先に咲く花を風鈴に見立てたものです。ブッソウゲは仏桑華、つまり近縁種のH. rosa-sinensis L.の名です。英語圏にはJapanese lanternの呼び名もあります。

 東アフリカの沿海地帯、ケニア、タンザニア、モザンビークが原産地とされていますが、マダガスカルでも野生化しているそうです。
 ヨーロッパに紹介されたのは19世紀後半です。正式に記載されたものは John Krik さんが1874年にケニアのモンバサで採集した標本で、1880年のことです。
 花形の面白さから園芸植物として人気がありますが、ウガンダやベトナムなどでは切手にこの花をあしらっています。
 不稔性で、2n=45という染色体構成からも交雑起源と考えられていますが、両親種についてはよくわかっていないそうです。
 「野の花便り~盛夏」クサネム を追加しました。


47) グリフィニア・リボニアナ  Griffinia liboniana E. Morren   2010.09.06
 さまざまなウツボカズラの展示されている温室の出口の、暖房用パイプの横にグリフィニア・リボニアナGriffinia liboniana E. Morren) が可愛いブルーの花を咲かせていました。
少し花の盛りを過ぎていましたが、出合えて幸せでした。
 ブラジルの東海岸に沿ったマタ・アトランティカと呼ばれる、かつては沿海部から内陸へ100km、南北に500kmほども大西洋に沿って広ろがっていたものの、今やわずかにその8%が残るのみの森林帯に分布するヒガンバナ科の固有種です。
ブルーアマリリス(Worsleya procera (Lem.) Traub)に近縁で、ミニ・ブルーアマリリスという名もあります。
 ライオンタマリンやムリキなどの猿たちが棲む鬱蒼と茂る熱帯雨林の林床がこの植物の故郷ですが、森が大海原に点在する小さな島のように分断されて、今では絶滅寸前だといわれています。


48) ウシノシタ  Streptocarpus wendlandii Sprenger     2010.09.09
 いっぷう変わった姿かたちの植物を集めたという温室の中で、一生一枚の“牛の舌”を連想する大きな葉で過ごす珍植物という説明パネルの前に、そのウシノシタStreptocarpus wendlandii Sprenger)が咲いていました。
 アフリカとマダガスカルに約130種が知られているイワタバコ科のストレプトカルプス属の1種で、南アフリカ東部、トランスバール、ナタール地方が原産地です。 この、1個体に1枚の大きな葉は子葉です。2枚生じた子葉の内の1枚だけが成長したもので異型子葉と呼ばれています。いわゆる本葉は形成されません。
 こうした特異な形質は旧世界のイワタバコ科にだけ見られ、新世界では観察されていないそうです。
 またこのタイプの異型子葉植物(南アフリカでは10種ほどが記載されています)は花咲けば枯れてしまう一回結実植物です。実生から開花まではうまくいっても数年かかるそうです。


49) ニオイサンタンカ  Ixola odorata Hook          2010.09.15
 中央の水槽にオオオニバスの浮かぶ温室の回廊にバレーボールほどもの大きさの甘い香のする玉花房がいくつも咲いていました。
 初めてお目にかかるニオイサンタンカ(匂山丹花:.Ixola odorata Hook) でした。
 バナナワニ園のスタッフがタイから導入したものだそうです。

 新旧世界に亘って約560種もが分布しているアカネ科のサンタンカ属の1種です。
アフリカ東岸のモザンビークとマダガスカルが原産地といわれています。
 Hookerさんが記載した標本はモザンビークで採集されたものです。
サンタンカ属にはたくさんの園芸品種が知られていますが、この種ほど強い香のものは他には知られていないそうです。フロリダなどでは野外で栽培可能ですが、甘い香にもかかわらずハチドリが吸蜜に立ち寄ることはないといいます。
「野の花便り~秋~」キンミズヒキ を追加しました。


50) エレギア・カペンシス  Elegia capensis (Burm. f.) Schelpe  2010.09.20
 レッサーパンダやアブダブラ・ゾウガメなどが飼育されている分園の入口の土手に巨大なスギナのような植物が植えてありました。
 スエヒロソウという和名ラベルのついたエレギア・カペンシス(Elegia capensis (Burm. f.) Schelpe)でした。

 南アフリカのケープ地方からインド洋に面したポートエリザベスにかけての地に固有のサンアソウ科(Restionaceae)のエレギア属(Elegia)の多年草です。
カヤツリグサ科やイネ科に近縁の植物で、雌雄異株です。 海辺近くから内陸部の標高1600m付近まで分布していて、1970年代に入ると園芸植物として注目され世界中で栽培されるようになったそうです。
 基本的には風媒花ですが、花粉を集めるハチが訪花することもあるといいます。
 Elegiaという属名は、ギリシャ語の死者を悼む悲しみの歌(elegia = song of lamentation)の意味ですが、この草原を強い風が吹き抜けるときの虎落笛のような音に因んだものでしょう。
 ところで、スエヒロソウという和名ですが、これはオーストラリア原産のクサトベラ科のFairy Fan Flower(Scaevola aemula)に当てる人が多いようです。


51) ローゼル  Hibiscus sabdariffa L.            2010.09.25

 小笠原諸島を吹き荒らし、遠州灘遥か沖を北上して行った台風12号と入れ替わり、涼気が大陸から降りてきて、今朝5時の気温は17℃だった。
 その爽やかな朝の微風の中を久しぶりに散策した宮前坂のとある花壇で、珍しい花に会えました。ハイビスカスの仲間のローゼルHibiscus sabdariffa L.) です。
 花の直径は4cmほどで、咲き始めは純白ですが、日が昇ると、スイフヨウのように薄紅に染まってゆきます。花が終わると蕚と苞が多肉化して膨らみ真っ赤に色づきます。
 この部分を乾燥させたものが、あの薔薇色で酸味のあるハイビスカス・ティーの原料です。
 東南アジアでは香辛料や食紅としても利用され、インドのベンガル地方ではトク・フォル(酸っぱい実)と呼んでカレーの酸味付けに使ったりジャムにしたりするといいます。11月のトク・フォル畑は赤く染まって美しいそうです。
 西アフリカが原産地と考えられていますが、Murdock, G.P.(1959)の『アフリカ、その民族と文化史』によると紀元前4000年ごろには野菜としてスーダンで栽培されていたそうです。その後、アジアへも伝播しますが、新世界へは17世紀に奴隷貿易にともなって、先ずはブラジルへ、そして中米やカリブ海域へと拡散してゆきます。現在でも盛んに栽培されているジャマイカへは1701年に導入されたという記録があるそうです。

「野の花便り~秋~」アラカシ を追加しました。


52) メガスケパスマ Megaskepasma erythorochlamys Lindau  2011.09.02

 第一温室のブーゲンビレアのゲートを潜ぐるって右側の通路を行くと、美しい緋色の花穂が私を招くように下がっていました。熱帯を旅するとしばしば出合うことのあるメガスケパスマMegaskepasma erythorochlamys Lindau) でした。

 ベネズエラ原産のキツネノマゴ科の1属1種の低木ですが、艶やかな花姿が好まれて、今では世界各地の熱帯の庭園で植栽されています。野生化している場所もあるようです。
 英語圏では Brazillian Red-Cloak, Brazillian Plume などと呼んでいますが、英国にはブラジル経由で導入されたのでしょうか。


53) ブルージンジャー Dichorisandra thyrsiflora J. C. Mackan   2011.09.05
 メガスケパスマを撮影して視線を移すと、ブルージンジャー(Blue Ginger : Dichorisandra thyrsiflora J. C. Mackan) とあるラベルがありました。目を上げると、いろいろな種類の葉の茂みの中に顔をのぞかせた花穂に、ブルーの小さな花が咲き始めていました。次回訪園したときには満開の美しい花穂に会いたいものです。
 南アメリカが原産のツユクサ科の大型草本ですが、とくにブラジル東海岸のマタアトランティカの森の“宝石”として有名です。ヨーロッパで栽培されるようになったのは19世紀の初頭だそうです。
 オーストラリアへも間もなく導入されましたが、いまではゴールドコーストからブリスベーンにかけてのブッシュの中で野生化したブルージンジャーを目にすることができるそうです。
 英語名にはジンジャーとありますが、ショウガの仲間ではありません。草姿が似ているからでしょうね。コダチムラサキツユクサという和名もあるようですが、英語名のほうが通りがよいようです。



54) ホワイトキャンドル 
      Whitfieldia elongata (P. Beauv.) De Wild. et Th. Durand   2011.09.10

 さまざまな熱帯性植物が混植されている1号温室の、ほとんど日のささない場所に暗緑色の比較的大きな葉を茂らせて、白い花穂を立ててホワイトキャンドルWhitfieldia elongata (P. Beauv.) De Wild. et Th. Durand) が咲いていました。

 熱帯アフリカが原産のキツネノマゴ科の林床性の低木です。
 温室を彩る花として世界中で栽培されていますが、アフリカでは有用植物の一つです。例えば、南ナイジェリアのイボ族はこの木の茎を糸紡ぎ棒の芯にし、実が熟すのを目安にして藪を切り払い穀物の種を蒔くそうです。またコンゴでは蒸し焼きにした葉を気管支炎の塗り薬にしたり、妊娠したい女性が食べたりします。葉の絞り汁はヤシ酒に混ぜて飲むと食中りに効くそうです。
「野の花便り~秋」 ヒヨドリジョウゴの花 を追加しました。



55) クササンダンカ Pentas lanceolata (Forsk.) Defiers   2011.09.12
 プロムナードを彩る多くの花にまぎれるように、あまり目立たない薄い桃色のクササンダンカ(草三段花:Pentas lanceolata (Forsk.) Defiers) 咲いていました。

 アラビアから東アフリカに亘るインド洋西沿岸地帯が原産地のアカネ科の多年草です。

 近年は日本でもさまざまな花色の園芸品種が夏の花壇を彩っています。
 数年前私も庭に植えて楽しんだのですが、花の盛りに突然に枯れてしまいました。原因はコガネムシ類の幼虫に根をすっかり食べられてしまったせいでした。


56) 庭のヒガンバナが咲き始めました Lycoris radiata (L' Herit.) Herb.   2011.09.13

 中秋の名月の光の中で、今年最初の庭のヒガンバナが咲き始めました。昨年より5日ほど早い開花でした。
 シロバナヒガンバナも咲き始めましたので、数日中には紅白が競い合うことでしょう。
 今日の朝日朝刊の『耕論』に、放射線の影響とはできないが、というコメントつきで、藤原新也さんが6月初旬に福島市近郊の寺で撮影したハンカイソウ(静岡以西に自生する)の奇形花の画像が載っていましたね。

 <放射線はなつ山里風渡り赤々あかく曼珠沙華咲く  菊川静>

 これから原発をとりかこむ山野にもヒガンバナが咲くことでしょう
 1945年の秋、長崎の爆心地近くに咲いた被曝ヒガンバナの悲しい姿を思い起こしています。



57) リーア・ルブラ  Leea rubra Blume   2011.09.17

 熱帯スイレン温室の出入り口の近い角に置かれた鉢に植栽されているリーア・ルブラLeea rubra Blume) に目立たない小さな花が咲いていました。

 インドシナ半島が原産地といわれるウドノキ属(Leea)の低木で、赤銅色をした葉が美しいので、あちこちの温室で栽培されています。
 ブドウのような巻き鬚をつけることがないので、かつてはウドノキ科として分類されていましたが、遺伝子の解析から、現在はブドウ科のウドノキ亜科の1属として取り扱われています。
 雌雄同株ですが、雌花と雄花の咲く時期を違えて、自家受粉を回避しているそうです。
 英語圏では原産地への誤解もあってか、ハワイアン・ホーリーとかウエスト・インディアン・ホーリーなどと呼ばれています。


58) ウスギコンロンカ  Mussaenda luteola Delile   2011.09.21

 15号の強風は凄まじかったです。近くの測候所の記録では最大41m/secだったそうです。
 我が家の庭では2階の窓に届くほどに育っていたブラクキトンとゴールデンクレストが倒れてしまいました。
ミヤギノハギもシラハギもマルバハギも乱れ倒れ伏してしまいました。
 でも、小さい温室の中は別世界で、ウスギコンロンカMussaenda luteola Delile) が咲いています。
 真っ白な苞葉も美しいのですが、柔らかな薄黄色の花も風情があります。花弁の中心にはオシベしか見えませんが、メシベは長い花筒の中に納まっていて、自家受粉を避けているようです。
 東アフリカが原産のアカネ科の低木です。
園芸植物として広まったのは20世紀には入ってからで、野外で採集されたタイプ標本は Thomas A.S.が1932年9月29日にウガンダの標高1219mの地で採集したものです。


58) ヒメヒガンバナ 
       Lycoris radiata var. pumila X L. straminea    2012.09.13
 朝晩はだいぶん涼しくなってきましたが、先月来、日中はとても外歩きができないような日々ですね。
 そんなわけで、街角の花々にはご無沙汰続きです。
 雨が少しも降らないので、庭先も乾ききっていますが、リコリスたちは律儀に咲いています。
 これはその一つのヒメヒガンバナ(=プミストラ:L. straminea X L. pumila)です。

 20年ほど前に杭州植物園の林さんがストラミネアとコヒガンバナを交配して作り出した雑種の一つです。
 林さんはすでに引退されていますが、たくさんの交配種を残されました。しばらくは杭州の園圃で継続栽培されていましたが、いまも残っているとよいのですが。
「野の花便り~秋」アケボノソウを追加しました。



59) アレチヌスビトハギ Desmodium paniculatum (L.) DC.   2012.09.17
 車道と歩道の境に植栽されているアベリアの垣のあちこちに小さな淡い桃色の花が点々と咲いています。
 アレチヌスビトハギDesmodium paniculatum (L.) DC.)でした。
 北アメリカの中・南部が原産で、真珠湾攻撃の戦果に日本人が浮かれていた1940年に大阪で最初の標本が採集されていたそうです。
 東アジアから北米、中米、南米に亘って分布しているヌスビトハギの仲間には570余種もが知られていて、分類はかなり難しいのですが、アレチヌスビトハギによく似たアメリカヌスビトハギやイリノイヌスビトハギも日本に帰化しているようです。
「野の花便り~秋」ネコハギを追加しました。


60) ホテイアオイ Eichhornia crassipes Solms-Laub.   2012.09.23
 5月の連休に入る直前に睡蓮鉢に浮かべた二株の小さなホテイアオイEichhornia crassipes Solms-Laub.) が、この夏の猛暑が心地よかったのか、ぐいぐいと育って50cmを越すほどの大株になり、涼しさを感じさせる淡い桃色の花を咲かせてくれました。
一つ一つの花をよく見ると、青紫の輪に囲まれた黄色の斑点が、虫たちに早くやってきてよと呼びかけているようです。
 南米の熱帯が原産ですが、今では世界中の熱帯~暖帯の河川・池沼に帰化しています。日本に渡来したのは明治の中頃だといわれています。
 よく知られるように繁殖力が強く、各地で厄介者扱いを受けています。フィリピンでは昨年、川を堰き止め、低地が広範囲で冠水したそうです。
 日本では水質浄化に利用する試みがありますが、回収処理に要する労力と経費がネックとなっています。
 30年ほど前のことですが、岡山駅近くの居酒屋で、勝山町の酒造会社が試作したという「紫美人」なるホテイアオイ焼酎を飲みましたが、いまでも作られているのでしょうか。
「野の花便り~秋」ミヤマニガウリを追加しました。


61) ボイシェリーヒルガオ Convolvolus boissieri Steude  2012.09.27

 ベルリンはダーレム植物園のアルパインゾーン・ロックガーデンにピンクの花を咲かせ、マット状に広がったボイシェリーヒルガオConvolvolus boissieri Steude=C. compactus Boiss.)がありました。

 高山植物で、スペイン南部からバルカン半島を経てトルコにかけて分布しますが、地理的な変異があっていくつもの亜種や変種が記載されています。
根が肥厚し、根茎状に長く伸びて、強風の荒れる高山礫岩地のあちこちにマットを形成しているそうです。

「野の花便り~秋」ヤチトリカブトを追加しました。


62) オオハンゴンソウ Rudbeckia lacinata L.   2013.09.01
 相変わらずの日差しを逃れて木陰を求めた城跡の石垣の袖に、かすかに射し込む西日のなかで、薄い黄色の花が揺れていました。
 オオハンゴンソウ(Rudbeckia lacinata L.)でした。

 明治時代に観賞用にと持ち帰られた北米原産の植物で、間もなく野に逃れ出たものだそうです。
 日当たりのよい戦場ヶ原のような湿地が好きで、大群落になり在来種の脅威になっています。
 私が初めてこの花に出合ったのは、今ほどに観光地化されていなかった飛騨白川郷の、水車のまわる小さな流れのほとりでした。
『野の花便り~盛夏』 エノコログサたち を追加しています。


63) マルバフジバカマ  Eupatrium rugosum Houtt     2013.09.08
 杉林の林縁で、木漏れ日を浴びて咲いているマルバフジバカマEupatrium rugosum Houtt.)に出合いました。数年前に晩秋の箱根路で目にして以来のことでした。
 北アメリカが原産地で、明治時代の中ごろには渡来していたらしく、小石川植物園では明治29年にはすでに栽培されていて、時の植物学教室教授の松村仁三さんが命名した和名だそうです。
 花がフジバカマに似ているものの葉は切れ込んでいないことに因んだのでしょう。
いまでは北海道から近畿地方にわたって見だされていますが、多年草で種子繁殖もできるというのに、なぜか群生することは稀なようです。
『野の花便り~盛夏』イトタヌキモを追加しました。


64) ヒメトチ  Aesculus glabra Willd.      2013.09.17
 激しい風と滝のような雨を連れた台風18号が駆け抜けてゆきました。
 遠州では昼ころから風も弱まり日が射してきましたので、振り回されてあちこちに散らばった鉢物を元に戻して、近くの公園をのぞいてみました。 植栽された木々たちは思いのほかダメージがなく、ヒメトチAesculus glabra Willd.) の実も無事でした。
 北米オクラホマ・カンサス州からオハイオ州にかけての内陸部の山地が原産のトチノキ属の一種です。 トチノキと同じように丸い栗色の種子にはタンニンが含まれていて、先住民たちは皮なめしや魚毒に利用していました。また一部の先住民、たとえばデラウェア族は実をポケットに忍ばせておくとリュウマチの痛みを抑えると言い、砕いた実の煮汁を羊からとった油と練ったものを耳病の薬にしていました。
『野の花便り~秋』シラタマホシクサを追加しました。


65) アラハダヒッコリー  Carya ovata (Mill.) K.      2013.09.21
 昨日は彼岸の入りで、2か月ぶりに墓参に出かけました。ヒガンバナもぽつりぽつりと咲き始めていました。
 帰り道で立ち寄った市営の公園では丸い実をつけているアラハダヒッコリーShagbark Hichory : Carya ovata (Mill.) K. Koch.に出合えました。
 クルミ科の高木で、北米原産で主にミシシッピーデルタ地帯からアパラチア山脈を経てカナダ東南部に分布していますが、メキシコ東北部の山岳地帯からも報告されています。先住民たちにとっては利用価値の高い木で、例えばチッペワ族は若い枝葉を蒸してその湯気を吸引し鎮痛薬としまし、イロコイ族は樹皮の内側の白い部分を煎じたものを虫下しに使いました。また分布域の各地で、実は冬季の食料となり、石鹸の原料としても利用されました。
 和名のアラハダは荒肌のことで、樹皮が毛羽立っていることを表す英語名の訳です。ただし若木の樹皮は滑らかです。
『野の花便り~秋』イワショウブを追加しました。


66) メリケンガヤツリ   Cyperus eragrostia Lam.     2013.09.27
 清流に踊るバイカモの白い小花を楽しみながらたどった源内川の水辺で見慣れぬ背の高いカヤツリグサの仲間に出会いましたました。メリケンガヤツリCyperus eragrostia Lam.)でした。
 南北アメリカの沿海地域が原産地とされている帰化植物で、アフリカを除く世界各地から報告されています。オーストラリアやニュージーランドなどには19世紀の中ごろにはすでに帰化していて、地域によっては水辺の在来種を脅かす有害雑草に指定されています。
 日本に入ったのは1950年代だと思われていますが、帰化したと認められた確かな記録は1959年に四日市港で採集され久内清孝先生によって発表された標本です。
『野の花便り~秋』ヒメシロネを追加しました。

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