June

庭の花便り Garden Flora Reports

~ 6月の花  Flowers in June ~ 

  索引   アケボノフウロ アニソドンテア アミメヘイシソウ アメリカ・ノウゼンカズラ アリウム・ギガンテウム
 イロマツヨイグサ ウエディングキャンドル ウケザキオオヤマレンゲ ウチワゼニクサ オオセンナリ
 オーストラリア・スイレン  鸚鵡の嘴と炎の蔦  オニナベナ  オリーブ  カシワバアジサイ
 カッコウセンノウ カルドゥーン  カレープラント キルタンサス・エラツム  キンシバイ
 クリスマスブッシュー3 クロタネソウ グロリオーサ ケントベル  コダチヤハズカズラ コバノズイナ
 サオトメトケイソウ サザンクロス・ピンクスター サルビア・グアラニチカ サルビア・マドレンシス
 白花ユウゲショウ ジブラルタル・キャンディータフ シルバーミスト スイレンボク スタージャスミン
 ステップセージ  スプレケリア  セイヨウノコギリソウ  ソライロサルビア タイサンボク チコリー
 チグリディア ツキヌキサイコ ディケロステンマ・コンゲストゥム ティプアナ ティプアナー2
 トケイソウ トリトマ ナガバオモダカ ナツシロギク ニコチアナ・サンデラエ ニレノハツルネラ 
 ハアザミ ハナスベリヒユ ハナツクバネウツギ ハートリーフ・アイスプラント バグ・セージ 
 ヒース・ベッドストロー  ヒソップ ヒマラヤヤマボウシ ヒメフウロウ ビヨウヤナギ  フウリンソウ
 フェイジョア フダンソウ ブドウ ブドウの花びら ブルーカーペット ブルーポピー
 ブルーレースフラワー ヘーベ ペインテッド・セージ ヘンルーダ ボリジ ほろ酔いのスイセンノウ
 ホワイトレースフラワー マジョラム ミズヒナゲシ メラレウカ  モナルダ  ルエリア ルッコラ
 ルリチョウソウ レッドセンタード・ハイビスカス  ロイヤル・キャンドル  ローマカミツレ
 ロシアン・ホリーホック  


1) ブドウ Vitis vinifera L.                        2005.06.02
 梅雨入りする前にと山のはしごをしてきました。オオバアサガラの白い花穂や暗い林床のウワバミソウの白い雄花が印象的でした。
 家に戻ると、ブドウの緑の花が待っていてくれました。

 甘い実やその変身したワインにはいつもお世話になっているのですが、花をしっかりと観察したのは初めてです。
 咲いた花はオシベとメシベだけで花びらが見当たりません。でも、緑の蕾はあります。そして、地表には1ミリほどの小さな緑の星のようなものが散り敷いています。
 咲くと同時に花びらは離れ落ちていたのです。5枚の花びらの先端が癒合しているので星型になっているのでした。オシベの下のリングが融合したガクだそうです。


2) ブドウの花びら Fallen petals of vine                2005.06.03
 若いオシベ・メシベの保護者としての役目を終えて地表に散り敷いたブドウの花びらです。
くるりと巻き上がっているほうが基部で、先端は合着しています。
私は緑色のヒトデを連想したのですが、皆様はいかがでしょう。

 ピントが甘かったので、今朝もう一度のぞいてみると、綺麗に消えてしまっていました。
昨日一日降った雨に運ばれて海に帰っていったのでしょうか・・・・・ (^_-)


3) オーストラリアスイレン Ninphaea gigantea             2005.06.05

 出発予定時間まで待つ間に、ナベワリのサンプリングを済ませて大阪へ向かう浙江大学の李さんを駅近くの花鳥園へ案内しました。
巨大な温室内の15000m2の水槽に植え込まれた100品種もの熱帯スイレンは圧巻でした。
写真のオーストラリアスイレンもその一つです。

 ニューサウスウエールズ北部からクイーズランド北部にかけて分布するニンフアエア・ギガンテアです。花の直径は30cmもありました。原種の花色は青紫ですが、これはその園芸品種のハドソニアナです。



4) ハナスベリヒユ Portulaca oleracea                 2005.06.05
 フェンスに飾られたハナスベリヒユの一日花が6月の街角の花園をにぎわし始めました。
寒さに弱い一年草ですが、円錐状の果実の上部が帽子を脱ぐように外れてこぼれる種子で容易に繁殖します。

 世界の熱帯から温帯に広く分布しているスベリヒユ(Portulaca oleracea)の変種で南アメリカで選抜されたという説が流布していますが、詳しいことはわかりません。

 南米原産のマツバボタン一名オオバナスベリヒユ (Portulaca grandiflora) の遺伝子がかかわっているという説もあります。


5) ハートリーフ・アイスプラント Aptenia cordifolia         2005.06.06

 処方箋をもらいに行った病院の中庭に、直径2cm足らずの小さな赤い花が、黄緑のツルナに似たグランドカバーの中に咲いていました。
花の形はマツバギクによく似ています。

 南アフリカ最南端のインド洋に面したモーゼル湾からケープ半島の東部にわたる砂岩地帯に固有のツルナ科の海浜植物のアプテニア・コルディフォリア(Aptenia cordifolia)でした。
 こんな植物まで日本で見られるとは驚きでした。
乾燥した環境ですとマイナス7℃くらいまで耐えることが出来るそうです。



6) ディケロステンマ・コンゲストゥム Dichelostemma congestum    2006.06.06

 電脳中年Aさんが紹介されているディケロステムマ・コンゲストゥムDichelostemma congestum)がわが家の庭にも咲いています。

 この仲間は北米に7種が分布していて、アパッチ族を始めとする多くの先住民はこの仲間の球根を生あるいは調理して食べています。スネーク・リリーとも呼ぶようですが、よじれて長く伸びる葉の形に因んだものでしょうか。
 面白いつくりの花で、先端が浅く切れ込んだ花びら状の小さな副花冠にオシベが抱かれています。花筒の奥に潜んでいる小さな子房はエメラルドグリーンでした。



7) ヘンルーダ Ruta graveolens                  2006.06.06
 K子さんのハーブガーデンのヘンルーダRuta graveolens)が花のさかりです。
 黄色のつぼみの中でオシベが力強く伸びてきて、黄色のマントのような花びらからピンと飛び出して花粉を散らします。
 子房には油点がたくさんあって、緑の小さなミカンのようですね。

 南ヨーロッパのスペイン、フランスからユーゴスラビアやトルコにかけて分布しているミカン科の多年草です。
 独特の香りがあって、中世ヨーロッパでは魔除けの効果があると信じられていたようです。
 現代ではイタリアのブランデー、GRAPPA、の香りつけに使われています。
 英語圏ではルー(Rue)と呼ばれています。



8) コダチヤハズカズラ Thunbergia erecta             2005.06.07
 軟らかな薄い青紫色のラッパのような形をしたコダチヤハズカズラ(Thunbergia erecta)が咲きました。
 花筒の入り口は明るい黄色で、虫たちを誘っているのでしょう。

 キツネノマゴ科の潅木で、熱帯アフリカのギニア・ビサウからカメルーン西部にかけてが原産地です。
 属名はツンベルギアですが、これはリンネの愛弟子で江戸時代に来日してフロラ・ヤポニカを著したThunberg, C.P.に因んだものです。


9) スプレケリア (ツバメズイセン) Sprekerla formosissima   2005.06.08
 スプレケリア(Sprekerla formosissima)が咲き出しました。
 花の形からの連想でツバメズイセンという名ももらっています。
8年前に購入した1球が今では数え切れないほどに増え、花壇の縁を飾っています。

 メキシコからグアテマラあたりが原産地のヒガンバナ科の球根で、1属1種です。
 メキシコ先住民のアステク族に因んでアステク・リリーとも呼ばれます。
 スプレケリアという属名は1758年にリンネにこの球根を贈ったドイツのSprekerlsenへの献名です。
 種子でも殖えますが花が咲くまでには4~5年はかかります。



10) サオトメトケイソウ Passiflora violacea             2005.06.09
 本来ならば夏の終りから秋にかけて咲くはずなのに、今年はもうサオトメトケイソウが咲き始めました。
 美しいトケイソウです。

 ボリビア中央部からアルゼンチンに亘って自生する常緑性のトケイソウの1種(Passiflora violacea)です。
 いま思えば汗顔の至りですが、昔、熱帯性のクダモノトケイソウの果実をパッションフルーツと呼ぶことを知ったとき、「情熱の果物」と早合点したことを告白します。
 皆様ご承知のとおり、パッシッヨンは「キリストの受難」を意味していたのです。オシベとメシベの組み合わさった形が磔にされたキリストを連想するからだそうです。


11) スタージャスミン Trachelospermum jasminoides       2005.06.10
 テイカカズラそっくりですが、花つきがよく少し繊細な感じのするスタージャスミン(Trachelospermum jasminoides)が咲いています。
白い花と香りの良さはジャスミンと似ているのですが、モクセイ科ではなくキョウチクトウ科です。

 中国南部と台湾が原産地で、”絡石”と呼ばれています。変わり者が多く、斑入りや紅葉の変種もあるそうです。
 有毒植物ですが、葉や茎をを乾燥させたものは絡石藤と呼ばれる漢方薬で血圧を下げる効果があるといいます。
 タイワンテイカカズラとも呼ばれます。


12) ルッコラ Eruca sativa                       2005.06.11

 K子さんの菜園に季節外れの大根の花が、と思ったら、ルッコラ(Eruca sativa)というフレッシュサラダにいれる野菜だそうです。種からは油を採ることもできるそうです。
 葉を千切って匂いをかがせてもらいました。擂りゴマのような香りがしました。

 地中海域が原産地で古代から薬草として利用されていたそうです。
 ディオスコリデスの『薬物誌』ではエウゾーモン(euzomon)の名で解説されていて、生でたくさん食べると催淫効果がある、などと書かれています。
 ローマ人はErucaあるいはArugulaと呼び、現代のフランスではRoquette、イギリスではRocket、スペインではOrugaあるいはRoqueta、中近東ではGirgir、Gargiraなどと呼んでいるそうです。
で、ルッコラ(rucola)はイタリアでの呼び名の一つでした。



13) スイレンボク Grewia occidentalis                   2006.06.09
 東海地方は例年より数日早く入梅したそうです。大きな鉢に植えられたスイレンボクGrewia occidentalis)の花が霧雨に濡れて咲いていました。

 南アフリカの西ケープ地方からジンバブエやモザンビークにかけて分布するシナノキ科の落葉性潅木で自生地では3mほどに育つそうです。
葉は羊や山羊や白犀などが好んで食べ、熟した果実は小鳥の好物です。その果実は四裂しCross-berryという名はこれに因んだものです。
 Grewiaという属名は、17世紀のイギリスの内科医で植物解剖学にみごとな業績を残したNehemiah Grewの急逝を悼んだリンネの命名です。


14) 鸚鵡の嘴と炎の蔦  Lotus berthelotii and L. maculatus    2006.06.11

 先週の日曜日に訪れた安城市のデンパークできれいに咲いている”鸚鵡の嘴”(Parrot's Beak; Lotus berthelotii)を見ることができました。
 カナリー諸島に固有のミヤコグサ属の1種で、今や自生地では絶滅に瀕しているそうですが、園芸植物として世界中で栽培されています。
 また、やはりカナリー諸島の固有種で大変よく似た”炎の蔦”(Fire vine; L. maculatus)があります。
 昨年このブログに間違えて”鸚鵡の嘴”としてUPしたものです。訂正させていただきます。

 「野の花便り~初夏」に キリ、マルバウツギ、ホウノキ を追加しました。


15) ヘーベ Hebe elliptica X Hebe speciosa              2006.06.13

 日本の園芸分野ではヘーベの名で知られているHebe elliptica Hebe speciosaの雑種の H. 'Franciscana Blue Gem' の花が咲いています。

 ゴマノハグサ科の低木で80種近くが知られていて、主にニュージーランドに分布しています。
 オオイヌノフグリと同じクワガタソウ属(Veronica)に分類されたこともありますが、南半球要素で木本であることから別属のHebeに分けられました。
 属名はギリシャ神話の神々に酌をする女神へべに因んだものです。ゼウスとヘラの娘です。
野の花便り~初夏~」に ヤマゴボウササユリ を追加しました。



16) クロタネソウ Nigella damascena                 2006.06.16
 
 2週間ほど前までは花の盛りだったクロタネソウNigella damascena)ですが、いまはもう直径が3cm弱の風船のような実をたくさん着けています。

 地中海域が原産地のキンポウゲ科の1~2年草です。属名のNigella は真っ黒な種子を表すNiger(黒)に由来しています。したがって和名も黒種草というわけです。この種子は暗発芽性で、土で覆って光を遮らないと発芽しません。
風船の頭についた5本の角のようなものはメシベの名残です。Devil-in-a-Bushという名はこの姿から連想されたものでしょう。
 花や葉の形も変わっていますね。葉はすべて細かく裂けていて、離れれば全体が霞んだような印象を受けます。
花を抱く苞も葉と同じように細裂しています。5枚の花びらのように見えるものはガクで、花弁はその上に5つある濃青色の昆虫の頭部を思わせる形の蜜線となっています。その上ではたくさんのオシベがメシベを取り巻いています。
 Love-in-a-Mistという別名は”霧の中の愛”とでも訳せばよいのでしょうか。葉の茂みの中に見え隠れする花の姿からの連想でしょうか。

 

17) マジョラム Origanum majorana              2005.06.12
 街角のハーブガーデンに、葉も茎も灰色を帯びた緑色で、細かく分かれた枝先に小さな瘤状の花序を集めたマジョラム(Origanum majorana)が咲いていました。
 白い小さな花からは、オシベとメシベがつんつんと出ています。

 今ではヨーロッパ全域に野生化していますが、地中海東部沿岸地帯を原産地とするハーブです。
 マヨラナとも呼ばれています。

 古代から薬草として利用されていて、エジプトではミイラの飾りの一つでした。ローマ時代にはクモやサソリに刺された傷を癒すために使われ、強い香りは魔除けにもなると信じられていたようです。
 現代ではもっぱら料理の香味付けに使われています。


18) キンシバイ 金糸梅 Hypericum patulum         2005.06.13
 梅雨の晴れ間の朝日を浴びて、金の小皿に無数の金の小針を並べたようなキンシバイ(Hypericum patulum)が咲き始めました。

 平賀源内の『物類品隲』によると1760年に中国から渡来したというオトギリソウ科の潅木です。
 この科の特徴の一つですが、多数のオシベが5つの束になっています。ミニチュアの手箒のようですね。
 渡来して既に250年以上経った現代では、人里近くの湿った崖などで、野生化したこの潅木に出会えるようになりました。
 原産地の中国では揚子江流域のあちこちに自生していて、根が薬用されています。利尿作用や母乳の出を良くする効果があるそうです。


19) ケントベル Campanula CV. ’Kent Bell’           2005.06.14

 ホタルブクロによく似た姿ですが、濃いブルーの花筒が印象的なカンパニュラが咲いていました。
 一目見て、日本の花ではないと感じました。
 花壇の中のそこだけがヨーロッパアルプスといった面持ちです。

 検索したところ、近年サントリーが発売した新品種のケントベル(Kent Bell)という登録商標の花でした。
 イギリスのケント州で偶然見つかった実生が元になっているそうです。
 写真の株は青味が強いサンカンバケベ(どんな意味があるのだろ?)という品種のようです。
 花の特徴はイングランドからスコットランドにかけて分布しているジャイアント・ベルフラワーに似ているので、このあたりがご先祖さんの一つかもしれませんね。



20) ヒソップ Hyssopus officinalis               2005.06.15

 葉の形が似ているというのでヤナギハッカ(柳薄荷)とも呼ばれるヒソップ(Hyssopus officinalis)がK子さんのハーブガーデンで咲いています。
 ピンクのヒソップには初めて出会いました。

 ヨーロッパ南部から中央アジアにかけて自生するシソ科の多年草で、普通に見かける青紫色の花が野生型だそうです。
 乾燥させた葉は魚料理や肉料理に香味として入れ、新鮮な葉は細かく刻んでシチューに散らしたりします。
 日本に入ったのは明治時代で、胃腸薬や強壮薬などに使われたそうです。
 ちなみに、旧約聖書にしばしば登場するヒソプはオレガノの近縁種のマヨラナ・シリアカのことだという説が有力です。



21) バグ・セージ Salvia uliginosa                2005.06.16

 青い空に筋雲が流れているような花びらのバグ・セージ(bog sage:Salvia uliginosa))が、かすかな風に揺らいでいました。

 ブラジルからウルグアイとアルゼンチンにかけてがこのセージの故郷です。
 湿地を好む多年草で、花の優しさに似ず地下茎での繁殖力が旺盛です。
 ですから、うっかりしていると花壇が占拠されたり、思いもかけない場所に出現することになります。
 明るい空色の花はサルビア属の中でも目立つ存在です。
 対生する黄緑色のやや細長い葉には、はっきりとした鋭い鋸歯があるのも特徴の一つです。

 故郷から遠く離れて、気候もずいぶんと違う日本の花壇ですが、適応力が強いのでしょう。
わが家では元気に育っています。



22) ティプアナ Tipuana tipu                        2005.06.18

 アオダモのそれを大きくしたような翼果が、晴れ渡ったバルセロナの空から、くるくると回転しながら舞い降りてきました。パートナーがそれを拾って育ってて10年、やっと花が咲きました。
 ボリビア南部からアルゼンチン北部、ウルグアイ辺りが原産地のティプアナ・ティプ(Tipuana tipu)でした。マメ科で1属1種、現地ではティパと呼ぶそうです。”ボリビアの誇り”という名もあります。
 南米では街路樹として利用されていて、ブエノスアイレスの街中にはアーケード状に空を覆う古木の並木があります。コルドバのパノラマホテルにはこの名のレストランがあります。
 日本ではとても珍しい木ではないでしょうか。週刊朝日『植物の世界』にもとりあげられていません。



23) ルエリア Ruellia bittoniana                   2005.06.20

 地上部は枯れましたが無事に戸外で冬を越したルエリアが咲き出しました。
 花つきがよく、秋まで楽しませてくれます。

 メキシコからカリフォルニアにかけてが故郷のキツネノマゴ科のルイラソウ属のコモン・ルエリア(Ruellia bittoniana)という種類のようです。
 こぼれ種でも盛んに増えます。

 同じ仲間のチュベローサ・ルイラソウの肉質の根をジャマイカでは食べるそうです。



24) セイヨウノコギリソウ Achillea melleifolium          2006.06.21

 K子さんのハーブガーデンを訪ねると赤花のセイヨウノコギリソウが咲き始めていました。
 信州の牧場などで見る白い花のセイヨウノコギリソウに比べると華奢な感じでした。

 セイヨウノコギリソウ(Achillea melleifolium)はヨーロッパが原産地ですが、今では世界中の温帯に帰化している植物です。
 ヨーロッパでは古代から止血作用のある薬草として利用したので兵士の傷薬と呼ばれたそうです。 今ではこの名よりヤロー(Yarrow)の名のほうが一般的です。
 たくさんの園芸品種が知られていて、写真の株はヴェーザーツァントスタイン(Wesersandstein)という品種だそうです。



25) ローマカミツレ Anthemis nobilis                2005.06.22
 これもK子さんのハーブガーデンに咲いていた薬草、ローマカミツレAnthemis nobilis)です。
 梅雨どきのため花の白さがいま一つぱっとしないようです。

 ヨーロッパが原産の多年草で通称はカモミール(chamomile)です。
 ローマカミツレ油はこの草を蒸留して集めた精油のことで、リキュールの香り付けや香水に添加されます。花を乾燥させたものは健胃剤などに使われ、ビールの苦味付けにもなるそうです。


26) ミズヒナゲシ Hydrocleys nymphoides             2005.06.23

 植木の陰に置いた小さな水槽の中でいつの間にか成長していたミズヒナゲシ(Hydrocleys nymphoides) が咲きました。ほとんどの花屋さんではウォーターポピーの名で売られています。
 見かけはスイレンのミニチュアのようですが、ご先祖様は同じでもだいぶん縁の遠い存在のようです。むろんケシとも見かけのにかよりだけです。
 日本に入ったのは昭和の初めで、60年前の焼け野原の東京の防火用水の中で咲いてたの見たという話を聞いたことがあります。

 HPのトップページをリニューアルしました。今日の野の花便りには八重咲きのドクダミを書きました。



27) チコリー Cichorium intybus                     2005.06.24

 ドイツの伝説で、村を去ったままいまだに帰らぬ恋人を路傍で待ち続けた空色の瞳を持った乙女の化身だというチコリー (Cichorium intybus) が咲いていました。ヨーロッパの野では路傍に茂る雑草の一つです。 ドイツでの呼び名のWegwarte(道端草)はその生態と伝説とによるものでしょう。
 古代ローマの時代から野菜として利用されていたそうですが、いまでもヨーロッパのスーパーマーケットの野菜売り場ではモヤシ状態に栽培したものが並んでいます。
 太い直根は苦味が強いのですが、乾燥させ粉に挽いて、コーヒーと混ぜて飲みます。
 朝に開いた花は昼過ぎには萎んでしまいます。



28) レッドセンタード・ハイビスカス  Alyogyne hakeifolia      2005.06.25

 ブルー・ハイビスカスによく似て、少し小振りの花のレッドセンタード・ハイビスカス(Alyogyne hakeifolia) が咲きました。
 アオイ科の植物としては珍しい細い棒状の葉を持った低木です。

 南オーストラリアから西オーストラリアの半砂漠地帯が故郷のAlyogyne hakeifoliaです。
 種小名は、フトモモ科でオーストラリア産のハケアのそれによく似た葉に因んだものです。
 花は朝日の中で開き始め、日が傾く頃には閉じ始めます。
 よく育てば高さ3m位になります。

 今日の 野の花便りアメリカヤマゴボウです。



29) カレープラント Helichrysum italicum                 2005.06.27

 「子供たちの大好物のあの食べ物の香りがしますよ」と小さな黄色の花と白粉をまとった細い葉のついた枝を渡されました。
 その葉を千切ってみると辺りにカレーの匂いが立ち込めました。
 噂に聞いていたカレープラントHelichrysum italicum)でした。

 コルシカやサルデニア島辺りからキプロス、トルコにかけて自生しているキク科の低木です。
 総苞は小さく目立たないのですが硬い紙質で、カイザイクと同じムギワラギク属に分類されています。



30) カルドゥーン Cynara cardunculus                 2005.05.28

 数年前にアーティチョークというラベルに惹かれて購入した苗が3mを越すほどに成長し、巨大なアザミのような花が咲きました。
 育ててみてわかったのですが、総苞片を食用にするアーティチョーク(Globe Artichork; Cynara scolymus)とは別種カルドゥーン(Cardoon; Cynara cardunculus)でした。

 イベリア半島からトルコにかけて自生するキク科の多年草で、ヨーロッパ、とくにフランスとイタリアでは野菜として栽培が盛んです。
 アーティチョークと違って太く大きな葉柄をいろいろな方法で調理して食べます。

 今日の野の花便りキキョウです



31) トケイソウ Passiflora caerulea                     2005.06.29

 冬の間はさすがにおとなしくしていたトケイソウですが、ここ数日の猛暑で元気はつらつとなって毎日のようにたくさんの花を咲かせ始めました。
 トケイソウ(Passiflora caerulea)はペルーからアルゼンチンにかけての熱帯が原産地ですが、耐寒性があって栽培が容易です。地下茎を伸ばし、思いがけないところに顔を出すことがあります。
 現地では鶏卵大の果実が実るとのことですが、わが家では大きくならずに落果してしまいます。
 花びらが10枚のように見えますが、5枚のガクと5枚の花弁です。無数にある青い糸状のものは副花冠です。
 今日の野の花便りキバナノショウキランです。



32) ボリッジ Borago officinalis                   2005.06.30

 明け方の激しい雨脚と雷鳴には驚かされましたが、日が昇る頃には夏の空となりました。
 K子さんのハーブガーデンでは、雨の滴を残したボリジの空色の花が咲いていました。

 ボリジ(Borago officinalis)はムラサキ科の植物で、シリアが原産地だそうです。
 ヨーロッパでは古くから鎮痛や解熱作用のある薬草として利用されているということです。
 野菜としても使われていて、若葉をフリッターにして肉や魚の料理に添えます。
瑠璃萵苣(るりじしゃ)という和名がありますが、キク科の萵苣とは葉の形が似ている程度で、花は全く別物ですね。

 今日の野の花便りノカンゾウです。



33) ヒメフウロウ Geranium robertianum             2007.06.01

 Yさん宅のブロック塀の裾に今年もヒメフウロGeranium robertianum)の小さなピンクの花が咲いています。

 ヨーロッパ、北アフリカから極東アジアにわたって分布しているフウロソウ科の一年草です。
日本では分布が限られていて、滋賀・岐阜・三重の3県と四国剣山の石灰岩地で知られているだけです。

 Yさん宅のヒメフウロは市販の種子を蒔いたものだそうで、どうも国産ではないようです。とはいえ、ヨーロッパ生まれかはたまたアジア大陸生まれかは不明です。DNAを比較すればわかることなのでしょうが・・・。



34) ブルーレースフラワー  Trachymene caerulea       2007.06.02
 この冬、家人がレースフラワーという名の苗を買ってきました。白いレースを思わせる花が咲くはずだということでした。
 その苗が無事に育って先週から咲き出しましたが、白ではなく淡いブルーの花をつけるブルーレースフラワーTrachymene caerulea)でした。

 オーストラリアの固有種のセリ科の1~2年草で、西オーストラリアの石灰岩地や沿海の砂地に生えています。
 家人の期待したレースフラワーは同じセリ科ですがヨーロッパ原産でホワイトレースフラワー(False Bishop's Weed : Ammi majus)と呼ばれるものでした。喘息や喉頭炎に効く薬草として古代から利用されているそうです。


35) ソライロサルビア  Salvia patens            2007.06.06  
 この類としては異例なほど大きな、そして爽やかな空の色をしたサルビアが咲いています。
 下唇弁が中ほどでくびれているのも特徴的です。

 メキシコが原産地のソライロサルビア別名ゲンチアンセージ(Gentian Sage:Salvia patens)でした。
 オックスフォード・ブルーとかケンブリッジ・ブルーなどいくつか品種があるようですが、写真の株がなんという品種かはわかりませんでした。

庭の花便り~6月」をHPにUPしました。


36) サザンクロス・ピンクスター  Crowea saligna          2007.06.07
 4月にいったん花が終わってきり戻しをしたサザンクロス・ピンクスターCrowea saligna) にまた花がつきました。

 オーストラリアのNSW州の中央部のテーブルランドや海岸の砂地に生えるミカン科の低木です。

 原産地ではヤナギバ・クロウエルと呼んでいます。日本での商品名は花の形と色に因んだものでしょうが、南十字星のなかにピンクに輝く星はないですよね~?
 あちらでサザンクロスと呼ばれる花は西オーストラリアの南部に分布しているセリ科の草本(Xanthosia rotundifolia) です。


37) ほろ酔いのスイセンノウ Lychnis coronaria           2007.06.07
 散歩の途中で珍しい花色のスイセンノウLychnis coronaria) に出会いました。
 白地の花びらに花芯から水紅色のすじが流れでている美しいものですが、ふとほろ酔いの酔仙翁を連想してしまいました。

 南ヨーロッパが原産で昔から花壇に植栽されていたそうです。
 日本の道の辺で野生状態のものを目にするようになったのは昭和20年代に入ってからのようです。
 白いふわふわした手触りの葉からフランネルソウとも呼ばれましたが、いまではフランネルという言葉の意味を知る人も少なくなりました。


38) メラレウカ (スノウ イン サマー)  Melaleuca linariifolia    2007.06.08
 週に一度は散歩の途中で立ち寄っている喫茶店の前庭にメラレウカの1種(Narrow-leaved Paperbark :Melaleuca linariifolia) が咲いていました。
 ラベルには”スノー イン サマー”とありました。

 オーストラリアのクイーンズランド州からNSW州にかけて分布するフトモモ科の木本で、よく育ったものは樹高が10mにも達するそうです。
 沿海部から内陸山地にまで分布していて、主に湿地帯で見られます。
 現地名は細長い葉と剥げ易い紙質の樹皮に因むものですが、日本での商品名は枝先に咲く白い花穂を雪と見立てたのでしょう。


39) ペインテッド セージ  Salvia viridis             2007.06.08
 30cmほどにすっと伸びた茎の先端に青紫の花が咲いているのかと思ったのですが、近寄ってよく見るとそれは花ではなく、花びらのように美しく色づいた数枚の葉でした。

 花そのものは茎の中ほどに立て並びで輪生して咲いているのですが、小さくて地味な目立たない存在です。

 サルビアの仲間で、ヨーロッパ南部が原産地というペインテド セージ(Painted Sage:Salvia viridis)の園芸品種の一つでした。

 野生の原種の花はもっと大きく濃い赤紫色で、先端の葉は園芸品種ほどには発達しません。

野の花便り~初夏」に ヤマホタルブクロ、ネズミモチ を追加しました。


40) ウエディング キャンドル Verbascum            2007.06.09
 ウエディング キャンドルと呼ばれているモウズイカ属Verbascum)の1種が咲きました。
白い花びらとオシベに密生した毛の紫色とのコントラストが面白いですね。

 中央ヨーロッパからスペインにかけて分布しているモス マランの一つの白花品Verbascum chaixii 'Album')です。

 モウズイカ属の植物はヨーロッパでは古代から薬用植物として利用していたそうです。

 プリニウスの『博物誌 Naturalis Historia』には眼病や扁桃腺炎などに有効だと記されています。



41) ブルーカーペット Convolvulus sabatius            2007.06.11
 往きつけの喫茶店のあの前庭のグランドカバーの一角に、直径が3cmほどの小さな青いアサガオ型の花が咲いていました。

 北西アフリカと地中海を挟んでイベリア半島に分布しているセイヨウヒルガオ科の1種(Convolvulus sabatius)で、園芸品種名はブルーカーペットだそうです。

 常緑で耐寒性にも優れているということですので家の庭にも植えてみようと思っています。



42) フウリンソウ Campanula medium                2007.06.12
 これほど大きく育つとは思っていなかったので不用意に植えたのでしたが、今や小さな花壇を占拠するまでになったフウリンソウCampanula medium)がにぎやかです。 ガクとガクとの間の付属体が発達していて袋のように見えるのが面白いですね。

 世界各地で庭園に栽培されていて、原産地はイタリア中北部からフランス南部という説が有力ですが現在は野生種には滅多にお目にかかれないようです。
 イギリスでは”カンタベリーの鐘”と呼んで、エリザベス朝までには広く栽培されていたそうです。当時のケント州などでは既に逸出したものが野生化していたといいます。


43) チグリディア Tigridia pavoana                 2007.06.14
 ギョッとするほどの彩の花が咲きました。 メキシコ原産のアヤメ科のチグリディア・パウォアナTigridia pavoana)です。
 新大陸に初めて足を踏み入れたスペインの植物学者がこの花を見てジャガーの斑点模様を連想してこの属名(Tigridia←Tiger)を思いついたといいます。
 シャガなどと同じように一日花で、昼過ぎになれば萎み始めます。

 大きな皿状に開いた花の形からもわかるように、雨が降ればたまった雫の重さに耐えかねてたちまち閉じてうなだれてしまいます。



44) ルリチョウソウ Roberia erinus                    2007.07.14
 街角の花園のあちこちで、ソフトなブルーのルリチョウソウRoberia erinus)を目にすることができます。

 ルリチョウチョウ、あるいは単にロべリアとも呼ばれています。

 南アフリカが原産のサワギキョウ科の1~2年草で、いまでは異種との交配などを経てケンブリッジブルーやクリスタルパレスなど多くの園芸品種が生まれています。

 写真の株は多分サカタが作出したというアズーロ・コンパクトだと思います。


45) アニソドンテア ”サンレモクイーン”  Anisodontea capensis   2007.06.15
 花苗屋さんの棚の片隅で水切れ状態になっていたのを救出してきたサンレモクイーンというアニソドンテアが1m近くに育ってたくさんの小枝を出し、次々に花を咲かせています。

 アニソドンテア ”アフリカン・クイーン”に似ていますが、花はずっと小振りです。
 やはり南アフリカのケープ地方のフィンボス(植生帯の一つ)が原産のアオイ科の低木、アニソドンテア・カペンシスAnisodontea capensis)の園芸品種の一つだそうです。



46) ロシアン・ホーリーホック  Alcea rugosa          2007.06.16

 背丈ほどに育ったロシアン・ホーリーホックRussian Hollyhock Alcea rugosa) が明るい黄色の花を次々と咲かせています。

 ウクライナの黒海沿岸地帯が原産地だといわれているアオイ科の多年草です。
 立ち姿が似ているので、中国原産ということになっているタチアオイ(Hollyhock :Alcea rosea)と混同されることがあるようですが、葉の形や毛の様子が違っていて区別は容易です。
 Hollyhockの語源は中世英語のholi(聖なる)+古代英語のhoc(アオイ)だそうで、十字軍が近東から持ち帰ったものと伝えられているそうです。



46) モナルダ  Monarda didyma                 2007.06.18
 モナルダ(Bee Balm : Monarda didyma)が咲き始めました。以前は花の形からの連想でタイマツバナ(松明花)という名の方が通りがよかったと思います。

 北アメリカが原産のシソ科の多年草ですが、ヨーロッパでは17世紀末には園芸品種が作出されていたそうです。
 新大陸へ移住した人たちのうち、ニューヨーク近郊のオスウエゴーに入植した人たちがこの草の葉を乾燥させてお茶代わりに飲んだのでオスウエゴーティーとも呼ばれます。
 写真の株は園芸品種のVintage Wineのようです。

野の花便り~初夏」に ハマニガナ を追加しました。


47) シルバーミスト  Helichrysum petiolare          2007.06.21
 お気に入りのあの喫茶店の、前庭にこんもりと茂る銀葉の株に花が咲き始めていました。
キク科のヘリクリサム属の1種(Helichrysum petiolare)のシルバーミストでした。

 南アフリカのケープ地方、大西洋に面したウエストケープのMt.Cederburgやインド洋側の東ケープからナタール地方の内陸部に分布しています。
 原産地では昔から薬草として利用していたそうです。抗菌作用のある精油成分が含まれていて咳止めや喉の痛み止めに使われます。Khikhoi族の人たちは寝床に敷いて蚤や蚊を防ぐそうです。
 ちなみに、サンフランシスコのMt.Tamalpasでは帰化して野生化しています。


48) ハアザミ (アカンサス)  Acanthus mollis          2007.06.24
 アカンサスという名の方が通りがよいかもしれないハアザミ(Bear's Breech:Acanthus mollis)の花が咲き始めています。

 和名は葉が薊のそれに似ていることに因んだものですが、地中海沿岸地帯のギリシャ以西と北アフリカに分布しているキツネノマゴ科の多年草です。
 テオフラストスの『薬物誌』やプリニウスの『博物誌~植物薬剤編』などにとりあげられているように原産地では古代から薬草として利用されていました。

 また、よく知られているように、大きく光沢のある葉は建造物の装飾文様に使われています。とりわけギリシャ建築のコリント様式柱頭の文様が有名ですね。
ちなみに、一万円札の縁飾りにもこの葉をデフォルメしたものが使われています。

野の花便り~初夏」に センリョウの花 を追加しました。



49) グロリオーサ  Gloriosa superba                   2007.06.28
 篝火を連想させるグロリオーサGloriosa superba)があちこちのお宅の庭で咲き誇っています。一たび出会えば、けして忘れることがないほどの艶やかな花ですね。
 以前このあたりでは温室でないと冬越しは無理だったのに今では露地栽培が難しくなくなった花の一つです。
 ユリ科(最近はイヌサフラン科, Colchicaceaeに分類する人もいます)の多年草でインドからアフリカが原産地とされています。
 ジンバブエでは国花になっていてカジョングェ(kajongwe)とよんでいます。 コルヒチンやグロリオシンなどのアルカロイドをもつ有毒植物で、ナイジェリアでは矢毒として使います。ケニアからタンザニアあたりでは球根の粉末を死刑囚に飲ませて執行させたそうです。インドでは毒物好きのシヴァ神の祭りに献花されます。
 キツネユリという和名もあるのですが、いまでは忘れられがちですね。



50) アリウム・ギガンテウム Allium giganteum              2008.06.05
 早々と入梅してしまいましたが、里山ではササユリが咲きはじめています。
庭の花もにぎやかですが、なかでもとりわけてゴージャスなのが巨大な頭状花のアリウム・ギガンテウムAllium giganteum)です。
 中央アジア、おもにイランを原産地とするネギの仲間ですが、早くから庭園に植栽されてきたようです。
 この季節の庭にアクセントをつけるには好適な花で、英国の王立園芸協会からはAward of Garden Merit (AGM)をもらっています。あちらでは”Ornamental onion”と呼んでいます。
野の花便り~横地城址の初夏の花」をUPしました。


51) ジブラルタル・キャンディタフ Iberis gibraltarica         2008.06.06
 梅雨の晴れ間と言うのでしょうか、夜来の雨も上がりよく晴れて気持ちの良い朝になりました。
 空気も澄み、新緑がひときわ輝いていました。
 そして出合ったのが60cmほどの草丈でこんもりと茂ったイベリスの1種でした。
 イベリア半島南端のジブラルタル海峡に面した地域が原産地というジブラルタル・キャンディータフIberis gibraltarica)でした。 よく似たイロマガリバナ(I. umbellata)は花壇から逃げ出して帰化しています。
野の花便り~初夏」にドクウツギを追加しました。


52) オリーブ Olea europaea                       2008.06.07
 昨年の秋に定植したオリーブOlea europaea)に花が咲きました。明け方少し降ったので小さな4弁の花にはまだ雫が宿っていました。おしべは2本でよくわかりますが、めしべは奥まっていて柱頭がかすかに見える程度でした。
 オリーブの故郷は地中海域で、人類文明史の曙からといわれるほどの古代から栽培されてきた木だと考えられています。ノアの方舟で洪水を逃れた人々に、水が引いたことを知らせる鳩がくわえてきた小枝がオリーブだったという話は有名ですね。このためオリーブの枝をくわえた鳩は平和のシンボルとされていますが、ある絵本の平和の鳩は互生した葉をつけた小枝をくわえていました。画家が月桂樹とオリーブとを混同したのでしょうか。


53) カシワバアジサイ Hydrangea quercifolia              2008.06.08
 昨年の5月、家人が自分へのご褒美だといって買ってきたカシワバアジサイ(Oak-leaf hydrangea : Hydrangea quercifolia) のが今年もみごとに咲いてくれました。
 日本では穂状花序になるのはノリウツギですが、こちらはアメリカのアパラチア山脈の走るノースカロライナ、テネシーから西はルイジアナ、南はフロリダ州にかけて自生している常緑性のアジサイです。
 比較的乾燥に強い種で、石灰岩地帯に多く、カシやクルミやアメリカブナなどの樹林下に生えていて、沢沿いにもよくみられます。
 この八重咲きの品種はスノウフレイク(Snowflake)と呼ばれています。
野の花便り~初夏」にイヌツゲを追加しました。


54) ビヨウヤナギ Hypericum chinense var. salicifolium      2008.06.11
 いつ降りだしてもおかしくないような暗い朝でしたが、とりあえず傘を持って散歩に出ました。あんのじょう煙るような雨になりましたが、そんな天気がとてもよく似合う花に出合えました。ビヨウヤナギ(金絲桃:Hypericum chinense var. salicifolium)でした。
 中国原産のオトギリソウ科の低木で、古くから植栽されていました。日本に渡来したのは宝永5年(1708)といわれていますが、次の年に刊行された『大和本草』にすでにこの花木が紹介されているところをみると渡来の時期はもっと古いのかもしれませんね。寛永15年(1638)にできた季語を集めた『毛吹草』にでている「びやうの花」はビヨウヤナギではないでしょうか。
 かきくらすさみだれどきに花咲ける
     金絲桃はぬれ浸りたり    岡麓


55) ティプアナ・ティプ (2) Tipuana tipu               2008.06.16
画像  いつのころか新大陸からスペインに渡って、ガウディーの作品の残るグエル公園で大木に育ち、毎年たくさんの種をこぼし、その一つがアジアの島国の小さな私たちの庭で、冬の寒さにも耐えて、いま花を咲かせています。

 ボリビア~ウルグアイが原産地のティプアナ・ティプ(Tipuana tipu)です。

 日本ではほとんど植栽されていませんが、大阪の鶴見緑地の林の中に大木があるそうです。
 たぶん、こちらもいま花の盛りではないでしょうか。


56) ヒマラヤヤマボウシ Cornus capitata                2008.06.21
 昨年の秋に購入した“黄花山法師”というラベルのついていた苗木にいま花が咲いています。
霜にあててはよくないといわれたので温室で冬越しさせましたが、6つほどついていた蕾のうち2つだけが残ってくれました。
ヒマラヤヤマボウシCornus capitata)でした。 ヒマラヤ山系から雲南・四川省にわたって、1300~1500mほどの山地林が自生地です。
 葉裏の葉脈の主脈と枝脈の交わる部分に小さな穴があいているのが特徴です。
 赤く熟した果実は食べられるそうですが、とりたてて美味しいものではないようです。
 ネパールや雲南省では果実酒をつくるそうです。


57) ニレノハ・ツルネラ Turnera ulmifolia              2008.06.22
 美しい黄金色の花を咲かせた”四季咲きヤマブキ”という園芸名の鉢物を家人が見つけてきました。
 ヤマブキという名がついていますが、植物学的にはバラ科のヤマブキの仲間ではなく、中米から南米にかけてとアフリカに隔離分布しているツルネラ科の1種、ニレノハ・ツルネラ(Yellow alder: Turnera ulmifolia) でした。
 ガイアナからブラジル南部にわたって分布している多年草です。
 朝咲いて夜にはしぼむ一日花ですが、毎日のように次々と咲いてくれます。ブラジルの人たちはこの葉からつくたお茶、シャナナ(Chanana) を胃腸薬として飲んでいますが、マウスを使った実験でもこの植物から抽出した水溶成分が胃の潰瘍を修復することが確かめられています。


58) サルビア・マドレンシス Salvia madrensis           2008.06.23
 人の背丈ほどに育った、黄花のサルビアが霧雨の中で咲いています。

 大きなハート型の葉と、翼が発達した太い四角の茎が特徴的なサルビア・マドレンシスSalvia madrensis)です。

 メキシコの東マドレ山脈の標高1200~1500mのやや湿った山地が原産地です。
 寒さにも強く、氷点下10℃近くまでは耐えられるそうです。

 先ほどのニュースで知ったのでっすが、つくば市の創作料理店で季節感を出すために皿に添えたアジサイの葉を食べてしまった客に中毒症状が出たそうです。
 アジサイが有毒植物とは知りませんでしたが、青酸配糖体が含まれていて体内で化学反応を起こして青酸に変るのだそうです。

 先日は宮城の大崎市でうっかりセリと間違えてドクゼリを食べてしまった人が一時重態になったという報道もありました。
 気をつけないといけませんね。


59) ヒース・ベッドストロー Galium saxatile               2008.06.26

 花師匠のお嬢さんのイングランド土産の種子から育ったあちらの八重葎が茂っています。図鑑で調べたところヒース・ベッドストロー(Heath Bedstraw: Galium saxatile) のようです。
 ブリテン島全域でごく普通に見られるヤエムグラの仲間です。スコットランドの標高1300mの山地でも見られるそうです。
 日本のハナムグラに似ていていますが、もっと繊細で柔らかな感じがします。
 同じ属で、やはりイングランドに多い黄花のレイディース・ベッドストロー(G.verum)の茎の煮汁は牛乳を凝固させるレンネットの代用にされるそうです。また、ジュラ島やアラン島などではこの根を使ってアカネ染めをしていたといいます。



60) ステップセージ Salvia nemorosa               2008.06.28
 雨の止み間に庭遊びをしています。

 今朝は花の盛りを過ぎたカンパニュラなどを片付けて、数日前にいただいた花苗のうちサルビアとハゲイトウを定植しましたが、ステップセージ(Steppe sage:Salvia nemorosa)が密かに咲いていました。
 アカンサスの大きな葉に視界を遮られて今まで気づきませんでした。
 忘れていてごめんなさい

 ヨーロッパ中央部から西アジアにかけて分布する多年生のセージで、リンネが1762年に記載しています。

 古くから庭園にも植えられていてたため、いろいろな種との間に雑種ができていて、分類学者を悩ますものの一つだそうです。
 ワイルドセージと呼ばれることもあります。
薬用されるガーデンセージとちがって、葉を揉んでも香はたちません。


61) オニナベナ Dipsacus fullonum              2008.06.29
 

 オニナベナ
(Teasel : Dipsacus fullonum)がいつの間にか3mもの草丈に育って、細かな薄紫色の花を咲かせ始めました。
 これも花師匠のお嬢さんのイギリス土産の一つです。
 太い茎と葉には鋭い刺があって、うっかり触ると痛い目にあいます。しかし冬の間に茂っていた幅広の根生葉には刺もなく、初めてのことでしたので何の実生かも判らず、コンフリーではないかと思っていました。
 ヨーロッパ原産のマツムシソウ科の越年草です。
 太い茎に対生する葉は基部で合着してカップ状になり雨水を溜めています。特徴的な姿で、この溜まった水については英国ではいろいろな伝説や俗信があります。例えば、この水を溜める構造を“ビーナスの浴槽”と呼び、この水を集めてビーナスが湯浴みしたといいます。また、この水には疣を取る効能や眼病を癒す力があるとも信じられていました。
 花が終わった後の花穂はかれて硬くなり、栽培品種のラシャカキグサでは鋭く尖った苞の先端が鉤形に曲がるので昔からラシャ布を毛羽立てるのに使われました。
 日本に渡来したのは明治9年頃だそうですが、よく知られるようになったのは、敗戦後にドライフラワーとして生け花に使われるようになってからのようです。


62) ナツシロギク Tanacetum parthenium            2009.06.08

 朝露に足元がしっとりと濡れる季節になりました。間もなく入梅することでしょう。 
 ハーブ園ではナツシロギク(夏白菊:Tanacetum parthenium)が花の盛りです。
 コーカサス地方からバルカン半島にかけてが原産地といわれていますが、今ではヨーロッパやアメリカなど各地に帰化していて、日本でも北海道や新潟県で野生化しています。
 英語圏でフィーバーヒュー(feverfew)と呼ばれているように、古代から解熱消炎の薬効がある薬草として利用されてきたそうです。殺虫・駆虫にも利用されました。
最近の日本では、効果のほどには諸説があるようですが、発毛・養毛の薬効があるということで商品化されています。


63) キルタンサス・エラツス Cyrtanthus elatus              2009.06.12

 散歩の途中、とあるお宅の庭先で、我が家では未だ一度も咲いたことのないキルタンサス・エラツスCyrtanthus elatus)に出合えました。
 南アフリカ南東部、ケープランドのインド洋に面した地方が原産地のヒガンバナ科の植物です。林縁や山地の湿った斜面で見られます。
 典型的なキルタンサス類に比べて花筒が短く、受け咲きで、以前はバロタ・スペキオサVallota speciosa)と呼ばれていました。
 キルタンサス類はファイアー・リリー(fire lily)と総称されます。野火の後の黒い大地に一斉に咲くからだそうです。とはいえ、野火の後に咲く花は他にもありますが・・・・・・。



64) ハナツクバネウツギ  Aberia X grandiflora    2009.06.15
 厳冬期を除いて、刈り込みを受けた直後以外はほとんどいつでも花を見ることができるハナツクバネウツギ(=アベリア:Aberia X grandiflora) ですが、今朝は珍しく濃い花色の株に出会いました。
 ハナツクバネウツギはタイワンツクバネウツギA. chinensis)と二翅六道木A. macrotera = A. uniflora)の交配によって作出されたものといわれていて、日本へは大正時代に入ったそうです。タイワンツクバネは花数が多く蕚片は5枚、二翅六道木は花が大きく蕚片は通常2枚です。香りのよい花木で、昆虫たちにも人気が高く、とりわけマルハナバチの訪花がめだちます。第3の種との交配も行われていて、いろいろな品種が栽培されているようです。


65) アメリカ・ノウゼンカズラ Campsis radicans            2009.06.21
 小川の土手に茂るススキの葉の先端近くがあちこちできれいな3稜形の袋に折りたたまれていました。ヤマトコマチグモの子育て用の巣です。写真を撮ろうと近寄ると、その草むらの中にびっくりするほど鮮やかな赤い花が咲いていました。アメリカノウゼンカズラ(Trampet Creeper : Campsis radicans)でした。どなたかが植え込んだのでしょうか。
 ロッキー山地やアリゾナ州・ネバダ州などの厳しい環境をのぞいて、ほぼアメリカ全域に分布するノウゼンカズラ科の蔓植物です。
 原産地ではハチドリが主なポリネーターなので、この美しい小鳥に立ち寄ってもらいたくて庭園に植えるという人が多いそうです。
 私は未だ見たことがないのですが、中国原産のノウゼンカズラとの交配種(C. langliabuana)があってマダム・ガーレンと呼ばれています。
『野の花便り~初夏』サンゴジュを追加しました。


66) タイサンボク Magnolia grandiflora           2009.06.28
 今にも降ってきそうな曇り空を背景に濃い緑の葉陰に白蓮を思わせる大きな花が咲いています。
 タイサンボクMagnolia grandiflora)です。その古木の下に立つと、甘い香りに包まれます。

 むすぼれし心もとけつおほどかに
      たいさん木のにほふ夕ぐれ  佐佐木信綱

 北米東部のノースカロライナからフロリダにかけてとテキサス、アーカンサスに自生する高木で、18世紀の初頭にヨーロッパへ移入され各地で栽培されています。日本に渡来したのは明治6年だということです。
 大きくて厚い葉はよく茂り、真夏の日差しを遮って心地よい木陰をつくってくれます。とはいえ、剪定をしないで放置すると素人庭師には手に負えない存在になってしまいます。


67) ロイヤル・キャンドル
    Royal Candles (Veronica spicata L X V. longifolia L)  2010・06・05

 数年前に小さなポット苗を買って、4号鉢に移してその年の花を楽しんだまま放置してしまったため気息奄々となっていたロイヤル・キャンドル(Royal Candles)を、昨年秋に花壇に下ろしておいたところ、今年はみごとなディーププルーの花穂を立ててくれました。

 ヨーロッパ全域に分布しているSpiked speedwell (Veronica spicata L)と日本にはありませんがユーラシアの温帯に広く分布しているBeach speedwell (V. longifolia L.)とを英国の園芸家が交配して作出したものだそうです。

野の花便り~静岡県民の森の5月の花」をUPしました。
 今年は雪解けが遅かったそうで、まだ春が始まったばかりでした。


68)  ウケザキオオヤマレンゲ Magnolia X wieseneri Carr.     2010.06.08
 服部緑地の都市緑化植物園で花の盛りの馥郁と香るウケザキオオヤマレンゲ(受咲大山蓮華:Magnolia X wieseneri Carr.)に出合えました。
 外来種ではないのですが、日本の庶民に近しいものとなる前に、外国でその美しさが有名になった植物です。Gardiner, J.(2000)によると、この花木は1889年のパリ万国博覧会に出品され、ヨーロッパの園芸家の目を見張らせました。さっそくキューガーデンが入手し1891年にJ. HookerがMagnolia watsoniiと命名しました。しかし、その一年前すでにフランスの Élie-Abel CarrièreがM. wieseneri Carr.として命名していたので、現在はこちらの学名が使われています。
 その後の研究で、これは江戸時代かそれ以前から栽培されていて、ホウノキとオオヤマレンゲとの交雑によって生まれたものと考えられるようになりました。

「初夏を彩る花々」ヒナゲシを追加しました。


69) ツキヌキサイコ  Bupleurum rotundifolium L         2010.06.09
 年毎に少し変った花が植栽されている宮前坂の花壇で、今年はツキヌキサイコ(Thorow-wax: Bupleurum rotundifolium L.)を見せてもらいました。
 セリ科の一年草で、原産地は地中海域東部だそうですが、ヨーロッパ全域と北米のフロリダなど南東部にも帰化しています。イギリスでは、かつては広範囲で見られたそうですが、除草剤などの影響で1970年代にはいると絶滅したそうです。英語圏ではノウサギノミミ(Hare's Ear) という名のほうが通りがよいそうです。帰化植物図鑑を見ると日本でも関東南部や岡山で野生化しているものが見つかっているとのことでした。

「初夏を彩る花々」ケシを追加しました。


70) イロマツヨイグサ Clarkia amoena (Lehm.) Nelson et Macbr.  2010.06.12
 母が存命中に大変お世話になったOIさんの17回忌に招かれ、久方ぶりにお訪ねした和田の宅の庭にイロマツヨイClarkia amoena (Lehm.) Nelson et Macbr.)が咲いていました。

 カリフォルニア州を中心にした北米西海岸が原産地のアカバナ科の一年草で、園芸家の間は今でも昔ながらのゴデチアの名で呼ばれているようです。
 Clarkiaという属名は1806年にロッキー山地を探査したキャプテン・W.クラークさんに因んだものだそうです。ゴデチアの方は直立性や多毛性を指摘したスイスの植物学者G.H.Godetさんへの献名です。
 日本へ入ったのは昭和の初期だそうですが、私の記憶では東京オリンピックの頃からよく目にするようになった気がします。当時はサテンの生地のような光沢が花びらにあることから、サテンフラワーと呼ぶ人もいました。


71) フェイジョア Feijoa sellowiana O. Berg.           2010.06.14
 4年ほど前に定植した50cm足らずのフェイジョアFeijoa sellowiana O. Berg. = Acca sellowiana (O.Berg.) Burret)の苗が育って、今年初めて花を見ることができました。
 アルゼンチン北部、パラグアイ、ウルグアイ、ブラジル南部が原産地のフトモモ科の常緑低木です。
花がグアバと似ていて果肉にパイナップルの香があるのでパイナップルグアバとも呼ばれています。果樹としての栽培は原産地よりカリフォルニアやニュージーランドが盛んだそうです。葉も花も美しく耐寒性もあるので日本ではあちこちで観賞用に植えられています。
 自家和合性の品種と不和合性の品種があるそうで、我が家のもが前者だと嬉しいのですが、さて、実がとまるか否か楽しみです。


72) ニコチアナ・サンデラエ
      Nicotiana X sanderae Hort. Sander ex Will. Watson    2010.06.17
 一昨日入梅したというのに、昨日今日とまるで早くも明けてしまったような青空と陽の光です。
 今朝も早朝から汗ばむほどでした。
あの宮前坂の花壇はヒナゲシも消えて大分様変わりしていましたが、ニコチアナ・サンデラエNicotiana X sanderae Hort. Sander ex Will. Watson)がにぎやかに咲いていました。
 主に南アメリカに一部は南太平洋諸島とオーストラリア分布するタバコ属の園芸品種で、南アメリカ原産のN. alata Link et Otto と N. forgetiana Holt. Sander ex Hemsl. との交配の産物だそうです。
 陽が落ちてから花が開き、よい香を漂わせます。


73) アケボノフウロ  Geranium sanguineum L.          2010.06.24
 梅雨晴れの一日、例の宮前坂の花壇をのぞいてみると、純白のフウロソウが咲いていました。
アケボノフウロGeranium sanguineum L.)でした。

 ヨーロッパ全域に渡って分布していて、乾燥した石灰岩質土壌を好むというフウロソウ属の多年草です。
 野生種は種小名の sanguineum や、英語名の Bloody Cranesbill が示すように赤花です。
 Bloody は花色に因み Cranesbill は尖った細い実の形をツルの嘴と見立てたのでしょう。

 稀に薄い桃色や白花の個体が見られ、これが園芸品種として選抜栽培され、日本でもシロバナアケボノフウロソウの名で市販されています。


74) フダンソウ Beta vulgaris L. var. cicla L          2010.06.27
 打上の丘から南に降りる坂道の途中にある菜園ではしばしば見慣れない野菜が栽培されていますが、今朝は真っ赤な茎が美しいフダンソウ(Beta vulgaris L. var. cicla L.) に小さな花が咲いていました。

 古代に東部地地中海域で葉を食用するために栽培され始めたと考えられるアカザ科の植物です。日本へは中国経由で江戸時代中期に渡来したようです。頻繁に葉を欠きとってもすぐに新しい葉が伸びてくるのでフダンソウ(不断草)の名がついたそうです。
 サトウダイコン(=テンサイ)も同じ種ですが、こちらは糖分を多量に含む肥大した根を利用するために選抜された変種で、18世紀半ばから栽培されていいます。
 栽培品種群のもとになったと思われる B. maritima (sea beet) はオランダの新石器時代の遺跡やエジプトのテーベのサッカラ・ピラミッドなどからも見つかっています。


75) ムラサキツユクサ Tradescantia ohiensis Rafin.    2011.06.04

 今日は梅雨の晴れ間で、気持ちのよい朝でした。
菊川の堤防下の畑の片隅にムラサキツユクサTradescantia ohiensis Rafin.)が咲いていました。
 北米原産で明治10年ごろ渡来したといわれている多年草です。今でも使っているか知りませんが、私が高校生の時代には、丸い細胞が一列に連なったオシベに生えている毛で、原形質流動なるものを観察させられたものです。
 そしてあちこちに原発が作られ始めたころ、この草が放射能に敏感で、放射線を浴びた毛や花弁の細胞が赤く変色すると一部の研究者が主張して、原発から漏れ出す放射線をモニターするのに使われたことがありました。ただし、この変色は空気中の化学物質などでも起こりますので、信頼できる測定器というわけにはいきません。


76) ヒナキキョウソウ Triodanis biflora (Ruiz et Pav.) Greene    2011.06.07
 所用があって出かけた市役所の、植樹されたケヤキの根元に、数10本ものヒナキキョウソウTriodanis biflora (Ruiz et Pav.) Greene) が群がっていました。
 北アメリカ原産のキキョウ科の乾燥に強い一年草で、日本では昭和の初期に関東地方で帰化したといわれています。
 同じ属で、明治時代に観賞用に栽培されたキキョウソウ(T. perfoliata (L ) Nieuwl.) がダンダンキキョウの別名もあるように直立する茎に沿ってたくさんの花を咲かせるのと違って、こちらは茎の頂端部に1-2個の花を咲かせるだけです。その下の花はすべて閉鎖花です。
 在来種のヒナギキョウは花は似ているものの別属ですが、名前がそっくりなので時々混同されているようです。


77) タカサキレンゲ  Echeveria pumila Schltdl.     2011.06.14

 遠州灘に注ぐ弁才天川支流の下紙川源流域の山崎村落を里山を歩く会の皆さんと歩きました。
 その静かな村落の大きな茶農家の石垣に、あふれこぼれるほどに殖え広がって、タカサキレンゲ(高咲蓮華:Echeveria pumila Schltdl.) オレンジ色のベル型の花を咲かせていました。
 メキシコ原産のベンケイソウ科の多肉植物で、古くから観賞用に栽培され、多くの園芸品種が知られています。
 南向きの陽のよく当たる石垣のような場所に植えれば、この画像のようにどんどん増えるそうです。

「野の花便り~初夏」に オオバヤシャブシ を追加しました。


78) ニオイアラセイトウ Erysimum cheiri (L,) Crantz    2011.06.18

 トラブル続きでやっと昨夜稼動始めたばかりの汚染水浄化装置がわづか5時間足らずで停止してしまったそうですね。溜まり続ける放射性物質を多量に含んだ水の行方が心配です。
霧雨の中を歩いた宮前阪の花壇でニオイアラセイトウErysimum cheiri (L,) Crantz)の濃黄色の花が咲いていました。
 ギリシャ南部からエーゲ海域が原産といわれ、現在は南ヨーロッパに広く帰化しているアブラナ科エゾスズシロ属の植物です。
よい香と花姿から世界各地で園芸植物として植栽されています。
 キバナアラセイトウE. capitatum Greene)という紛らわしい和名の園芸植物もありますが、こちらは北米原産です。


79) アプティロン・ミレリ Abutilon milleri Hort.     2011.06.23

 19日の日曜日、久しぶりに雨が止んで日が差し始めたので、ミシマバイカモの花を見に出かけました。
 清涼な湧水が勢いよく流れる源兵衛川の中の遊歩道を辿って“梅花藻の里”へ向かう途中、岸辺の石垣に垂れ下がって咲いているアブティロン・ミレリAbutilon milleri Hort.) に出合えました。
 一見したところブラジル南部原産のウキツリボク(A. megapotanicum St.Hil. et Naud.) の変わりものかとおもったのですが、調べたところウキツリボクと同じブラジル南部原産のショウジョウカ(A. pictum Walp.) との交配で作出された園芸品種でした。ビクトリア朝の人々の人気の的だったそうです。
「野の花便り~初夏」 ヒメジョオン を追加しました。


80) シュッコンバーベナ Verbena rigida Spreng   2011.06.28

 九州地方は早くも梅雨明だそうですが、遠州でも明日あたりには同じことになりそうな気配です。
いつもの散歩道ではノカンゾウが花の盛りを迎え、ヤマホタルブクロは茶色になって萎んできました。
川沿いの歩道の路肩ではシュッコンバーベナVerbena rigida Spreng.)がにぎやかに咲いています。
 南アメリカが原産のクマツヅラ科の宿根草で、日本へは明治時代に観賞用に移入されたものだそうですが、昨今は帰化してあちこちの路傍で目にすることができます。研究者によってはヤナギハナガサ(V. bonariensis L.)の変種(var. rigida (Spreng.) Kuntze)とします。 ヨーロッパ人が新大陸に進出して以来、この植物も世界中に運ばれ、今ではほとんどの国で雑草化しています。畑地では厄介者ですが、土手の崩落を防ぐ目的で植栽することもあるそうです。
「野の花便り~初夏」バイカモ を追加しました。



81) コバノズイナ Itea virginica L.                2012.06.07
 書店の入口近くに飾られた大鉢の植木に、真っ白な花穂がいくつも下がっていました。コバノズイナItea virginica L.)でした。
 北米東部から中南部にかけて分布しているズイナ科の1種で、研究者によってはスグリ科に分類しています。分子データによる分類がされる前はユキノシタ科に入っていました。
 この科には15種が知られていますが、コバノズイナ以外はすべてアジア産です。日本には近畿地方以西にズイナが、奄美王島以南にヒイラギズイナが分布しています。
 コバノズイナは明治時代に観賞用に導入されたものだそうです。
「野の花便り~初夏」セキショウを追加しました。


82) ブルーポピー  Meconopsis grandis Prain          2012.06.14

 昔、ヒマラヤも雲南も、私にとっては遠い憧れの地だったころ、NHK-TVの海外特集で放映された、霧の舞うアンナプルナの麓の谷に咲く、神秘的な青いケシに魅了されたものですが、そのブルーポピーMeconopsis grandis Prain)も今や日本のフラワーショップでも容易に手に入るようになりました。先日訪れた箱根の湿生花園でも花の盛りでした。
 西ネパールからミャンマーや雲南地方の3000~4500mの高地が原産地です。ネパールでは一般にチルダールと呼んでいますが、シェルパの人たちはシナッパ(shinnakpa) と呼び、種子を炒ったり酢漬けにして食べるそうです。
「野の花便り~初夏」コアジサイを追加しました。


83) アミメヘイシソウ Sarracenia leucophylla Raf.         2012.06.16
 湿生花園に入って間もなくの右手の草の茂みに、真赤な、そしていささか場違いな感じの花が、逆J字形の茎の先で下向きに咲いていました。アミメヘイシソウSarracenia leucophylla Raf.)でした。
 アメリカのジョージア州西部からミシシッピ州にかけてのメキシコ湾岸域の湿地帯が原産地のよく知られた食虫植物です。
以前はウツボカズラ、ハエトリソウ、モウセンゴケなどの食虫植物と同じ仲間と考えられていましたが、DNA塩基配列の比較から現在はサクラソウやツツジなどに近縁だとされています。
 アミメヘイシソウという和名は何のことかというと網目模様のある“瓶子草”つまり“水差し形”の葉に因んだものですが、アミメミズサシソウとでも呼び換えたい気分ですね。実際は保水器官ではなく食虫器官ですが・・・・。
「野の花便り~初夏」チチコグサを追加しました。


84) カッコウセンノウ Lychnis flos-cuculi L.           2012.06.22
 湿生花園にはカッコウセンノウLychnis flos-cuculi L.)も咲いていました。
 我が家の庭先のカワラナデシコは台風4号の風雨にもまれて無残な姿になってしまいましたが、箱根の花園もダメージを受けたのでしょうか。
 ヨーロッパから西アジアの温帯の湿地草原や道端や牧場に分布しています。かつてはごくありふれた野草でしたが、都市化や気候の変化などで適した生育地が少なくなり、絶滅が危惧されるほどだそうです。ところがアメリカ東北部では帰化したものが分布を広げているといいます。 和名は学名の直訳ですが、英国ではRagged-Robinと呼びます。“ぼろぼろのロビン”ということですが、このロビンはコマドリのことでしょうか?フォークロアーでは恋占いに使われたりしています。
『野の花便り~初夏』オオバイボタを追加しました。


85) オオセンナリ  Nicandra physaloides (L.) Gaerten   2012.06.28

 硬い枝先にネモフィラのそれによく似た花が咲いている、“黒ほうずき”というラベルのついた花苗を家人が見つけてきました。
以前に雲南地方を旅したとき、あちこちの人里で目にしたことのあるオオセンナリNicandra physaloides (L.) Gaerten)でした。
 ペルーからチリにわたる地域が原産の1属1種のナス科の一年草ですが、日本に渡来したのは江戸時代末期のようで、飯沼慾斎が安政3年(1856)に著した『草木図説』のオホセンナリの項に「今年初テ栽、未詳産地、全形センナリホホズキニ似テ大、・・・・・」とあります。当時としては珍品だったのでしょうね。
 若いころ読んだDarlington,C.D.(1973)の『染色体植物学と栽培植物の起源』のなかに2n=20の種子はすぐに発芽するが2n=19の種子は長い間休眠状態を維持でき、環境の悪化に対して種の存続を保障していると紹介されていたことを思い出しました。
『野の花便り~初夏』ナンテンを追加しました。


86) トリトマ  Kniphofia uvaria (L.) Oken         2013.06.03
 田植えがほとんどすんだ水田の横を流れる大井川用水路のほとりに、場違いに派手な花が炎のように咲いていました。
 トリトマKniphofia uvaria (L.) Oken)でした。

 南アフリカのケープ半島東部からナマクワランドが原産地のススキノキ科(Xanthorrhoeaceae)の多年草で、外観はずいぶん違いますが遺伝子レベルではキスゲなどのワスレグサ属(Hemerocallis)に近縁だそうです。

 花穂の姿からシャグマユリ(赤熊百合)というクラッシックな和名がありますが、トリトマ(Tritoma Ker-Gawl.)という昔使われていた属名の方が通りがよいようですね。

 1707年にはヨーロッパに導入されていて、いまでは世界中で園芸植物として栽培されています。
繁殖力が強いのでオーストラリアなどでは野生化しているそうです。

「野の花便り~初夏」ユキノシタを追加しました。


87) ナガバオモダカ Sagittaria graminea Michx.        2013.06.25
 目新しい花に出合う機会もなく、いつの間にか時が流れてしまいました。
 やっと、3週間ぶりのブログUPです。
 雨の中を出掛けた新規開店のホームセンターでナガバオモダカSagittaria graminea Michx.)を買いました。
 北米東部から中南部が原産だが、水槽用の鑑賞水草として世界中に広まっていて、各地で逸出帰化しています。日本では1970年代に野生化したものが京都で見つかり、今では東京都内でも目にすることがあるそうです。
 アメリカの野草図鑑を見ると花序の下部に雌花、上部に雄花が咲くことになっていますので、この画像の雌花の次に咲く雄花を楽しみにしていたのですが、最上部のものも雌花でした。環境のせいでしょうか?それとも、雌雄異株の個体もあるのでしょうか?
HPに「皐月の箱根湿生花園」をUPしました


88) ウチワゼニクサ
  Hydrocotyle verticillata Thunb. var. triradiata (R.Rich.) Fernald 
2013.06.30
 今日は梅雨の晴れ間で、久しぶりに庭の草取りができました。
 茂るに任せていた雑草を引いていると、昨年買ったままで忘れていたウチワゼニクサHydrocotyle verticillata Thunb. var. triradiata (R.Rich.) Fernald)の小鉢が出てきました。米粒ほどもない小さな花を咲かせていました。
 北アメリカの南部からカリブ海域・中南米が原産地のウコギ科の多年草で、水湿地に生えます。
 観賞用植物として栽培され、日本でも1980年代末には野生化したものが報告されているそうです。
 この逸出帰化したウチワゼニゴケ(別名タテバチドメグサ)の学名についてはヨーロッパ原産のH. vulgaris L.とする帰化植物図鑑もあります。私のところにあるものは花茎が長く伸びるので、アメリカ原産種のようです。葉の形態では区別できませんでした。
『野の花便り~初夏』ウワミズザクラー2を追加しました。


89) ホワイトレース・フラワー  Ammi majus L    2014・06・02
 ニンジンやパセリなどの花によく似ていますが、それよりもずっと繊細な感じのするホワイトレースフラワーAmmi majus L.)の純白の花が咲きました。
 ナイル川流域が原産地といわれている一年草ないしは越年草で、地中海域に分布しています。属名のAmmiは“砂の”や“砂漠の”というギリシャ語“ammo”が語源だそうです。日本ではドクニゼリモドキ属と呼んでいます。
 種子が香辛料になるため、中世にはヨーロッパ全域で栽培されるようになったとのことです。
 また、種子の煎じ汁には利尿や収斂などの薬効がありますが、性交後に飲めば受精卵の子宮への着床を妨げると信じられていたそうです。根に含まれる8-メトキシプシラレンはUV感受性を高める作用があるため皮膚炎の原因になるという説もあります。
『野の花便り~初夏』オオバウマノスズクサを追加しました。


90) 白花のユウゲショウ Oenothera rosea L' Her. ex Ait   2014・06・17
 昨年の今ごろにコンクリート側壁の細いひび割れにユウゲショウOenothera rosea L' Her. ex Ait.)の白花個体を見つけましたが、今年もその近くの道端で白花のユウゲショウが咲いていました。

 多年草なので、昨年咲いていた個体も壁の高みに残っていましたが、今年見た個体は多分種子で増えたものでしょう。

 ユウゲショウの白い花の遺伝様式も受粉特性も知りませんが、一般に白花は劣勢といわれていますので、ここでは自家受粉によって繁殖している可能性が高いのではないでしょうか。

 赤花のふつうにみるユウゲショウについてはこちらにUPしています。
『野の花便り~初夏』ハコネウツギを追加しました。


91) サルビア・グアラニチカ Salvia guaranitica Saint-Hilaire ex. Bentham 2014・06・22
 局所的な激しい雨に襲われた地域も少なくないとのことですが、遠州としては久しぶりの青時雨に潤った庭に、しっとりとした風に遊ばれて濃青色長い花穂が揺れています。
 アニス・センテッド・セージ(anise-scented sage) とも呼ばれるサルビア・グアラニチカSalvia guaranitica Saint-Hilaire ex. Bentham) です。
 南アメリカのブラジル南部・ウルグアイ・パラグアイ・アルゼンティンが原産地で、1833年に記載されて以来、その美しい青い花と適応力の強さから広く各地の庭園で栽培されてきました。
家の庭でも地下茎で盛んに繁殖しています。
『野の花便り~初夏』イヌドクサを追加しました。


92) クリスマスブッシュー3  Ceratopetalum gummiferum Sm    2014・06・25
今年もクリスマスブッシュCeratopetalum gummiferum Sm)がにぎやかに咲いてくれました。
知らなければ別の木の花かと思うほどですね。
そのビフォー&アフターです。

一枚目の画像は5月27日、2枚目は6月21日、3枚目は6月11日で変身中です。

このページのトップへ    「庭の花便り」の目次へ