February

庭の花便り Garden Flora Reports

〜 2月の花  Flowers in February 〜


 索引  アカミタンポポ  アカバセンニチコウ  アマゾンリリー  アラセイトウ  イワハナビ 
 インコインパティエンス ウインターファイアー エウパトリウム エリカ・ダーリーエンシス
 エンジェルトランペット オウバイ オオオニバス オオシロゴウガン オステオスペルムム
 オレンジバード オレンジ・スパイス カゲツ カンヒザクラ キダチロカイ キュウエンシス・サクラソウ
 キンセンカ ギンヨウアカシア  クリスマス・パレード  クリスマス・プライド コーヒーノキ
 ゴールデン・クラッカー コスタリカタツナミソウ シザンサス シナマンサク シャウエリア・カリコトリカ
 シュガースティック・ソールル シャクナゲモドキ シロハイギリ スノードロップ セイヨウオダマキ
 セイヨウヒイラギ(→ヒイラギモチ) チロリアンデイジー トキワシノブ ドルステニア・エラータ
 ニオイセンネンボク ノースポール ノランティア バイオレットクレス ハーデンベルギア
 ハーデンベルギアー2 バコパ ハゴロモノマツ 恥らう椿 バナナ バポニア ペリカリス
 バライロモクセンナ パラモンガイア カンヒザクラ ビジョナデシコ? ヒナギク  ヒナギクー2
 ヒナソウ フユシラズ プリムラ・オブコニカ プリムラ・シネンシス ブルーカーペット ベニデューム
 ベニバナアラセイトウ ベニバナプルメリア ベニバナマンサク ブルーハイビスカス マゼランスグリ
 ミニバラ リナリア  リップスティックプラント     


1) プリムラ・オブコニカ  Primula obconica             2005.02.01
 今朝はこの冬一番の冷たさでしたが、陽を浴びて輝いている花たちを見ると、寒さもひととき忘れられます。
 今日もプリムラさんの登場です。名前はオブコニカです。

 このプリムラも故郷は中国で、湖北、四川、雲南、貴州などの各省とチベット南部に自生しています。
 中国での呼び名は鄂報春。鄂は湖北省の略称で、報春はプリムラの総称です。
 英語圏では葉に触るとかぶれるのでポイズンプリムラと呼びます。
 写真は、そのかぶれ物質がない品種だそうで、タッチミー(私に触れて!)という名だそうです。


2) シュガースティック・ソールル  Oxalis versicolor        2005.02.03

 S銀行さんのカウンターに飾られている小さな鉢の中で咲いていたシュガースティック・ソールルです。
 キャンディ・ケーン・オキザリスとも呼ばれます。

 南アメリカのケープタウンの北側のオリファントリバー渓谷付近からインド洋を望むアグラス岬にかけて自生するカタバミ属の1種、オキザリス・ベルシコロールです。
 現地では丘陵地で5月から11月まで咲いています。


3) コスタリカタツナミソウ  Scutellaria costaricana        2006.02.02

 相変わらず温室の花ですが、これはフランクフルトのパルメンガルテンの大きな温室に咲いていたスクテラリア・コスタリカナScutellaria costaricana)です。
 和名を付けるとすればコスタリカタツナミソウといったところでしょうか。

 種小名が示すようにコスタリカ原産のシソ科タツナミソウ属の植物です。19世紀の中頃にヨーロッパに持ち込まれたそうです。
 ラベルにはドイツ名のHelmkrautと英名のSkullcapとが並べてありました。花の形をヘルメットに見立てたのでしょう。

 「野の花便り〜早春」にフユイチゴコンテリクラマゴケを、「異国に咲く花」7)ヨーロッパの森の神 を追加しました。


4) アマゾンリリー  Eucharis X grandiflora        2006.02.06
画像

 あちこちの温室で甘い香りを放ってアマゾンリリーEucharis X grandiflora)が咲き始めています。
ベツレヘム・リリー、ユーカリスト・リリー、スター・オブ・ベツレヘム、ギボウシズイセンなどとも呼ばれます。

 この仲間はグアテマラからボリビアとアマゾン西部に分布するヒガンバナ科の球根植物です。
アマゾン・リリーはコロンビアで採集されたものが1854年にヨーロッパへ導入されたそうです。不稔性でE. sanderi, E. amazonica, E. moorei などの間に生まれた自然雑種と考えられています。

「野の花便り〜早春」に ウメ を追加しました。


5) ヒナギク  Bellis perennis                     2005.02.06
画像 街角の花園にヒナギクが咲いています。
 雛菊という可愛い名前を思いついた日本人は誰だったのでしょうか。

 ヨーロッパの野に咲く、白い花びらの先をほんのりとピンクに染めた、あの小さな野の菊が原種だそうです。英国では昔はDay's Eye(お日様)と呼んでいて、いまではデージーです。

 切り傷や内出血などの止血に使われる薬草だそうです


6) ノースポール  Leucanthemum paludosum           2005.02.07
画像  公園などの花壇の縁取りとしてよく目にするのがこの花ですね。

 ノースポールと呼ばれるので北欧の極地近くに咲くものと勘違いされがちですが、地中海域が故郷だそうです。
 野生のものには黄色の花びらのものもあります。

 昔はキク属に入れていましたが、最近は葉に毛がないことやキクのような香りがないことなどからレウカンテムム属に分類しています。

 日本では昭和40年代から盛んに栽培されるようになったそうです。


7) リナリア  Linaria Hybrid Cultivars              2005.02.08
画像  街角の花園の一角に色とりどりのリナリアが咲いています。
まるで、寄り添って楽しそうにおしゃべりしているようですね。

 みんな日本に住むウンラン(海蘭)さんの親戚で、約100種の内の70%ほどが地中海沿岸に住み、残りがアジアとアメリカにいるそうです。
 私の庭にも帰化しているマツバウンランさんは北アメリカからやってきたそうです。
 あちらでは痔に効く薬草として活躍しているといっていました。


8) クリスマス・パレード  Erica X hiemalis             2006.02.06
画像  立春は過ぎましたが、相変わらずの寒さですね。でも、太陽の位置が少し高くなって、光の春を感じさせてくれます。
 その陽を浴びてクリスマス・パレードとラベルされた Erica X hiemalis が咲いています。

 French Heather の名もありますが、起源のよくわからない雑種のようです。一説には英国のMilton Hutchins さんが1980年い作出したものにDavid and Anne Small さんたちが1997年に名前をつけたということです。

異国に咲く花』 に 8)西双版納(シーサンパンナ)で出会った花々 を追加しました。


9) キダチロカイ  Aloe arborescens                  2005.02.09
画像
 同級生が経営する割烹料理店の白壁の裾が満開のキダチロカイで赤く染まっていました。
 赤い円錐の花穂の周りに、すばやく動き回る小鳥が数羽舞っていました。
 メジロでした。

 原産地の南アフリカではよく似た動きをするサンバードが吸蜜にきていました。
 キダチロカイの通称はアロエですが、この仲間はアフリカゾウの好物だそうです。
 ですから、アロエが茂っているのを見れば、近くには象がいないことがわかるのだそうです


10) セイヨウオダマキ  Aquilegia Hybrid Cultivar, 'Crimson Star'   2005.02.10
画像  ちょっと早すぎる春風に誘われてフレームからお出ましのセイヨウオダマキです。
 日本の苧環に比べると質量感もあり一段とあでやかですね。
 距(いわゆる爪)が長く、上向きに咲くのが特徴のクリムズン・スターという品種だそうです。

 属名のアクイレギアは距の形を鷹の爪に見立てたものです。
 英語名のカラムバインはイタリア喜劇の女性道化師コロンビーナに因むのかと思っていたら、ラテン語の鳩のことだそうです。
 花を横から見るとたくさんの鳩が首を伸ばして向き合っているように見えるからです。


11) ビジョナデシコ?  Dianthus barbatus "Belfi Pink" ?      2005.02.11
画像  ナデシコの仲間といえば昔は夏の花だったように思いますが、最近は時知らずの品種が多くなったようですね。
 フラワーショップには色とりどり姿さまざまなナデシコの仲間がおでましです。

 写真は多分ビジョナデシコ(アメリカナデシコ・ヒゲナデシコ)の一品種、サカタ育成のベルフィーかと。
南ヨーロッパ分布する原種は初夏の頃から咲き始めます。


12) パボニア  Pavonia X gledhillii                    2005.02.12
画像


 花友達の温室の中で咲いていた異国情緒たっぷりの花、パヴォニアです。

 ハイビスカスと同じアオイ科のヤノネボンテンカ属の1種です。
 ブラジル原産のパヴォニア・マコヤナとパヴォニア・ムルティフロラの雑種です。

 園芸家は Pavonia intermedia と呼んでいますが、学名はP. X gledhillii だそうです。


13) バイオレットクレス  Ionopsidium acaule             2006.02.12
画像

 だいぶん春めいて来ましたが、有名な(?)遠州の空っ風に飛ばされそうになる日々です。
フラワーショップの棚も少しずつ賑わってきて、今日は可愛いバイオレットクレスIonopsidium acaule)に出合えました。

 
ポルトガルが原産地のアブラナ科の一年草です。温かになって花の盛りになればよい香がこぼれます。
Ionopsidiumという属名は「スミレに似たもの」という意味ですが、葉の形はほんとうにスミレのようですね。地中海地域に5種ほどが知られているそうです。


 アラカルトの中に「梅の話」を追加しました。


14) 恥らう椿  Camellia japonica Cultivar          2005.02.13
画像

 行きつけのクリーニング屋さんが可愛がっている椿です。
 ほんのりと白い肌が薄紅に染まって小柄な椿です。
侘助の一種でしょうか?それとも数奇屋?

 侘助の子房には毛があるそうなので、覗いて見たいきもしたのですが・・・・
 はしたないので思いとどまりました。


15) エリカ・ダーリーエンシス  Erica x darleyensis        2006.02.16
画像  5月のような陽気の一日で、寒いのが大好きだというエリカ・ダーリーエンシス(Darley Dale Heath : Erica x darleyensis)が元気をなくしていました。

 北西イタリアからバルカン地方にかけてのアルプスが原産地のアルパインヒースE. carnea)とアイルランドから南西フランス、スペイン、ポルトガルと北西アフリカのタンジール辺りが原産地だというアイリッシュヘザーE. erigena)との交配によって生まれた園芸品種でいろいろなタイプがあります。

 「野の花便り〜早春」に ナズナ を追加しました。


16) バコパ  Sutera cordata cv. Snow Storm         2005.02.15
画像  Nさん宅の洒落た木製のフェンスに懸かるバスケットの中で咲いていたステラです。
 南アフリカが原産地のゴマノハグサ科の植物です。スノウストームという品種だそうです。

 フラワーショップではバコパと呼ばれることが多いようです。
 昔はバコパの属名で一纏めにされていたものが、研究の結果、新大陸に分布する、湖や沼に生えるグループがバコパ属(約50種)に、マクロネシアからアフリカに原産するグループがステラ属(約130種)に分けられました。

 ジンバブエのステラ・フォディナは多量のニッケルとクロム化合物を含むことで有名です。


17) ハーデンベルギア  Hardenbergia violacea         2005.02.18
画像  今日は立春から15日目、雨水ですね。
 本格的な春への一里塚というところでしょうか。
 目隠しのトゥレリスに這い登らせたハーデンベルギアが咲き始めました。

 オーストラリアに固有で3種が知られています。
その一つ、すみれ色のハーデンベルギア・ヴィオラケアです。


18) スノードロップ  Galanthus nivalis            2005.02.20
画像  のらペンギンさんのところには「白い天使」が舞い降りましたが、我が家の庭ではスノードロップが輝いています。
 「雪の雫」とはおかしな名前だなと思っていたところ、花の形が16世紀頃の女性が愛用した耳飾に似ていることに由来する名で「雪の耳飾」が正しいそうです。

 地中海東部からコーカサス地方が原産地だとされています。
 聖母マリアが乳飲み子のイエスを始めてエルサレムの神殿へ連れて行った日にいっせいに咲き出した花だという伝説があります。
 聖燭節には欠かせない花だそうですね。


19) オレンジジバード  Ruttya fruticosa                2007.02.28
 バナナワニ園で奇妙な姿をした花に出会いました。
 見る方向によっていろいろなものを連想する花で、ハミングバード・フラワーラッビト・イアーオレンジバードなどの名がついています。

 東アフリカが原産地のキツネノマゴ科の低木のRuttya fruticosa です。
 ケニアではごく普通に見られるそうで、エチオピアやソマリアでも記録されています。
横から見ると羽ばたく小鳥を、正面からは耳をピンと立てた兎のようにも見えます。

 この写真はなんとなく”火の鳥”を連想させませんか?


20) シャクナゲモドキ  Rhodoleia championii             2007.02.27
 MOA美術館の紅白梅図を鑑賞するという家人にお供したついでに、毎年この季節になるとTVの花便りで紹介されるので是非一度はと願っていた花に会いに行ってきました。
 熱川バナナワニ園に植栽されているマンサク科のシャクナゲモドキRhodoleia championii) です。
 中国南部からインドネシアにわたって分布している常緑の花木で6mほどの高さに育ちます。
 厚い光沢のある葉がシャクナゲノ葉に似ているために付いた名ですが、花は異質です。花びらのように見えるのは総苞片でその中心にたくさんのオシベがあります。
 このシャクナゲモドキは、かつて南伊豆町にあった県立有用植物園に、初代園長の竹下康雄さんが香港から導入して植栽していた株の子孫で1992年からバナナワニ園で栽培しているものだそうです。



21) ハゴロモノマツ  Grevillea rosemarinifolia X G. juniperina  2007.02.02
 ハゴロモノマツ(羽衣の松)という和名のついているグレビレアGrevillea)のポット苗を買いました。
 黄緑色の細い葉は柔らかそうに見えましたが、触ってみると硬くて鋭い松葉の触感でした。

 図鑑で調べると、どうやらオーストラリア南部に分布するG. rosemarinifoliaG. juniperinaとの雑種の ’Scarlet Sprite' という園芸品種のようです。雑種間でも容易に交配ができるのでさまざまなタイプのものがあって、個体に名がついているような印象を受けました。

HPに「今月の花 2006」をUPしました。PDFファイルです。


22) ベニデューム  Venidium fastuosum                2007.02.06

 温かそうな軟毛をまとった花茎の先端に、黒目のようにも見える頭状花の塊とそれを取り巻く、基部にチョコレート色の斑点をつけたオレンジ色の舌状花のリングが輝いていました。
 ベニデューム・ファスツオースムVenidium fastuosum) でした。
 ナミビアからケープ半島にかけて分布している一年草で、ケープ・デイジーの名もあるようです。ナマクワランドでは Bittergouseblom と呼んでいました。
 和名は混乱しているようで普通はSanvitalia prucumbens にあてるジャノメギクの名を当てたり、カンザキジャノメギクと呼んだりしています。学名の方も最近は Arctotis fastuosa が主流です。
HPの世界の花の南アフリカ編に昨年で休刊になった『プランタ』に連載した「南アフリカ花の旅」のPDFファイルを追加しました。


23) ブルーハイビスカス  Alyogyne huegeli              2007.02.11
 挿し木をして鉢植えで温室に入れておいたブルーハイビスカスAlyogyne huegeli)が咲き始めています。
 一昨年の夏には背丈より高く茂って、たくさんの美しい花を楽しませてくれた親株は、昨年の冬の厳しい寒さに枯死してしまいました。
 それまで3年ほどは露地で冬越ししていましたので油断して霜除けをおこったった結果です。可哀相なことをしました。
 偶然家人が花友だちに分けてあげるために挿し木しておいたものが、温室内で命をつないでくれました。お友だちに差し上げた株も蕾が膨らんできたとのことで、安心しました。
 南オーストラリアから西オーストラリアのロフティ山脈にかけてが故郷だそうです。


24) ハーデンベルギア −2  Hardenbergia violacea        2007.02.22
 2005年2月18日にUPしたハーデンベルギアの記事に、10日ほど前、綾さんからのコメントをいただいたことに今朝気づきました。
 あの大きく育った株は昨年冬の激寒への手当てが遅れて枯らしてしまいました。可哀相なことをしました。

 先日、花屋さんで、この写真のように鮮やかな彩の花を咲かせている挿し木苗のポットを見つけて、思わず買ってしまいました。

 今度は枯らさないように冬越しの方法を工夫するつもりです。      


25) カンヒザクラ  Prunus campanulata               2007.02.23
 鉄路の脇に植栽されているカンヒザクラPrunus campanulata)が咲き始めていました。
 淡い彩の花が多い日本の春にはいささか不似合いなほどの赤さですね。

 中国の長江の南、福建省・広東省・江西チワン自治区などが原産地の桜で種小名のようにベル型に下がる花が特徴です。
 台湾や沖縄にも野生化しています。時代は特定できませんが、九州でも古くから栽培されていたようです。
 ヒマラヤザクラの変種とする研究者もいます。

野の花便り〜早春〜」に ノジスミレ を追加しました。


26) インコインパティエンス  Impatiens auricoma         2008.02.03
 めずらしいインパティエンスに出合えました。
 インパティエンスといえばツリフネソウやホウセンカのように蜜を貯めた長い苣をもった花を思い浮かべるのですが、この花のそれは小さな目立たない突起でした。
 葉や茎を見なければツリフネソウの仲間とは思えないほどです。

 インド洋西部のコモロ諸島とマダガスカル島中央高地に分布するインコインパチエンスImpatiens auricoma)です。
 ジャングル・ゴールド、アフリカン・クイーンなどの園芸品種があるそうです。和名は花の形や色がインコを連想させたからでしょうか。

ブラジルで出逢った花々」をUPしました。


27) オオオニバス  Victoria amazonica                2008.02.08
 今朝の最低気温は−2℃でした。
暖かなところが恋しくなって、またまた花鳥園の温室へ避寒に出かけました。
 暖かな水槽の中ではオオオニバスVictoria amazonica)の開花3日目の花が浮かんでいました。

 1810年にアマゾン川の支流でHaenkeが発見し、その種子を贈られた園芸家のPaxtonが栽培して殖やし、オランダやイギリスの温室へ送り出したものだそうです。
 よく知られているように、属名はビクトリア女王に因んだものです。
 種子はブラジルなどでは食用されています。

野の花便り〜早春」にヤブツバキを追加しました。


28) セイヨウヒイラギ→ ヒイラギモチ) Ilex cornuta X I. pernyi ?  2008.02.11
 我が家の庭では、小鳥たちのご馳走が残り少なくなってきました。
 先ずはコムラサキシキブの小さな実が、そして枝もたわわに鈴なりになっていたセンダンの実もムクドリとヒヨドリとツグミのお腹に収まり、ピラカンサの実も残りわずかです。
 そんななかで、まだほとんど食べられていないのはマンリョウとこの写真のセイヨウヒイラギの実です。

 この株は正確にいえばヨーロッパ原産のコモン・ホーリー(Irex aquifolium)ではなく、リディア・モーリス・ホーリーI. cornuta X I. pernyi)のようですが、中国原産の母種のヒイラギモチI.cornuta)との区別は困難です。日本ではセイヨウヒイラギの名で通っています。

野の花便り〜早春」にツチグリを追加しました。


29) エンジェルトランペット  Brugmansia X candida cv. Culebra   2008.02.12
 しとしとと冷たい早春の雨が降っています。
今日は壊れたエンジェルトランペットBrugmansia X candida cv. Culebra)をご覧ください。

 ナス科のエンジェルトランペット属の野生種は5種ほど知られていていて、すべて南アメリカに分布しています。
 スコポラミンなどのアルカロイドが含まれますが、原住インディオたちは精霊と交信するための幻覚剤として利用したそうです。

 栽培されているエンジェルトランペットはアンデス山系に広く分布する B. aurea とエクアドル産の B. versicolor との交配種です。

 写真のCulbraは筒状になるはずの花筒が裂けて捩れて、まるで壊れたトランペットのようですね。葉も細く、成長は大変遅いそうです、

野の花便り〜早春」にマンリョウを追加しました。



30) カゲツ  Crassula ovata                        2008.02.14
 この冬一番と思える寒い一日でした。
 所用があってお訪ねしたPさんのお宅のリビングに飾られている大鉢のカゲツ(花月: Crassula ovata) が花の盛りでした。

 南アフリカの東ケープ地方からクワズー・ナタールにかけてが原産地のベンケイソウ科の低木です。
 キルステンボッシュ植物園のAllice Nottenさんによると、コイ族をはじめとした原住民はこの植物の根をすりつぶして濃い乳液状にしたものを調理して食べるそうです。癲癇症の薬にされたこともあるといいます。

 フチベニベンケイとも呼びますが最近はカネノナルキという名のほうがとおりがいいようですね。


31) ヒナソウ  Houstonia caerulea                  2008.02.17
 小さなポットに密に茂った細かな丸い葉の間から可愛らしい白い花がのぞいていました。 ラベルを見るとヒナソウ(雛草:Houstonia caerulea)とありました。

 北米原産のアカネ科の多年草で、Bluet とかQuaker Lady と呼ばれています。明治17年ごろ園芸植物として渡来したそうですが、いまでは本州から九州のあちこちで野生状態のものが見られるそうです。
 ヒナソウという和名のほかトキワナズナとも呼ばれますが、こちらは地中海域産のイベリスの和名としても使われています。

野の花便り〜早春」にセイヨウアブラナを追加しました。


32) クリスマス・プライド  Christmas Pride: Ruellia macrantha    2008.02.19
 家人との散歩の途中に立ち寄ったフラワーショップにひときわ目立つピンクの花をつけた大きな花鉢が並んでいました。

 ルエリアというラベルがついていました。買い込んで抱えて帰りました。

 調べてみるとキツネノマゴ科のクリスマス・プライド(Christmas Pride: Ruellia macrantha) でした。

 ブラジルの中央高原地帯に広がっているセラードと呼ばれてい植生帯が原産地だそうです。

野の花便り〜早春」にヨモギを追加しました。



33) プリムラ・シネンシス  Primula sinensis               2008.02.23
 一風変わった、肉厚で裏が小豆色の葉を茂らせた白い花のサクラソウの小鉢を買ってきました。プリムラ・シネンシスPrimula sinensis) とラベルしてありました。
 中国原産で湖北省の西北部、四川省、甘粛省、陜西省に分布していて”蔵報春”と呼ばれています。中国では古くから鑑賞目的で栽培されいくつかの品種が知られていたそうです。
 この白花の品種もその一つで、原種の花色は薄紅です。そのためか、しばしばウンナンサクラソウP. filchnerea) と混同されているようです。
 この2種は遺伝的にはかなり異なるものですが、ごく最近(2006)千葉大学園芸学部の三位先生の研究室ではウンナンサクラソウ(2倍体)を父親、シネンシス(2倍体)を母親にして6倍体の雑種を作ることに成功しています。


34) アカバセンニチコウ  Alternanthera dentata            2008.02.26
 気がつけば、混みあった小さな温室の片隅で、バーガンディーワイン色の葉のアカバセンニチコウ(赤葉千日紅:Alternanthera dentata) が小さな白い花穂をつけていました。
 ちょっと可哀想でしたが冬枯れの寒い庭に持ち出して写真を撮らせてもらいました。

 西インド諸島からブラジルにかけて分布しているヒユ科の多年草です。
 熱帯魚の水槽の中に沈んで茂っているレンキー(A. sessilis) も同属です。寒さには弱いということでしたが、今年の冬は暖冬とふんで一株は花壇に植えたままにしておきました。ところがこの寒さ、一月中旬までは耐えていましたが、完全にかれてしまったようです。ごめんなさい m(__)m


35) オステオスペルムム Osteospermum                    2008.02.28
 美しい紫の蛍光を放っている20本ほどの小さな計量スプーンを等間隔で放射状に並べたような花を咲かせている"サニー・オステオ・ザラ”というラベルのオステオスペルムムOsteospermum)を買ってきました。

 この属には70種ほどが知られていますが、ほとんどがアフリカ南部に分布しています。
 この園芸品種は日本で作出されたもののようですが、エクロニス・オステオ(O. ecklonis)を片親として交配を重ねて生まれたというナシンガ・パープル(Nasinga Purple)という品種にとてもよく似ていると思います。

PDFファイルの「今月の花−2007」をUPしました。


36) パラモンガイア・ウエベルバウエリー Paramongaia weberbaueri   2009.02.04
 TVのニュースで熱川バナナワニ園で播種から12年目のパラモンガイア・ウェベルバウエリーParamongaia weberbaueri)が開花したと知り、研究員のSさんに咲き加減をうかがって観賞にでかけてきました。
 ヒガンバナ科の球根植物で、属名は発見地のペルーのパラモンガに因んだものです。ボリビアのラパスの近くにもよく似たスーペルバ(P.superba) が分布しています。
 現地では丘陵地の険しい崖などに生えていて、夏の終わりごろに咲くそうです。
 写真に見るように花はイスメネ(Ismene)と大変よく似ていますが、葉緑体の遺伝子(rbcL+matK)の比較からもイスメネにごく近いものであることがわかっています。


37) ノランテア・ガイアネンシス Norantea guianensis       2009.02.06


 パラモンガイアを楽しませていただいたバナナワニ園で、もう一つの大変珍しい花を見ることができました。
 熱帯スイレン温室の奥の天井に這って、長いオレンジ色の花穂を伸ばしているノランテア・ガイアネンシスNorantea guianensis)です。

 熱帯アメリカが原産地のマークグラビア科(Marcgraviaceae)の蔓植物です。聞きなれない名前の科ですが、 遺伝子の比較に基づいた系統樹ではツツジ目(Ericales)に入るようです。
 連なっている小さなオレンジ色のソーセージのようなものは花そのものではなく苞が壷状に膨らんで蜜を貯めています。吸蜜にくるハチドリたちに本体の小さな花を壊されないための進化だろうという説もあります。でも、クモザルもこの花蜜が大好物で花穂をしっかりと握って蜜をなめますから、かなり乱暴に扱われても問題ないのでしょう。
花茎に沿って、蜜壷の根元にある丸い瘤状のものが花の蕾です。
 『花夢』さんのすばらしいホームページ http://g-kamu.com/htm/norantea.htm をご覧になると、花と蜜壷の関係が大変よくわかりますよ。


38) エウパトリウム・ソルディドゥム  Eupatrium sordidum      2009.02.11
 これも熱川バナナワニ園の温室で出合った美しい花の一つ、エウパトリウム・ソルディドゥムEupatrium sordidum)です。
 メキシコ原産のヒヨドリバナの仲間で、耐寒性はきわめて低いそうです。手のひらより大きな葉と直径1cmほどのピンクの毛玉のような小花の集まった花序が美しいですね。
 日本ではこの仲間のフジバカマが薬草として古くから利用されていますが、メキシコでもアステカ族の人々がヒヨドリバナ属の植物を薬用しています。例えば、ホロルと呼ばれるE. quadrangulareはリュウマチの痛みに効くそうです。

野の花便り〜早春」にアタミザクラを追加しました。


39) ベニバナ・アフェランドラ  Aphelandora aurantiaca      2009.02.14
 大温室ヘゴやマルハチの下ばえに植栽されているベニバナアフェランドラAphelandora aurantiaca)も咲いていました。
この株には葉脈に沿ったきれいな白い斑が入っていますが、斑のないものの方が普通だということです。

 175種が熱帯アメリカに分布しているキツネノマゴ科のキンヨウボク属の1種で、メキシコから南米北部にかけての地が原産地です。自生地ではハチドリが花粉を媒介しているそうです。
 メキシコやグアテマラのマヤ族の人たちはこの属のムウテと呼ぶ植物から黒青色の染料をとります。


40) シャウエリア・カリコトリカ  Schaueria calicotricha          2009.02.22

 こちらでは早くも夏日が記録され、河津桜は大慌てで満開になってしまいましたが、たちまち冬将軍が盛り返してきて、昨日今日と震えています。
 別天地の温室の中では濃い緑の大きな葉を茂らせたシャウエリア・カリコトリカSchaueria calicotricha)の枝先で、金色の毛房に抱かれて淡い黄色の小さな花筒が伸び上がっていました。
 ブラジルの熱帯が原産のキツネマゴ科の低木です。MabbeleyのPlant-Book(2008)をみると8種が記載されているそうです。
 園芸書にはこの種にS. flavicomaを当てているものがありますが、葉の形で区別できるようです。


41) オオシロゴウカン  Calliandra inaequilatera             2009.02.24

 グラウンドカバーに植栽されている熱帯の草々の花を覗き込みすぎて固まってしまった腰を伸ばして、ふと振り仰いだ大温室の天窓近くに、ふうわりと純白のオオシロゴウカン(大白合歓: Calliandra inaequilatera)の花がさいていました。
 ボリビア原産のマメ科の高木です。
世界の熱帯に広く植栽されている、真っ赤な花のオオベニゴウカンC. haematocephala)の変種とされることもあります。アマゾン流域の先住民はこの仲間の樹皮を煎じて呼吸器病に処方するそうです。

HPに「ヒガンバナ渡来説再考〜その2」をUPしました。


42) ギンヨウアカシア  Acacia baileyana                2009.02.26

 雑巾で猫拭く春のしぐれかな
              小林清之介

 また降りだした絹糸のような雨に、ときおり身を振るいながら藤色の野良猫さんが庭先を過ぎっていきました。
8年前に先立っていったわが愛猫のことをまた思い出してしまいました。
 その庭ではいまギンヨウアカシア(銀葉アカシア: Acacia baileyana) が花の盛りです。
 オーストラリアのNSW州、シドニーの西方に位置するWest Wyalong地方が原産だそうですが、いまでは広い範囲に分布しています。
 あちらでは原産地の地方名をとってCootamundra Wattleと呼ばれています。


43) シロハイギリ  Episcia cupreata var. acajou           2009.02.2

 熱帯スイレン温室の側壁にはいろいろな着生植物が植栽されていましたが、その中にシロハイギリEpiscia cupreata var. acajou)が咲いていました。
 メキシコ南部からパナマ地橋を経てエクアドル、ブラジル北部に分布しているイワタバコ科の植物で、この科のものとしては珍しく匍匐枝で殖えることができます。
 葉の色や花の色に変異が多いようで、観賞用にあちこちの温室で栽培されているようです。まとめてベニギリソウ(紅桐草)とも呼ばれます。ベネズエラのギアナ高地のエンゼルフォールへ向かう森の中の岩場で出合ったものは、葉は濃い緑で赤い花は直径1cmほどでした。


44) ユリオプス・ウイルギネウス  Euryops virgineus (L. f.) DC.    2005.02.21
 子供の背丈ほどのこんもりとしたブッシュになるユリオプス・ウイルギネウスが咲き始めています。
 明るい黄色の細かな花が枝先に集まって、春の光に輝いています。
 風は未だとても冷たいのですが、それを忘れさせてくれるような温かみがあります。
 園芸店ではゴールデン・クラッカーと呼んでいます。
 南アフリカのケープ地方が原産地で、寒さにも乾燥にも強いようです。種子には管毛や翼は無く、親株の周辺に落ち、強い風や流水によって散布しています。そのためかリバー・レジン・ブッシュと呼ばれていて、川岸や海岸近くに多いそうです。


45) ウインターファイヤー  Erica oatesii Rolfe        2005.02.23
 エリカに魅入られたパートナーさんが買いこんできた「冬の炎」です。
 真っ赤な可愛い壷の中にはどんな妖精が潜んでいるのでしょう。

 南アフリカ原産の Erica oatesii とラベルにありました。ドラスケンベルグ地方を中心に分布している、比較的珍しいエリカです。
 マイナス5度までは大丈夫だそうです。

 妖精が住むという神秘の壷の中が気になって、覗いてしまいました。
 寄り添った10本のオシベの細い花糸とグレイの花粉袋の境に2本の白い角のような突起があって、トナカイが顔を寄せ合っているように見えました。

 妖精は出かけて留守か、透明だったようです。


46) フユシラズ  Calendula arvensis L.            2005.02.25

 公園の片隅の吹き溜まりに、明るい黄色で少しオレンジ色を帯びた小さな花が咲いていました。
 少し前にママチャリライダーさんが投稿されていたフユシラズでした。Googleで検索したら18700件もヒットして、驚きました。

 地中海域が原産地で、キンセンカ属の Calendula arvensis です。ブドウ畑やオリーブ畑などいたるところにはびこっているようですね。それで、フィールド・マリーゴールドとかアッカーリンゲルブルーメンと呼ばれています。
 カリフォルニア州にも帰化しています。
 ヨーロッパでは若い葉をタンポポと同様食用にするそうです。



47) アラセイトウ  Matthiola incana (L.) R. Br.       2005.02.27
 牧野植物図鑑が一番使いやすいとおっしゃるHさんのお庭でストックが咲き始めていました。

「花壇のストックが咲き始めると春が実感できますね」というと、「これはアラセイトウというのが正しのだよ」とお叱りを受けてしまった。

 確かに、このヨーロッパ南部原産のアブラナ科の花は1660年代の『花壇綱目』で荒世伊登宇と名づけられている。葉の触感がラシャ布に似ているための名のようだ。

 葉ラセイタ→アラセイタ→アラセイトウ、ということのようです。

 種子に辛味があるので明治政府が香辛野菜として一重の品種を導入したそうですが、結局は園芸植物として広まったということです。


48)  オウバイ  Jasminum nudiflorum Lindl.           2006.02.22
 我が家の花と野菜栽培の師匠にいただいたオウバイ(黄梅、Jasminum nudiflorum)が咲き始めました。
 ジャスミンの仲間ですが香りはほとんどありません。それでもハナアブが早速やってきたところを見ると彼らにはわかる匂いがあるのでしょうか。
 中国原産で黄河流域以南の山岳地帯に、岩場を好んで生えています。あちらでは迎春花、金腰帯、小黄花などと呼びます。日本に入ってきたのは17世紀前半、たぶん寛永年間だったのではないかといわれています。

「雪割草とよばれる花たち」をUPしました。


49)  イワハナビ  Lewisia cotyledon (S. Watson.) B.L.Rob.   2006.02.28

「ミイのひとりごと」さんもUPされていたイワハナビレウィシアLewisia cotyledon) が咲いていました。
 初めて見たときには科の見当がつかず悩まされたことを思い出します。
 カリフォルニア北部からブリティッシュ・コロンビアにかけてのロッキー山地に自生するスベリヒユ科の乾燥に強い多年草です。2年間も水なしで枯れなかったという記録もあります。19種が記載されていますが、育種家による交配によって多数の園芸品種が作出されています。
 アメリカ先住民は昔からこの仲間を生活に利用しています。例えばブラックフート族の人たちはピグマエア・イワハナビL. pygmaea) の地下部を乾燥させて保存食とし、オカナゴン族は冬季に食糧が乏しいときコロンビアナ・イワハナビL. columbiana) を蒸したり茹でたりして食べるそうです。



50)  ベニバナマンサク  Hamamelis x intermedia        2006.02.27     
 昨春の花祭りの植木市で見つけて庭先に植え込んでおいたベニバナマンサクHamamelis x intermedia) に花が咲きました。

 厳密な意味では外来種ではないのですが、日本固有種のマンサクH. japonica) と大陸産のシナマンサクH. mollis) との交配によって作出された園芸品種ということでこのブログにとりあげてみました。
 実生には花の色や形、葉の性質などが微妙に異なるものがあって、そこから園芸品種が選抜されているそうです。

異国に咲く花」に 9)チリ、思い出の花々 を追加しました。


51) ベニバナプルメリア  Plumeria rubra L              2010.02.04

 今までに滞在したことのある熱帯・亜熱帯圏に位置する10余国のいずれの都市でも目にしたことのある花が、チェンマイでも咲いていました。
 ベニバナプルメリアPlumeria rubra L.)です。

 キョウチクトウ科で中央アメリカからエクアドルにかけてが原産の地といわれていますが、コロンブス以降の500年の間に世界中の熱帯へ運ばれたのでしょう。
 この画像の株は栽培過程で選抜された“Plastic Pink”という品種のようです。花弁がやや肉質で、切花にしても花もちがよいそうです。



52) ドルステニア・エラータ  Dorstenia elata Gardner     2010.02.05
 チェンマイのSさんの観葉植物の圃場にこの奇妙な花をつけた鉢がたくさん並んでいました。
 栽培しているご本人も名前は忘れたが、このあたりの暗い藪にも生えていて、種が飛んでどんどん増えるといっていました。初めて目にした植物ででしたが、この独特の形態なら帰国して書斎で少し調べれば直に名前がわかるだろうと思いました。
 ところが、手元の書籍をあれこれ繰っても見当たりません。また何科のものなのかすら、私の乏しい知識では見当がつきかねました。

 そこで、何人かの研究者にお尋ねしたところ、熱川バナナワニ園の清水秀男先生から、クワ科のドルステニア・エラータDorstenia elata Gardner) だと教えていただきました。最近は日本の園芸店でも販売しているとのことでした。それにしても!クワ科だったとは!思いもしませんでした。

 この種は東南アジアが原産の植物だと思ったのでしたが、実はブラジル原産でした。
 ドルステニア属(Dorstenia)には約105種が知られていて、60種がアフリカに、45種が南アメリカに分布しています。ゴンドワナ大陸時代の生き残りでしょうか。
 花らしくない花ですが、鶏冠のような花托(花盤)の上にぽつぽつと見えるのが一つ一つの花です。イチジク型花序とも呼ばれます。チョウやハチが興味を持ちそうにも無い花ですね。誰が花粉媒介をしているのでしょう。蟻かもしれませんし、雨粒かもしれませんね。
 熟した小さな実は、指の間に挟んだ石鹸がツルリと滑って飛び出すような感じで花盤から離れるそうです。
 コスタリカではD. contrajerva を解熱剤にしたり、根茎を葉巻の香り付けに使うそうです。



53) リップスティック・プラント Lipstick Plant:Aeschynanthus radiacans Jack. 2010.02.09
 チェンマイのAさんのナーサリーで撮ったランの花を整理しているところですが、そのなかに一コマ、ランではないものが混じっていました。
 リップスティック・プラント(Lipstick Plant:Aeschynanthus radiacans Jack.)でした。

 ジャワ島からマレー半島にかけてが原産地といわれているイワタバコ科の着生植物です。
 この属には約160種が知られていてインドネシアから中国にかけて分布しています。美しい花を咲かせるものが少なくなく、園芸植物として栽培されています。


54) オレンジスパイス  Euphorbia pulcherrima cv. Ogange spice  2010.02.13
 Mさんご夫妻からの今年のクリスマスプレゼントのポインセチアは2008年に新品種として発売され始めたオレンジスパイスEuphorbia pulcherrima cv. Ogange spice) という品種でした。

 書斎に置いて、ヒガンバナにも劣らないその朱色を楽しんでいましたが、日が経つにしたがって緑葉が減って、めらめらと燃え立つ篝火のようになってきました。
 1月4日の『朝日歌壇』に“思ふことポインセチアに燃え移り”という小林直司さんの句がありましたが、今の私や家人にはそれほどの熱い思いはありませんので、これはきっと光りが不足したせいなのでしょう。
 ところで、オレンジスパイスという品種名は何に因んだものなのでしょう。この花姿とは関係なさそうですが。



55) キュウエンシス・サクラソウ ‘Primula kewensis’        2010.02.18
 家人に頼まれた洗濯用の洗剤を買いにいったついでに立ち寄ったフラワーショップで、学生時代にその名を知った懐かしい花に出合えました。淡黄色の花が可愛いキュウエンシス・サクラソウ(‘Primula kewensis’)です。
 不稔性の雑種から突然変異で稔性の新種が生まれる一例として、20世紀の生物学のテキストにはしばしば登場していたサクラソウ属の1種です。
 19世紀の終りに、キュウ植物園で栽培されていたエチオピア〜アラビア半島南部原産で黄色花のP.verticillata Forsk. またはエチオピアのP. simensis Hochst.とヒマラヤ原産で白花のP. floribunda Wall. とが温室内で自然に交配して不稔性の2倍体雑種が生まれました。
 これが、花糸が長く花柱が短い花形のP. X kewensis ですが、この株からシュートで殖えた株の中に突然変異で花糸が短く花柱が長いものができ、この間で非減数の(‘Primula kewensis’)配偶子の受精が起こり、稔性のある4倍体が生まれたと考えられています。Mabberley, D.J (2008)によfればこれが現在キュウエンシス・サクラソウと呼ばれるものだそうです。


56) ブルーカーペット Centaurea cyanoides Berggren et Wahlenb.  2010.02.21
 昨夜の天気予報では日差したっぷりで暖かな一日になるはずでしたが、早朝の気温は0℃、雲も多くときおり日が出る寒い一日になってしまいました。
 散歩がてらのぞいて見たフラワーショップで、セントーレア・ブルーカーペット(Centaurea Blue Carpet) という名の、花苗に出会えました。
 地中海行き東部が原産のヤグルマソウ属の一つ、Centaurea cyanoides Berggren et Wahlenb. でした。ヨーロッパでは以前からグラウンドカバーの園芸植物として栽培されていたそうですが、原産地、特にイスラエルあたりでは野生地は保護の対象となっています。キプロスなど島嶼部では稀なようです。
 一年草なので、来年用に種が採れるとよいのですが・・・・・。


57) バライロモクセンナ
    Cassia nodosa (Buch.-Ham.) Larsen et S. Larsen    2010.02.27
 雲ひとつ無く晴れ上がった戸外の大きな茶色のテーブルの上に置いた白い菓子折りのようなルクソール空港のビルから外に出ると、植栽されているバライロモクセンナCassia nodosa (Buch.-Ham.) Larsen et S. Larsen) の花の盛りでした。
 マレー半島からヒマラヤ東部が原産の樹高15mにもなるマメ科の植物です。建材にも利用されますが花が美しいので各地の熱帯で観賞用に栽培されています。英語ではPink-and-white Schowerと呼ばれています。物の本にはバラの香りがするとありましたが、梢高くに咲いていて確かめることはできませんでした。


58) トキワシノブ  Humata tyermanni Moore        2011.02.07

 ここへ転居したばかりのころに花師匠から分けてもらったトキワシノブHumata tyermanni Moore)が厳冬のさなかにもかかわらず青々と茂っています。
 中国の長江流域南部からベトナムにかけての地が故郷のシノブ科のシダで、真夏には葉を落として、白い綺麗な鱗片に覆われた匍匐する根茎を現します。
 中国では一般に円蓋陽石蕨と呼びますが、日当たりのよい岩の上に生える円い胞子嚢膜をもつ蕨という意味でしょう。毛石蚕とか岩蚕の名もありますが、これは茶色の斑点が混じる白い根茎をカイコに見立てたのでしょう。
 漢方では解熱・利尿の薬効があるとされ、黄疸や淋病にも処方されるそうです。



59) アカミタンポポ  Taraxacum laevigatum (Willd.) DC     2011.02.16

 今日は風も止んで、柔らかに降り注ぐ陽の光のなかで、透明な春の女神が踊っているような、そんな気がした一日でした。
 駅近くの交番の前を通りかかると、歩道と車道の境目の隙間にタンポポが咲いていました。
 雰囲気が何となく普通のセイヨウタンポポと違うので、近寄ってみると、葉がびっくりするほど深く切れ込んだアカミタンポポTaraxacum laevigatum (Willd.) DC)でした。  セイヨウタンポポと同様に北欧が原産地で日本で最初期記録されたのは北海道で1918年のことだそうです。
 画像はカンサイタンポポにも似ていますが総苞片が反り返っています。
「野の花便り〜早春」に オモト を追加しました。



60) ヒナギクー2   Bellis perennis L            2012.02.05
 豪雪地帯の方には申し訳ないような小雪が消えた後の花壇では、ヒナギクBellis perennis L.) が何事もなかったように咲いています。
 ヨーロッパ全域に分布していて、彼の地では古代から親しまれた野の花で、さまざまな伝説や民話がありますね。
17世紀のイングランドではヒナギクは骨折に顕著な薬効があると信じられていたといいます。
 日本で栽培されているのはほとんどが園芸品種ですが、ヨーロッパでは野生種は牧場に多く、牛や羊に食べられてもすぐに新しい芽が伸びてくるそうです。公園の芝の中にも見られ、春ならぬ初秋に訪れたベルリンのティエールガルテンの中にも点々と咲いていました。
 北米をはじめ世界各地で帰化していて、日本でも北海道で野生化しています。
 マゼラン海峡に面したウシュアイアの冠雪した山の麓の草地に群生していたこのヒナギクは大航海時代に運ばれたものでしょうか。


61) マゼランスグリ  Ribes magellanicum Poir          2012.02.08
 昨日は桜が咲き出しそうな暖かさでしたが、今日は打って変わった寒さです。
ウシュアイアに咲いていたヒナギクの画像を探しているとき、フェゴ島の森の中で見たマゼランスグリRibes magellanicum Poir) の花房ことを思い出しました。

林床では氷河を渡ってきた冷涼な風にパロミータ(Codonorchis lessonii) の白い花がかすかに震え、目を上げればこのマゼランスグリの赤い尾状花が揺らいでいました。
アルゼンチンはリオネグロ以南、チリ側ではヴァルディビア以南、フェゴ島にまで分布するスグリ科の低木です。
黒く熟した実は絞ってジュースにしたりジャムにするそうです。
「野の花便り〜早春」コナラの冬紅葉をUPしました。


62) キンセンカ  Caledula officinalis L        2012.02.12

 相変わらず日本列島は寒気に震えていますが、2号機の底部温度だけは上がっています。それにしても誤差範囲が±20℃などいうものを温度計ということ自体が不思議ですね。
 我が家の庭木ではロウバイの花が終焉を向かえている一方、ジャノメエリカが花盛りですが、花壇ではウドンコ病に耐えたキンセンカ(金盞花:Caledula officinalis L.)が咲いています。
 ヨーロッパ南部が原産で、1500年代には薬草として各地で栽培されていたようです。日本へは嘉永年間(1843〜1845)に渡来したといわれています。
 英語圏ではキンセンカのことをマリーゴールドと呼びならわしていますが、中南米が原産で別属の植物(Tagetes)もマリーゴールドと呼んでいます。近年日本でマリーゴールドの名で栽培されているものは後者で、その和名は万寿菊(マンジュギク)です。
「野の花便り〜早春」カナメモチを追加しました。



63) ミニバラ  Modern Rose                2012.02.20
 冬薔薇の咲くほかはなく咲きにけり  日野草城
 今朝も氷点下になり、霜柱が落ち葉を持ち上げていましたが、明るく暖かな日が差すや音も無く柱は消え、縮こまっていた若草の翠も輝きだしました。
 庭の片隅で粉雪のような霜を纏っていたミニバラ(Modern Rose)も生気を取り戻したようです。
 近年の園芸品種は、手元の図鑑に出ているものだけでもあまりにも多く、私にはとても識別しえません。
 これらの園芸品種のほとんどは、ヨーロッパの野バラや中国のコウシンバラや日本のノイバラなどを交配して作出されたものだそうですね。
「野の花便り〜早春」オオイヌノフグリ ヘクソカズラの実 を追加しました。


64) バナナ  Eumusa cultivar                2013.02.04
 暖かな立春ですね。
 とはいえ、街角の花壇にはパンジーやストックなどありきたりな花(ごめんなさい)が咲いているだけでしたので、
 浜名湖湖畔の温室をのぞくとバナナEumusa cultivar)の花房が下がっていました。

 バナナの仲間の原産地は東南アジアで、種子のできない栽培種は野生のアクミナタバナナとバルビシアナバナナとの間に生まれた3倍体だそうです。
 人類が食糧として利用し始めたのはかなり昔のようで、ニューギニアの西部高地の紀元前5000年ころの遺跡にバナナ畑の跡があります。
 インドでは紀元前500年には栽培されていた記録があり、ヒンズーの宗教儀式には豊穣多産のシンボルとして欠かせないものになっています。
 ヨーロッパに入ったのも紀元前で、アレキサンダー大王の遠征隊がインドから持ち帰ったことになっています。
ちなみに、旧約聖書ではエデンの園の知恵の木は林檎ということになっていますが、コーランではそれはバナナです。

『野の花便り〜早春』ノゲシを追加しました。


65) チロリアンデイジー Bellis perennis L. cv. ‘Tyrolean daisy’  2013.02.08


 東京地方の雪の予報は難しいようですね。
一昨日は、予報は外れましたが、電車は大混乱で、出かける予定をキャンセルしておいて正解でした。
予定変更で立ち寄ったパルシェの花屋さんにはチロリアンデイジーBellis perennis L. cv. ‘Tyrolean daisy’)の色とりどりのポット苗が並んでいました。
 ヒナギクの園芸品種ですが、八重咲きともポンポン咲きともいわれる花形は可憐で、広く栽培されています。
ハイジとかクララとかヨーゼフとか「アルプスの少女ハイジ」にちなんだ名の品種が売られているところを見ると、この品種は日本の園芸家が作出したものでしょうね。
 画像の赤い花にはハイジ、白い花にはヨーゼフというラベルがついていました。

「野の花便り〜早春」小梅を追加しました。



66) ペリカリス  Pericallis x hybrida (Regel) R. Nord.      2013.02.19
 昨日は雨水で、この暦どおり、朝から小雨が降りつづきましたが、今日も一日中雨でした。幸いなことに風は吹かず気温もそこそこでしたので、軒下の花鉢のペリカリスPericallis x hybrida (Regel) R. Nord.)も気持ちよさそうです。
 ペリカリス属はマカロネシアの島々が原産地で14種が記載されています。
 園芸種はいくつかの種を交配して作出されたものだそうですが、その多くは P. lanata P. curenta が親だといわれています。
 最近はペリカリスの名で呼ばれていますが、私が初めて出合ったころはシネラリア(Cineraria)でした。シネ・・が死ねに聞こえるから止めたのだなどという人もいますが、むろんこの理由で学名が変わったわけではありません。


67) コーヒーノキ Coffea sp.                   2014・02・08
 先日遊びにいった花鳥園には名のとおり花とともにさまざまなを種類の鳥が巨大な温室に放し飼いされていて、カメラを向けるとポーズをとってくれます(と、思います)。というわけで、目の前の植木にやってきた金色の胸と光沢にある青い背のキンムネオナガテリムクにピントを合わせたところで、そのとまった枝の先の赤い木の実の方が気になってしまいました。コーヒーノキCoffea sp.)の実でした。
 実が気になってしまったのは、昨年秋に娘から預かった実生のコーヒーノキの苗を枯らしてしまったことを思い出したからです。
 アカネ科のコーヒーノキの仲間には約100種が知られていて、熱帯アフリカからマスカレン諸島に自生していますが、祖先はおそらくゴンドワナ大陸が分裂する以前の中生代に、現在のケニアにあたる地域に出現したのだろうといわれています。
 珈琲として飲用されるものは10種以上あるようですが、この実を付けたコーヒーノキは多分広く栽培されているアラビアコーヒーノキでしょう。
『野の花便り〜早春』キチジョウソウを追加しました。


 68) シザンサス  Schizanthus x wisetonensis Law    2014・02・15
   早春の低気圧と大陸からの寒気団が衝突してあちこちが大雪に見舞われていますね。
スリップ事故に注意しないといけませんが、幸いこの辺りは雨だけで済みそうです。
 その雨の中、歯肉炎の治療にでかけた歯医者さんの待合室にシザンサスというラベルの付いた、温か色のムレゴチョウ属の仲間の(Schizanthus x wisetonensis Law)の鉢がありました。

ムレゴチョウ属はチリ〜アルゼンチンのアンデス山地に固有の属で12種が知られています。
ナス科のものとしては珍しい左右相称の花ですが、その美しさから庭園に植えられるようになり、その1種、S. pinnata、にはコチョウソウ(胡蝶草)という和名で呼ばれています。英語名のバタフライフラワーの直訳でしょうか。“貧者のラン”という呼称もあります。ムレゴチョウはむろん“群れ胡蝶”です。
  歯医者さんにあった、この画像の花は野生種のS. pinnata S. grahamii の交配によって作出された園芸品種だそうです。
『野の花便り〜早春』ヒメヤブランを追加しました。


69) ニオイセンネンボク Dracaena fragrans (L.) Ker-Gawler    2014・02.19
   4週間分の薬を受け取りに行った薬局さんの待合室にニオイセンネンボク(匂い千年木:Dracaena fragrans (L.) Ker-Gawler)が咲き始めていました。
 初めて咲いている花に出会うことができた私は、さっそく写真を撮らせてもらいました。

 熱帯アフリカの標高600m〜2500mほどの山地に自生するキジカクシ科リュウケツジュ属の植物で、ゆっくりと成長しますが古木の茎は直径30cm、高さは15m余になるといいます。
 現地では生け垣などに利用されていますが、観葉植物として古くから世界各地で栽培されています。
 和名は成長が遅く夜に開く花がよい香りを放つことにちなんだものものです。
斑入りの園芸品種は“幸福の木”とも呼ばれます。
 NASAとALCAの研究によると空気清浄作用があり、ハウスシックの原因物質のホルムアルデヒドやベンゼンなどを吸収してくれるそうです。


70) シナマンサク  Hamamelis mollis Oliv.           2014・02・28
 散歩の途中、菜花が咲く畑の片隅に、たくさんのこげ茶色の枯葉を付けた木がありました。
 近寄ってみると濃い黄色の細いボンのような花を咲かせたシナマンサクHamamelis mollis Oliv.)でした。

 中国長江流域の安徽省、浙江省、湖南省などが原産地で、イギリスへはプラントハンターのC.マリーズが江西省で採集したものが1879年に導入された記録があるものの、日本へ渡来した時期についてはよくわかっていないそうです。
 在来種のマンサクに比べて花びらがあまり縮れておらず、花時に枯葉が枝に残っているのも特徴のようです。
 中国名は金縷梅で根は強壮剤として薬用されています。
「野の花便り〜早春」シロバナタンポポを追加しています。

 
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