Ausust

庭の花便り Garden Flora Reports

~ 8月の花 Flowers in August ~ 

  索引    アキメネス・ロンギフロラ  アズキ アセロラ アメリカアサガオ アメリカホドイモ アメリカリョウブ
 アメリカリョウブー2 アラゲハンゴンソウ イエローレインリリー ウコン エビスグサ オウムユリ
 カナリーヤシ クルマバザクロソウ  クレマティス・ビティケラ  クレタン・ディタニー
 ケープ・コースト・リリー ゴシキトウガラシ コニシキソウ ゴマ コメバコケミズ
 ゴールデン・カナピイ サンパチエンス シチヨウジュ シュウカイドウ ジュズサンゴ
 スパイダー・リリー  スペアミント セイヨウキョウチクトウ タカサゴフヨウ ダキバアレチハナガサ
 タンジー チユウキンレン チョロギ ツルムラサキ  トキワネム トレニア ニエレンベルギア
 ノウゼンカズラ ノゲイトウ ハツユキソウ ハナカンナ ハナトラノオ ヒヨス フサスグリ
 ブラッサウォラ・ノドサ ブラジリアン・ベルフラワー ブルーパール ヘチマ ベニゴウカン
 ベッセラ・エレガンス ヘンリーズタ マウンテンミントの実 マツバボタン 満開のブルーパール
 緑の花のパイナップル・リリー ミリオンキッス ムラサキナツフジ メキシコヒマワリ メマツヨイグサ
 モミジアオイ  リコリス・ウイドエンシス ルドベキア ルリタマアザミ  レモン・クイーン
 ユーカリスト・リリー

1) ケープコースト リリー Cape coast lily: Crinum moorei     2005.08.01

 よい香りのする軟らかなピンクの花びらのケイプ・コウスト・リリー(Cape coast lily: Crinum moorei)が咲きました。
 リリーといってもユリの仲間ではなくヒガンバナ科のハマユウと同じクリヌム属です。
 南アフリカのインド洋に面した東ケープからナタール地方がにかけてが原産地で、ヨーロッパにもちこまれたのは1874年のことだそうです。
 いまでは美しい園芸植物として世界各地で栽培されています。
 霜が降りない土地では常緑ですが、東海地方では冬には葉が枯れるものの、戸外で栽培できます。
 林床に生える植物なのであまり強い陽射しは嫌うようです。



2) ベニゴウカン Calliandra eriophylla                2005.08.03
 照りつける真夏の太陽を喜ぶように、火よりも赤くベニゴウカンCalliandra eriophylla)が咲いています。
 この名は漢字で書けば紅合歓で、赤い花のネムノキということになりますが、葉はネムノキよりずっと小さく、小葉は細かく、花茎は垂れ下がります。
 アリゾナからメキシコにかけて自生しているマメ科の低木です。
 アリゾナ州西部に居住するアメリカ先住民のヤヴァパイ族の人たちは、この木の葉を煎じたものが産後の肥立ちに効くと考えています。
野の花便り」にキリシマキツネノカミソリを追加しました。「リコリスガーデン・リポートーNo.4」も更新しました。


3) トキワネム Calliandra selloi                      2005.08.04

 花に優しいGさんが大切に育てているトキワネムCalliandra selloi)が、壮麗な仕掛け花火を、あるいはまた激しい火山の噴火を連想させるように咲き誇っています。

 ブラジル東南部が原産の地という周年開花性のカリアンドラの1種です。
 花市場でも滅多に見ることのない珍品で、私ははじめて目にすることができました。

 「野の花便り」にヒルガオを追加しました。索引をクリックしてください。



4) チョロギ Stachys affinis                       2006.08.05

 朝のうちは雲が厚くて少しは過ごしやすい一日なるかも、との期待はみごとに裏切られ、昼時を迎える前から33℃を越す猛暑で花壇の草花たちも元気がありません。そんな中で、チョロギStachys affinis)だけが平然と咲いています。

 生来病弱だったという鹿児島寿蔵が還暦を迎えるころに詠んだ「炎天にちよろぎの花の群れ咲ける今日在りて痩せたるからだを拭う」という歌を思いださせます。
 チョロギとは変わった名ですのでその由来に興味をもったのですが、諸説があって確実なところはわかりませんでした。多くの書物が紹介しているのは朝鮮語のジロイ(蚯蚓)かテウロギ(朝霧葱)に由来するというものでしたが、釈然としません。
 中国が原産地で、日本に渡来したのは江戸時代初期の延宝3年ころといわれています。



5) ルドベキア Rudobeckia spp.)                     2006.08.06
 花師匠から分けていただいた3種類のルドベキアRudobeckia spp.)が咲いています。

 北米が原産地で15種ほどが知られていますが、交配によって生まれた園芸品種がたくさんあって私には品種名がよく分かりません。
 画像はR. trilobaから選抜されたという”TAKAO"と”黒い目のスーザンR. hirta)”、と草丈20cm足らずの倭性品種です。


6) ハツユキソウ Euphorbia marginata              2005.08.06

 真夏の炎天下でハツユキソウEuphorbia marginata)が咲いていました。
テキサスからカリフォルニアにかけての北米南西部が原産で、あちらではSnow-on-the-mountainと呼んでいます。でも、生えているところは丘陵地帯や草原で、雪の積もるような環境ではありません。
白い斑の入った草姿が雪山を連想させるゆえの名でしょうが、幽霊草(Ghost-weed)と呼ぶ人もいるようです。
 トウダイグサ科ですから切り傷をつけると白い乳液がでます。肌につけるとかぶれる人もいますが、ラッテックスを含むので、アーカンソーの先住民たちはこの液を集めてチューインガムにするそうです。セントルイスの郊外では庭から逃げ出したハツユキソウが野生化していました。



7) コニシキソウ Euphorbia supina                     2005.08.08
コニシキソウ」について
 気まぐれメモさん、こんにちは。
 渇きと暑さにめっぽう強い草ですね。

 故郷は新大陸だそうです。
 明治時代に帰化したと考えられていますが、もうすっかり日本の土に馴染んだようですね。

 腰を落とし、ぐっと寄ってクローズアップしてみました。子房に細かな毛が生えているのを知りました。


8) スペアミント Mentha spicata                       2005.08.08

 暑さにも寒さにも負けない元気者のスペアミントMentha spicata)が花の盛りです。
 ヨーロッパでは古代からハーブとして親しまれていますが、地下茎による繁殖が旺盛で、ときには困り者扱いされてしまいます。
 中央ヨーロッパが原産地ですが、ナガバハッカM. longifolia)とマルバハッカM. rotundifolia)との間にできた雑種ではないかといわれています。
 日本ではミドリハッカ、オランダハッカ、ラムミントなどの呼び名もあります。

野の花便り」にはコニシキソウゲンノショウコを追加しました。



9) アラゲハンゴンソウ Rudbeckia hirta var. pulcherrima     2005.08.09
 通りかかった空き地にアラゲハンゴンソウRudbeckia hirta var. pulcherrima)が咲いていました。
 生い茂る夏草に負けずに、しっかりと存在をアッピールしています。

 北アメリカが故郷で、野生の仲間は15種ほどあり、「黒い瞳のスーザン」の名で親しまれています。
 日本での最初の記録は1938年に北海道で採集されたものですが、今では九州にも帰化しているようです。
 属名のルドベッキアはウプサラ大学の Olaus Rudbeck 教授へのリンネからの献名です。 若き日の無名のリンネが教授の24人の子供\(◎o◎)/!の家庭教師に雇ってもらったお礼のようです。

野の花便り」にはヒマワリを追加しました。


10) アセロラ Malpighia glabra                     2005.08.10

 果物の中では最もビタミンCの含有量が高いと評判のアセロラMalpighia glabra)の花を見ました。
花の色は白に近いものからこの写真のような桃色のものまであるようです。
実は真っ赤なサクランボのような形をしています。
 キントラノオ科の小低木でユカタン半島が原産地とみなされていますが、古代から栽培されていていまでは北米南部からブラジルにかけての広い地域で目にすることができます。日本でも沖縄での栽培が盛んです。カリブ海のバルバドス島産のものが有名だったのでバルバドス・チェリーとも呼ばれています。



11) タンジー Tansy ; Tanacetum vulgare            2005.08.13

 K子さんのハーブガーデンにタンジーTansy ; Tanacetum vulgare)が咲いています。小さな金色のボタンのような頭状花の集まりです。
 英国から北欧の辺りが原産地と考えられているキク科の多年草です。北海道や東北地方には野生化したものがありヨモギギクという和名が付けられています。
 属名のタナケトゥムはギリシャ語の”不死”を意味する言葉に由来しますが、ヨーロッパでは昔から薬草や香草として利用されています。
 また、16世紀の英国では野生のタンジーを9日間バターミルクに浸したもので洗顔すると美人になるといわれていたそうです。



12) ユーカリスト リリー Eucharist lily; Proiphys amboinensis     2005.08.14

 不思議なほどに白いユーカリスト・リリー(Eucharist lily; Proiphys amboinensis)が咲きました。
 色があるのは黄色の花粉だけです。最後の晩餐に飾られるに相応しい花ということでしょう。

 園芸店ではユーリクレスの名で売られているオーストラリアはクイーンズランド州が原産地のヒガンバナ科の植物です。
 最初にこの植物を記載したE.D.メリルさんはモルッカ諸島のアンボン島(Ambon Is.)が原産地だろうと考えたのですが、その後の研究でオーストラリアからインドネシアやフィリピンに持ち込まれたものということになりました。



13) ハナトラノオ Physostegia virginiana                2005.08.16

 都市計画による区画整理が、あれこれあって暗礁に乗り上げ、そのために行き止まりになっている露地の奥に明るいピンクの花が群がっていました。
近寄ってみると、今を盛りのハナトラノオPhysostegia virginiana)でした。

 北米東部が原産地と考えられるシソ科の植物です。花穂の形からカクトラノオとも呼ばれています。
 大正時代に観賞用に持ち込まれましたが、地下茎による繁殖力が強く、短期間に全国の庭でみられるようになったそうです。
 あちらではドラゴン・ヘッド(ムシャリンドウの仲間)に似ているのでファルゼ・ドラゴン・ヘッド(偽ムシャリンドウ)と呼んでいます。
 赤花や白花の品種もあります。

野の花便り」にはタカサゴユリを追加しました。



14) ブラジリアン ベルフラワー Abutilon megapotamicum     2005.08.17
 最近は東海地方でも南向きの軒先に置けば冬越するようになったアブチロンの1種のブラジリアン・ベルフラワー(Brazilian Bell-Flower: Abutilon megapotamicum)が咲いていました。
 なるほど!というネーミングですが、ウキツリボク(浮釣木)という和名があります。

 ハイビスカスと同じアオイ科の低木で、ブラジル南部が原産地だそうです。
 ハイビスカス類と違うところはメシベは突出しないでたくさんのオシベに取り巻かれ包み込まれているところです。
 アブチロン属(=イチビ属)には100を越す種類があるそうですが、大部分は南アメリカに分布しています。
 アジアではインド辺りが原産地のイチビが代表者です。

今日のリコリスガーデン」を更新して、庭に今咲いているリコリスたちをUPしました。


15) ムラサキナツフジ Millettia reticulata            2006.08.13

 疾走して行きかう車とアスファルトから立ち昇る熱気で、風もないのに街路樹が揺らめいています。そんな街中の小さな公園にムラサキナツフジMillettia reticulata) が平然と咲いていました。
 南西諸島、台湾、中国南部が原産地のつる性の低木で、江戸時代に渡来し、醋甲藤とも呼ばれています。最近はこのあたりでも栽培されるようになりました。
 中国では鶏血藤とか白血藤といい茎と根を薬用しています。月経不順の治療や強壮に処方されるそうです。雲南省などでは茎の繊維でロープを編んだり紙に漉いたりしたそうです。
今日のリコリスガーデンに台風をやり過ごして咲いた花を追加しました



16) クルマバザクロソウ Mollugo verticillata            2006.08.14

 家の近くの、レンガが敷きつめられた歩道の片隅に、見慣れぬ小さな花が咲いていました。
一見したところヤエムグラをスリムにしたような草姿で、その仲間かと思って小さな花をクローズアップしたところ花びらは4枚ではなく5枚でした。
 帰宅して調べたところ熱帯アメリカ原産のクルマバザクロソウMollugo verticillata)でした。
 私ははじめてであったのですが、江戸時代末期に新潟で記録されていて、いまでは北海道から沖縄まで広く帰化しているそうです。
 それにしても熱帯原産のものが北海道でも生きていけるとは!種子が耐寒性を獲得したということでしょうか。



17) ミリオン キッス  Begonia boliviensis cv. million kiss      2006.08.18

 とある銀行の待合室に、立派な鉢に溢れるように茂って数え切れないほどの真っ赤な花を咲かせたベゴニアがありました。
 ボリビアが原産の Begonia boliviensis の園芸品種の一つ、ミリオン・キッスでした。
 どうしてミリオン・キッスと命名されたのか、花の姿からはその由が思い浮かびませんでした。
 ひょっとしたら、百万回もキッスしてやりたいほどよく売れますようにという生産者の願いをこめた名前なのかな~などと邪推してみましたが、本当のところは作出者のこの花への愛着の深さを表しているのでしょう。
今日のリコリスガーデンー2006」に15日以降の花を追加しました。



18) トレニア  Torenia cv. Duchess White and Blue       2006.08.19
 猛暑の続く今、街角の花園のあちこちで目にする花がゴマノハグサ科のトレニアTorenia、ハナウリクサ属)の仲間です。

 アフリカとアジアの熱帯が原産地で50種ほどが知られていますが、栽培されているものの多くは交配によって作出された園芸品種です。
 画像の品種は Duchess White and Blue (青と白の公爵夫人)だそうです。
 この仲間はまとめて Wishbone Flowerと呼ばれています。2本のオシベが葯で合着している様子が鳥の叉骨を連想させることに由来する名です。


19) ニエレンベルギア   Nierembergia caerulea        2005.08.19
 ちょっとしたパーティーのあったホテルのレストランの窓辺を飾っていたニエレンベルギアNierembergia caerulea)です。モンブランという品種名だそうです。

 アルゼンチン原産のナス科アマモドキ属の多年草です。
 この属には23種ほどが記載されていますがすべて南アメリカ産です。

野の花便り」にはニラを追加しました。


20) チユウキンレン 地湧金蓮 : Musella lasiocarpa       2005.08.16

漢字4文字の名前がついていましたが・・・。」について

 Tantanさん、こんにちは。
 雲南省の中・西部が原産地の「地湧金蓮」ですね。バナナと同じバショウ科です。
 標高2000m前後の里山や人家で目にします。金色の花の部分は家畜の餌にしたり毒消しの薬草として利用しているそうです。

 写真は昨年の浜名湖花博でとったものです。



21) ウコン 鬱金 : Curcuma domestica             2005.08.27

 家人がピンクのトーチのような花穂をつけるクルクマCurcuma alismatifolia)のつもりで買ってきたショウガ科の花茎がすくすくと育って花を咲かせました。
 なんとクルクマはクルクマでもCurcuma domestica、つまりウコンの花でした。

 インドが原産地で、東南アジアをはじめとして、世界の熱帯・亜熱帯で広く栽培されている薬用・染料植物です。日本に渡来したのは江戸時代中期といわれています。
 根茎を煮てから乾燥させ粉末にしたものが香辛料として名高いターメリックです。

「野の花便り」にはヒオウギを追加しました。

今日のリコリスガーデン」も更新しました。珍しいヒガンバナの仲間が見られますよ。



22) マツバボタン  Portulaca grandiflora             2005.08.30
お日様大好きで、サン・プラントの名もあるマツバボタンPortulaca grandiflora)があちこちで咲いています。
桃色の絹布のような花びらに包まれて、先端が細く裂けて、それ自身も小さな小さな花のように見えるメシベをたくさんのオシベが取り囲んでいます。
オシベは昆虫に触れられるともぞもぞと動いて花粉を撒き散らします。
 ブラジルからアルゼンチンやウルグアイの辺りが原産地で、日本には江戸時代、多分文久年間に渡来したのではないかといわれています。

野の花便り」にはヤハズソウヒメマツバボタンを追加しました。


23) スパイダー リリー Hymenocallis littoralis           2006.08.24
 このあたりでは露地での越年は無理だと思い込んでいたスパイダー・リリーHymenocallis littoralis)が側溝のふちに作られた小さな花壇で大株に育っていて、立派な花を咲かせていました。
 メキシコからグアテマラにかけての中米が原産地のヒガンバナ科の球根植物で18世紀の中頃にはすでにヨーロッパの温室で愛育されていましたが、今では世界中の熱帯や亜熱帯の庭園でごく普通に栽培されています。
 夜の闇が迫るころからが花の見ごろで、香りも高くなるようです。
「野の花便り~盛夏~」ママコノシリヌグイ と クサギ を追加しました。


24) アメリカアサガオ  Pharbitis hederacea            2006.08.28
 草むらの中のネコジャラシが風にゆれスイバの実がコーヒー色に熟し始めた川辺の道にアメリカアサガオPharbitis hederacea)の淡い空色の小さな花が目立つようになりました。
 熱帯アメリカが原産地で東南アジアから日本にかけて帰化しています。最近の日本では関東地方から沖縄まで分布していますが、1960年ごろまでは稀な存在だったそうです。
 明治時代には小石川植物園で栽培されていた記録があるようです。
 花の後にはガクが残っていますが、その先端が釣り針のように曲がるのが特徴の一つです。
野の花便り~盛夏~」に ツルレイシ を追加しました。


25) ルリタマアザミ Echinops ritro                   2007.08.01
 梅雨が明け本格的な夏ですね。こちらではクマゼミが大合唱です。でも、昔のように蝉捕りに熱中する少年たちの姿はありません。
 それはさておき、庭ではルリタマアザミEchinops ritro)が猛暑に負けずに咲いています。

 地中海沿岸地帯が原産地のキク科の多年草です。
ヨーロッパでは古くから庭園に植栽されていましたが、日本に入ったのは昭和の初期だそうです。
 蝶や蜂にとってはとても魅力的な花らしく、頻繁に訪花しています。

野の花便り~湿生花園の夏の花」をUPしました。


26) ベッセラ・エレガンス Bessera elegans            2007.08.02

 この春に通販で球根を購入したベッセラ・エレガンスBessera elegans)が咲いてくれました。細く頼りなげな30cm程の花茎を伸ばし、断面が半円形の葉は細長く地表を這っています。
 花被片の外側は赤いのですが、その内側には中央の赤い筋を挟んで薄い黄色の帯が2本走っています。
 メキシコ原産の植物で、最初は子房上位のためユリ科に分類されましたが、その後、傘形花序ということでネギ科に移されました。しかし最近は分子データや分布も考慮してナガエアマナ科(Themidaceae)に分類する研究者もいます。
 ベッセラという属名はポーランドの植物学Gilibald S.J.G. von Besserに因んで19世紀の初めに記載されたものです。



27) クレタン・ディタニー Cretan dittany : Origanum dictamnus   2007.08.05
梅雨が明けて間もなく、白い軟毛で覆われた直径1cm程の丸い葉が特徴的なクレタン・ディタニイ(Cretan dittany : Origanum dictamnus)が咲き始めました。

地中海、クレタ島原産のハナハッカ属(Origanum、オレガノの仲間)の1種です。
ディタニイという名はこの島のジクティム山(Mt.Dicte、標高2148m)に因んだものだそうです。

HPに「庭の花便り~8月」をUPしました。



28) ヘンリーヅタ Parthenocissus henryana           2007.08.06
 栽培が容易で、秋の紅葉が美しいということで家人が買ってきたヘンリーズタParthenocissus henryana)に花が咲いていました。
 小さくてまことに地味な花で、うっかり見落とすところでした。
 ツタと同じブドウ科の蔓植物で、原産地は中国です。中国植物誌を見ると、長江中・下流域以南の山地に普通に分布しているようです。
 中国名は”花葉地錦”で葉が花と見まがうほど美しく紅葉するという意味でしょうね。
 英語名はChinese Virginia Creeper、中国産で北米のバージニア・ツタに似たものというわけです。


29) シュウカイドウ Begonia evansiana                 2007.08.09
 花師匠からいただいた3株のシュウカイドウ秋海棠Begonia evansiana)のうち、風も日もほとんどあたらない湿った庭の片隅に植えた一つがすくすくと育って、立秋の少し前から咲きはじめました。

 中国原産で長江流域以南に広く分布していて、日本にもたらされたのは江戸時代の初めの寛永年間だといわれています。

 中国にはこの仲間(ベゴニア類)が多く、『中国高等植物図鑑』だけでも21種がとりあげられていますが、なぜか日本には西表島と石垣島に2種が自生するだけです。
 有名な薬用植物の一つで、健胃、血行促進、駆虫などの薬効があるといわれています。日本でも茎や葉の絞り汁が皮膚病の治療に使われたそうです。



30) クレマチス・ビティケラ Clematis viticella              2007.08.14
 今年はブラックベリーがたくさん生ったのですが、ヒヨドリまかせで収穫しなかったため、同じアーチに絡ませてあったクレマチス・ビティケラClematis viticella)の咲いたことに今まで気づきませんでした。
 濃いワインレッドの花がブラックベリーの色づいた果実に紛れていたせいかも知れません。
 この株はルブラ(Rubra)という園芸品種ですが、元になった野生種は地中海域のイタリア半島以東に分布しています。
 この属には約250種が知られていて熱帯アフリカにも数種があるようですが、主に北半球の温帯に分布しています。19世紀中頃から交配による育種が行われいて、いまではたくさんの園芸品種が登録されているようです。


31) コメバコケミズ Pilea microphylla                   2007.08.15
 水遣りを終えて戻ってきた家人がセイヨウシャクナゲの鉢に変わったものが生えてきたという。クラマゴケに似ているけれど少し違うような気もするという。
 そういえば、そんなものが芽生えていたような気もして、あらためて見に行くと、なるほど一見クラマゴケ。よくみるとミズの仲間でした。
 早速調べてみたところ、やはりイラクサ科ミズ属のコメバコケミズPilea microphylla)でした。フロリダ南部から西インド諸島、メキシコ、中米を経て熱帯アメリカまでが原産地で、いまでは太平洋域の島々にまで帰化しているそうです。
 英語名はartillery plant, gunpowder plantなどですが、これは花粉がポンと飛び出す様子が硝煙のように見えるからということでした。


32) レモン・クイーン Abutilon hybridum 'Lemon Queen'       2007.08.19
 柔らかな紙細工のような、淡いレモン色のアブチロン(Abutilon hybridum 'Lemon Queen')が咲いています。

 この属は世界の熱帯から亜熱帯にに広く分布し、一部の種はイチビのように日本で野生化しているものもあります。
交配により作出された園芸品種が多く、レモン・クイーンもそのひとつだそうです。

 ところで、昨夜、メインPCのHDがクラッシュしてしまい、初期化が避けられないようです。(-_-;)このブログは眠っていた98を起こして書いています。




3) 緑の花のパイナップル・リリー Eucomis sp.             2007.08.22
 パイナップル・リリー属(Eucomis)の1種ですが、はじめてみる小型で薄い緑色の花を咲かせた株を買ってきました。
 正確な種名ないしは品種名はわかりませんが、ホワイト・パイナップル・リリー(White pine apple lily:E. autumnalis)によく似ています。その園芸品種でしょうか?

The African Garden のEucomis のHP、http://www.theafricangarden.com/page40.html
には9種16品種が出ていましたが、一致するものはありませんでした。

 この属には11種が記載されていますが、マラウイの高地に自生するザンベジ・パイナップル・リリー (E. zanbesiaca) 以外はすべて南アフリカが原産地だそうです。

 Eucomisという属名はギリシャ語の’可愛い髪’を意味するeukomosに由来するそうです。花序の先端についている数枚の葉の形からの連想ですね。



34) サンパチエンス Sunpatiens                         2007.08.23
 大学時代の植物同好会の仲間で、サカタの重役さんが、昨年発表したというサンパチェンス(Sunpatiens)の苗を持ってきてくれました。
 直射光にあたっても大丈夫というインパチェンス(Impatiens)なので、サンパチェンスというわけですね。

 太陽が大好きで日陰では花付きが悪くなるそうです。
 水と肥料をたっぷり与えると背丈は1mほどの大株になるそうです。
 というわけで、植付けは株間を50cmは空けないといけないそうです。公園向きですね。


35) ブルーパール Lycoris cv. 'Blue-Pearl'              2007.08.29
 例年より少し遅れましたがリコリスのブルーパールLycoris cv. 'Blue-Pearl')が咲き始めました。

 いつ誰が作出したものか、あるいは中国から移入された野生種の中から選抜されたものか、よくわかっていない園芸種です。
 花や葉の形態と染色体の構成からみて、スプレンゲリ(L. sprengeri)とキネンシス(L. chinensis)との雑種と思われます。

 私は10年程前に浙江省の山里でそっくりの(多分同じ)野生株を採集しました。


36) カナリーヤシ Canary Island Date Palm: Phoenix canariensis  2007.08.30
 日曜美術館30年展を観賞するために久しぶりに出かけた県立美術館の前庭に二株のみごとに手入れされたカナリーヤシ(Canary Island Date Palm: Phoenix canariensis)がありました。
 結実して茶色に色づいた花穂が霧雨の向こうで煙っていました。

 カナリア諸島が原産のヤシですが、島では深い谷間の岩場に生えています。ローマ時代にはすでにその存在が知られていた島ですから、この耐寒性のあるヤシがいま世界中で植栽されていることも理解できます。

 最初に島から持ち出されたのはいつのことだったのでしょうね。


37) 満開のブルーパール   L. cv. 'Blue-Pearl' in full bloom     2007.08.31
 一昨日、咲きはじめたばかりのブルーパールを紹介させていただきましたが、今日は満開になった姿をご覧下さい。


38) セイヨウキョウチクトウ  Nerium oleander         2008・08・05
 関東地方は大荒れの日が続いているようですが、このあたりは連日の酷暑です。
今日は発見を一つしました。我が家に植栽されている夾竹桃の一株がセイヨウキョウチクトウNerium oleander) でした。毎年咲いていたのにうかつでした。
 地中海域が原産地で、インドが原産地というキョウチクトウN. indicum)との違いは香りがないことや副花冠が荒い鋸歯状になっていることなどのようです。
 そこで、もう少し詳しく調べてみますと、両分類群の分布はパキスタンからアラビア半島あたりで重なっていて、交雑が起こっているようです。また、育種家が実生を選別したり交配して作出したものも多く、現在栽培されているものにはさまざまな程度の中間形があることもわかりました。
「野の花便り~宝永山の7月の花」をUPしました。よろしかったらどうぞ。


39) メマツヨイグサ  Oenothera bienis              2008・08・07
 8月の酷暑の中で元気よく咲く花は多くはないのですが、月見草の仲間はその少数派の一つですね。
 早朝の散歩道で、朝露に濡れて咲いているメマツヨイグサOenothera bienis) を見ました。

 北アメリカの東部から中央部にかけて広く分布していて、Munz(1965) は3亜種に分けていますが、地理的な変異が大きく分類が難しいものの一つだそうです。
 日本に渡来したのは明治時代の末だといわれています。
 よく似たものにアレチマツヨイグサがありますが、こちらは花序の先端が垂れ下がり、花弁同士の間の隙間が目立ちます。

「野の花便り~盛夏」オニドコロを追加しました。


40) ジュズサンゴ  Rivinia humilis                  2008・08.14
 2005年11月10日に珊瑚色に熟した果実の画像をUPしましたが、その実がこぼれて増えたジュズサンゴRivinia humilis)が今我が家の庭で花と実の盛りです。

 南アメリカが原産のヤマゴボウ科の低木で、英語圏ではベイビー・ペッパーとかコーラル・ベリーと呼ばれています。和名もそうですがやはり花よりも実が目立つからでしょうね。
でも、白い、やや緑を帯びた花も涼しそうで、熱帯の木陰が似合いそうです。
 実を蒔けばすぐに発芽しますが、低温には弱いので冬は加温しないといけません。

野の花便り~盛夏」にナガバギシギシを追加しました。


41) エビスグサ Cassia obtusifolia                2008.08.17

 夜が明ける前に少し雨が降ったようですが、目覚めたときにはすでにあがっていて東の空にわずかに残っている筋雲が薔薇色に染まっていました。
 散歩ルートの岡に登ると、この季節には珍しく雲のかかっていない黒富士が牧の原台地から顔をのぞかせていました。

岡を下って茶畑の中を抜ける道を行くと、作業小屋の横に一叢のエビスグサCassia obtusifolia)が植えられていて黄色の蝶形花が咲いていました。
 熱帯アメリカが原産地といわれていますが、アメリカ南部から南米にかけて広く分布するほか、世界各地に帰化しています。日本へは薬草として中国経由で享保年間に渡来したようです。外来種なので夷草と呼んだのですが、いつの間にか恵比寿草とも書かれるようになりました。
 遠州ではハブソーという名で呼ぶ人が多いのですが、ハブソウC. occidentalis)は南米の熱帯が原産の別種です。こちらも江戸時代に渡来した薬草で、豆を煎じてハブ茶にしましが、近年はハブ茶にはエビスグサの豆を使っています。そのための混同でしょう。花はよく似ていますが、豆鞘の形で簡単に区別できます。アジアの熱帯が原産というコエビスグサC. tora)もハブソウと混同されています。

「野の花便り~盛夏」アキカラマツを追加しました。


41) マウンテン・ミントの実  Pycnanthemum sp         2008・08・24

 7月1日にマウンテン・ミントの花を紹介させていただきましたが、小さな地味な花であまり目を引くこともなく忘れられがちでした。
 それが面白い形の実を稔らせていることに今朝気がつきました。

 花茎の先端から毎日一つ二つと人目を避けるように目立たない花を咲かせていた、その証がこの螺旋状に整然と配列した実だったわけですね。
 びっしりと並んだ細かなとげのような毛は虫たちから次の命を守るためでしょうか。
 植物が見せる美しさは花だけではないことを再認識したしだいです。

野の花便り~盛夏」にヤマノイモを追加しました。



42) メキシコヒマワリ  Tithonia rotundifolia           2009.08.06
 長引いていた東海地方の梅雨が、新記録を作ってやっと3日にあけました。
久しぶりの青い空を楽しみながらの散歩道でメキシコヒマワリTithonia rotundifolia)を見ました。
 中央アメリカが原産とされるキク科の一年草ですが、園芸植物として世界中で栽培されています。
画像の株は“Torch”と呼ばれる品種のようです。
 ティソニアという属名はギリシャ神話に登場する、暁の女神イオスの寵愛を受け不死を与えられたものの後に昆虫に姿を変えられてしまったティソナスに因んだものだそうですが、私には????

『今日のリコリスガーデン 2009』をUPしました。お暇な折にどうぞ。


43) イエローレインリリー  Zephyranthes citrina        2009.08.07
 梅雨が明けた翌朝の散歩の途中で、黄色のゼフィランサス、イエロー・レインリリーZephyranthes citrina)に出合えました。
 タマスダレに似ていますがずっと繊細な感じのするかわいらしい花でした。

 カリブ海域が原産地のヒガンバナ科の球根植物です。
 ヨーロッパに導入されたのは1880年とのことですが、1889年にはすでに1822年にラプラタ川流域からもたらされていたタマスダレとの雑種、Z. X ajax、が作出されています。

『野の花便り~弁才天川の河口の花々』をUPしました。


44) ヘチマ Luffa cylindrica                    2009.08.09

 明け方まで寝苦しい暑さでしたが、日の出の時間になると涼しくなり、濃い霧が出てきました。
その霧の中の散歩で生垣を這うヘチマ(糸瓜:Luffa cylindrica) の花を見ました。
 東南アジアが原産と考えられている植物で、原産地では古代から食用されていたそうです。日本に中国経由で渡来したのは慶長年間だといわれていて、林羅山の『多識編』には野菜の一種として“倍知麻、へちま”の名で紹介されています。 昔、ヘチマは束子を作ったりヘチマコロンを採るためだけのものと思っていた頃、タイから来た留学生のソムサックさんに食べられることを教えられたました。

『野の花便り~盛夏』ガンクビソウを追加しました。



45) アメリカホドイモ Apios americana              2009.08.17
 目が覚めて散歩の仕度をしていたときの震度6にいささかビビりましたが、幸い横積みにしてあった書棚の数冊がこぼれた程度ですみました。M8の場合はこの100倍ものエネルギーだと、なんだか嬉しそうに、どこやらの先生が話していましたが、なるようになれの気分で出かけたかいがあってアメリカホドイモApios americana)の花の盛りを撮れました。

 北米原産で北はオンタリオとケベックから南はテキサス、ロッキー山地東部のプレーリーにわたって広く分布しています。
 マメ科なのにイモと呼ばれるのは、根が肥大して芋状になるためで、ホドは塊の意味だそうです。この塊根は甘みがあり、アメリカ先住民の多くの部族が食糧として利用しています。


46) ツルムラサキ Basella alba                 2009.08.17
 昔、宿舎の小さな菜園に生い茂り辟易した思い出のあるツルムラサキBasella alba)が某家の生垣を越えて顔をのぞかせていました。

 4属19種が知られているツルムラサキ科のツルムラサキ属の一年草で、世界の熱帯に広く分布している栄養価の高い食草です。分布密度から見て原産地は東南アジアだという説もありますが、確かなことはわかりません。
 この属には5種あって、内3種がマダガスカル、1種が東アフリカ産です。この画像のように赤い色素をもつものをシンツルムラサキB.rubra) と呼ぶこともあります。明治時代に渡来したものだそうです。
 瘤状の花には花弁はなく蕚に包まれオシベやメシベは少し顔を出す程度です。このまま熟していわゆる偽果となります。

『野の花便り~盛夏』ハマゴウを追加しました。


47) アメリカリョウブ  Clathra alnifolia L.       2010.08.07

 調べてみると結構あちこちで植栽している花木だと知りましたが、私は今日初めてこの木、アメリカリョウブClethra alnifolia L.)に出合いました。
 アメリカ東部のノバ・スコティアあたりからフロリダ北部、テキサス西部にかけて分布するリョウブ科リョウブ属の低木です。Sweet papperbush と呼ばれていますが、蕾がたくさん並んだ長い花穂がコショウの花序を思わせることと甘い花の香に因んだもののようです。湿地に多く、葉の形がハンノキのそれと似ていることから Spiked Alder とも呼ばれます。古くから庭園樹として利用されていて、花穂の形や花の色がさまざまな園芸品種が作出されているそうです。また、近縁種のMountain Sweet papperbush の樹皮の煎汁は北米先住民チェロキー族によって吐き気止めや解熱剤として利用されるそうです。
 リョウブ属には83種が記載されていて、内82種はアジアと北米と熱帯アメリカ産ですが、フォラド(folhad)と呼ばれるただ1種(C. arborea Aiton) がマデイラ島に隔離分布しています。



48) シチヨウジュ  Alstonia scholaris (L.) R. Br.       2010.08.08
 昨年暮れから気にかかっていたことが、今日届いた「東サバ州植物のフィールドガイド」を見て解決しました。

 チェンマイ郊外の町の公園に生えていた、細かな白い花を房なりに咲かせた大きな木の名はシチヨウジュ(Alstonia scholaris (L.) R.Br.) でした。
 東南アジアを中心にインド、中国南部、オーストラリアに分布するキョウチクトウ科の高木です。英語名はDita-bark ですが、これはフィリピンでの呼称を借りたものだそうです。
 西岡直樹さんの『インド花綴り』によると、サンスクリット語ではサプタパルナ(saptaparni) と呼ぶとのこと。これは若枝には7枚の葉が輪生するという“七つの葉”の意味だそうです。和名はこれを直訳し“七葉樹”としたわけですね。
 材質は柔らかく軽いので食器に加工されたり、スリランカなどでは柩を作るのにも利用されます。 
 樹皮にはディタミンやエキタミンなどのアルカロイドがあって、東南アジアでは古くからマラリヤの治療に利用されました。インドネシアでは樹皮の煎汁を難産の妊婦に処方したそうです。
 花の盛りには強い香が漂うそうですが、チェンマイのそれは高いところに咲いていたためかイボタノキの花のような青みを帯びた匂いがかすかにしていただけでした。


49) オウムユリ  Alstroemeria psittacina Lehm.       2010.08.13
 放置され雑草が茂った河川敷の中の小さな畑にオウムユリ(Parrot lily : Alstroemeria psittacina Lehm)が咲いていました。
 雑草などには負けないぞ!というような強さを感じさせる佇まいでした。

 ブラジルのパンタナールとセラードと呼ばれる植生帯が原産地で、1829年にヨーロッパへ導入されて以来、園芸植物としてあちこちで栽培されるようになったユリズイセン科の多年草で、ペルーユリ、インカユリ、オウムバナなどといろいろな名で呼ばれます。

 環境適応性が高く、各地で野生化しています。南半球ではクリスマスの頃咲き、ニュージーランド・クリスマス・ベルの名もあります。
 切花としてフラワーショップで売られているアルストロメリアの仲間です。


50) ノウゼンカズラ  Campsis glandiflora (Thunb.) K. Schum.   2010.08.14
 梅雨の明けるのが待ちきれないかのように咲き出したノウゼンカズラCampsis glandiflora (Thunb.) K. Schum.) が、まだ咲き誇っています。高温多湿と青空が好きな花ですね。
 ご存知のように、中国原産のノウゼンカズラ科の登攀性蔓植物ですが、平安時代までにはすでに渡来していて、『本草和名』によると当時は“乃宇世宇ーのうせう”あるいは“末加也岐ーまかやき”と呼んでいました。ノウゼンは前者の転訛だといわれています。漢字表記にはいろいろありますが、一般には「凌霄花」と書いてノウゼンカズラと読ませています。空高くまでよじ登る花という意味です。
 貝原益軒は『花譜』の中で「花に鼻を当てて嗅いではいけない、脳が壊れる。花に溜まった露を目にいれると目がつぶれる」などと恐ろしいことを書いていますが、そんな心配はないそうです。蕾がヒヨドリに啄ばまれてしまうことも間々あるようです。 日本滞在中の1691年に観察したこの花を "FLORA JAPONICA (1712)" の中でヨーロッパに紹介したのはエンゲルバート・ケンペルですが、実物が渡ったのは19世紀初頭だったそうです。


51) ゴールデン・カナピイ Abutilon hybridum Voss. "Golden Canopy  2010.08.20
 久しぶりに覘いてみた花鳥園は、夏休みということもあって家族連れや若いカップルで大賑わいでした。
 頭上をベゴニアやサルビア類などの大きなハンギングポットが彩るバイキングスペースは行くたびに広がっているようですが、その一隅にイチビ属(アブチロン仲間)の園芸品種の一つ、ゴールデン・カナピイ(Abutilon hybridum Voss "Golden Canopy")の明黄色の花が咲いていました。

 イチビ属には160種ほどが記載されていて多くは熱帯から亜熱帯にかけて分布しています。
 花だけ見るとフヨウ属の仲間(ハイビスカス類)との区別に悩みますが、柱頭の数や果実の形態の違いなどで区別できます。フヨウ属の果実は蒴果ですが、イチビ属のそれは多数の分果に分かれます。


52) モミジアオイ  Hibiscus coccineus (Medicus) Walt       2010.08.26
 法師蝉が庭に茂るセンダンの樹の中で鳴いています。
 子供の頃はこの「オーシー・ツクツク・・」声が夏休みが終わるのが「惜しい、つくづく惜しい・・」と聞こえたものですが、いまの私には秋の近づきを知らせてくれる嬉しい声です。
 その声の下で、モミジアオイHibiscus coccineus (Medicus) Walt.)の燃える夕日のような花が咲いています。

 北米のバージニア州からアラバマ、フロリダ、ルイジアナ州に渡る東海岸地帯が原産地です。沼沢地など水辺を好む多年草です。自生地では、ひときわ高く草むらから伸び上がり、その赤い花は遠くからも人目を引くそうです。

 日本へは明治時代に渡来し、瞬く間に全国に普及したといわれています。

 最近は近縁種で葉の切れ込みが浅いクサフヨウ(H. moscheutos)との交配種も出回っています。

野の花便り~盛夏」に キハギ を追加しました。


53) ゴシキトウガラシ  Capsicum annuum L. cv.         2010.08.30
 朝からの蝉時雨の中、所用があってお訪ねした花師匠のお宅の庭でも、モミジアオイが燃え盛っていました。
 帰りしな、先ほど菜園から採ってきたばかりだというオクラとポットに植栽されてみごとにいろづいたゴシキトウガラシ(Capsicum annuum L. cv.) をいただきました。

 よく知られているように、トウガラシ属は熱帯アメリカが原産地で、コロンブスたちによりヨーロッパへもたらされ、そしてアジア、アフリカへと伝播しました。分類の仕方には諸説があるようですが、Andrews. R.J.(1995)は10種にまとめています。

 ゴシキトウガラシは5つのグループに分類されているアンヌウム・トウガラシ(C. annuum L. var. annuum)のコノイデス・グループの園芸品種の一つだそうです。パプリカどうように辛くない唐辛子です。


54) ブラッサウォラ・ノドサ Brassavola nodosa (L.) Lindl.   2011・08・03

 ふらりと立ち寄ったフラワーショップの棚に、私には初見の面白い花形のランの小鉢がありました。
ボウランのそれに似た葉とスズムシソウのような唇弁と側弁つくりの花ですが、ラベルがなく売り子さんも名を知りませんでした。
 帰宅して調べたところ、ラン愛好家にはよく知られているブラサウォラ・ノドサBrassavola nodosa (L.) Lindl.) でした。
 メキシコから中米を経てに西インド諸島・ベネズエラ・ペルーに分布していて、飛沫がかかるような海辺で見られるそうです。夜になると柑橘系の芳香を放つといいますが、買ってきた鉢は花数か少ないせいか私の鼻のせいなのか昨夜はほとんど香りませんでした。
記録によると、早くも1698年にはキュラソー島からポーランドに移入されましたが、これがヨーロッパに入った最初の熱帯ランだったそうです。
『野の花便り~盛夏』エンジュ を追加しました。



55) アズキ Vigna angularis (Willd.) Ohwi et Ohashi   2011.08.10

 最近の朝の散歩は出遅れると帰り道が大変なことになりますね。なにしろ日差しが強すぎます。
 常葉の丘を越えて打上の茶畑の中の道を行くと、畑を縁取るように植栽されているアズキVigna angularis (Willd.) Ohwi et Ohashi) に、ちょっと捩じれたような形の黄色の花が咲いていました。
 縄文時代から古墳時代にわたる遺跡から炭化物が出土し、『古事記』や『日本書紀』にも登場することなどから、アズキは中国から伝来したものというのが通説ですね。
 しかし、鞘が自然裂開する小粒性の野生のアズキ(野良アズキ)が日本のほか韓国にも分布し、遺伝子的にアズキによく似たヤブツルアズキがヒマラヤから日本に亘って見られることから、中国起源説に疑問を持つ人も多いようです。
「野の花便り~盛夏」ヒメクグ を追加しました。



56) ダキバアレチハナガサ  Verbena incompta Michael     2011.08.20
 猛暑続きでしたが、今朝の気温は21℃まで下がり、初秋の涼しさの中をゆっくり散歩ができました。
 とはいえ、熱風と強烈な日差しに痛めつけられてきた街角の花園に咲く花は数えるほどしかありません。そんな中で、人の背丈ほどに茂り、擦り切れたブラッシのような長い花穂の先に細かなピンクの花をつけているのがダキバアレチハナガサ(抱葉荒地花笠:Verbena incompta Michael)です。
 南アメリカ原産の多年草で、最近までアレチハナガサ( Verbena brasiliensis Vell.)と混同されていました。たしかに花だけに注目すると区別は至難ですが、方形の茎に対生する葉の特徴に違いがあります。
 しかし、場所によっては両者が混生していてますから注意が必要です。
野の花便り~盛夏」に 雌雄同株のサネカズラ を追加しました。



57) アキメネス・ロンギフロラ   Achimenes longiflora DC.   2011.08.30

 バナナワニ園で開催された熱帯動植物友の会の総会に参加して、リコリスの話をさせていただきました。
 温室には色とりどりの珍しい花が咲いていましたが、昨年の8月29日来たときは見ることができなかった花にも出会えました。
 その一つがこの画像のアキメネス・ロンギフロラAchimenes longiflora DC.)です。

 イワタバコ科の多年草で、メキシコが原産地だそうです。高温多湿な環境に生育し、原産地でも9月から開花するようです。
 この属には約23種が熱帯アメリカで知られていますが、栽培条件下では容易に種間で交配でき、雑種も稔性が高く、さまざまな園芸品種が作出されています。
 よく似た種で、メキシコでpatitoと呼ばれる A. grandiflora (Schiede) DC. は触れるとかぶれるそうですが・・・・。



58) フサスグリ Ribes rubrum L              2012.08.03

 庭の片隅に植えておいたものの、少しも大きくならず、最近はすっかり忘れていたフサスグリRibes rubrum L.) に、気がつくとわずかですが真赤な実房がついていました。
 西ヨーロッパが原産のスグリ科の低木で、古代からその実は食用され、今では多数の品種が栽培されています。
 英語ではこの仲間を gooseberry と総称しています。
 実で作ったソースをガチョウの肉料理に使ったことに因む名だといわれますが、‘棘だらけ’を意味するgorseに由来するという説もあります。スコットランドで grozarあるいはgrose rと呼ぶことことやイタリアには uva spina の名があるからだといいます。
 日本には明治の初年に導入されたそうです。寒さにはめっぽう強いのですが、高温多湿に弱く、このあたりでは生きづらいようです。
「野の花便り~盛夏」ヤマアワを追加しました。


59) タカサゴフヨウ Pavonia hastata Cav.           2012.08.15
 久しぶりの散歩で通りかかった公園の花壇に、弥生時代の遺跡から出土する矛先に似た葉を茂らせて、タカサゴフヨウPavonia hastata Cav.)の薄桃色の花が咲いていました。
 タカサゴフヨウは南アメリカ原産でブラジル・アルゼンチン、ボリビアに分布しています。フヨウ属(Hibiscus)にまとめられることもありますが、果実が5つの小果に分かれていることと柱頭が10本以上あることなどからヤノネボンテンカ属(Pavonia)に分類されています。
 栽培が容易なことから園芸植物として普及していて、日本ではやや稀ですがUSAやオーストラリアなどでは自生と間違われるほどに帰化しているようです。
『野の花便り~盛夏』ヤブミョウガを追加しました。



60) リコリス・ウイドエンシス
    Lycoris flavescens Kim. et Lee var. uydoensis Kim. et Lee   2012.08.25

 韓国と日本の外交が、あちらが独島と呼ぶ竹島を巡ってギクシャクしていますが、16年ほど前に全州大学の金烈茂教授が運んできてくれたリコリス・ウイドエンシスLycoris flavescens Kim. et Lee var. uydoensis Kim. et Lee) が5年前から咲き始め、今年も満開になりました。

 韓国の黄海に面した群山の南西40kmにウイドという小さな島があります。島名の意味はハングル表記では伝わかりませんが、蝟島と漢字表にすれば、ハリネズミに因んだものと理解できます。
 このリコリスは、この島で発見され、金さんたちがフラベスケンス(L. flavescens)の変種として記載したものです。

 ちなみに、ハリネズミは伊豆半島のゴルフ場などで、逃げ出したものか捨てられたものかわかりませんが、野生化繁殖していて問題になっています。

『野の花便り~盛夏』サルスベリを追加しました。


61) ノゲイトウ Celosia argentea L.            2013.08.02
 水曜日から今朝にかけて、遠州でも少し雨がふりました。
 そのおかげでしょうか、リコリスの花茎が2本ばかり顔をのぞかせましたが、花壇では百日草もマリーゴールドも気息奄々です。そんな中で元気がよいのはノゲイトウCelosia argentea L.)です。

 南アメリカの熱帯が原産地だそうですが、いまでは世界各地の暖地で野生化したものに出合えます。
 静岡県下では伊豆半島南部から浜松にかけての沿海地域に帰化していますが、群生することはないようです。
 日本では観賞用に栽培するほかの利用はないようですが、インドやネパールでは若芽や葉を食用しています。中国では乾したものを青葙と呼び止血剤としています。西アフリカから東アフリカにわたる広範囲でも野菜として利用されています。

『野の花便り~盛夏』オトギリソウを追加しました。


62) ゴマ Sesamum indicum L              2013.08.16
暑気せめぐ土むっとして胡麻咲けり  飯田蛇笏

 連日の激暑と干天ですが、歩いていないと要介護になる確率が5倍にもなるそうだよ、と家人を誘って朝の散歩に出ました。
 6時を少し過ぎたばかりなのに、常葉の丘から西方川沿いの集落に出たときには汗がにじみました。住宅が増えてきてはいますが、まだあちこちに畑地が残り、その一角でゴマSesamum indicum L.)が花の盛りでした。

 ゴマ属の植物は中東からインドにかけての地で紀元前3500年にはすでに栽培されていたことは古代遺物から推測されていますが、それが現在のインディクム・ゴマと同一種か否かは確かではありません。というのもこの属には10種ほとが知られていて、そのうちのアングスティフォリウム・ゴマとラディアツム・ゴマがいまでもアフリカで栽培されているからです。
 日本にはインディクム・ゴマが中国経由で奈良時代以前に導入されたといわれています。

『野の花便り~盛夏』ソテツの雄花を追加しました。


63) アメリカリョウブー2 Clethra alnifolia L.       2014.08.04
 4年前に出合って、その清楚な花姿に魅かれて購入し、庭先に定植しておいたアメリカリョウブClethra alnifolia L.) が花の盛りです。

 10~15cmに育つ花穂が次々と立ってきます。下から順に咲いてゆくそれぞれの蕾の先は桜色で、ひらけば5枚の花びらに囲まれた10本の雄しべと1本の白い雌しべがあらわれます。よく見れば柱頭は3つに分かれていて、それぞれは小さな小さな宝石のようです。

『野の花便り~盛夏』奇妙な猫じゃらし を追加しました。


64) ハナカンナ Canna x genrralis L. H. Balley         2014.08.17
 黄のカンナの空気洋灯の如くなり
    子供出て來よ背戸の月夜に  北原白秋
空気洋灯は口金の部分にたくさんの通気孔を開けて明るさを増した大正時代の石油ランプだそうですが、白秋には夕闇の中の黄色のカンナがそれを連想させたのでしょうか。
 日が落ちてからの散歩の途中で黄花のカンナに出合って、ふとこの短歌が思い出されました。
 日常的にカンナと呼んでいる植物の正式和名はハナカンナCanna x genrralis L. H. Balley) で、明治時代に渡来した園芸植物だそうです。
 原種は中央アメリカを中心に分布していて、根茎に含まれる多量のでんぷんが食用されます。江戸時代に渡来して観賞用に栽培されていたタンドク(C. indica L.)は東南アジア原産と考えられていましたが、原産地はやはり南米です。
『野の花便り~盛夏』ワダン を追加しました。


65) ヒヨス  Hyoscyamus niger L.           2014.08.27
 今日は珍しい花がフラワーショップに飾ってありました。
 ヨーロッパでは古代から知る人ぞ知るのヒヨスHyoscyamus niger L.)でした。

 中国西部からヨーロッパにかけて分布するナス科の二年生の草で、アルカロイドのヒヨスチアミンやスコポラミンを含んでいます。
 これらのアルカロイドには鎮痛・鎮痙の効力がありますが、神経毒ですから幻覚症状も引き起こします。人類はいつごろからその効力を知っていたのかはわかりませんが、新石器時代の遺構からこの種子が見つかっているそうです。ファラオの時代には子供の疳の虫を鎮めるのに使ったともいいます。
 個人差はあるようですが引き起こされる幻覚は鮮烈で摩訶不思議だそうです。問題の危険ドラッグにはその種子や乾燥させた葉片などが入ったものもあると聞きます。

『野の花便り~盛夏』シュロソウ を追加しました。

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