No.5今日のリコリス・ガーデン
Lycoris Garden Report 2005

No.5 : 09.01 〜

台風14号が去って、上空はすっかり秋模様です。
 遅れていたコヒガンバナも咲き、ホウディシェリやも韓国産のフラベスケンスも咲き始めました。

2005−09−01 〜 07

 昨年のレポートと比較してしていただければよろしいのですが、コヒガンバナは2週間近い遅れで咲き始めました。一方、ホウディシェリなどはほとんど同時期に咲き始めています。分類群(遺伝子型)による違いなのか、はたまた気まぐれなのか。長期間にわたる観察を続ければわかるのか。さてどうなんでしょうね。

下の写真:
左) コヒガンバナ This taxon is L. radiata var. pumila, which is a fertile diploid.    
右) 莫干山産のタイプB。2n=19。不稔性。A sterile hybrid between L. chinensis and L. radiata var. pumila from Mt. Moganshan, Zhejiang. Type B.

 

下の写真:
左) これも莫干山産の不稔性分類群。キネンシスとコヒガンバナの雑種らしい。A taxon from Mt. Moganshan, Chejiang, China. This taxon is sterile. 2n=19=3M+5T+11A. This should be a hybrid taxon between L. chinensis and L. radiata var. pumila.
右) ホウディシェリ。This is L. houdyshelii. 2n=30=3M+5T+22A.

 

下の写真:
左) ロゼアL. rosea with 2n=22A. This taxon may be the hybrid bitween L. radiata var. pumila and L. sprengeri.
右) 韓国産のフラベスケンス。韓国産のキネンシスとムジナノカミソリの雑種。This is L. flavescens from Korea with 2n=19=3M+1sm+4T+11A. A hybrid between L. chinensis var. sinuolata and L. sanguinea var. koreana.

 

下の写真:
左) これも莫干山さんの不稔性分類群のひとつで、sm 型の染色体を1本持っている。A sterile taxon from Mt. Moganshan, with 2n=19=3M+1sm+4T+11A. This should be a hybrid between L. chinensis with 6M+2sm+8T and L. radiata var. pumila.
右) ウエキ1号と呼ばれている園芸品種。スプレンゲリとナツズイセンを交配して作出したという。This is a breed named UEKI-1GOU produced by Mr. Ueki by hybridizing L. sprengeri (2n=22A) with L. squamigera (2n=6M+10T+11A). The karyotype of this breed, however, is 2n=22=22A. Moreover the morphology of the floral organs suggests the relation to L. radiata.



2005−09−08 〜 21

リコリスさんたちは次々と咲いてくれたのですが、レポーターが世の流れにアップアップで、やっと花たちを紹介する時間ができました。ごめんなさい。
去年に比べるとヒガンバナやシロバナヒガンバナの開花は遅れています


左) 咲き始めた済州島産のチェジュエンシスです。 Blooming L. chejuensis from Cheju Island, Korea. A triploid hybrid between L. sanguinea var. koreana and L. chinensis var. sinuolata.
右) 今年も咲いてくれた”再会”です。韓国で記載されたフラベスケンスと同じものです。 This taxon, SAIKAI, a commercial name in Japan, is L. flavescens which is the diploid hybrid between L. sanguinea var. koreana and L. chinensis var. sinuolata.



左) ”さつま灯”。 A cultovar, SATUMA-AKARI. This taxon is presumably a hybrid between L. sprengeri and L. sanguinea.
中) 3倍体キツネノカミソリ。 The triploid taxon of L. sanguine with 2n=32=31A+1M'.
右) ストラミネア。 L. straminea. Probably this sterile taxon is originated in hybridization between L. radiata var. pumila and L. chinensis.

  


左) ”オオスミ” 小松崎がアケボノショウキランと呼んだものにあたる。 This is L. rubroaulantiaca and OOSUMI is the commercial name of this taxon. A hybrid between L. traubii and L. sanguinea.
右) 2n=16のオーレア。 A cytotype of L. aurea, 2n=16=6M+10T.



教えてください:

 今年は例年になくヨトウチュウ類の食害が激しく、オルトランなどを散布してもほとんど効果がありませんでした。
両端の幼虫は蕾を咬み落としたり花や種子を食べてしまいます。中央の幼虫は花茎の中にもぐりこんだりして途中から上部を枯らしてしまいます。
 正しい種名と防除法をお教えてください。
 In this year, the scapes, flower buds and flower are damaged badly by many larve as shown in upside pictures. Please teach me the scientific names of these larvae and the prevention or extermination methods against them.
                                       
教えていただきました: 
 @長野で林檎園と花卉栽培をされている三井さんからの情報です。
   左右のものはハスモンヨトウ(Prodenia litura Fob.)でアファーム乳剤などが効果があるそうです。
 A 大学時代の先輩の岩田さんに教えていただきました。
   中央の幼虫はハマオモトやスイセンなども食害するハマオモトヨトウ(Brithys crini crini Fab.) だそうです。



2005−09−24 〜 10−03


 遅ればせながら菊川堰堤に植栽されたヒガンバナが満開になりました。今年は草刈作業が終わってから花茎が伸び始めたのが幸いして、咲き誇る花群が散策をする市民の目を楽しませています。
 我が家のヒガンバナも、夜盗虫の幼虫たちにかじられながらですが、咲き始めています。


左) フラベスケンスです。この遅咲きのクローンはオレンジ色が強く発色する傾向がありますが、今年の方が昨年より強く発色しました。 The late-brooming clone of L. flavescens. Tint of the flowers is much deeper than that of last year.
右) ヒガンバナシロバナヒガンバナ。 L. radiata var. radiata and L. albiflora.

 

左) オーレア。2n=16。自家受粉を避けるためか花柱が花糸から離れて下垂している。L. aurea with 2n=16. Style droops to evade self-pollination.
右) アケボノショウキランベニサツマ)。 A form of L. rubroaurantiaca, BENISATUMA.

 

左) 杭州植物園作出のコヒガンバナとロゼアのFという個体が咲きました。ヒガンバナより一回り小さい気もしますが、区別は困難です。2n=22なので稔性があるかいなか、これからが楽しみです。A hybrid between L. radiata var. pumila and L. rosea which producend by Mis Linn of Hangzhou Botanical Garden. The karyotype is 2n=22, but the fertility of this hybrid is unknown at the present time.
右) フォーン。 花柱が折れ曲がっているのでシロバナヒガンバナと区別できます。L. cv. "fawn". The bent style of this taxon is a good character to distinguish this taxon from L. albiflora.

 

左) 秋咲きのキツネノカミソリです。コハナバチが花粉を集めています。 Autumn brooming L. sanguinea. A tiny bee, Lasioglossum sp., is gathering pollens.
右) 八重咲きのミュータント・ヒガンバナ。今年は4本の花茎が立ったのですが、夜盗虫にかじられてかろうじて1本だけが咲きました。 The sex-lack mutant L. radiata, 2n=33.



2005−10−4 〜 18

ヒガンバナは昨年に比べて開花が遅れましたが、間もなく今年のリコリスの花の季節も終りです
上の写真:
左) 江西省産のヒガンバナ。2n=33.  L. radiata var. radiata from Jiangxi province, China. 2n=33.
中) 満開のアウレア(2n=16)。 L. aurea (2n=16) is in full bloom.
右) 風船咲きで終わったミュータント・ヒガンバナ。 These flower buds of the mutant L. radiata stop to bloom. Such flower shape is termed Fusen-zaki (balloon flowers)。


上の写真: L. aurea var. typica (2n=15)
左) 咲き始めたホンコンショウキラン。総苞片が緑色で大きい。 L. aurea var. typica (2n=15)。
右) 満開になったホンコンショウキラン。短い小花柄と上向きに咲く花が特徴。Full blooming L. aurea var. typica. Greenish large bracts and upright flowers are typical nature of this sterile taxa.

 

上の写真: L. hengxianensis, 2n=12(10M+2T)
左) 開花が始まった。 The virgin flower of L. hengxianensis Kurita et Hsu.
右) 満開の黄県忽地笑。長い小花柄と白く短い総苞片が特徴です。 Full blooming L. hengxiannensis. The long pedicels and whitish short bracts are characteristics of this taxon.


コヒガンバナやロセアの葉が伸び始めています。
ここから来年の初夏までは葉を伸ばして栄養を蓄えることになります。
リコリスガーデン・レポートNo.5はここで終り、来年までお休みします。



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