今日のリコリス・ガーデン
Lycoris Garden Report 2004

No.1 : 04.07.12 〜 04.08.31

 間もなく梅雨が明けます。いよいよヒガンバナ類の花の季節が始まります。いつもなら花茎が上がってくるオオキツネノカミソリも、今年は未だ動く気配がありません。
 我が家のリコリスガーデンの移り変わりを週を追って報告してゆきます。ご期待ください。
12、July

2004−07−12 
 8月〜9月に咲く分類群のコーナーの一部です。今年は雨が少なくて乾燥気味です。


2004−08−02 
 やっと花茎が伸びてきました。

  

 こちらでは7月の28日までほとんど雨が降らず、いつもですと上旬には開花が始まるオオキツネノカミソリも地中に潜ったままで、花芽ができなかったのではないかと心配しました。
 東から西へ向かうおかしな台風が接近する中、IAPTのシンポジュウムに参加するために来日する、ヒガンバナ類の採集でお世話になった浙江大学の傳先生に会うため、家を後にしました。
 29日からは東海地方では熱帯のスコールのような強い雨が断続的に降りました。
 昨夜遅く、5日ぶりに帰宅し、夜が明けるのを待ってリコリスガーデンに出てみました。出掛ける前には影も形もなかったのですが、数種類の花茎がすくすくと伸び上がっていました。長筒石蒜(ロンギチューバ)など、もう40cm近くも伸び、明日にも開花しそうになっていました。
 上の写真は左がオオキツネノカミソリ、中央がキリシマキツネノカミソリ、右がロンギチューバです。詳しいことは分類のページ http://www5e.biglobe.ne.jp/~lycoris/taxonomy-3.html をご覧ください。


2004−08−03
開花が始まりました。

  昨日の蕾が一夜で花開きました。
 オオキツネノカミソリ(2n=22=22A)。オシベとメシベが突出するのが特徴のひとつです。
 ロンギチューバ(2n=16=6M+10T)。よい香りがします。


  昨日は見落としていたのですが、植木の陰で咲いていたキネンシスL. chinensis) とスプレンゲリ(L. sprengeri) との雑種と推定される株です。不稔性で種子はできません。


2004−08−04
インカルナータも咲きました

の写真がインカルナータ (L. incarnata)です。

キリシマキツネノカミソリ。花だけではオオキツネと区別できませんが、葉は12月に出ます。


2004−08−06
   スプレンゲリが咲き初めました   

  スプレンゲリが開花しました。市井の学者、故杉本順一先生はムラサキキツネノカミソリという和名を提案されましたが、あまり使われていません。中国名は「換錦花」です。あちらでもいろいろな呼び名がありますが、『植物名実図考』にあるこの名が標準のようです。
 個体や栽培条件で花の色は微妙に違い、拙著『ヒガンバナの博物誌』の口絵にあるように、青味が強いものもあります。
 育種家の方々はこの種を交配親としてさまざまな雑種を作出されています。
 詳細は分類のページ http://www5e.biglobe.ne.jp/~lycoris/taxonomy-3.html をご覧ください。
 

2004−08−07
夕霧も咲きました

上の写真: 今日咲いたリコリスです。
夕霧です。小森谷慧さんがロンギトゥバとスプレンゲリを交配して作出したものです。この個体はスプレンゲリとナツズイセンに大変よく似ています。中央は杭州植物園で作出したコヒガンバナとロンギトゥバの雑種です。花被片が短いのが特徴です。花つきがよく毎年楽しめます。ロンギトゥバの花被片の短い系統です。


  

2004−08−09
莫干山産の雑種分類群、杭州植物園交配種などもも咲き始めました

上の写真:
 は莫干山で採集した不稔性の個体の一つです。コヒガンバナとキネンシスの雑種と思われます。花茎は細く,花被片もスリムです。咲き始めは薄い黄色ですが、やがて日陰では純白に変わり、日向では赤味が出てきます。2n=19=3M+5T+11A。
 中央オフホワイトの名で市販されているものです。これも 2n=19=3M+5T+11A です。
 は張公洞産のキネンシスとスプレンゲリの雑種と推定される個体です。これも 2n=19=3M+5T+11A です。
 

上の写真:
 の写真の左の個体はユウギリ、右の個体はキネンシスXスプレンゲリです。よく似ていますが、花被片の波打ちの程度で識別はできます。
 中央は杭州植物園で作出したロンギトゥバXロゼアです。薄いピンク系統と濃いピンク系統があります。私は「西施」と呼んでいます。2n=19=3M+5T+11A です。



2004−08−10
黄花長筒石蒜(L. longituba.var.flava) とブルーパールが咲きました。

 がロンギトゥバの変種のフラワ(黄花長筒石蒜)です。

 右がブルーパール(L. cv. Blue-Pearl)です。


  

2004−08−11
ウエキ1号が咲きました。
園芸品種については http://www5e.biglobe.ne.jp/~lycoris/taxonomy-cultivar-3.html をご覧ください。

ウエキ1号と今朝のリコリス・ガーデンです。


2004−08−12
キツネノカミソリが咲きました:コヒガンバナの花茎が上がってきました

  左が典型的なキツネノカミソリL. sanguinea var. sanguinea ; 2n=22=22A) です。.

  右が花茎を伸ばし始めたコヒガンバナL. radiata var. pumila ; 2n=22=22A) です。朝日が反射してモヤシのようですね。


2004−08−13
アンフイエンシスが咲き始めました

 左がアンフイエンシス(安徽石蒜; L. anhuiensis, 2n=16=6M+10T) です。この個体はやや発育不全です。無香。
 右は比較のための黄花長筒石蒜(L. longituba var. flava, 2n=16=6M+10T)です。花筒部の長さにご注目ください。こちらはよい香りがします。核型では区別困難です。


2004−08−14
韓国のハリネズミ島(蝟島、Wido)特産のリコリスの蕾が大きくなりました

   昨年春、全北大学の金茂烈教授が持ってきてくれた、黄海に浮かぶ蝟島で発見された新変種、リコリス・フラベスケンス・バル・ウイドエンシスL. flavescens var. uydoensis)の蕾が膨らんできました。
 私は生の花を見るのは初めてなので、わくわくしています。金先生の意見では、母種と同じく 2n=19 でムジナノカミソリとキネンシス・バル・シヌオラタとの雑種のようです。



2004−08−15
ウイドエンシスが開花しました


が今朝開花したウイドエンシスです。
が昨年咲いた母種のフラベスケンスです。ウイドエンシスの方が花茎が太く高く、頑丈です。葉の幅も長さもフラベスケンスよりやや大型です。どちらも親は L. chinensis var. sinuolataL. sanguinea var. koreana ですから、兄弟同士です。不稔性で球根の分裂だけで増えます。二つのクローンと見てよいと思います。


  

2004−08−16
コヒガンバナが開き始めました

: 揚子江流域を中心に分布している2倍体で種子で増えることのできるコヒガンバナL. radiata var. pumila)が咲き始めています。日本の3倍体のヒガンバナより焼く1ヶ月早く咲き始めます(ヒガンバナでも稀に8月に咲く個体が出現しますが、毎年決まってというわけではありません)。
: 夕暮れ時の「今日のリコリスガーデン」です。だいぶんにぎやかになってきました。


2004−08−17
コヒガンバナが咲きました:ウイドエンシスは満開です

: 今朝の小雨の中で咲いたコヒガンバナです。花を見ただけではヒガンバナと区別するのは困難です。
: 昨日の夕方に撮影したウイドエンシスです。母種よりも黄色味が薄い感じがします。



2004−08−18
ロセアやハイワルディなどが咲きました 

ロセアL. rosea)です。ヒガンバナのような真紅ではなく青味がかった赤です。
中央は杭州植物園でスプレンゲリ(母)とキネンシス(父)との間に生まれた不稔性の分類群です。
ハイワルディL. haywardii) です。花びらの幅が広く、先端はブルーです。スプレンゲリの面影があります。



2004−08−22
キネンシス(中国石蒜)が咲きました

  江蘇省、浙江省、安徽省などに分布する中国石蒜L.chinensis)。種子で増やすことができます。花に香りはありません。長筒石蒜より2週間ほど遅れて咲き始めますが、花期は部分的に重なります。



2004−08−25
チェジュド・サンサーファ(済州島石蒜)も咲き始めました

 韓国済州島の安徳渓谷で採集したチェジュエンシスL. chejuenshis、 2n=30) です。
 この分類群も栽培条件により発色が微妙に変化します。


上の写真:
 左はロンギトゥバキネンシスと推定されるものです。江蘇省の湯山の産です。よい香りがあります。
 中央は浙江省の張公洞で採集した、スプレンゲリキネンシスの雑種と推定されるものです。蕾が美しく、”爪紅”と呼んでいます。
 右は杭州植物園作出の交配種でロンギトゥバ X コヒガンバナです。”楊貴妃”と呼んでいます。



2004−08−26
莫干山産の不稔性分類群も咲いています

  どちらも浙江省莫干山産。 2n=19= 3M+5T+11A で、自生地の状況と形態などからキネンシスコヒガンバナとの雑種と推定されます。



2004−08−28
花色の遷移 : ホウディシェリL. houdyshelli)のケース

: 雨が上がった8月24日に開ききった。咲き始めはやや黄色味がかかる。とくに花筒部の色が濃い。
: 8月25日。咲ききった状態では純白に近くなる。花筒部に黄味が残る。  

: 8月26日。強い陽射しを受けて全体に赤味がかかってきた。
: 8月27日。萎れ始める。花糸も花柱も赤く色づく。

 暗い樹陰で咲いた場合は赤く色づくことなく、純白に近い状態で萎れてゆきます。



 
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