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Variation and Evolution in the Karyotype of Lycoris, Amaryllidaceae
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| ヒガンバナ属の染色体数は約30分類群で構成される小さな属としては例外的に多様で、2n=12、13、14、15、16、17、18、19、22、23、26、27、30、32、33、44 の16タイプが知られている。核型も特徴的で大型のメタセントリック(M-type)染色体、テロセントリック(T-type)染色体、アクロセントリック(A-type)染色体の3型が基本で、これらの組み合わさったものである。 |
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この属の出発点となった祖先種はどんな染色体構成だったのだろうか。この問題の解明に最初に取り組んだのは稲荷山資生(1951b)である。 彼は体細胞分裂と減数分裂を古典的なパラフィン切片法研究し、2n=22=22Rの核型を持つキツネノカミソリのようなものが祖先型で、ショウキランにみられる2n=12=10V+2RなどのVタイプの染色体を含む核型が派生的なもと主張し、左図のような系統図を示した。 つまり、R染色体2本が縦に連結してV染色体ができたと考えたのである。 図中の核型を表す記号”R”はRod、つまり棒状の染色体、”V”はV shape、メタセントリック染色体を意味する。 その後、押し潰し法を採用した詳しい観察の結果(Kurita, 1976)、稲荷山のR染色体には動原体を末端にもつもの(T-type)と次端部にもつもの(A-type)に区別されるようになった。 この違いを認識することは核型の進化を考察する上で重要である。 |
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実際に稲荷山の提唱した仮説のような核型の進化(変化)が起こったのだろうか。 3タイプの染色体が存在するので、どのタイプを祖先型とみるかによって、右の図のような6通りの進化過程が想定できる。 Tのラインは切断説(fission hypothesis)で、M染色体が動原体部位で切断し2本のT染色体となり、これが端部で逆位を起こしてA染色体になる変化である。 UのラインはA染色体が出発点となるケースである。このラインの上段はいわゆる縦列結合(tandem fusion)で、A染色体が縦に結合して動原体の一つが機能を失いM染色体が生じるというもので、これが稲荷山の仮説である。中段はロバートソン結合(Robertsonian fussion)でA染色体の動原体部で切断が起こり、短腕を失った長腕が結合してM染色体となるケースである。このケースではM染色体の腕の長さはA染色体の長さより短くなる。つまり、A+A > M となる。下段はA染色体の逆位でT染色体ができ、ついで動原体部で結合してM染色体となるケースである。 VのラインはT染色体を出発点とするケースで、端部で結合したものがM染色体となり、逆位を起こしたものがA染色体となる。 これらの仮説のうちどのケースが最もよく現在のヒガンバナ属の多様な核型を説明しうるのだろう。 この問題を解決するためには、そのヒントとしてヒガンバナ属内で現在起こっている種内変異を明らかにする必要がある。 |
| そこで、種内変異を知るための基礎情報として、先ずこの属の核型の一般的特徴を調べた。 <結果> 1)休止核は分散型である。 2)基本的な染色体には大型の中部付着型(M-type)、端部付着型(T-type)、次端部付着型(A-taype)の3型があり、これらからの派生型としてA-typeがロバートソン結合して生じたM'-typeとm-type、A-typeの端腕が失われたT'-type、A-typeの長碗が一部欠失したa-typeなどの染色体が存在する 3)稲荷山によって観察された染色体対合の結果と今回観察された各染色体のC-バンドパターンからMとTとAには互いに共通する部位があると考えられる。 4)ショウキラン(L. traubii)のC-バンドパターとネギ科のハタケニラ(Nothoscordum fragrans)のそれは酷似している。 詳細は次のPDFファイル(Variation and Evolution in the Karyotype of Lycoris, Amaryllidaceae I. General Karyomorphological Characteristics of the Genus) を参照されたい。 |
稲荷山の仮説ではR(A+T)染色体が結合してV(M)染色体が形成される方向に進化したという。これが正しければ、それぞれの染色体の長さには、M=T+T、M=A+A、あるいはM=T+Aの関係が成り立つはずである。そこで、M-type, T-type, A-type染色体の3タイプを持つシロバナヒガンバナ(L. albiflora, 2n=17=5M+1T+11A)とナツズイセン(L.squamigera, 2n=27=6M+10T+11A)などの核型を観察してそれぞれの染色体長を比較した。 下の図と表はその結果である。 |
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| Fig.3はシロバナヒガンバナ2個体の核型の一部。1,2はM-type、3はT-type、4,5はA-type染色体。6,7, 8はヒガンバナで観察されたA,
M', m染色体。 Fig.4はナツズイセン2個体の部分核型。1はM-type、2,3はT-type、4,5,6はA-type、8bはキツネノカミソリのM'、8bはT'染色体。 いずれのケースでもM=A+Aではなく、T+T<M、A+A<Mであった。 また、現在観察されるA+Aにより形成される染色体はM'染色体で、A+A=M'+m、つまりA+A>M'である。さらにA-typeから短腕の消失により形成されるT'染色体は、A>T'、である。 |
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次の段階として L. aurea, L. straminea (= L. longituba), L. albiflora, L. cv. "fawn", L. cv. "lactiflora", L. squamigera, L. incarnata, L.houdyshalii, L. sprengeri, L. radiata var. pumila, L. traubii, L. radiata var. radiata, L. sanguinea var. sanguinea, L. sanguinea var. kiushiana, L. sanguinea var. koreana の14分類群の核型とその種内変異を調べた。
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<現生種で観察された染色体の構造変化> 下図. |
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これらの観察結果から次のような事実が判明した。 (1) A-type染色体の短腕の縮小あるいは消失で腕比の大きいAやT'染色体ができる。図中のaの上段。 (2) A-type染色体の短腕の伸長で腕比の小さいA染色体ができる。aの中段。 (3) A-type染色体の長腕の伸長あるいは縮小(欠失)で大型のAあるいは小型の次端部付着(subterocentric)染色体ができる。aの下段。 (4) A-type染色体のロバートソン結合でM'とm染色体が形成される。bの上段。 (5) A-type染色体の長腕部で切断ー結合が起こり2動原体染色体ができる。bの中段。 (6) A-type染色体の短腕寄りの近動原体部で切断が起こりmあるいはa染色体と、大きな無動原体染色体が形成される。bの下段。 (7) M-type染色体が動原体部で切断して2本のT-type染色体となる。c。 (8) M-type染色体の一方の腕が欠失する。d。 (9) T-type染色体が逆位して大型のA染色体、あるいは小さな中部付着型染色体となる。e。 |
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M、T、A-typeそれぞれの染色体長の測定結果と、種内変異の結果を勘案するとM-type染色体が祖形でその切断から進化が起こっていると考えたほうが理にかなっているようである。 |
これをさらに模式化した図である。 |
| 以上に述べた核型進化についての詳細な考察は以下のPDFファイルを参照されたい。 img043-mode.karyo.evolution.pdf へのリンク img045-orthoselection.pdf へのリンク img046-karyo.china.korea.pdf へのリンク img047-sino-japanese.flora.hybrids.pdf へのリンク |
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