2006年8月、思い出の地、イタリア・トスカーナ州のモンテプルチアーノを再訪しました!
こ
の数年来、イタリアの友人たちに「いつ来るの?」と言われ続け、もちろん私自身も「早く行きたい、トスカーナの景色が見たい」と思いながらも、なかなか余
裕がなく・・、ふと気が付くと5年の月日が過ぎていました。最後にイタリアを訪れたのは、まだリラが流通していた2001年夏のこと。帰国の時、サイフに
たった1個残った200リラのコインをそのままにして、「このコインが使えるうちに、またイタリアを再訪できますように」と祈ったというのに、結局、その
まま時は流れ・・、その間、我が家がおかれた環境はずいぶん変わりました。
モンテプルチアーノの幼稚園に通っていた息子は、今や中学生。夫
はますます忙しくなり、私はと言えば、目の前の仕事をこなしながら、イタリア語のレッスンに通う日々。大きな変化といえば、昨年夏に思いがけず、モンテプ
ルチアーノでの体験をまとめた本を出版することが出来たことくらいでした。ただ、それを機に、私のなかで「いい思い出」となってしまっていたモンテプルチ
アーノへの想いが、再びむくむくとふくらみ、もう一度ゆっくりあの街で過ごしたい、お世話になった人たちに直接、本を手渡してお礼が言いたい・・、と思うようになったのです。
実 は、今回は初めてのトスカーナ一人暮らしでした。というのも、家族3人のスケジュールを調整するのが思いのほか難しく、私は思い切って一人で先に旅立つこ とにしたのです。夫・息子とは現地合流にして、それまでは語学学校「イル・サッソ」に通ってイタリア語のブラッシュアップに励もう、というもくろみでし た。
私がモンテプルチアーノを訪れた8月2日、すでに街は夏の最後を飾る伝統の祭りを前に色鮮やかに装いを変えていました。
観光客が街を行き交い、夏場ならではの華やかさ。この感じ・・、変わらないなぁ、と懐かしく思ったものの、すぐに気が付きました。チェ ントロ(旧市街)の通りに見知らぬ店がずいぶん増えています。街を行きかう観光客の雰囲気も何か違っています。かつてこの街に大挙して押し寄せていたのは ドイツ人でしたが、今、目立つのはアメリカ人! 街のあちこちから英語が聞こえ、店先の看板やメニューにも、もはや当然のことのように、英語があふれてい ます。以前は「英語なんて話せないし、話す必要もない」って言っていた人も多かったのに、必要に迫られて仕方なくなのか、それとも多少はビジネス感覚が強くなったのか・・。
そ れだけではありません。小さな田舎街のモンテプルチアーノに中華料理店が出来、メルカート(露天市)には中国人が経営する店が何軒も登場。まだ市内に住ん でいる中国人は多くはないようですが、同じトスカーナ州のフィレンツエやプラートの繊維業界が中国人労働者の急増で大打撃を受けていることもあって、友人 知人とおしゃべりに花を咲かせていると、必ずといっていいほど中国人にまつわる話が出てきて・・、そこにはなんともいえない微妙な空気が漂うのでした。5年ぶりの再訪の感想はあまりにも複雑で・・、とても簡単に表現することは出来ませんが、現地で感じたことをこれから少しずつご紹介していきたいと思っています。お時間のあるときに読んで頂ければ幸いです。