Msim について
このページは Msim が出来上がるまでを簡単に纏めています。Msim の始まりは、1990年代まで遡ります。
- 1990年頃はまだ Windows はなく、PC9801互換の PC が優勢でした。プログラミングは BASIC が主流であった為、実行速度も十分速くなく、回路シミュレーションはまだ実現できる状況ではありませんでした。このような環境でシミュレーションに使われていたのは、ワークステーションと呼ばれる高性能なコンピュータでしたが、手軽に使えるものではありませんでした。
- この当時、ワークステーションで動かすシミュレーションソフトにタッチストーンと呼ばれているものがありました。回路図データをテキスト入力するタイプです。Msim はこのソフトのスタイルを参考にしており、個人で使用できるものを作ろうと、計算プログラムを BASIC で作り始めたのがこの頃です。速度は望まずまず動くものを作ることから始めました。
- 計算プログラムは、回路図データの構文解析、節点電圧方程式の解法に続いて、分布定数線路、オペアンプの等価回路への置き換えなど、アナログ計算で必要とされる電圧利得、電力利得、インピーダンスの計算ができるようにしました。計算結果は数値の他にグラフに描画することも必要です。PC9801互換の PC では グラフィック画面をテキスト画面に重ねて表示させる方式をとっており、グラフィックの描画が難しくなかったことは幸いでした。
- プログラミング言語は N88-BASIC(86) と呼ばれるものを使用していました。初期はインタープリタのみでしたが、後にコンパイラも登場しました。それでも実行速度は実用になるものではありませんでした。実用になるものができるのは、Windows95 が登場する 1995年まで待つことになります。
- Windows95 が登場する前の Windows の時代はまだ Windows PC に乗り換えることを躊躇していたこともあり、実行速度が高くなることを期待して C言語でプログラムを組みなおしていた頃です。それでも実行速度は実用になるものではありませんでした。PC の動作速度が遅すぎたのです。
- Windows95 の登場により Windows PC が主流となったのを期に Windows PC に環境が変わります。Windows PC では手軽にグラフックの描画ができないのは大きな障害でした。この先に進むには、Windows プログラミングの習得が必要になります。開発ツールは主流となっていた Visual C++、バージョンは 4.0 です。1997年頃のことです。
- Windows フレームワーク上で動作するプログラムが完成するのは 2001年頃です。すでに 12年が経過し、Windows は Windows95 から Windows XP へ進化し、PC の実行速度も飛躍的に上がったことにより、実行速度は十分満足できるものになりました。
電子回路シミュレータ Msim は、回路図データをテキストで入力するタイプのシミュレータです。Msim の特徴を以下に紹介します。
- 回路図データのテキスト入力と保存
- 複数の回路図をオープン可能なマルチウインドウに対応
- OPAMP を含む回路の他に、高周波回路に対応
- 電圧利得、電力利得、スミスチャート表示
- 実行に必要な設定は1つの実行ダイアログボックスに指定するのみ
- 設定データは回路図ファイルに追記して保存する
- 開発環境は Visual C + MFC を使用、ドキュメント/ビューアーキテクチャによる構成
- 3つの子ウインドウに回路図データ、グラフ描画、計算値を表示
2013-09-18
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