山下京介(恭兵さん)も、いい人なんですが、
こちらは男らしさは感じられなくて、どちらかというと落ち着いた方。
親切で、気が利く人なんです、京介って。
かわいい顔、きれいな顔ってのはたくさんあるけど、
君の顔ほど魅力的な顔はめったにないよ。
悲しそうで、淋しそうで、そのくせいつも何かを訴えて、
何かを求めてキラキラしてる。
君の歌は、君の顔と一つになって、人を惹きつけるんだ。
自信を持つんだ、自分の顔に。
すごくまじめな顔で言います。
とくに感動的なセリフではないのですが、
女性は、こんな風に言われたら、どうなんでしょう。
といっても、これはすごい状況。
人を殺して、テレビに出ることになってしまった歌手、夏川ケイ(烏丸せつ子さん)が、
「顔を見られたくない・・・・」と言ったときの、何にも知らない京介の返答。
ケイの場合、こんな風に言われても、ただ複雑になってしまうだけでしょうが、
それにしても、このセリフ、かみ合わない点を除いても、
すごく古めかしい言い方ですよね。
ほめすぎているせいか、あまり言葉に重みが感じられません。
逆に、ありふれてるから、ぼくは心に残っているのかなあ・・・・
(松本清張の「顔」第1話より)
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