2000/06/20 Vol.9 「与えられた舞台の上で」








純(純アリスさん)に一目惚れした大金持ちのメロスは、

純の結婚相手のサブ(飯山弘章さん)に、2千万という大金を見せ、

これを受け取って街を出て行くか、金をもらわず彼女を愛し続けるか、迫る。

サブは金を持って出ていくが、純は、メロスのやり口を知り、

怒って、二度と会わないと約束する。

メロスは、初めての失恋に理性を失い、金を捨て落ちぶれていく。

サブは、2千万を元手に事業に成功し、再び純に会いに来る。

純は、メロスのためにも、自分のためにも、メロスに他の女と結婚するよう要求する。

そう、純はサブと結婚する気でいた・・・・

KIDのミュージカル「街のメロス」での、メロス(恭兵さん)の有名なセリフ。



   だれが走るというのか、このすべてが失われた虚しい荒野を。
   
   よし、走り続けてやろう。

   そして結ばれる二人にくれてやろう、俺の愛と友情を!



驚きました。やけになってしまったのでしょうか。

この、メロスのさらにマイナス方向の考え方。

こんな生き方でいいのでしょうか。

死ぬ気なのでしょうか・・・・

・・・・メロスは、「未だに純を忘れられない」と打ち明けながらも、

豪邸時代の女中だったトミ(国谷さん)に結婚を申し込んだのでした。

このときの言葉。



   ありがとう。ぼくはいつまでも、君を大事にするよ。約束する。

   ・・・・ぼくたちは、人生という名の舞台で精一杯生きていくしかないんだ。

   いつか幕が下りる。どんなに悲しみに満ちた人生でも、歓びに満ちた人生でも、

   幕が下りてしまえば、あとかたもなく消えていってしまうだろう。

   どんなひっそりとしたさりげない恋物語も、どんなはげしい夢の物語にも、

   同じように静かに幕が下りるんだ。

   だからこそ、ぼくたちは与えられた役を生きていくしかないんだ。



メロスの考え方は、消極的ながらも、なかなか勇気のいる生き方だったのです。

損な方向ばかり選んで進んでいるのですが、人生に対しては前向きだったのです。

そして、このセリフに続き、ぼくがKIDの中で1,2を争うほどの感動的コーラスが入ります。



   ぼくは君に、その蒼い手を差し出そう今

   君はぼくに、その蒼い手を、その蒼ざめた手を

   手をつなげば、幸せになるとは言わない

   幸せがそんなにやさしいものとも言わない

   ただ君は、背負うべき荷物を投げ出してはいないか

   ただ君は、どうでもいい人生を生きてはいないか

















バックナンバーにバック

バックホーム