AMD Sempron3000+をDualにしてみました

                                         2005.6.19   ひらたいらあ

 

■主要部品の紹介■

マザーボード:Tyan Tiger MP
        (RevA最初期型)
CPU:AMD Sempron3000+
   (Bartonコア L2キャッシュ=512KB
    SocketA 本当はFSB=333)
電源:TORIKA 静V 450W
    (+5V=45A)
グラボ:ATI Radeon9600pro
メモリ:PC2100 DDR Reg,ECC 256*2枚 

 


皆さんこんにちは。今回の企画は自作者の楽しみの一つとも言えるDUAL化です。
しかも、今回はMPと同じブリッジ(設定結線)になっているSempron(センプロン)はDUALになるのではないか?
というメジャーかつ未検証の(らしい)ネタをやってみたわけです。
想定の範囲内であっけなく成功しましたが、1.6GHz動作になるという点だけは無改造ではどうしようもないですし、
当然メーカーの想定外の行為ですから、自己責任になることも注意が必要です。

■絵描きPCとしてのデュアル■
 フォトショップやペインターなどを使う「絵描きPC」には、
  モタらない、固まらない、落ちない、高速…が求められます。
  基本的にそれらはデュアルCPU化に向かわせる要素が非常に多いです。逆に、クロックアップ競争の恩恵は意外と少ないようです。

  デュアルにすると、処理できる帯域が増え、余力が出来、キャッシュが増え、待ち時間が減り、体感がよくなり…
  しかし、今のところ一般的な選択肢がXeonかOpteronかDualコアのAthlon64X2かPentiumD…少ない上に高価です。
  かといって、PentiumVdualでは今のマシンのシングルにも負けてしまいます。

  安価にちょっと遊び心があって、実用的…そんな選択肢として、SocketAに注目してみました。

■やる気になるまで■

もともと割と昔からAMDの技術には興味を感じていて、Thnkpad530のAMD版やK6あたりをちょくちょく使っていました。
前にPENV1GHzDUALを使ってましたが、当時からAMDはポイントツーポイントのデュアルだから速いらしいと聞いていました。
確かに、PVDUALは速くなるというより「遅くなりにくい」という感じでしたので、フォトショップ7でもモタリ感がありました。
その後、中古で手に入れたAthlon1.1GHzを使い、PENV-Sにがっくりし、AMDばっかりの暮らしに入りました。

しばらくは日常用にMobileAthlonXP2600+と普通の2500+を中心にいじっておりましたが、
フォトショップとかで使うにはもっとパワーが要るなということで、Athlon64(Socket754の3000+)にも手を広げていました。
そりゃあもう64は今までのに比べると爆速です。普通ならここで満足するところでしょう。

しかし、中古ショップで格安のTYAN TigerMPを発見したのが発端で、Dual熱が再発してしまいました…。
(同じデュアルでも本命のAthlon64X2やOpteronは高すぎますのでまだ考慮にすら入りませんし…)


■なぜSempronなのか■

以下の要素は経験上つかんでいました。(順不同)
 BartonのAthlonXP2500+をFSB266のASUS A7A266で動かすと、倍率固定でFSB分だけ下がり、1466MHzで安定して動く
 しかもL2が大きいと体感が速い。モタリが少ない。その点で512KBキャッシュのバートンはとてもいい。
 TigerMPでAthlonMP2400+(サラブレッドコア 2GHz L2=256KB)はシングルで安定して動く。
 AthlonXP-MはFSB266でバートンだし省エネで動作周波数も高いので理想的だが、
 そのままデスクトップに使うと仕様上起動倍率が6倍と低く、電圧は1.575Vと高くなってしまう。
 (加工しないでおくには倍率及び電圧の可変機能がマザーボードに要る。TigerMPにはその機能がBios/ソフトともにない。)
 AMDのAthlonを安定して動かすには電力自体は省電力でも結果としてインテルのものより大きめの電源が要る。
 (+5Vが30A以上は欲しいようで。もとよりインテル系でもメーカー製DUALの場合5Vが強い物が選ばれているようす。)
 AthlonXPをMP化(疑似)するにはCPU上のブリッジをクローズしなければならないし、コンダクティブペンが要る。
 一般論として、消費電力はクロックを上げるか、キャッシュを増やすと増える。クロックが下がれば消費電力は助かるはず。
 消費電力が想定より高すぎると、マザーボードの電源系(レギュレータやコンデンサ)が傷む。

ということで、
 コアはL2=512KBのバートンがいい。
 デスクトップ用ではないXP-MやGeodeは消費電力では有利だが加工しなければ使い物にならない。
 SempronはL5(設定部分)がMPと同じくクローズ(結線)されているので、無加工でMPとなる。
 TigerMPの消費電力の上限は各CPU62Wくらいか?と想定。 (Palominoコアの66.0Wをサポート外にしていることから)
 SempronはFSB333で、各グレードでに倍率が違う。2800+と3000+は12倍でキャッシュ量の差なら、バートンの3000+。
 想定クロックは133MHz*12=1.6GHz。デフォルトより400Hzダウンなので、実働で60Wを切るだろうと想定。
 TigerMPはCPUファンの風力でレギュレータやコンデンサやチップセット等の補機類を冷却している。SempronBOX版なら相応のFAN付。
 (極めつけは失敗しても2GHz512KBのCPUが手許に残るのは別に苦痛でもない、という「えいやぁ」根性)
 
…これはうまく行きそうだということで実行。
(お金もらって記事書く人ではないので、事前に慎重に推論と実験を重ねました。)

TigerMPにセンプロン3000+を2つつけたところ姿

センプロンとはいえバートンの横長コア。
やっぱりデュアルはいつ見ても壮観です。


リテールファンは相変わらず小さいファンで高速回転です。

Biosの上で見るSenpron Dual

予想どおり133*12=1.6GHzでした。
Athlon1600MHzと出ますが、支障ありません。
温度上昇もゆるやかかで、室温28度で50度ちょっと位で安定します。
(写真は起動時のものです

OS上で見るとMP扱い。きれいに使用率が分かれている。Sempronの場合L5の影響でスマートMPテクノロジも効くのでしょうか?わかりませんが…。

テスト用にGeforceFX5200でBlobbyDancerを動かしたところ。
CPU利用率がすごくきれいに分散しています。
(PVの時はこうはいかなかった…)
ちゃんとすごい量のポリゴンで踊っています。

しかし、GeforceではBiosから何から色が青ざめてしまいましたので、使い物になりませんでした。
ATIのRadeon9600proでは問題なく動作しましたが…?。

CrystalMark 0.9.108.256 (C) 2001-2005 hiyohiyoによるベンチ結果
CrystalMark 58183
ALU 9880
Fibonacci 3567
Napierian 1564
Eratosthenes 1867
QuickSort 2860
FPU 12835
MikoFPU 1546
RandMeanSS 6481
FFT 2686
Mandelbrot 2100
MEM 2717
Read 621.75 MB/s ( 621 )
Write 598.55 MB/s ( 598 )
Read/Write 509.69 MB/s ( 509 )
Cache 9674.15 MB/s ( 967 )
HDD 5189
Read 42.61 MB/s ( 1704 )
Write 30.88 MB/s ( 1235 )
RandomRead512K 13.42 MB/s ( 536 )
RandomWrite512K 26.20 MB/s ( 1048 )
RandomRead 64K 6.87 MB/s ( 274 )
RandomWrite 64K 9.82 MB/s ( 392 )
GDI 7985
Text 334
Square 2549
Circle 2314
BitBlt 2788
D2D 3706
Sprite 10 321.93 FPS ( 32 )
Sprite 100 251.59 FPS ( 251 )
Sprite 500 127.69 FPS ( 638 )
Sprite 1000 79.04 FPS ( 790 )
Sprite 5000 19.64 FPS ( 982 )
Sprite 10000 10.13 FPS ( 1013 )
OGL 15871
Scene 1 12483
Lines (x1000) (2365857)
Scene 2 CPU ( 256)
Scene 2 Score 3388
Polygons (x1000) ( 167034)
Scene 2 CPU ( 64)

CrystalMark 0.9.108.256 (C) 2001-2005 hiyohiyo によるシステムインフォメーション
System Information
OS Windows 2000 Professional Service Pack 4 [5.0 Build 2195]
Display Mode 1024 x 768 32bit 60Hz
Memory 512 MB
BIOS
Vendor Phoenix Technologies Ltd.
Caption Default System BIOS
Version Phoenix ServerBIOS 2 Release 6.0
Date 2002/12/12
SM BIOS
Caption PGNA02-8
Version 2.3
Mother
Vendor Tyan
Product Guinness
Version EVT1
Computer System
Vendor Tyan
Product Guinness
CPU Information
CPU Name AMD Athlon MP (Barton)
Vendor String AuthenticAMD
Name String AMD Athlon(tm) Processor
Platform Socket A
CPU Type Original OEM processor
Number(Logical) 2
Family 6
Generation 7
Model A
Stepping 0
Feature MMX SSE MMX+ 3DNow! 3DNow!+
Current Original
Clock 1592.57 MHz 1600.00 MHz
System Clock 132.71 MHz 133.33 MHz
System Bus 265.43 MHz 266.67 MHz

オリジナリティあふれる楽しい工作でした。
AMDのAthlonXP系は保証対象外ですが消費電力や電圧等で無茶しなければ、設定次第で結構柔軟にシステムが組めます。
とくに、特性のよいFSB333のバートン系・サラブレッド系をFSB266のボードにつけても、ある程度元の起動倍率が高いものなら使い物になることがあります。
今回はまさにそうした例だと思います。

それど、意外なことに、DUALなのに爆音にはなりませんでした。
それなりに音は出ていますが、まぁまぁ堪えられるレベルです。


トップに戻る