体験記的同人入門   ひらたいらあ Last update 2002/11/02

はじめに
 あなたが漫画と出会ったのはいつですか?と聞かれて答えられる人は少ないでしょう。しかし、「あなたがドウジンと」なら、答えられる場合が多いでしょう。でも、案外答えている方が見受けられません。
 だから、やってみようという試みです。ちょっと小説風に(改行多くてスミマセン)。なるだけ創作はしません。

 1,ひらたいらあドウジンと出会う(02.9.5)
 2,モトネタへの旅(02.10.14)
 3,名前あれこれ(02.11.02)


1,ひらたいらあドウジンと出会う
 数年前、某地方都市の地下鉄に揺られていた。いつもは乗らない路線であるが、今日の目的地はいつもと違う。港地区にある、大展示場であるが、特段、普段と違う様子はない。
 駅を降り、バス停にむかう。結構な人数が待っている。そりゃあ、行き先がたくさんあるもんな、とか思って待っていると、自転車等が結構通るので、案内係の人が言った。
 「港行きに乗る人は、ここで列を作って道側に寄って待って下さい」
       さささっっ
 みんな寄るではないか。私も・・・
 ここでふと気がついたのである。
 「これは踏み絵だ。」
 そう、ここで寄ったら、「同人誌即売会へ行くんです」という意思表示になるわけで。
 もうひけないなぁ、と思いつつバスに乗った。

 そもそも、どうして即売会に出かけようと思ったのかというと、そのまた数ヶ月前、たまたまネットサーフィンをしていて、同人サークルのサイトに行き当たったのである。
 「絵、うまい」
 まずはそんなところ。でも、それだけならプロの世界に楽しませてもらっていればいいのだ。
 「語ってる」
 いろいろなことを考え、表現している。しかも、その内容が実によくできたもの(もある)。
 「みえる、見えるよララァ」(笑)
 とにかく書き手の送り出しているものがとてもよく伝わってくる。
 こんなに豊かな表現の世界があったのか。知らなかった・・・
 なぜだかすごく「得した」気分だった。
 (ある領野で、表現し、探究することの楽しさを知っていただけに、余計深く響いたのだろう。)
 それが、単にネットで眺めるだけでは、「損している」気分になってきた。
 同人のせかいは、むしろネットより在来メディアである同人誌がその中核であり、即売会というのがあることを知ったからである。
 そして、一番気になる作家さんの本が、「委託」(知り合い、運営者等が変わりに頒布すること)で近くに来る事を知って、ついに、読むだけ(ROM:Read Only Manともいう)の世界から、一歩踏み出すことにしたのであった。

 バスに乗ると、人ひとヒト。でも、あまり感じの悪さがしない。ルールに従って乗っている感じがする。
 
結構いいかな?とか思ったりする。
 しかし、町中にそぐわないハテ?という格好(コスプレ)をしていたり、それを不自然にコートで覆っていたりするのには一寸閉口。(もちろん、それが同人界でもマナー違反と後でわかるのだが。
 さて、バスが会場に着く。催事看板をみる。
 「金融商品在庫一掃大バーゲン」(左)
 「正月即売会」(左)
 「レアアイテムいっぱいの・・・」(右)
 左へ進む。(まだ引き返せるかも)
 突き当たり。目の前はバーゲン。もひとつ右が即売会。
 (「踏み絵だわ。」)
 ここまで来て引き返せるか!!という気持ちと、
 ここまで来るまでにいやな思いはしなかった。という事実と、
 特にアヤシイ感じがしない、という嗅覚と、
 あの人の本がみたいぞぉぉぉぉっ ざっぱーん
 とで、さらに右へ。
 で、入り口。
 「一般参加者はカタログをお買い求め下さい〜、カタログが入場証です〜」
 「再入場の方はカタログをはっきり見せて入場してください〜」
 そうなのね?
 買わなきゃはじまらないようだし、とりあえずそそくさと買って入場。
 カタログを・・・「見れん」(!!)
 人が多すぎて、立ち止まれないのである。こんなに広いのに。(後日イラスト挿入?)
 とりあえず控えてきたブースナンバーを手にお目当てを探す。
 会場では、サークルが、ブースとして碁盤の目のように配置されている。たとえば「お−27」。
 会議用で仕切られ、机の上に、それぞれの血と汗と涙の結晶(要は作品)が並べられている。
 そして、本人または「売り子」さんが熱心に「どうぞみてってくださ〜い」と声をかけている。
 早速お目当てのサークル発見。同人サークル初接触にどっきどき。
 まずは遠目に見る(←迷惑)
 HPで見た表紙の本が確かにある(!!) 
ちなみに「銀色」本でした。
 早速見せてもらうことに。(すげ〜)
 で、そこのサークルさんとこのオリジナルの販売物である3サークル合同本もほしかったので、聞きますと。
 「すみません。午前中に完売です。」
 あっ、そういうものですか。
 ちなみに開始は11時。今は12時ちょっと過ぎ。
  
なお、最近では、開場後5分で売り切れたガクガクブルブルな話をきくこともあった。
 みんな事前に情報収集して、会場を待ち、列び、お目当ての本を血眼でゲットし、その後でまったりと他を見て回るものだったのだ。
 (もちろん、開場のあまりにも前から列ぶのはいろいろと問題がある。主催者も禁止している。)

 とりあえず隅っこによって、カタログを見る。
 思っていた以上に多種多様。
 2日間開催とあったので、ハテ、と思っていたら、それぞれ参加サークルが違うわけで。そんなことでさえ新鮮だったり。
 けっこう注意書きなどもしっかりしていて、だからこううまく進むのかと関心。
 
(これは後の東京ビッグサイトでのコミケ体験では、より鮮烈なものとなる)
 結局、初参加ということで、空気になじみ、身の処し方の基本をかいま見た程度で終了。

  購入物:カタログ(基本)、「銀色本」(2冊)、オリジナル手染め手縫い携帯ストラップ(3本)。ペン(1本)。

 ペン1本というのは、企業ブース(画材屋の出店)で、買ったもの。会場ならではという気がした。

 閉会まではおらず、早々に退散。何となく。
 寒い日だと思っていたら、雪が舞ってきた。
 否、つもってきた。

 寒かった日のこと。雪慣れしていない地方都市が小パニックだったそんな冬の日のこと。


2,モトネタへの旅
 さて、はじめての同人誌を無事購入したわけで、読めばどんどん興味が深まる。嬉しいことに私的ヒットだったのである。
 同人誌にも、2つのタイプがあって、元ネタを知らないと、てんでわけが分からないもの(その分知ってるとおもしろいことが多い)と、知らなくても楽しめ、元ネタへの興味がふくらむものとがある。前者のようなものが堂々と確立されているあたりが、独特といえば独特だとおもう。商業誌でも無いわけではなかろうが、ニッチ(隙間)戦略的なものだろうし。この際できればどちらも楽しめた方がいいではないか。というかどっちにしろ元ネタへ導かれるわけで。
 そうなると、そろそろ覚悟(?)が決まってくる。同人の元ネタは、漫画、アニメ、ゲーム、小説、映画、音楽等々幅広い。私の場合、ゲーム関係を元ネタにしている作家さん達の作品が気になっていたので、ゲームを買ってみることに。
 「銀色」(ねこねこソフト)が欲しかったが一足遅かった。もうロットアップしていた様子(後に「完全版」が再版されたので、私はそれを入手したが、「完全版」も今ではロットアップしている)。流通の仕組みが独特なのだそうで。知らずに某電気街をおろおろあたふたしながら探したりしたわけで、かなり不審な挙動だったかもしれない。初心者の哀しいところである。で、ちょうどそのころ同社の「みずいろ」が発売にしたところだったので、そちらを購入することに。宣伝用ムービーをダウンロードして良さそうだと確認してあったし。
 ソフトには、初回版というのがあって、値段が同じかちょっとプラスで特典がついてくる仕組みや、販売店がオリジナルで、特典を付けているなどことがあるなど、熾烈な競争の中での販売戦略に感心してみたり。
 さて、帰ってインストールである。画面、キャラの声(ボイス)はハードディスクにインストールされ、音楽はCDROMから流される(CD-DA方式という)。ヴィジュアルノベル形式は、「立ち絵」と「背景」(あるいは一枚に両方を描き込んだ「イベント絵」)の組合わせという、紙芝居等でおなじみの伝来の手法に、「ボイス」や「音楽」を加え、デジタル制御したものである。アニメと違い、いちいちこれでもかと個別の映像で表現するのではなく、受け手の想像力とのコラボレーションで成り立っているといえる技法である。その分、制作費や、規模が小さくてもアイデア次第でかなりの表現をすることができる。すばらしいではないか。
 ちょうど、そのころゲーム「こみっくパーティー」(leaf作 通称こみパ)がアニメ化(ケイエスエス)しており、もちろんフィクションではあるが、参考にはなった。ゲームのほう買ってみたり。「修羅場モード」というのがよ〜くわかりました。
 あとは、ネットをまわったり、内容をとりまとめた本、すなわちファンブック等を見てみたり、いろいろと元ネタにふれて行くにつれ、同人の表現の味わい方が徐々に深まってきた。

 それにしても、最初はいろいろ購入するのがずいぶん恥ずかしく感じたように思う。今ではよいと思ったものは普通に買えてしまう。成長したと見るか、ダメ人間化していっていると見るかは、評価者の予備知識によるのだろうが。ただ、先入観でこうしたものを避けていると、よいもの、おもしろいものを見落としてしまうことにもなりかねないなぁとおもう。自分なりに、遠巻きにでも観察してみることをお勧めしたい。

 こうなってくると、作家さんとこなどの、作品出品予告やBBSでのやりとりなどが、「見える」ようになってきて、次の一歩を踏み出すときが来る。もちろん、元ネタへの旅は関わりつづける限り終わらないのであるが・・・。


3,名前あれこれ
 事前準備が整ってきた(もちろん基準はないですが、納得するまでしない方が世のためです)ので、まずは作家さんとこなどのBBS(※掲示板とは、cgi等のプログラムで動いており、ネット上から書込みができるもの)へ参加してみようということになった。
 そこで、はたと気がつく。「名前がない」、というのは、ネット上であり、不特定多数の閲覧を受けること、識別とともに、その人の個性も表現した名前を使う方が、スムースにいくこと等から、筆名(ペンネーム)を使うのが、定石だからである。その点は、どの世界でも同じではあるが。たとえば、SUZUKIをICHIROに換えて、成功した例を想起されたい。

 これが、考えはじめると大変である。私的には作成にあたり次の4つの要件を考えた。
 ・ユニーク(一人しかいない)であること

 ・口に出して呼べること、
 ・表記しやすいこと、
 ・違和感のないこと。

 便利なことに、今では検索サイトが充実しており、思いついたものを、ロボット検索と呼ばれるコンテンツ作成者のアクションなしに自動的に検索対象としてとらえられるタイプの検索(たとえばgoogleなど)で調べれば、ユニークかどうかはある程度見当がつく。
 口に出して呼べないような名前は、さけたほうがいいとおもう。そのうち、イベントやオフラインでの交流などがでてくるので、街やレストランで呼び合えないようでは、苦しいから。
 表記しにくいと、いちいちめんどい。自分は漢字登録とか省入力でこなすとしても、他の人が困ってしまうだろうし。
 それとやはり、自他共に違和感がない方がいい。

 深入りしていく可能性も否定しないなら筆名は大事なので慎重に決めたいものです。
 いきなりサークル参加の人、HP立ち上げの人は同様の配慮をしながらサークル名(屋号)も考えなくてはいけないですね。

 う〜むな例:チラリ・ズム・ダイクン



つづく


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