青年海外協力隊隊員になるためには
〜応募から派遣まで〜
 
ここでは、青年海外協力隊に応募して派遣となるまでの流れについて、ざっと概略を記してみました。詳しくは、JICAホームページ等を参照してください。

《応募》
応募資格は満20歳から満39歳までの日本国籍を持つ者となっている。(なお、40歳以上の方には、JICA実施事業で『シニア海外ボランティア』という制度もあります)
募集職種は、農林水産、加工、保守操作、土木建築、保健衛生、教育文化、スポーツの7部門、約140職種と多岐にわたっている。
農林水産部門 稲作 野菜 果樹 きのこ 病虫害 農業土木 農業機械 家畜飼育 養鶏 獣医師 村落開発普及員 食品加工 農産物加工 生態調査 植林 養殖 漁業生産   …など
加工部門 陶磁器 竹工芸 木工 皮革工芸 溶接 染色  …など
保守操作部門 工作機械 医療機器 電気機器 電子機器 電子工学 電話線路 船外機 自動車整備  …など
土木建築部門 土木設計 上下水道設計施工 土木施工 測量 都市計画 室内装飾  建築 造園  …など
保健衛生部門 看護師 助産師 保健師 歯科医師 言語聴覚士 臨床検査技師      診療放射線技師 作業療法士 理学療法士 薬剤師 歯科衛生士     ソーシャルワーカー 栄養士 保育士 養護 義肢装具士・製作者     鍼灸マッサージ師 公衆衛生 感染症対策 エイズ対策  …など
教育文化部門 統計 機械工学 考古学 生態学 地質学 植物学 司書 青少年活動 コンピューター技術 プログラムオフィサー 観光業 写真 視聴覚教育   家政 手工芸 料理 婦人子供服 縫製 音楽 バレエ 美術 デザイン 日本語教師 理数科教師 小学校教諭 幼稚園教諭 数学教師  …など
スポーツ部門 体育 陸上競技 体操競技 水泳 スキー テニス 卓球 バレーボール バスケットボール ソフトボール 野球 サッカー ハンドボール 柔道 剣道  …など
募集は年2回、春(4〜5月)と秋(10〜11月)に行われている。
募集期間中、全国各地で募集説明会が開かれる。(その時期になると、新聞や雑誌等に広告が掲載されたり、TVでCMが流れてますよね)なお、募集説明会では協力隊の紹介の他、協力隊OB・OGが参加し、体験談を聞いたりすることが出来る。
応募願書は募集説明会、JICA国内機関、各都道府県の主管課で取り寄せ、期限までに応募する。(最近はJICAホームページからも応募できます)
《一次選考》
一次選考試験は、春募集では6月の第1日曜日、秋募集では12月の第1日曜日に実施されるのが、ここ数年のパターンとなっている。
試験会場は各都道府県庁所在地で行われる。(会場は応募時に選べる)
選考の内容は「筆記試験」(技術・語学・適性テスト)と「健康診断」(書類審査)になる。
試験当日に行われるのは筆記試験のみで、健康診断は事前に、所定の健康診断書様式に基づき、各自が医療機関で受け、健康診断書を一次選考試験当日、会場で提出するようになっている。なお、健康診断料は医療機関によって異なり、概ね15000円から25000円かかるようだ。JAICAが6500円を上限に負担してくれるが、後は個人負担となる。(医療機関で領収書を貰い、試験当日に提出しないと6500円は貰えない)
筆記試験の技術問題は、各職種毎に協力隊員としての活動に必要な事項が出題される。
語学問題は英語問題8割と人造語問題2割で構成されていて、英語の問題レベルは中学卒業から高校程度。マークシート式で解答する。現在の英語力を見ることにより、外国語を学ぶ基本的な適応力を判断することが主な目的である。活動する国や職種、活動形態によって、必要な語学レベルに差があり、そのような観点から総合的に判定される。(つまり、英語が出来なくても他の言語を使用する国に派遣されるチャンスはある…というわけですね)
いずれも過去問題がJAICAのホームページからダウンロード出来る他、語学問題に関しては、過去問題集が募集説明会の会場で売られている。
適性テストもマークシート式で、よく学校や就職試験等で行われるような性格テストである。協力隊員の活動には異文化への適応力(柔軟性、許容性、協調性等)が求められるため、このテストが実施されている。

一次選考の合格発表は、春募集は6月末、秋募集は1月上旬。
平成15年度秋募集までは、合格者に発表当日配信のレタックスで合格通知が送られていたが、平成16年度春募集から中止になった。代わりに、発表当日、JICAホームページ上で合格者の受験番号が発表されるようになった。
合格者には当日発送の速達で、不合格者には普通郵便で結果通知が送られる。
《二次選考》
二次選考は、東京・広尾にある青年海外協力隊広尾訓練研修センターで行われる。(上京のための交通費は規定に基づき支給される)
試験日は、受験職種毎によって指定される。大体、春募集が7月中旬、秋募集が1月下旬になるようだ。(平日に行われるため、仕事している人は勤務を休んで受験しなければならない…大変ですよね)
選考内容は「グループ面接(人物面接)」、「技術面接」、「健康診断及び歯科検診」になる。
グループ面接は、近頃採用試験に取り入れている企業も増えているそうだが、数人の受験者を1グループとし、そのグループ毎、あるテーマに沿ってディスカッションしていく過程の中で、協調性や積極性、思考の柔軟性、表現力、責任感、忍耐力等の観点からふさわしい適性を備えているかどうかを判断される。
技術試験は、受験者個別に、各職種の技術専門委員が直接技術的な質問をされる。(職種によっては実技試験や作品の提出を求められることもある)
健康診断では、一次選考時に行った健康診断及び事前に提出した質問書を基に、JICAの顧問医が問診・聴診及び咽頭の診察をされる。(なお、一次選考時の健康診断の結果によっては、二次選考時までに再検査をし、結果提出を求められる場合もある)

二次選考の合格発表は、春募集は8月中旬頃、秋募集は2月下旬頃。
合格発表及び合否の通知方法は一次選考と同じ。合格者には、派遣国・派遣隊次・入所予定訓練所も通知される。
《合格後〜出発時期と派遣前訓練について》
二次選考合格者は、青年海外協力隊の隊員候補生として全員が合宿して約80日間の派遣前訓練を受けなければならない。派遣前訓練を終了した時に初めて隊員として認められる。(つまり、二次選考に合格したからと安心しちゃいけない。本当に大変なのは二次選考合格以後…しみじみ実感している次第です・爆)
派遣前訓練及び派遣時期は下記の通り。
  訓練開始時期 出発時期
平成☆年度1次隊 4月中旬訓練開始 7月中旬出発
平成☆年度2次隊 9月上旬訓練開始 12月上旬出発
平成☆年度3次隊 1月上旬訓練開始 4月上旬出発
春募集ではその年の2次隊〜翌年の1次隊が、秋募集では翌年の1次隊〜3次隊が募集される。派遣隊次については、選考時に確認した本人の希望、要請の派遣希望隊次等と照らし合わせて判断される。なお、合格発表後の派遣国や隊次変更は、特別な事情がない限り個人的な理由での変更は出来ない。
訓練所は次の3ヶ所で、派遣国・地域によって入所する訓練所が決まる。
広尾訓練研修センター(東京都) 南米 東欧 中央アジア
二本松青年海外協力隊訓練所(福島県) アジア 中近東 アフリカ
駒ヶ根青年海外協力隊訓練所(長野県) 南西アジア 西アフリカ 中南米  大洋州
派遣前訓練は、派遣国で2年間の海外協力活動を行うために必要とされる知識を学び、それぞれの能力と資質を培うことを目的として実施される。語学訓練が中心で、国際協力の現状及び青年海外協力隊事業、任国事情、危機管理、健康管理等について学ぶ。
また、派遣前訓練は選考の一過程であり、訓練期間中に成績が著しく低く、また規則等を遵守出来ないなど、隊員としての適性が不十分であると判断された場合には、訓練が中止され、派遣取り消しとなる場合もある。

※このページは『青年海外協力隊募集要項』の一部を引用させていただいて作成しています。



ところで、『青年海外協力隊とは』でも、協力隊が素晴らしい活動、やりがいのあるようなことを書いてきました。
私もこれまで協力隊OB・OG及び現役隊員が作成したホームページを見たり、実際に協力隊経験者に会って直接お話を伺い、みなさんが生き生きと、そして目的と誇りを持って活動されているな〜と感動し、刺激を受けてきました。
しかし、青年海外協力隊はきれいごとだけではありません。夢途中で挫折してしまった隊員が派遣期間をブラブラ遊んで過ごすとか、一部の自覚無い隊員によって日本人の恥さらし的行動がされているとか、私利私欲におぼれた政治家等がODAを食い物にしている…等の話も聞きます。また、実際にそういった話・問題を書かれている協力隊員のホームページも読んできました。
参考までに、こちらのホームページを見るのもいいかもしれません。(但し、かなりえげつない内容なので、そういう話が嫌いな人は見ない方がいいでしょう…)
『青年海外協力隊の実態』http://jica.fanspace.com/
私は、このホームページに書かれていることが全て正しいとは思いませんが、否定もしないし、批判もしません。ただ、そういった話もあるのだ…ということを知った上で、自分を戒めなければなりません。そして、日本人としての誇りと自覚、海外協力のあり方等を考え、実践していきたいと思っています。
また、2004年のイラク人質問題に端を発した『自己責任論』ではありませんが、海外で生活し、活動するということは、リスクを背負うことでもあります。その点は肝に銘じ、自己責任を果たすためにも、しっかりした準備と知識、自覚が必要と痛感しています。

中途半端な動機・想いだけでは、協力隊は勿論、各種ボランティア活動に参加する資格はないということだけはわかってください。