始めに

 我が家に初めてリクガメ(ニシヘルマン)が来たのは、2000年5月。その日の事は今でもはっきり覚えています。かなり日差しが強く、おかげで電車(総武線)は冷房が強く、寒いぐらいでした。

 そんな訳で冷房の効きすぎた電車はカメに良くないと思い、ショップから家までタクシーで帰ったのですが、タクシーも冷房がガンガンに効いていたため、「風邪気味なので冷房を切ってもらえますか?」とお願いし、大汗をかきながら家に帰ったのを覚えています(運転手さんには本当に申し訳ないことをしました)。


 そもそもどうしてリクガメを飼うようになってかといえば、ある日の昼食後、同僚と何気なく熱帯魚屋さんに入り、昔飼っていたネオンテトラやコリドラスを懐かしく眺めていると、「あ、ホルスフィールドが居る」と同僚の声。ホルスフィーなんだそれは?、仕事柄牛に接する機会の多い私はホルスと言えばホルスタインしか思い浮かばず、白黒の熱帯魚でも居るのかと思いながら見に行くとなんとそこにはカメが居るではないか。しかも完全に乾燥したゲージに入っている???。するとまたその同僚が「私これ飼っているんですよ」。ええ私は何がなんだか解らなくなり、まずどうしてカメを飼っているのに水が入っていないのか、しかもこんなに身近な人間がこのよく解らない生き物を飼っている。もちろん熱帯魚屋からの帰り道はその同僚を質問攻めにしたのは言うまでもありません。

 それからはその謎の生物のことで頭が一杯となり、来る日も来る日もインターネットの検索サイトで、「リクガメ」「飼育方法」などと打ち込み調べまくりの日々でした。そのおかげで少しづつリクガメについての知識もついてきました。

1.リクガメは泳げない。
2.小型種から大型種まで、かなりの種類がいる。
3.その殆どの種類が完全な草食である。
4.紫外線を必要とする。
5.ホットスポットを必要とし、ゲージ内に温度勾配を設ける必要がある。
6.飼育が難しく、長生きさせることが難しい。
7.慣れてくると手から餌を食べる個体もいる。

 この頃になるとインターネット上の画像だけでは我慢できなくなり、ついに爬虫類専門ショップに行ってしまったのです。

 もーーーーー駄目でした、小さなリクガメ達がトコトコ歩く姿、あくびをする仕草、ドンクサイ食事風景、何もかもが可愛く完全にリクガメにハマッタ日でした。またこの時、お店の人から「リクガメを飼うにはかなり大きなゲージが必要だ」と言うことも聞かされ、それまで60cm水槽での飼育を考えていただけにゲージの設置場所等考え直すこととなりました。この日からはリクガメを飼うことに完全に迷いが無くなり、インターネットによる検索も「飼育ゲージ」や「トゥルーライト」等飼育に向けた具体的なものになっていきました。

 そしてこの時にそろえた飼育セットは90cmの水槽、トゥルーライト45cm2本、バスキングライト、温室用サーモ、ひよこ電球でそろえました。この時の私はこれだけの設備をそろえれば完璧だと、自身に満ち溢れていました。

 さあ後はリクガメを飼うだけです、何が良いのか?やっぱり90cm水槽では小型種が良いと思い、またまたインターネットで検索の日々。するとクモノスガメというのが最大でも15cm位だということで、当時の相場も知らず色々なショップにメールを送りました。世間知らずとは恐ろしいもので、その時帰ってきたメールの殆どが、明らかにプロか、ど素人を相手にしたメールで、値段をかえりみず繁殖にチャレンジする私に対しての激励と冷やかしのメールでした(当時のクモノスは一匹約30万円恥ずかしい)。クモノス以外であまり大きくならないリクガメを探していると、ヘルマンリクガメ、それもニシヘルマンリクガメがあまり大きくならないということが、クリーパーに書いてあり、ニシヘルマンリクガメに決定しました。


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