熊 公 鍛 冶 工 房


熊公の工房における鍛冶作業の日誌
特別な事柄は印を付け『鍛冶作業記録』にも書き込みます

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2004年12月29日(水)
 工房着:午後0時15分  作業開始:午後0時50分−作業終了:午後3時00分
 工房の気温:1度  日中10度(火床に火が入って)

 今日は鍛冶作業ではなく、金床の設置です。青森県 弘前市の『二唐刃物鍛造所』から購入したおよそ100kgの金床です。稲葉さんという刀鍛冶さんが使われていたものを譲っていただきました。掲示板に書き込みして下さっている『がんちゃん』さんのご尽力で入手できました。『がんちゃん』さんに感謝です。
 今日は東京に初雪が降り、3cm位積もっている状態でした。長男が手伝ってくれて何とか設置する事ができました。

 
工房の気温は1度、火床に火を入れて暖をとりました      高さ40cm 底面は11×22cm 重さ約100kg

 金床の高さですが、立った状態でゲンコツを握って、その先が金床の面に付く位が良いと言われています。そこで、工房設置した時にその高さで設定し作業してきましたが、自分にはもう少し高い方が良いように思ってきました。秋田で鍛冶修行した時も、もう少し高かったと思い、写真などを見直してみました。確かに高めでした。そこで、直接お聞きした方が良いと思い、金床を送って下さった『二唐刃物鍛造所』の社長さんにお伺いしたところ、
「へそ下くらい、腰骨の当たりに面が来るようにしていますよ。」
と、アドバイスを受けました。自分もそれくらいが使いやすいだろうと考えていたところでしたので、今回はその位置に来るように考えました。横座を掘り込んでありますが、40cmの金床を地中に埋めると、今までの高さよりも低くなってしまいます。持っている切り株に彫り込みを入れるのも大変ですから、下水のマスを利用して、周りに土固め剤を混ぜ込んだ土を突き固め設置することにしました。勿論、打面の水平もしっかり取りました。
 土を突き固めたのは、コンクリートを使った場合、やり直しが大変になるからです。

 
   下水のマスを金床の固定に使う            横座を上から眺めた状態しっかりした金床です

 地金を叩いてみましたが納得いく高さになったと思います。早くこの金床で作業をしてみたいものと思っています。1月の仕事始めは何時にしようかな?
2005年01月04日(火)
 2005年 打ち初め

 工房着:午前10時45分  作業開始:午後1時00分−作業終了:午後5時30分
 工房の気温:18度  日中28度(火床に火が入って)

 今日は前日年賀に来た兄を連れて工房へ行きました。兄は工房から7km程の宮原に在住ですから、工房でしばらく話した後、自宅まで送って、昼食を取ってから作業をしました。
 今日の作業は工房に1つコンセントを取り付ける作業、そして、この正月休み中に制作した『酔鍛磨庵』の看板を掲げる作業です。

 
掲げた『酔鍛磨庵』の看板

 看板はイチョウの木を使って作りました。何しろ素人の看板造り、作り上げてから字のバランスの悪さに閉口しましたが、これも愛嬌です。
 2時から『打ち初め』を一人で行いました。この1年の充実した作業を祈り、まずは『初火入れ式』の時に作った舞錐を用いて火熾しを行いました。今回はスムーズに火を熾すことが出来ました。

 
舞錐を使って火熾しを行う                      今年初めての火床の火入れ

 今回作る物も小柄です。同じ物を作ることで、火床の状況や作業の流れ、横座の使い勝手を知ろうと思っています。今回は青紙2号を使いました。鍛接・鍛造を終えて、馴らし打ちを始めた時に、何故か鋼にヒビが入りました。これは没にして、改めてもう1本作ることにしました。でも、どうしてヒビが入ったかな? 思い当たるのは、刃側を薄くする鍛造作業時に峰が湾曲するのを取るため、峰側から叩いた作業が問題だったのかな? しかし、そうだったら、刃側にヒビが入るはずですが、今回は峰側に縦にヒビが入りました・・・。 ??????です。
 今日使い初めの100kgの金床は安定していて実に作業がし易いです。この金床で良い作品が出来ないのは完全に腕のせいです。未熟さがもろに現れた感じです。精進して修行をしなければ!!

 今日は暖かい日で、気温は18度でした。火床に火を入れると10度気温が上がるのは今までの経験から分かっていましたが、今日も同様でした。夏場38度の気温の時は48度になる計算、かなり過酷な条件ですね・・・・。新鮮な空気を取り込みながら作業しても、熱中症に充分注意しないといけないですね・・・・。
2005年01月08日(土)
 工房着:午前9時15分  作業開始:午前9時30分−作業終了:午後4時45分
 工房の気温:8度  日中12度(火鉢代わりのコンロに火を入れて)

 今日はまず実験の報告です。番茶黒染め(番茶染め付け)の前回染め付けした時の液に、ただ浸け込んで置いた結果です。昨晩浸け込み、6時間放置しておきましたが、その結果はほんの少々の染め付けだけでした。丁度30分ほど煮込んだ時の状態くらいでした。この実験結果から、番茶染め付けには温度が関わっているようです。
 『豊後鍛冶』さんから教わったとき、江戸時代くらいから伝わっている黒染め方法と聞きました。おそらく僕がやったようなことはその時にも行ったであろうと思います。1時間煮込む、昔の言い方であれば『半時煮込む』というのは、鍛冶屋さんの経験から出たことを改めて確認しました。やはり煮込む事で染め付けが出来るのですね・・・・。僕たちはそういう経験の積み重ねの上に生活している事を改めて考えさせられました。
 鍛接も同じです。硼砂が鍛接に使える事を見つけ出した先人にノーベル賞をあげたい気持ちです。刀鍛冶さんが灰汁汁や藁の箒を使って作業するのは、藁に含まれるセルロースが鍛接剤になると聞きました。現代の溶接技術で溶接棒にはセルロースが含まれていると聞きます。経験からそういったことを体得していった先人達に脱帽です!!

 さて、今日の作業ですが、明日9日は『鍛酔磨庵』にとって ものすごい日 です。工房に火入れして1ヶ月経たない内に島根県から『M・松永』さん、神奈川県から『がんちゃん』さんのお二人が工房に遊びに来てくださいます。お隣の『埼玉の村の鍛冶屋』さん、北本の『ナイフメーカーK』さんも来てくださいますから、明日は5人の鍛冶仲間でワイワイと賑やかになります。こんなに早く願いが叶えられてちょっと怖いくらいです・・・・・。
 でも、休憩室にはイスは2つしか無く、今日は懸案の ベット  ベンチ となる物を作りました。しっかりした物が出来、更にゆっくり出来る環境が整いました。これで工房に泊まり込みも可能になりました。お客さんが来られた時は、6人くらいまではゆっくりしてもらえそうです。

 
ベンチ 兼 ベット これで横になれます                 義妹が呉れた工房のマスコット

 ベンチ制作と、丸刀を作るための鎚の加工で午前中は終わり、午後は4日に鍛接・鍛造した小柄の成形・焼き入れ・焼き鈍し・荒研ぎを行いましした。
 今回の作品は青紙2号を用いた物、成形後冷間鍛造をしっかりしました。その結果、焼き反りは5mm程度でした。やはり、冷間鍛造は大切なポイントのようです。
 荒研ぎを終えてから、次回の作業に備えてコークスの補給と炭切りをしました。
 昼前に工房の掘っ建て小屋を立てる時に手伝ってくださった大工さんから電話、休憩室に置く作業台が仕上がったという電話でした。大工さんの趣味のこけし造り用の刃物3種類と小柄1本をプレゼントする約束で作業台を作っていただきました。帰宅時にそれを受け取りに行きました。明日、工房に搬入します。
2005年01月09日(日)
 第1回 鍛冶仲間の集い

 工房着:午前8時00分  作業開始:午前10時30分−作業終了:午後6時30分
 工房の気温:マイナス3度  日中23度(火床に火を入れて)

 今日は鍛冶作業仲間の集いの日です。工房には8時に入りました。気温マイナス3度・・・・。寒かった〜〜〜!!
 まずは大工さんが作ってくれた作業台を休憩室の玄関部分に設置しました。

 
       桶の水は凍っていました・・・               作業台、ここにサンダーと万力を設置する予定

 その後、お客さんが来られるのに備えて準備しているとき、9時少し前に『がんちゃん』さんが来られました。続いて『M・松永』さんが来られ、お茶を飲みながら1時間ほど話をしていました。10時30分から小柄の鍛接・鍛造を行い、焼き鈍しをかけるまで2時間を見ていただきました。12時30分焼き鈍しをかけた後、バーベキューの準備をして、食べようかと言うときに『ナイフメーカーK』さんが来てくださり、楽しく昼食をとりました。昨日設置したベンチが良く機能してくれました。

 
    今日のご馳走・・・                       ベンチでゆっくり出来ました

 『埼玉の村の鍛冶屋』さんも合流して、一頻り鍛冶屋談義、『がんちゃん』さんは、鍛冶作業をされたことがないので、体験して貰うことになり、2時半頃から作業に取りかかりました。柄は共金として、青紙2号を鍛接して貰いました。初めてとは思えない上手さで、鍛接を終え、鍛造。『M・松永』さんが先手をされたりしてワイワイと楽しみました。

 
初めての鍛接作業をする『がんちゃん』さん                先手を勤める『M・松永』さん     

 『がんちゃん』・『M・松永』さんは左利き、熊公は鏡を見ているようで、お手伝いして切っ先を切ったりする作業の時には切断方向がどっちになればよいのか頭がこんがらがっちゃいました・・・・。
 『がんちゃん』さんの鍛造が終わった段階で、『M・松永』さんも熊公の火床や金床の使い勝手を確かめて貰うために鍛接・鍛造作業をしていただきました。この時には『埼玉の村の鍛冶屋』さんが先手を勤められました。金床はビクともしませんでした。素晴らしい金床です。左利きの方にとっては右利きの熊公の横座は使いにくかったことと思います。満足いただけたかな?

 
       作業される『M・松永』さん               松永さんの持ってこられたハンマーと今日の作品

 
         『記念撮影』                    『がんちゃん』さんが見せてくださった箱鞴

 お二人の作業が終わったのが6時過ぎでした。その後またまた鍛冶屋談義、仲間が集まって話すのって楽しいです。時間が経つのを忘れてしまいます。『がんちゃん』さんは約4尺の箱鞴を持ってきてくださり見せてくださいました。郷土資料館でしたか見たこと無いですから味わいがあって嬉しかったです。『M・松永』さんは、ご自分の作品と、お祖父様が鍛冶屋さんだったと言うことで形見の鎚を持ってきてくださいました。この鎚はお祖父様の自作の鎚という事で、採寸させていただきました。なかなか振りやすいバランスの良い鎚でした。
 7時半過ぎにお開きにして、帰路に付きました。
 『M・松永』さんはお仕事で東京に来られたものと思っていたら、何と『酔鍛磨庵』を目標に来てくださったのでした。山陰の松江からは900km以上ありますよね、本当に感謝です。熊公は本当にすてきな仲間と巡り会っていることに感謝です。
 『酔鍛磨庵』は鍛冶仲間の集う場所になって欲しいと願って建設しました。それにしても、工房の初火入れから1ヶ月経たずに今日のような《仲間の集い》が出来たこと、夢のようです。これからもこの工房に遊びに来てくださる方々が沢山いらっしゃれば嬉しいです。

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