人工透析
内容は患者さん向けではありません、ある医療関係者から「糖尿病をあまく見ている方に対して・・・」
のお言葉とアドバイスによるものです。
ある病院の透析医師の言葉
人工透析療法を導入された患者さんの人生を野球で例えるならば「2アウト満塁と同じなのです」と、
ピッチャーは患者さん自信 守備は医療スタッフと家族なのですね。
逆転さよならホームランを打たれたら・・・
最新、日本透析医学会の調査
2001年末の、透析患者総数は219,183人で、2001年に透析をはじめた患者数は33,243人
で、死亡者数は19,850人です。透析患者は毎年1万人ずつ増加しつづけている調査結果です。
10年以上透析を続けている患者は50,345人、65歳以上の患者は40%を超え、高齢化社会はここに
も反映されています。介護を必要とする患者、長期入院を必要とする患者、重複障害に苦しむ患者が増えつつ
あります。2000年4月から介護保険制度がスタートしましたが、週2、3回透析のため通院介助、透析医療
両方可能な介護施設などこの制度では実現はされてはいません。
長期透析による合併症は、骨関節障害、貧血、腎臓は血液の生産にも深く関わっているのです。骨も脆くなり
人工骨を必要とします、例としては歩いていただけで骨折し人工骨に頼った方もいます。
「警告」近年では 糖尿病を原疾患とする患者が急増し、透析導入患者の1位になっています。
透析(人工腎臓)とは?
1.尿毒素(老廃物)を取り除く。
2.余分な水分(尿となるべき)を取り除く。
3.電解質(イオン)を整える。不足分は透析液から補給できる。
4.血液pH(酸性かアルカリ性か)の調整(透析液で)をする。
5.除水量の計算
増えた分(ml)+負荷除水量(ml)=今日の除水量(ml)÷透析時間=除水率
6.透析療法の負担金
現在は1ヶ月「1万円」で食費は別です。
いつ透析をはじめるのか??(糖尿病性腎症の場合)
糖尿病性腎症の場合は早めに透析療法を導入する傾向にあります。
慢性腎不全と言うのは血清クレアチニン濃度が2mg/dl以上の状態が持続した場合を言います。
これは腎機能が30%〜10%程度に低下し10%ではすでに尿毒症が現れ始めます。
●糖尿病の場合
1.合併症が多い。
2.むくみ 溢水症状が生じやすい。
3.糖尿病性網膜症が悪化しやすい。
4.胃腸障害 起立性低血圧を生じやすい。
5.血清クレアチニンが低めを示すことが多い。
この様な状態で糖尿病性腎症以外の患者さんと違い検査結果の値があまり悪くなくても透析を
開始する必要があるとの事です。心機能低下 動脈硬化の程度によりシャントの作成が困難な時
は腹膜透析(CAPD)を選択されるそうです。
以下透析方法
CAPD以外は週3回通院し、通常1回4〜5時間の透析時間です。
HD・・・・・血液透析>ろ過と水分除去。小さな物質除去にすぐれるが β2MGなどの大きな物質を
除去(ダイアライザーの進歩により改善可)しにくい欠点あり。
HF・・・・・血液ろ過>ろ過のみで蓄積物質を体外に出せる。HDの欠点を無くした方式ですが
治療時間が長い欠点があります。
HDF・・・・血液透析ろ過>HD、HFを同時に行う治療法です。
CAPD・・・腹膜透析>カテーテルを腹筋に固定します。通常在宅治療が行われお腹の半透明膜(腹膜)
を透析膜として利用します。1日4〜6回腹膜内の透析液を交換します。
体内に水分が多くたまるとどうなるか?
むくみ、血圧上昇、咳が出る、寝ると息苦しい、など。
β2MGとは?(β2ミクログロブリンはアミロイドタンパク質)
正常値は0.8〜1.8mg/dlですが透析患者さんは正常値〜50mg/dl前後に達します。
腎臓で壊される蛋白質の1つで健康な人は尿として排泄されますが透析患者さんは体内の間接などに
沈着して痛みを伴ったり色々な症状を引き起こす透析患者さん特有の疾患「透析アミロイドーシス」を
発生しやすくなります。「沈着しやすい部分、腱・骨・関節」予防は運動(体を動かす)や薬物療法で
非ステロイド系抗炎剤や副腎皮質ステロイド剤(胃腸障害の副作用あり)などで進行を抑えます。
内シャント(ブラッドアクセス)
最も広く用いられています。通常は、腕の「橈骨動脈」と「橈側皮静脈」とを皮下でつなぎ会わせて作る。
利点:閉塞、感染の危険少ない、長期間使用可能。
シャントAVとは? Aは動脈の「an artery」で Vは静脈の「a vein」の意味です。
ドライウエイト
心臓比(CTR)とは?以下の写真で説明しよう。
胸部のレントゲン写真で計算します。
計算式は B+C/A×100=心臓比(%)で求めます。
ドライウエイトを決める為よく使われる指標です。心臓比は50%以下であることを目標にドライウエイト
を決めます。欠点としては患者さんに心肥大、心疾患があると適応出来ません。
除水量の計算
(増加した体重kg)+(透析中の水分摂取量ml)=(除水量ml)÷(透析時間)=(除水率)/h
これを基準に透析を行う。
「血圧が高くない、むくみない、透析時低血圧がない」この条件を満たす体重です。
ドライウエイト決定の指標、心胸比が50%以下であることを目標に決定されます。
この体重より+1.0〜1.5kg増は除水量を1000〜1500(多い人は+3.0〜4.0kg増です)
あまり増やすと透析も苦しいそうです。(週三回透析のD母)
例:食事からの水分1600mL−出る水分900mL=700mLが体に残り体重が増加するの。
(↑尿については0mL)
体重管理が重要なのは、患者さんの合併症を防ぐために大切なことです。実際は かなり辛くて大変な事です。
増加した体重は尿に成るべき水分で透析で除去できますが、過度の体重増加は心臓に負担をかけ、高血圧になり
心不全の最大の危険因子になります。
透析間の体重増加は6%を超えないこと、超えると死亡リスクが増加します。透析間の体重増加は2日あきの
場合でも5%以内が望ましいと考えられます。
人間の体は、塩分(塩化ナトリウム)を多く摂取すると血液中の塩分(塩化ナトリウム)濃度が上昇し、これを元に
戻そうとし喉の渇きとして現れます、腎臓が正常なら良いのですが透析患者さんは体重の上昇につながります。
一般的に、透析患者さんは1日の塩分摂取量の理想は、6g位です。
※診断コーナーの「ドライウエイト?」に計算機がございます。
かゆみの原因
高齢者や糖尿病を合併している患者さんに多いと聞いております。
尿毒症物質の蓄積、血清カルシウムとリンの値が多い、副甲状腺ホルモンが多い、各種ダイアライザー、
テープアレルギーなど。手足や多くは全身にかゆみ。
ダイアライザー(透析器)
昔のダイアライザー(昭和47〜49年頃)はキール型ダイアライザーでした。こいつは文房具店からセロハン膜を
購入し ホルマリンで消毒し、生理食塩水でホルマリンを洗い流し、圧テストでセロハン膜に穴が開いていないかを
テストし合格した物だけを使用するやり方でした。市販品ですから当然 除水や透析効率も悪かった。
現在は、円筒型で多数の中空糸で構成され 細い中空糸の中を血液が流れ、周辺を透析液が流れて不純物などは
透析液の中へ出てゆきます。
小学校の理科で水槽に砂糖水(高濃度)とただの水の間にセロハンを入れた実験をしましたね。
結果は砂糖水(砂糖の分子)がセロハンを通過し濃度が同じになりました、浸透圧ですね。
この原理を利用し血液をろ過している訳です。ハイ(一言:高い所から低い所へですね)
透析液
正常な血液に近い電解質を主成分とした液で濃縮された原液を処理した水道水で希釈して作ります。透析施設の
年間水道水の使用量は膨大な量です。現在、重曹透析液(水酸化ナトリウム)が広く使用されています。酸性の
血液を補正するアルカリ化剤として、体と同じ重曹を用いた液で、透析中の不快な症状を少なくします。
昭和47〜49年頃は、アセテートとブドウ糖に電解質を加えた液で、体重が1kg増加でも12時間透析でも
除水が困難でした。効率を上げようとナトリウム(現在は重曹透析液)を使用すると体内に食塩が溜まり溢水状態に
なるので使えない。現在の透析時間は4時間です。
シャントに太い針さして人工腎臓で血液濾過。(最低一日四時間血液濾過)
でも 人工透析を受けても血液はきれいになるが細胞内まではきれいにできない、(数時間でBUN等は増えてくる)
だから体に変調が出てくる。(痒み、痛み、等。β2MGの値が高くなる、透析の副作用だそうです)
あと 透析の後シャントから大出血なんて事も有りますね。(血液を凝固させない薬の影響)
長年透析を続けていると心臓に負担がかかってくる、心臓が尿を出せと命令しても腎臓はそれに答えられない、
結果不整脈発生、ペースメーカー導入。心臓に水が溜まると良く聞く。
□透析患者である我がD友(同級生)の談話
「透析導入後はカナリ凹むぜ」「風邪ひくと体調ガタガタだ水膨れになる」「足の骨人工骨だよ時々外れる痛て〜んだ」
「酒もたばこも多少やってるよ」 |