夕立は怖くて
いつまでも手を振っていました
雷が怖いから
背中しか向けないあなただけ見てました
それでも雨は降ってきて
大きな音で胸を痛めます
空は灰色で
遠くのほうで稲妻は走ります
髪が濡れていても気にしないけど
耳を塞いでも聞こえる雷鳴
走りたいのに現実は遅くて
自分の家には辿りつけない
あなたの家は近いのに
距離の分だけ悩んでしまう
「怖い」と言えばいいのに
眉を寄せられるのが怖くて
「早く帰ろう」と別れを告げた
手を繋いだのに
頬に手をのばしたのに
あなただけは私のモノにならない
真っ暗な夕立は
手探りしないといけないから
あなたの姿を見ることはできないから
あなたの声を聞けないから
大嫌い。
 
雷は遠くなった
雨は一滴になった
雲はすごい速度で動くけれど
この世界がある限り
次はいつくるのだろうと
いつあなたはいなくなるのだろうと
不安なままで
夕立は別れてゆく