美しいもの
 
 
 
蝶々はひらひら舞って
気が付けば檻の内
紅くつんとした羽が
閉じ込められた時に
剥がれ落ちた
 
この世に美しいものはないと
口癖のように言っていて
稚拙な言葉で私を褒めた
欲しい言葉は飾ることのない
その想いだけなのに
それは
あの羽のように
床に落ちたまま戻らない
残酷な真実
戻らないものこそ
本当に美しいもの
 
片羽を失っても
飛ぼうとする
気高さ
逃げられないことを知る
その絶望が糧