冬至
 
 
 
柚子の香りがした
その唇に
その肌に、
抱き締めたらいなくなりそうな
冬の、寒い日
 
少しのびた黒い髪が愛しい
横に並ぶとわかる香しさ
吐く息も白く
そのまま雪になった
見上げればいつだって広がる空
はっきりと見えた星はもうない
 
通り道で出会った斑猫
人に懐かないのにいつも通りにいた
寒そうだからと少しの間風除けになって
最後にお茶を横に置いて帰った
次の日にはなくなっていたけど
猫はいつも同じ場所にいた
 
今日もいつもの斑猫に出会う
違うのはすぐに横切ったこと
星も見上げず帰った
あなたがもういないこと