灯火
 
 
 
火が燃える
昏い炎だ
私はそのひとつひとつ
僅かな明かりを楽しむ
哀しい炎だ
 
密度が増して光は消えた
辺りは暗闇に包まれた
蟲たちの音
静寂の中に響いた
生きるということ
それは灯火に似ている
 
ひとつの炎が消えた
それぐらいでは世界は終わらない
けれど不安になる
先の見えない世界は怖い
だから炎を灯そう
誰かのために
そうして生きてゆこう