旅にでよう。
どこでもないけれど、川のある国に
流されないように
上流に向かって歩こう
私にできることはそれしかないから
 
私は従者の兎を連れて
ちぎれそうな真っ黒な腕
あとどれくらい糸は保つのかな
なくなった瑪瑙の目を探して
兎は私に引かれ歩いてる
落とした場所さえわからずに
 
あてのない旅が好き
知らない人しかいない世界が大好き
でも
誰もいない国は嫌いだから
どこかで温かい心があってほしいと思うから
兎のことは好き
低次元な話が嫌い
だけど
兎が探している主人はもっと嫌い
あなたのことは大嫌い
なのに
あなたのことばかり考えている
そんな私が一番嫌い
 
会えるのかな
兎とあなたは
逢ってしまうのかな
私とあなたも
私が旅を続ける限り
兎が瑪瑙を見つけない限り
見つかるはずのない瑪瑙を探して
本当は在処を知っているのに
狡い私は兎に教えないで
瑪瑙は、この手にあると