消失
肌を滑った
雪は雫となって無へと還った
このまま
わたしたちも消えてゆくのに
いつまでも残っているような気がして
今なら、何でもできると思っていた
こんなにも温かかった腕は
世界の中で冷たくなって
あれだけ舞っていた雪も
わたしの前にはいなくなった
いつかは消えてしまうもの
それはどれも同じなのに
どうしてひとりきりなんだろう
まだ生きていたいと願っていても
埋もれたまま起きあがれない
どうして
生きていたいのに
生きてはいられないのだろう
どうして
これ程にも人がいないのだろう
世界は黒く染まって
体温さえも感じられない
誰もわたしに触れることはなく
そのまま
ひとりで生きてきて
このまま
ひとりきりで