人魚姫
 
 
たゆとう光
輝く水面
やっとあなたに逢えた
包み込む言葉は
わたしを空へと導いてくれる
 
暗い深海
豪奢な魚たち
鎖を断ち切れないわたし
月の光が舞い
あなたへのしるべとなる
 
あなたはそこにいる
わたしに優しく
わたしに微笑みかける
わたしはあなたが好き
あなたのためなら
緑の大地を駆けられる
 
わたしは言葉を呪って
あなたは小鳥ばかり愛して
ひたすらに
小鳥へと愛の言葉を囁く
やまない雨の中で
あなたはたったひとり
小鳥を抱き寄せる
あなたの腕はひとりだけのもの
 
蒼い瞳が何かを語っても
わたしは応えることができない
ただ美しいだけのわたし
優しく慰める小鳥
あなたは癒されたいと願った
 
わたしはどこにもいけない
家を捨てたから帰れない
あなただけいればいいと思ってる
あなただけに愛されればいいと
わたしは存在に願っていた
 
月に吠えても届かない
あなたに刃を向けたい
わたしはどこにいけばいいの
あなたしかいないのに
わたしが愛してほしいのはあなたしかいない
 
初めて愛おしいと想った
初めて心から祈った
祈りが通じなくても
あなたに祝福がありますように
わたしはどこへもいかないから
この海で真珠となって
いつまでも泳ぎ続けるから