何もなかったけれど。
ただ歩くのは好きじゃない
同じ歩調は好きじゃない
同じものが嫌い、同じことが嫌い
決められたものは嫌い。
 
石畳の上を跳んでいくのが好き
違うカタチを自由にとびまわるのがいい
同じ大きさのタイルの上
沿って歩くのは嫌いで
だって
その上でしか生きていけなくなるから
もうこのままで
放っておいていいから
唯一のものだけは奪わないで
 
世界に空気を入れ忘れたカミサマ
呼吸の仕方を忘れた雌牛
忘れたら思い出せるから
私は憶えているから
今は            
              これからも
定まらない居場所を求めた
記憶が薄れても
どこかで思い出せば
きっと何事もなかったように
それでもいいなら
望むものがあるなら
 
真っ白な石畳の上、跳んで