何かが入ってきて、あたしはいなくなる。
あたしは独りじゃなくなるのに、あたしはいなくなる。
それはあたしが望んだこと
それはあたしの願っていたこと
あたしじゃない誰かと一緒になりたくて
お母様に泣いて縋っていた。
 
この世界は戸惑いで
その行為は夢見がち
あたしは何かを失い続けて
それでもそれを求めてる。
痛いのは嫌、
だけど愛してる
怖いのは嫌い、
なのに受け入れてる
あなたなしでは生きていけないの。
 
お祖父様は厳格だけど優しかった人
お祖母様はいつまでも美しかった人
お母様はあたしを護ってくれた人
お兄様はあたしを捨てて逃げた人
みんなと比べてあたしは不幸
誰かと比べてあたしは幸せ
本当は自分だけは助かりたいと思ってるけど。
 
何かに助けて欲しかった
あたしがあたしじゃなくなるように、
痛いのも苦しいのもなくせるように
幸せになれる魔法をかけて。
あたしの願いを叶えて。
 
気が付くと、
お母様は泣いていて
お父様は呆然としていて
その内2人で手を取り合って泣いた。
あたしはどこからかそれを見ていて
あたしを抱きしめるお父様、
もういいよと微笑おうとして
肩に手をかけられない
あたしはもう諦めて
心の中で2人に微笑った。
 
あたしは今日
あなたに全部あげる