私はある時蝶で、
私はある時無花果で
風を感じながら季節を探している
 
この世界にあなたしかいないとしても
私はこのまま人にもなれずに過ごすのでしょう
言葉さえ交わすこともなく
美しいと思うこともなく
2人きりになれることを夢にまで見ていたのに
前世からの約束
あなたはもう忘れてしまったけれど
届かない果実
つま先立ちをしても
あと少しだけ爪が足りない
引っかかれた線が、
あなたとの証となればいいのに
あと少しだけ
風が吹けば
無花果は枝から落ちるのに
あと少しだけ
あなたが振り向くのが遅ければ
もう待たなくてもよかったのに
時として悪戯に風は吹き
それが神の意志だとしても
遠くの空は
また紅くもえるのでしょう
また、
幾度でも