大通りから脇道へ
時折呼吸で手に温もりを与え
下駄の音は響く
人を見つけるとキミは
温かそうな笑顔で受け入れた
それは、夜の闇の中
 
寒かったでしょうと
自分の冷たくなった手で包む
鼓動が早くなるのは
キミの顔が見れないのは
何故でしょうか
 
一息ごとに吸い込まれそうな闇
白く息は分散して
つい見送ってしまう
キミと目が合う
目が細められて、手を握る
決して温かくはないけれど
確かな温もりを感じた
高くはないショールだけで
キミはここまで走ってきたのか
そう思うと、涙が出た
 
ここまで愛してくれる人はいない
これだけ愛せる人はいない
なのに、
キミはただ迎えにきただけ
駅までただ、走ってきただけ
ただ、
ただそれだけのこと
これ程愛おしいのに