木曽八景 は、寛保3年(1743)頃、徳川八代将軍吉宗の時代、 近江八景(注)になぞらえて選ばれた木曽路の景勝です。  八景のうち、「棧の朝霞」、「寝覚の夜雨」、「風越の青嵐」、「駒ヶ岳の夕照」、「小野の瀑布」の五景は上松町、 「徳音寺の晩鐘」は日義村、「御嶽の暮雪」は開田、三岳、王滝村、「与川の秋月」は南木曽町に位置します。
木曽八景
徳音寺とくおんじ晩鐘ばんしょう 木曽義仲の菩提寺「徳音寺」の暮六つの鐘の音が晩秋の木曽路の夕暮静寂の中に響きわたる
駒ケ岳こまがたけ夕照せきしょう 秋から春にかけて雪に覆われた「駒ヶ岳連峰」が夕陽に映え、山全体が幻想的な赤紫色に彩られる
御嶽おんたけ暮雪ぼせつ 五、六月の夕暮れ昔からの信仰の山「御獄山」の残雪が薄紫に染まり、山肌に美しい模様を描きだす
かけはし朝霧あさぎり 初夏、藍色を呈した木曽川や花崗岩で出来た様々な形の奇岩と相まって絶壁に架けられた桟道「木曽の桟」が、朝もやの中に幻想的にかすむ
寝覚ねざめの夜雨やう 木曽川の急流に浸食されて出来た奇岩「寝覚の床」が梅雨時の夜時雨れて、木曽川の美しさをひときわ際立たせる
風越かざこし晴嵐せいらん 美しい緑の草山に爽快な夏風が吹き越していく
小野おの瀑布ばくふ 御嶽信仰の行者にとって水行の場であった「小野の瀑布」が背後に風越山を配し雄大に流れ落ちる
与川よかわ秋月しゅうげつ 仲秋の名月が周囲の山々と調和し、木曽随一といわれるほどの幻想的な美しさを呈する
(注) 近江八景
室町時代に選ばれた「比良の暮雪」、「堅田の落雁」、「三井の晩鐘」、「粟津の晴嵐」、「石山の秋月」、「瀬田の夕照」、「矢橋の帰帆」、および「唐崎の夜雨」のことです。