「鬼ごっこ」

初瀬基樹

 最近、園庭ではめだか組、つくし組を中心に鬼ごっこが盛んに行われていて、とてもにぎやかです。私たちの小さい頃も、本当によくいろんな種類の鬼ごっこをやったものですが、今回はその「鬼ごっこ」の魅力についてご紹介したいと思います。


●体力面について

 兵庫教育大学の原田碩三さん(ぞうりの効用についての研究でも有名です)という方が、体育遊びの効果をみるために4つの園で幼児に1年間、毎日同じような遊び(縄跳び、マラソン、鬼ごっこ、ドッジボール)を継続して行った(1園で1種目)という実験があります。縄跳び、マラソンを実施した園では、ほとんど全員がいつも参加して行ったらしいのですが、当然のことながら、鬼ごっこやドッジボールを実施した園では、時として参加しない子もいたのだそうです。しかし、結果は「鬼ごっこ」を実施した園の子どもが一番運動能力の伸びが良かったのだそうです。次いでボール遊び、縄跳び、マラソンの順だったそうです。

 鬼ごっこというのは決められたゴールがあるわけではなく、むしろゴールが逃げていくようなものであり、また、追いかけるにしても、逃げるにしても、その場所や地形、状況に応じて、機敏な動作が求められるため、全身を使ったきわめて活動量の大きな運動なのです。しかも、そんな活動を楽しみながら行うのですから、この実験結果も当然といえば当然なのかもしれません。体力作りにとても有効な活動(遊び)と言えるでしょう。


●情緒面について

 同じく原田碩三さんによれば、こうした鬼ごっこのような仲間とキャーキャー騒いで遊ぶという活動は大脳の興奮水準を高くするのだそうです。大脳の興奮水準の高い活動を行うと、それに伴ってそれを抑える能力も体得されると考えられており、最近のすぐに「キレル」子どもたちはこうした遊びが少ないのではないかと言っています。もちろんこうした遊びは「させられるもの」ではなくて、「自分から進んで、楽しく」やらなくては意味がないのだそうです。テレビゲームなどは体を使わずに大脳に刺激を与えるので返ってマイナスで、幼児期には特にこうした鬼ごっこのような遊びが必要なのだそうです。時間にして3歳では3時間以上、6歳では5時間以上、額に汗する運動が必要というのですから、大人が誘いかけるだけではなく、子ども達が自ら寸暇を惜しんでちょっとでも時間があったら遊び始めるような、自治的な遊び集団を作っていなければ無理ということになります。保育園においてもこれは課題となりそうです。


●思考力、判断力、知恵、勇気、友情、工夫、根気、etc.・・・そして運

 鬼ごっごには、数え切れないぐらいの種類があり、人数、地形、状況によって工夫したり、ルールを変えたりしながら遊ぶことが出来ます。単純な追いかけっこから、チームに分かれて行うものなどもあり、複雑な鬼ごっこになってくると、ただ追いかける、逃げ回る、だけでは済まなくなります。仲間を助けるために作戦を練ったり、勇気や度胸を必要とする場合もあります。とくにチーム対抗の鬼ごっこになってくると、頭を使い、協力し合わなくては勝てません。鬼(相手チーム)の動きを予測し、作戦をたて、時にはただひたすらじっと待ち続け、タイミングを見計らって仲間を助けに行く、「もしかしたら自分もつかまってしまうかもしれない」という危険を冒してまで敵陣へと乗り込む。遊びとはいえ、子どもは真剣そのものです。しかし、例え捕まっても「他の仲間が助けてくれる」という信頼感があるからこそ、敢えてそうした危険を冒すことも出来るのでしょう。こうした遊びの中でさらに強い友情も育まれていきます。

 もちろん、遊ぶ中でトラブルもしょっちゅう起きますが、そのトラブルをみんなで話し合うことによって、みんながルールを守らなければ遊びが成り立たないことや、さらに遊びを面白くするために、新たなルールを考え出したりということにもなります。また、嫌な思いをしている子の気持ちを考えたりなどなど、人とのかかわり方(社会性)も身に付けていくことができます。

 さらには、どんなにがんばっても「勝負は時の運」ということもあり、それがいっそう遊びを楽しくする要素でもあるのですが、広い意味で「人生」を学ぶことにもなるのではと思っています。

 いかがでしょうか。思いつくまま鬼ごっこの魅力を述べてみましたが、たかが「鬼ごっこ」と馬鹿にはできないなと思いませんか?昔から伝えられてきた遊びには、ここで述べた他にももっとたくさんの魅力があるはずです。また、今回は具体的なルールに基づいての「鬼ごっこ」の話ではなかったので少々わかりづらかったかもしれませんが、鬼ごっこをいっぱいして育ってきた方々にはイメージとしてなんとなくご理解頂けたのではないかと思います。

どうぞ、お子さんたちに昔よくやった鬼ごっこなどの話をしてあげてください。よければ、機会を作って子ども達といっしょに走り回ってみませんか?




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