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子育てには、プラス(+)のストロークを!!

初瀬基樹


 「何それ?」と思われる方が多いことでしょう。ストロークというのは、本来は、水泳で、手で水をかくこと、ボートで、オールで水をかくこと、あるいはゴルフで、クラブでボールを打つ、テニスで、ラケットでボールを打つ、また「なでる、さする」といった意味で使われますが、カウンセリングの世界では、「相手の存在や価値を認めるような様々な刺激」のことを言うそうです。このストロークについて知っておくと、様々な人間関係、特に子育てにおいて非常に役に立つのではないかと思い、簡単にお伝えしたいと思います。

◎プラスのストローク、マイナスのストローク

 プラスのストロークとは、「あなたはいい子だね。」「あなたのことが大好きだよ。」「よくがんばったね。」・・・など、もらうとうれしいもの、気持ちが良くなるものです。それに対し、マイナスのストロークは「なんであなたはいつもそうなの?」「あなたなんかきらいよ。」「早くしなさい。まったくぐずなんだから。」・・・など、もらうと嫌な気持ちになってしまうものです。どちらも言葉だけでなく、しぐさや態度、かかわり方なども含まれます。

◎「無条件のストローク」「条件付のストローク」

 ストロークには、「無条件のストローク」と「条件付のストローク」というものがあります。無条件のストロークとは、「成績が良くても悪くても、ありのままのあなたが好きよ」と相手の行為などとは関係なく、相手の存在そのものを認めるものです。それに対し、条件付のストロークとは、「100点取ったら何か買ってあげる」「そんな悪いことをする子は、うちの子じゃありません」といった行為によって左右するストロークのことです。

◎子育てで一番大切なこと

 何より大切なことは、「子どもは無条件のストロークで育つ」ということです。今の日本の社会はあまりにも「条件付のストローク」が多すぎるような気がします。学校などは典型的な例で「成績」が全てです。成績の良い子は人格的にも優れていると誤解されがちです。確かに、条件付のストロークで伸びる部分も多いので、全てを否定するわけにはいきません。時には必要であることは確かです。しかし、始めにも述べたように、それは「無条件のストローク」をたっぷりもらって、「自分の存在そのものが確かに認められている」という基本的な部分がしっかりと築かれた後のことなのです。現在の日本の子どもは、世界の中で群を抜いて「自己肯定感」が低いと言われています。「自分のことが好きになれない」、「親から愛されている自信もない。」・・・近年起きている様々な事件の要因は、ほとんどがここにあるのではないかと私は考えています。特に乳幼児期にあっては、この無条件のストロークが最重要です。

◎「ストローク」は「食べ物」と同じ

 人間は生きていくために食べ物を食べなければならないのと同じように、ストロークを得なければ人間として生きていけません。食べ物の場合、誰でもおいしいもの、栄養のあるものを食べたいと思うはずです。しかし、それが無い場合は、生きていくために仕方なく、まずいもの、きらいなものでも食べます。それと同じで、ストロークも本当は誰でもプラスのストロークが欲しいのです。しかし、それが得られない場合、マイナスのストロークで我慢しようとしてしまうのです。例えば、弟、妹がうまれると、親は上の子には「しっかりして欲しい」と思うのに、赤ちゃんがえりをして、余計に上の子に手がかかる。あるいは、忙しいときに限って、べったりと甘えてくる。急いでいるときに限ってぐずぐずする、などなど、思い当たる節はありませんか?子どもは、まさにストロークを求めているのです。本当は誉めて欲しい、認めて欲しい。だけどそれがもらえないから、マイナスのストロークを求めてしまうのです。

◎子育てへの応用

 そこで、このプラスのストロークをうまく使う方法です。大人でも「お前はダメなやつだ、何もできないじゃないか。」「もっとがんばりなさい。」と言われ続けて「よし、がんばろう!」と思える人は少ないと思います。反対に「よくがんばってるね。」「きょうのご飯おいしいね。」などとプラスのストロークをもらうことで、「もっとがんばろう!」という気になるのではないでしょうか?・・・「そうは言ってもダメなものは、ダメってしっかり教えなければいけないときもあるでしょう?」「甘やかすとすぐのぼせるし・・・」という声も聞こえてきそうです。確かに、子どものすることなすこと何でもかんでも認めるわけにはいきませんし、悪いこと、してはいけないことは、きちんと教える必要があります。大事なのはその方法なのです。
 まずいのは、「そんなことするとおばけがくるよ!」「おまわりさんに怒られるよ!」とか「こんどやったら叩くからね。」「そんなことする子は嫌いよ。出て行きなさい」など脅したり、強く叱って、そのままにしておくことです。叱られた子どもには嫌な気分しか残りません。明らかにマイナスのストロークです。(体罰、無視、虐待などは論外です。)

 ではどうしたらよいか?そんなに難しいことではありません。「マイナス」を「プラス」のストロークに変えてやればいいのです。「○○したらダメ」と、して欲しくないことを言うのではなく、相手にして欲しいことを具体的に言うのです。例えば、おもちゃの取り合いで相手を叩いてしまった場合など。「何で叩くの!叩いちゃダメでしょう!!」ではなく、「○○ちゃんも使いたかったんだね。そんなときは"貸して"って言葉で言ってね。」と伝えるのです。そして、次にそのように出来たら、「ちゃんと言葉で言えたね。えらいね。」って言ってあげるのです。どうです?プラスのストロークになるでしょう?

 そうは言っても、つい強く叱ってしまうこともありますよね。(私もしょっちゅうです。)そんなときは、素直に、「さっきは強く怒りすぎちゃった。ごめんね。」って謝ればいいのです。そうすると相手も素直になって、こちらが言いたかったことも理解しようとしてくれるはずです。
 このように、意識的に「プラスのストローク」をお互いに与え合うことで、お互いが気持ちよくなり、ますます楽しい子育てができるようになっていくと思いますよ。





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