『こころのビタミンブック』より
初瀬基樹
今月9日(金)に予定している「母の日の集い」で育児講座を開きます。今年度は講師に心理カウンセラーの三浦佑子先生をお願いしています。三浦先生は27年間保育士として働いておられたこともあり、カウンセラーとなった今でも、私達保育士の研修会でよくお話をして下さっています.
つい先日もその三浦先生の講演を聴く機会があり、心が元気になれるパワーをもらってきました。三浦先生の著書『こころのビタミンブック』より引用させて頂きながら、先日の講演で伺ったお話を少しご紹介します。(引用文は□で囲ってあります。)詳しいお話は、 9日の母の日の講演をお楽しみに。
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ある方が思春期を迎えた息子さんに反抗され、「私の育て方が間違っていたのでしょうか?」と相談に来られたそうです。三浦先生はその方に「おめでとうございます。よかったじゃないですか。お宅の息子さんは正常に育ってらっしゃいますよ。」と答えられたとのこと。子ども(大人も)は「怒り」を成長の糧にするのです。親は、「ハードル」になる必要があるのです。数々の困難なハードルを越え、子どもは成長していくのですから。逆に反抗期のない子どもの方が心配しなくてはいけない。今の子どもたちは外で思い切り走り回ったり、野山を駆け巡ったりといった体験も少ないのですが、心の中で「葛藤」する体験も少ないのです。もっと「心の運動」が必要なのかもしれませんね。
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人には誰でも生まれつき持っているパワーがあり、その中でも特に大切なパワーは「自分自身を癒す力」です。その力とは「感情」なのです。「笑う」、「喜ぶ」だけでなく、「泣く」、「怒る」、「悲しむ」なども、すべて大切なことです。「泣いてはいけない」「怒ってはいけない」と感情にふたをしてしまうと心が病気になってしまいます。
子どもたちに向ける大人の「笑顔」。なんでもないようなことですが、とても大切なことです。なぜなら、笑顔は「何もしなくてももらえる愛情(無条件のストローク)」なのですから。特に3歳までは、この無条件のストロークがとても大切で、これを3歳までにいっぱいもらっておくと、その後で条件付きの愛情を与えられても乗り越えられるのだとか・・・。
思春期頃に見られる摂食障害(過食症、拒食症など)で悩む人たちの多くは、自分でも記憶が定かでないような離乳前後に原因があることが多いのだそうです。(生後2、3ヶ月頃に原因を持つこともあるのだとか・・・。)その頃に「かわいいわね〜。大好きよ。」といった無条件の愛情を充分受けられず、「太っていたら見苦しい。」「かわいくない」といったようなマイナスのメッセージが向けられると、それがトラウマとなって思春期頃に発症するのだそうです。「小さいうちはどうせわからないから」などと思っていると、後でとんでもないことになりかねないのですね。
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「子どもの幸せは、大人自身が幸せであることだ」と三浦先生はおっしゃいます。「私は不幸でもいいから、あなたたちは幸せになりなさい」というメッセージを受けながら育ったとしても、その子は幸せにはなることが出来ないのだそうです。
私達大人が、いきいきと幸せに生活し、大人が手本となって「人生って楽しいもんだぞ」と胸を張って子どもたちに伝えていきたいものですね。