危険から身を守るために

初瀬基樹

 先月初めに長崎で起きた事件は、私達保育関係者にとっても大きな衝撃でした。現在、市の保育園連盟でも「被害者にならない、加害者を作らない」ために、私達はどうすればよいのかを検討する組織が出来つつあるようです。それについては、また後日お知らせするとして、私自身2人の娘を持つ父親として、「つくづく嫌な世の中になったなあ」と不安に感じています。どこかへ出かけたときなども、常に目の届く所にいなければと、過保護にならざるを得ない状況に悩むことも度々あります。
 最近読んだ雑誌『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』の中に同じような悩みを抱えた人へのQ&Aが掲載されていましたので、それをご紹介したいと思います。



Q.小1の娘。公園や遠くのお友だちと遊ぶとき、誘拐やちかん、通り魔が心配。かといって、外遊びを禁止するわけにもいかないし・・・

A.(回答者・・・エンパワメント・センター主宰/森田ゆり)

 危険から身を守るために子ども自身ができることを教えておきましょう。
 戸外での危険といえばなんといってもまずは自動車です。交通事故の被害は、通り魔や誘拐にあうよりもはるかに高い確率でこどもたちの身にふりかかっています。飛びださないこと、道を渡るときの注意など、しっかりと教えてください。
 そして、交通安全を教えるのと同じように、性犯罪や誘拐から身を守る方法をこどもに教えることができます。要点をいくつか列記してみました。

@ 車に乗せてあげるといわれたら、たとえそれが知っている大人であっても、はっきりと断る。

A 知らない人だけでなく、知っている人から誘われてもいっしょについて行かない。

B こわくなったら、大きな声で叫び声をあげて走って逃げる。この叫び声はまわりの人に気づいてもらうことと同時に、自分自身の恐怖感を和らげる。

C もし捕まりそうになったら、なにをしてもいいから暴れて、大声をあげて、走って逃げる。

D 起きたことを信頼できる大人に話して、恐怖感を言葉にして、受け止めてもらう(まわりの大人は、こどもの気持ちをしっかりと聞き、安心させてあげなければいけません)。


 こどもが犯罪にあうのは、けっして戸外でだけではありません。痴漢やレイプなどの性犯罪は、外で知らない人から襲われるよりも、知っている人から室内でされるほうがはるかに多く起きています。また、性被害にあうのは女の子だけではないので、男の子にも教えてください。
 自分にこわいこと、いやなことを強いる人がいたら、たとえ相手が知っている人であっても、家族や親戚の一員であっても、「『やめて』といってもいいんだよ」と教えてください。「でも『やめて』といえなくて、いやなことをされてしまっても、それはあなたが悪いんじゃないからね」ということもいいそえてください。
 「いやなこと、こわいことがあったら、私にきっとお話ししてね。あなたは世界にたったひとりしかいないとても大切な人。だれでもあなたにいやなことやこわいことをしちゃいけないんだよ」と自分の存在の大切さを教えてください。この自分を大切に思える心こそが、これから一生をとおしてこどもがさまざまな被害から自分を守る「心のちからのみなもと」なのです。
 くわしくは『あなたが守るあなたの心あなたのからだ』『気持ちの本』(森田ゆり著/童話館出版)を参照してください。



 この河内町は環境も良いし、地域の方々があたたかく子ども達を見守ってくださるので、都市部に比べると、危険は少ないかもしれませんが、現実に危ない目に遭った子ども達(小,中学生)も少なからずいると聞きます。まわりの大人が注意して、見守っていくことと同時に、日頃から子ども達自身に対して、こうした自分の身を守る方法を教えていくことも大切だと感じます。
 そして、文の中にもありますが、「自分を大切に思える心(自尊心)」が非常に大切だということ。こうした心を育むのは乳幼児期からの周りの大人のかかわりが重要です。
「あなたはかけがえの無い存在なんだよ。良い子じゃなくても、勉強が出来なくても、私達はあなたのことが大好きだよ。」というメッセージをぜひ伝えていきたいものです。




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