病気に負けない、たくましい体に育てよう!


初瀬基樹


 今年もインフルエンザが猛威を振りつつあります。インフルエンザには「ワクチンの予防接種が有効」という説もあれば、「その年に流行するインフルエンザの型を予想するのは非常に困難で、予想が当たるのは宝くじを当てるようなもの、予想が外れたら全く効果がない」という説、また、「予防接種は感染予防のためではなく、かかっても軽く済ませるためのもの」という説、かと思えば「インフルエンザワクチンは、まったく効果がないばかりか、危険なので打ってはいけない」とする説などなど、インターネットでちょっと検索するだけで様々な情報を見ることができます。

 インフルエンザにかかって重症化した例を聞けば、やっぱり怖いし、できるものなら予防したいと思いますが、反対にワクチンの予防接種による副反応の事例や、真偽のほどは定かではありませんが、「インフルエンザワクチンには、水銀やラテックス性のゴム、アルミニウム、ホルムアルデヒドなどの有毒なものが含まれている」などの情報を見ると、それもやっぱり怖いなと思います。
 
 
 最新の「熊本市 感染症発生動向調査 速報(平成24年第3週)」を見ると、インフルエンザと水痘(みずぼうそう)についての「ワクチン接種後の罹患件数」と「ワクチン未接種者の罹患件数」が掲載されていました。インフルエンザについては、「ワクチン接種後の罹患279件」、「ワクチン未接種者の罹患340件」、水痘に関しては、「ワクチン接種後の罹患5件」、「ワクチン未接種者の罹患4件」となっていました。

 どちらも、予防接種をした人の方が、していない人に比べると、かかった人の数は、かろうじて少ないのですが、大差はありません。反対に、こんなにも予防接種した人がこれらの病気にかかっているのであれば、「予防接種さえしておけば大丈夫!」とは、一概に言えないですよね。(「予防接種を受けていたから症状が軽く済んだ」という事例はあるのかもしれません・・・。)
 
 
 予防接種については、様々な情報をご覧になった上で、各ご家庭で判断して決めて頂ければ良いのですが、原点に立ち戻るなら、やっぱり「病気に負けないように、体の抵抗力を高めていくことが一番大事」だと思います。あまり「予防」に気を使いすぎるよりも、「子どもは、いろんな病気になりながら、だんだん丈夫になっていくものなのよ!」ぐらいの気持ちで、どんと構えておくことも必要ではないかなと思います。なかなか仕事を休めないご家庭では、そんなことも言っていられないとは思いますが、長いスパンで見たら、大きくなってからも、「あんまり体が丈夫じゃなくて・・・」というより、「小さいときは、よく病気もしたけど、元気な子に育った」という方が結果的には良いのではないでしょうか。
 
 
ついでに風邪薬について・・・

 コマーシャルのなかには、「風邪かな?と思ったらすぐ○○!!」と風邪薬を勧めるものもありますが、風邪薬の説明書等をよく見てみると、「~の症状を緩和する」としか書いていないと思います。よく勘違いしがちなのですが、薬を飲めば風邪が治るわけではありません。一時的に風邪の症状を抑えるだけで、体のなかでは、免疫機能が風邪のウィルスと戦っていると考えるべきだと思います。

 風邪の場合は、昔から言われるように「体を温かくして、水分をしっかり取って、安静にしていることが一番」といわれます。ただ、やはり、「他の病気を併発していないか」とか、「別の伝染病ではないか」などといった診断は、素人では難しいので、信頼のおける病院を受診することは大切だと思います。

 病院に行けば、お医者さんがその症状に合わせて、例えば、「のどの痛みを緩和する薬」や「吐き気を抑える薬」などを出してくれるでしょう。しかし、注意したいのは、「どうせ風邪だから」と家庭の判断で子どもに市販薬や、以前の残りの薬を飲ませることです。大人ならば、自己責任ということで仕方ないかもしれませんが、子どもに飲ませるのは止めた方が良いと思います。

 市販薬の大半は、「総合感冒薬」の名の通り、風邪のいろんな症状に効くように、いろんな薬が調合されています。これは「何にでも効く便利な薬」ではなく、「不要な薬まで一緒に飲まされる」と考えた方がいいでしょう。「副作用の無い薬は無い」と言われています。出来ることなら余分な薬は、飲まないに越したことはありません。
 
 
熱が出たからといってすぐに解熱剤を使うのも良くない

 熱が出るというのは、体の免疫機能がウィルスと戦っている証拠だといいます。ウィルスは熱に弱いこと、そして、体の免疫機能が活発に働くのは37~38℃と言われており、体が熱を出すことによって、体の中でウィルスをやっつけていると考えれば、無理に熱を下げる必要はないと思えるでしょう。何日も高熱が続くようであれば、お医者さんと相談して解熱も考えた方がよいかもしれませんが、「熱が出そうだから」とか、「出てすぐに」熱を下げてしまうことは、かえって免疫機能を低下させ、病気を長引かせる原因にもなるそうです。

 また、「高熱が脳に影響を及ぼすのでは」と心配される方もいらっしゃると思いますが、単純に高熱だからといって脳に影響を及ぼすということは、まず無いそうです。むしろ解熱剤を使うことの方がリスクが高いという説も多くあります。
 
 
健康状態に応じて、薄着や外気に触れ、体を鍛えましょう。

 冬に外で走り回って遊んでいる子どもに、「寒いから服を着なさい!」と大人が心配して厚着をさせる光景をたまに見かけますが、「風邪は寒いからひくのではなく、ウィルスの感染によってひくもの」です。子どもが寒がっていないのであれば、無理に着せる必要は無いでしょう。むしろ、子どもが自分で判断できるようになってほしいものです。

 北欧の保育園などでは、気温がマイナスであっても、赤ちゃんを外で昼寝をさせたりするそうです。私たちも「予防」ばかりに気を取られず、丈夫な体になるよう「きたえる」という視点も大事にしなければと思います。

 当然のことながら、健康状態を見ながらですが、日ごろから薄着を心がけ、寒いときでも外で元気に体を動かし、外気に触れ、体を鍛えていきたいものです。
 
 
 いろいろ述べてきましたが、私は医療の専門家ではないので、断言はできません。これらが正しいという確証もありません。あくまでも、最終的な判断は各ご家庭でして頂きたいと思います。ただ、くどいようですが、あまり病気を恐れすぎず、「少しずつ抵抗力をつけ、たくましい体に育てていく」ということを常に頭に置いておいて頂けたらと思います。
 
 


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