進級、新入園おめでとうございます。


初瀬基樹
  

 ようやく春らしくなってきました。3月に8名の子どもたちを送り出し、4月からは新しく5名のお友達を迎え、2011年度は総園児数30名でのスタートです。

 気持ちも新たに、今年度も職員一丸となって、より良い保育を追求し、子どもたちにとっても、お家の方々にとっても、「もう一つの家」として、心から安心して安らげる場になれたらと思っています。どうぞよろしくお願い致します。


● こうせいくんのこと

 さて、今年度4月から、きらきら(めだか)に入園したこうせいくんは、「自閉症」という障がいを抱えています。(「障がい」という言葉自体が適切なのかわかりませんが、他に適切な言葉が見つからないため、そのまま使わせて頂きます。)

 わが園では、これまでにも「自閉症」と診断されたお子さんをお預かりしたことがありますが、職員もだいぶ入れ替ってきておりますので、先日の園内研修の際に、改めて職員全員で「自閉症」について学び直しました。


 「自閉症」というのは、しつけや環境、あるいは性格等による心の病気ではありません。生まれつき脳の一部が機能不全であるために、言葉の使い方や感情表現、認知能力などを身につけることが難しい状態にあるのです。一般的に「対人関係が結びにくい」「コミュニケーションがうまくとれない」「強いこだわりをもつ」といった特徴があります。発症の原因はよくわかっていないのですが、1000人に1~2人、「高機能自閉症」と呼ばれる人を含めると100人に1人ぐらいの割合で発症しているそうです。

 病気やケガのように「こうすれば治る」というものではありません。ですから、本人にとって暮らしやすい環境を作り、本人の適応力を育てていくことで生活上の困難を軽くし、幸せに生きていくことが出来るように支援していくことが必要です。
 
 周りからじろじろと好奇の目で見られることは、本人にとっても、ご家族の方にとっても多大なストレスとなります。温かい目で見守ってあげたいものですね。


 細かな支援の方法等については、今後もさらに勉強を重ね、お家の方や専門機関とも連携しながら考えていくつもりですが、まずは、こうせいくんを受け入れるにあたって、次のような心構えを職員間で統一しました。

  • 「障がい」ばかりに目をむけるのではなく、他の子と同じように、「1人の子ども」として、「こうせいくん自身の育ち」に目を向けていこう。

  • 「障がいを抱えている」ことを「欠けた所がある」と見るのではなく、現実のありのままの姿を受け入れ、「この子の発達のために、どんな手立てが必要で、周りの大人には何ができるのか」を考えよう。

  • 子どもはひとりずつ違う、違っていて当たり前。それぞれが、それぞれのペースでゆっくり育てばいい。必要とする支援も1人ひとりの子どもによって、それぞれ違うはず。何より大切なことは、無条件の愛で、丁寧に、根気よく、その子の成長を信じ、支える人になろう。


 私たちには、障がいを治すことはできませんが、周りの子を含め、大人も一緒にみんなで育ち合いながら、楽しく幸せな保育園生活をつくっていくことは出来ると思います。

 特に子どもたちには、大人のような偏見がないので、小さなときから一緒に過ごしていれば、自然に仲間として受け入れてくれます。もちろん、そのためには、大人のかかわりも重要ですが、こうせいくんのようなお子さんは、周りの子たちにとっても大切な存在であると思います。


 障がいの有る無しに関わらず、今の世の中ただでさえ、「人より早く!」、「人より上に!」と子どもに期待をかけ、早くからいろんな習い事をさせたり、「がんばれ、がんばれ」と早く成長させようとしたりといった「子どもの成長を急かすような風潮」がありますが、その子その子の特性に応じて、その子に合った方法で、ゆっくり成長するのを楽しみながら、じっくり待ちたいと思います。


 そして、これまで園で大切にしてきた

  • 「小さな学校」であるよりも、「大きな家庭」でありたい。

  • 子どもも大人も一緒に「育ち合う場」でありたい。

  • 誰もが心から安心して「安らげる場」でありたい。



ということなども、職員間で確認し合いました。
保護者の皆様にも、どうぞご理解とご協力をお願い致します。
あらためまして、今年度もどうぞよろしくお願い致します。




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