言葉って難しい


初瀬基樹
  

 先日、きらきらのみゆきちゃんのお兄ちゃん(だいご君)が、珍しいカブトムシ(アトラスオオカブト)を園児たちに見せていいよということで1日保育園に貸してくれました。食事の時間に虫が大好きなたかちゃんの隣になったので「たかちゃん、珍しいカブトムシ見せてもらった?」と聞いたら、「ううん、もらってない。」「え、見せてもらわなかったの?」「うん、だってね、みゆきちゃんのお迎えのときに持って帰らすけん、それまでなら見ていいよって言わしたもん。」「・・・じゃあ、見たんだよね?」「うん。」


 もう、おわかりでしょう。私は、「見せてもらった?」=“見た?”と聞きたかったのですが、たかちゃんは、「見せてもらう」=“もらう(自分のものにする)”ととらえてしまったのです。それで会話が途中ちぐはぐになってしまったのです。子どもにとってはこういう二つ以上の言葉が組み合わさった言葉を理解するのはまだ難しいんだろうなと思います。

 
 私自身、今でも覚えているのは、多分小学校に入る前だったと思うのですが、祖母から「ちり紙を2,3枚取ってきて」と言われたときに「2,3枚」という表現を初めて聞いたので、2枚なのか3枚なのかがわからず、一生懸命考えて2枚と3枚を足して5枚持って行ったのです。そしたら、祖母から「こんなにいらない、2,3枚といったのに・・・」というニュアンスのことを言われ、軽くショックを受けたものでした。あとになって、「2,3枚」というのは「2枚か3枚、どちらでもいい」ということを聞き、「なんで、そんなあいまいな表現をするのだろう。どっちかはっきりすればいいのに・・・」と思った記憶があります。今なら、何でもないことなんですがね。


 こういうことって日常的によくあるんだろうなと思います。子どもに限らず、大人になってからも、「そんなつもりで言ったんじゃないのに・・・」ということ、皆さんも経験ありませんか?
「言った」、「言ってない」で口論しても始まらないというのはわかっているのですが、「自分の伝え方も悪かった」ということは棚に置き、こちらの思いと違うように伝わっていたことに、「相手のとらえ方が悪い」と相手を責めてしまうようなこともしばしば。


 言葉って本当に難しいなあと思います。大事なことは、「こういうつもりで言ったんだけど、どういう風に伝わっているのかな?」と何度も確認しないといけませんね。昔から「口は災いの元」って言いますしね。




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