「劇場ごっこ」を終えて


初瀬基樹
  

 先日の劇場ごっこにはたくさんの方に見に来て頂き、本当にありがとうございました。

 すみれ組の子どもたち、いつもと違う雰囲気で、少し緊張しながらも舞台の上ではいつものように歌ったり遊んだり、劇ごっこをする姿が見られてよかったですね。

 3歳未満児に関しては、「普段から楽しんでいるわらべ歌遊びや、絵本の再現遊びなどをいつものようにやって、それを見てもらえればいいよね」と子どもたちにとって取り組みが負担とならないように、無理のない取り組みを毎年心がけています。ただ、この年齢では、普段通りの姿を見てもらうというのがなかなか難しいものなのです。緊張して固まってしまったり、泣き出したり、抱っこをもとめたり、それはそれで年齢的にも当然の姿なので良しとしています。

 でも、ここ数年の子どもたちはあまり緊張しないのか、舞台の上でもいつも通りに楽しそうに歌ったり遊んだりできるのですごいなあと感心します。劇場ごっこに限りませんが、わが園の行事で自慢なのは、「子どもたちの表情」だと思っています。大人にやらされてやっているのではなく、自ら楽しんで、どの子もいきいきと目を輝かせてやっている。そう思いませんか?


 そして、きらきら(3歳以上児)が演じた劇「森は生きている」。正直、ここまでの劇になるとは予想していませんでした。

 当日の挨拶の中でも申し上げましたが、これまでのわが園での劇場ごっこは、「子どもの発想、子どもの表現を大切に」と考えてきました。しかし、今年度は「子どもの発想や表現はもちろん大切にしながらも、もう少し大人も一緒になって、子どもたちと楽しみながら『共に創る』劇にしてみてはどうか」ということを職員間で話し合い、そのように取り組んできました。

 そして、取り組み中、常に「保護者に見せるためだけの劇にならないように」「取り組みの中で子どもたちがどんな力を身に付けているのかもしっかり見ていこう」とお互い確認し合いながら、クラス担任だけでなく、職員みんなで取り組んできました。

 当初は、1時間にも及ぶ劇を、しかも3歳児を含む異年齢混合クラスで、果たして形になるのだろうかと不安もありました。しかし、ストーリーのおもしろさ、耳に残る素晴らしい歌の数々が子どもたちの心を捉えたのでしょう。どの子も意欲的に、すごい吸収力で歌を覚え、お話しを覚え、ごっこ遊びを楽しみ、もちろん保育者の援助もありましたが、見事に劇を完成させました。当日、見に来て頂いた方々からもお褒めの言葉をたくさん頂戴しました。私自身、今回の取り組みでは、久しぶりに保育室に入って毎日のように子どもたちとそれぞれの役の動き考えたり、劇に使う小道具、大道具なども作ったりしながら、楽しく過ごすことが出来てうれしかったです。


 劇場ごっこが終わったあとの子どもたち、他の子たちのセリフまで覚えていて、それぞれ、いろんな役になって、あちこちで「森は生きている」ごっこが見られています。「当日だけがすべてではなく、取り組みの過程、その後の子どもたちの姿も大切」ということを改めて思いながら、子どもたちだけでなく、職員1人ひとりにとっても今回の劇場ごっこの取り組みで得たものは大きかったなと感じています。


 早いもので、もう3月。うれしくもあり、さみしくもある3月ですね。
 
 12人の年長さんには残りの保育園生活を存分に楽しんでほしいと思います。




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