だいすき!絵本

初瀬 恵美




『しぜん てんとうむし』
指導:竹内 将俊
絵 :寺越 慶司
出版社:フレーベル館




 ご入園 ご進級 おめでとうございます

 4月になり、やっと暖かくなってきましたね。園庭の紅桜が満開です。まるで、子どもたちの入園・進級をお祝いしてくれているようです。

 さて、今月は 『しぜん てんとうむし』 を紹介します。この絵本は、フレーベル館の平成21年度の月刊絵本『しぜん』の4月号でした。写真や実写に近い絵、そして、所々に透明のページに絵が描かれていて、とてもおもしろい絵本です。

 先日、この絵本を3歳未満児クラスの子どもたちと見ていました。さなぎから、黄色いてんとうむしの体が出てきて、うしろばね(薄い羽)を乾かすページがありました。そのうしろばねを出している姿を見て1歳児のそえかちゃんが「ぶーん」といいました。ページをめくると黄色から赤色になり、黒い模様がでてきて、よく見かけるてんとうむしへと変化していました。そしてさらにめくると、「とんだ!」と大きく太い字で書いてありました。そして、空にむかって飛ぶ絵が描かれていました。その絵を見てさらに「ブーン!ブーン!」と大興奮しました。

 私は、このとき「ハッ!」としました。絵本の中のてんとうむしを、今まで自分が培ってきた概念でしか見ていなかったことに、気付かされたからです。だから、てんとうむしが飛ぶ絵を見ても、あまり「羽」を気にかけることはなかったからです。ましてや1歳の子がてんとうむしのうしろばねを見てそこまで気付くとは思いませんでした。

 そえかちゃんの洞察力の深さ、ちゃんと絵を見ていることに感心しました。また絵本の構成の仕方も素晴らしので、両方が一致したからこその発見であったのかもしれません。

 そえかちゃんの「ぶーん」をきっかけに、もっとよく絵を見てみると、普段は見られない、飛んでいるてんとうむしの羽の裏側が描かれていたり、羽の内側の、体は、幼虫のようであったり、いろいろな発見ができます。私たちに馴染み深いてんとうむしは、羽を閉じた姿のてんとうむしなので、ぜひ、この絵本でいろいろな角度からのてんとうむしをご覧になられてもおもしろいと思います。また、この絵本には、飼い方や豆知識みたいなことも載っています。暖かくなり、虫もそろそろ活動を始める時期、絵本と実物を見比べながら、てんとうむしを探してみるのも楽しいのではないでしょうか。








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