だいすき!絵本

初瀬 恵美



『ジェイクのクリスマス』
作・絵:葉 祥明
出版社:自由国民社




 今年も残すところ1ヶ月となりましたね。12月を前に街はクリスマスムード一色で華やかな賑わいをみせています。子どもたちにプレゼントをおねだりされたり、何をあげようかなと悩んでいるお父さん、お母さんに、今月は『ジェイクのクリスマス』をご紹介したいと思います。この絵本は、熊本を代表する絵本作家葉祥明さんが書かれました。

 主人公は犬のジェイクです。ジェイクは、クリスマスイブの夜に「サンタさん すてきな プレゼントくださいな・・・」とお願いします。すると、サンタの国からリトルサンタがやってきました。ジェイクは喜んで「ぼくに なにかプレゼントくれるの?」と聞きました。するとリトルサンタは「ううん ぼくが ジェイクから プレゼント もらうの。」と答えました。「え?ぼく なんにも もってないよ」というジェイクに「そんなこと ない ジェイクはみんなが もとめているものを たくさんもってる」とリトルサンタが答えました。何のことか分からないジェイクに、それは「ほほえみ よろこび ゆめ・・・」と教えてくれました。それを聞いたジェイクは「え?そんなもので いいの? それで よかったら いくらでも あげるよ」と返事をしました。すると、沢山のリトルサンタが空から降りてきて、ジェイクから「えがお おもいやり しんせつ ゆうき すなおさ おおらかさ のんびりさ」などを次々にもらいました。そして、ジェイクもサンタの仲間入りをして、世界中に「あい」というプレゼントを配りにいくというお話です。

 この絵本の最初には
 「だれでもサタクロースになれるよ そう思いさえすればね JAKE」
 と、書いてあります。最初に読んだときは、あまり何も感じずに読み流したのですが、一通り読んでみて、改めてみると、重みのある一言だなと感じました。そして、絵本の最後の方には、葉さんの言葉で「大人によって支配され、その運命を左右されがちな存在こそ、心安らかに、幸せに生きていってほしいと、私は切に願っています。そして、彼らのためにサンタクロースになってください。」と書かれています。

 『世界がもし100人の村だったら』という絵本に「銀行に預金があり 財布にお金があり家のどこかに小銭が転がっている人は いちばん豊な8人のうちの1人です」と書かれていました。

 日本では今「クリスマス商戦」という言葉があるほど、プレゼントにお金をかけることが当たり前になっています。プレゼントの金額と愛情が比例するかのような感覚に陥ってしまっている人もいます。「世界がもし100人の村だったら」こんなにもプレゼントにお金をかけることができるのは、いちばん豊な8人のうちの1人」ということになり、日本人は何と豊な人が多いことか・・。

 しかし、この絵本のリトルサンタが求めたものは、子どもが喜ぶおもちゃではなく、ジェイクが当たり前に持っていた「ほほえみ よろこび ゆめ・・・」でした。それらを配ることにより、世界が愛でいっぱいになると考えたのです。素敵ですね。この大切な思いは、やはり、いつまでも大切にしたいなと思い、今月はこの絵本を選びました。みなさんが素敵なサンタクロースになれますように・・。





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