だいすき!絵本

初瀬 恵美



『しぜん どうぶつ』
指導:増井光子 絵:鶴田修
出版:フレーベル館




 先月のことです。乳児クラスに用事で行くと、いぶきくんが「めぐみしゃ〜ん、これよんで」と絵本をもってきました。「いいよ。」と言って、座って読もうとすると、「こっち、こっちー!!」といって、お気に入りの場所に案内してくれました。そこは、おふろコーナーの浴槽でした(浴槽は、プラスティックの衣装ケース)。さすがに、私がその中に入ると、プラスティックが割れそうだったので、外から読もうとすると、「ダメ〜!一緒に!(入ろ)」と引っ張り込みます。おそるおそる、端のほうに足を置き、狭い浴槽に二人で入り絵本を読むことになりました。それが、今月紹介する『しぜん どうぶつ』です。

 この本をいぶきくんは、とても気に入っています。お風呂に入りながら、3回も読みました。さすがに、限界を感じて、お風呂から上がりましたが、こんな経験は初めてでした。「お気に入りのコーナーで、お気に入りの本を読む」それがとても幸せなこととひしひしと感じられました。

 その後も、乳児クラスに行くたびに、また、乳児クラスの前のテラスにいるときも、部屋から「めぐみしゃ〜ん」と声がかかるようになりました。手には、いつも『しぜん どうぶつ』をもっています。

 こんなにも大切にされて、愛されている本は幸せだなーと思います。その愛されている本を今月は紹介したいと思います。

 この本は、絵本というより、図鑑的な本です。まず、表紙には6頭の動物の一部がクローズアップされて描かれています。そして、ページをめくっていくと、2ページを大きく使って1種類のどうぶつが描かれ、その動物の説明がついています。絵本に描かれている動物は、全部で13種類。とても写実的で、リアルに描かれています。説明は、簡潔な方ですが、3歳の子には、まだ難しいのではないかという文章です。

 絵本に精通している方は、「文字は全て読んであげなさい」と言われる方もいらっしゃいます。しかし、私は図鑑などは、文字数にもよりますが、絵を楽しみたい時期から、そこに書いてある内容まで知りたくなる時期があると思います。いぶきくんは、4月に3歳になったばかりです。だから、いぶきくんは、どちらだろうかと思いました。最初は文章を読んでも理解できないかなと思い、端折ろうかとも思いました。しかし、迷ったときは、一応読んでみると、その子が絵本に何を求めているかが分かるので、読んでみることにしました。するとなんと文章を覚えていて、私と一緒に文を口ずさみ始めました。(もちろん、全てではありませんが)。このとき、乳児クラスの担任は、ちゃんと文章を端折らずに読んであげているんだなと、その丁寧さがうかがえました。また、おうちでも、絵本を沢山読んでもらっているのだろうな、楽しい時間をいっぱい共有しているのだろうなと思いました。

 図鑑系の本が好きな方で、絵だけでなく、文章にも興味を持ち、知りたいという知的好奇心が凄く芽生えてくる時期のお子さんをお持ちの方には、ぴったりの本だと思います。






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