だいすき!絵本

初瀬 恵美



『てん てん てん』
作:わかやま しずこ
出版社:福音館書店


 春の暖かい日差しや、柔らかな風に心地よさを感じたのはつかの間、お天気の良い日はすでに初夏の陽気ですね。その暖かさ(暑さ)とともに、庭や草むらの虫たちも活発に活動を始めました。子どもたちの大好きな虫取りの季節が始まりました。

 今月は、身近な虫が登場する絵本『てん てん てん』を紹介したいと思います。

 この絵本は、10ヶ月〜2歳のお子さんを対象にした『子どものとも0.1.2』の月刊絵本が、ハードカバーになったものです。だからとても単純明快!

 「てん てん てん。」(見開きいっぱいに)「てんとうむし。」、「ぐる ぐる ぐる。」「かたつむり。」(下絵)というように、リズミカルに展開してゆきます。ことばの覚えはじめのお子さんも「てん てん てん。」「ぐる ぐる ぐる。」など反復されることばが心地よく、思わず声を出して、真似したくなる絵本です。絵は、ほとんどが2色で構成されており、絵のラインは、太く柔らかで、目に優しく飛び込んできます。ことばのリズミカルさ、絵の楽しさは、まさに絵本にはじめて出会う年齢のお子さんにぴったりだと思います。
 

 













 また、この絵本は「なんでしょう?」と言葉はついていませんが、クイズにもなっています。ことばが少し自由に使えるようになってきた子は、「ぐる ぐる ぐる」という絵(右上)とことばを聞いたと同時に、指をさしながら「かたつむり!」と答えてくるようになります。そんなときは、あえてリズミカルさをくずして「どうかな・・・?」と一呼吸おき、もったいぶって開いたりします。その時、必ずアイコンタクトをとってみてください。次のページを開ける瞬間を、自信たっぷりに目を輝かせている子どもの姿に出会えると思います。そして「かたつむり」が現れた瞬間「ほらー!!」と得意気な声を響かせてくれることでしょう。そんなやりとりが共有できる一冊だと思います。その時間こそが大切な時間であり、小さなうちに、絵本を通して、共有できた楽しい時間は、子どもにとっても大人にとっても、かけがえのないものになると思います。
 
 どなたにも、読みやすく、どなたにも、なじみやすい、ありそうで、なかなか無い、スペシャルな絵本です!






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