だいすき!絵本

初瀬 恵美


『おりこうなアニカ』
作・絵:エルサ・ベスコフ
出版社:福音館書店



 新年あけましておめでとうございます
 
 本年もよろしく お願いします
 
 みなさん、保育園からの年賀状は届きましたか?毎年、園では、その年の干支にちなんだ絵を絵本からピックアップして、園長が年賀状を作っています。お気づきでしたか?
 
 今年は「丑年」・・・。ですが、牛が主人公で、ピーンとくるいい絵本がなかなかありませんでした。そこで、「牛」が主人公ではないのですが、絵のタッチがとてもきれいなエルサ・ベスコフ氏の『おりこうなアニカ』を選びました。ちなみに、「アニカ」とは、牛のシッポを必死でつかんでいる女の子の名前です。
 
 この絵本は、今から50年以上前に書かれました。2006年6月に紹介した『ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん』と同じ作者の絵本です。舞台はスウェーデン。ゆったりのんびりした自然と、そこでの暮らしやファンタジーが詰まった絵本です。
 
 アニカは、多分3〜5歳くらいの小さな女の子です。服を着たり、ボタンを留めたりという自分のことはもちろん、家のお手伝いもすすんでします。この絵本の中では、家から少し離れた牧場の柵が壊れてしまい、そこから牛が逃げ出さないように1人で見張りに行くお手伝いをします。

 牧場までの道中では、大きな犬に出会ったり、ホラをふく(嘘をつく)男の子に出会ったり、勘違いされて怒られたりといろいろなハプニングに出会いますが、上手く受け答えし、目的地の牧場にたどりつきます。

 しかし、牧場では、壊れた柵から牛が逃げ出してしまい、アニカは必死に追いかけて捕まえようとします。その場面が表紙でもあり、年賀状にも載せたこの絵です。1人ではどうにもならない、この危機的状況を救ってくれたのは、道中に出会った大きな犬でした。

 このことにより、アニカは、小さいながらも、「柵をなんとかしなくては・・・」という思いに駆られます。辺りを見るとちょうど良い丸太を発見!!しかし、それは、小人の住む屋根の大事な丸太だったのです。そこで、その丸太を使わない代わりに、小人たちが、別の丸太を見つけ、柵を直してくれました。お父さんと子どもの小人が柵を直している間にお母さん小人は、パンケーキを作るため、アニカの持っていたバケツを借りて牛のミルクをしぼりました。そのお礼にと野いちごをバケツいっぱいくれました。こうして柵も直り、バケツいっぱいの野いちごももらったアニカです。

 以上のような内容なのですが、私は、小さなアニカが家族の一員として、単なる「お手伝い」をしているのではなく、いろいろ考えて行動していることがすごいな、と思いました。裏を返すと、この絵本が描かれた50年以上前の子ども達は、きっとアニカのように、いろいろ考え、家のお手伝いをする子が多かったのではないかと思います。生活するには、子どもも労働者の1人だったような・・・。そんな時代だったのかもしれません。そんな子ども達に夢とファンタジーを与えるべく、ベスコフ氏はこの絵本を描いたのではないかと思いました。少し長めのお話ですが、長めの物語が楽しめるようになったお子さんには、ぜひチャレンジしてみてください。




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