だいすき!絵本

初瀬 恵美




『うえにはなあに したにはなあに』
作:ローラM・シェーファー
絵:バーバラバッシュ
訳:木坂 涼
出版社:福音館書店


  今月は、5月末に発売されたばかりの『うえにはなあに したにはなあに』を紹介します。
 
 この絵本は、縦に開いて、矢印にそって読んでいきます。下から上へと進んでいって、真ん中にきたら、本をくるっとまわして、今度は上から下へと読んでいくのです。
 
 ちょっと変わった趣向の絵本です。それだけでも、楽しくて読んでみたくなる絵本です。
 

 実際、手に取って読んでみると、ユーモラスというよりは、哲学を感じる、壮大な絵本でした。

 まず絵本を開くと地球が描かれています。そして、絵本の最後のページには180度回転した地球が描かれています。そのことにより、絵本がぐっと引き締まっています。最初と最後の地球が示すとおり、この中には「地球に生きる自然」がテーマにあるように感じました。

 絵本の始まりは「もし きみが もぐらだったら あたまの うえには なにが ある? ↑」です。その矢印にそっていくと、本当に上へ上へと上がっていく感覚に陥ります。それは、絵の描き方が、下から見上げた構成になっているからです。同じく、「〜したにはなにがある? ↓」「しろいくもが つらなっている。かたちをかえて ふわり ふわり。」と文章を読みながら、目線を絵本の上のほうから下へおろしていくと、まるで、自分が鳥か何かになり、大空から地球の陸地目指して下降しているような感覚に陥ります。それだけ、素晴らしい絵なのです。2ページで1枚の絵になっているのですが、その大きさは縦約55cm、横20cm程です。この大きさで、こんなにも壮大で、素晴らしい絵が描けるんだと、感心と驚きの連続でした。

 この感動は、ぜひ、絵本を手にとって見ていただきたいと思います。子ども達の心にもきっと今までにない新たな感覚を与えてくれる素晴らしい一冊だと思いました。   ちなみに、訳は子ども達に大人気の絵本『ぜったい たべないからね』の訳をした木坂涼さんです。詩人であり絵本の創作家(『みんな おっぱいのんでたよ』等)でもあり、この絵本もとても読みやすく訳されています。

 新刊の中で今、最も私の中でヒットしている絵本です。




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